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第一章 毒師よ目覚めよ
2,悪いのは先代
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2,悪いのは先代
「こちらのお部屋でお待ちください」
衛兵二人に連れられ、到着したのはどうやら城? の一番端の部屋。
「侍女を近くに置いておきますので、何かあればお申し付けを」
「あ、どうも」
部屋は質素だが、なかなか広い。
俺は椅子に座り、状況を再確認。
一、俺は召喚され、異世界? に来た。そして、世界の危機を救わねばならない
二、宝玉を十個集めるまで帰れない
三、職業は毒師
……この三の毒師が一番謎なんだよな。この単語を聞いただけで、なんだか急に慌ただしくなってきたし。
「……えーっと、君」
とりあえず、まずは情報が欲しい。この世界の情報、そして、俺自身の置かれている状況を。
「はっ、はいっ! な、なんでしょうか⁉」
部屋の隅で待機してくれていた茶髪の侍女さんに声をかけるも……すっげー警戒されてる。
「聞きたいことがあって……」
俺が椅子から立つ。
「ひっ⁉ お、お答えしますので、ど、どうか命だけは……!」
…………俺、そんなに怖いの?
「だ、大丈夫だから。何もしないから。約束するよ」
「……男の人の何もしないからは何かをする証拠だと母様はおっしゃっておりました……!」
……警戒っぷりがひどい。
「いや、ほんとに何もしないって。っていうか、俺、さっき召喚されたばっかりで何もわからないんだ。だから頼むよ」
できるだけ、フレンドリーに接してみる。それでもダメなら……どうしよう……?
「……わ、わかりました……」
こわごわ俺の近くに寄ってきてくれる。まあ、それでも二メートルぐらい距離はあるんだけれども。
「えっと……何からお話すればよろしいでしょうか?」
「そうだな……じゃあ、勇者についてお願いしてもいいかな?」
「は、はい。と言っても、私もあまり詳しいわけでは無いのですが……」
「いいよ。今はとにかく情報が欲しいんだ」
情報とはすなわち力である。知ってると知らないでは、生存確率が大きく変わってくる……って本で読んだ。
「えぇと……まず、勇者というのは、王様が召喚した異世界からの戦士のことです。ステータスに秀でていて、固有職があるのが特徴です」
「……そういえば、その、ステータスってどう確認すればいいんだ?」
先程、神官が俺のステータスを開いていた。つか、なんかステータスは平均とか言ってなかったっけ?
「ああ、それはですね、左手の人差し指と中指を重ねて上に振るとウィンドウが出てきます」
こうですよ、と彼女は実演してくれた。すると、先程と同じヴン、と音がして半透明のウィンドウが出てきた。
「なるほど……こうか?」
俺も彼女を真似てみる。
ヴン。ちゃんと開くことができた。
「そうです。それで、本当は他人のステータスを確認するにはその本人の同意が必要となります。でも、一部の神官様などは、閲覧ができます」
「ああ、さっき覗かれたな。ってことは、君の許可があれば俺は君のウィンドウの中を見ることができるのか?」
「あ、はい。……み、見たい、ですか?」
「あ、う、うん……」
……どーしてこの侍女さんは顔を赤らめてるのか。
「えっと、柊夜様? を許可します」
すると、今までモヤッとしていた彼女のウィンドウの文字が急に読めるようになった。
「おー、なるほど」
名前は……レミ・マルエルか。
「えーっと、レミさん?」
「は、はい! な、なんでしょうか……?」
名前はどうやら合っていたらしい。
「あと、固有職業っていうのを知りたいんだけど」
一番気になっていたところだ。これがなんだか、これから先の俺の行く末を決める、そんな気がする。
「固有職業ですね? 固有職業というのは、勇者様方が持つ、第一の職業ですね。これは固定されていて、絶対に変えることはできません。そのかわりに、第二職があり、固有職業のサポートとして取ることができます」
「ふむふむ、ってことは、俺の『毒師』は固定で、その上から追加で他の職業をかぶせるんだな。よし、続けてくれるか?」
なるほど。職業を二つ取れるのが勇者の強み、ってわけか。
「はい、あと勇者召喚は、五十年に一度行われます。ですが……」
そこでレミさんは言葉に詰まる。
「……先の召喚は二年前でした」
「え?」
ど、どういうこと?
「二年前、召喚が行われ、五人の勇者が呼び出されました。その五人は、世界の危機に立ち向かうべく、パーティを組んで旅立ちました。しかし、二ヶ月後。……パーティの一人『毒師』に全員が暗殺されていたのです」
……なるほど。理解した。どうして俺が毒師というだけであれほど慌てふためいていたのか。
「理解したよ、ありがとう」
要は、悪いのは先代だということだな? 俺は悪くないんだよな多分?
「……失礼します。他の勇者様方と連絡が取れ、貴方様の処遇が決定いたしました」
そのとき、外から扉を叩き、さっき俺に説明をしてくれた大臣が入ってきた。
「えー、勇者様からの伝言です。『……え? なに? 五人目? マジかよ。え? 男? イラネ。え? 加えて毒師? なおさらイラネ。俺っち、もうレベッカちゃんパーティ入れちゃったしー』……だ、そうです」
…………えぇー? なんだこの勇者。しばき倒してぇ。
「これに基づき、我が国で話し合った結果、処刑派三、穏健派四、旅をさせるべしゼロで、勇者柊夜様は、このまま開放となります」
……処刑派が四⁉ おいおい、随分と身勝手じゃね-か……!
「ということで、大変申し訳ないのですが、これから先、自分の力だけで生き残っていただきます」
「は、はあ。えっと、ちなみに給付金とかは……」
「無しでございます。さあ、ご退出を」
……なんつー無理なことを言いやがる。でも、ここでごねると近くにいる衛兵が怖いし……従うしかないかぁ。
「わかりましたよ……。はぁ」
俺は諦めて、レミさんの案内で城から出された。
「あ、あの……」
城から出る直前、外壁の前で先程まで黙っていたレミさんが声を出す。
「ん?」
「その……す、少ないですけど、これ……!」
彼女は意を決したように俺の目を見て、じゃらりと何かの入った麻袋を俺に渡してきた。
「これって……」
俺が中身を手に出すと、ジャラッ、と銀貨一枚と十数枚の銅貨が出てきた。
「えっと、その、私のお給金なんですけど、もし良かったら使ってください……!」
「え、そ、それは悪いよ。返すよ」
「いいえ! 文無しでこの先、生き残れるほどこの世界は甘くありません! せっかく色々お教えしたのに、すぐに死なれては寝付きが悪くなりますので! それに」
ふふっ、と彼女は笑う。
「レミさん、って呼んでくださって、嬉しかったんです。ささ、貯めるしか使いみちのないお金なので、持っていってください」
「……ありがとうレミさん。俺、きっと返しに来るから」
やばい、涙出そう。俺、異世界で人の優しさに触れました。
「はいっ! 楽しみにしてますね!」
「こちらのお部屋でお待ちください」
衛兵二人に連れられ、到着したのはどうやら城? の一番端の部屋。
「侍女を近くに置いておきますので、何かあればお申し付けを」
「あ、どうも」
部屋は質素だが、なかなか広い。
俺は椅子に座り、状況を再確認。
一、俺は召喚され、異世界? に来た。そして、世界の危機を救わねばならない
二、宝玉を十個集めるまで帰れない
三、職業は毒師
……この三の毒師が一番謎なんだよな。この単語を聞いただけで、なんだか急に慌ただしくなってきたし。
「……えーっと、君」
とりあえず、まずは情報が欲しい。この世界の情報、そして、俺自身の置かれている状況を。
「はっ、はいっ! な、なんでしょうか⁉」
部屋の隅で待機してくれていた茶髪の侍女さんに声をかけるも……すっげー警戒されてる。
「聞きたいことがあって……」
俺が椅子から立つ。
「ひっ⁉ お、お答えしますので、ど、どうか命だけは……!」
…………俺、そんなに怖いの?
「だ、大丈夫だから。何もしないから。約束するよ」
「……男の人の何もしないからは何かをする証拠だと母様はおっしゃっておりました……!」
……警戒っぷりがひどい。
「いや、ほんとに何もしないって。っていうか、俺、さっき召喚されたばっかりで何もわからないんだ。だから頼むよ」
できるだけ、フレンドリーに接してみる。それでもダメなら……どうしよう……?
「……わ、わかりました……」
こわごわ俺の近くに寄ってきてくれる。まあ、それでも二メートルぐらい距離はあるんだけれども。
「えっと……何からお話すればよろしいでしょうか?」
「そうだな……じゃあ、勇者についてお願いしてもいいかな?」
「は、はい。と言っても、私もあまり詳しいわけでは無いのですが……」
「いいよ。今はとにかく情報が欲しいんだ」
情報とはすなわち力である。知ってると知らないでは、生存確率が大きく変わってくる……って本で読んだ。
「えぇと……まず、勇者というのは、王様が召喚した異世界からの戦士のことです。ステータスに秀でていて、固有職があるのが特徴です」
「……そういえば、その、ステータスってどう確認すればいいんだ?」
先程、神官が俺のステータスを開いていた。つか、なんかステータスは平均とか言ってなかったっけ?
「ああ、それはですね、左手の人差し指と中指を重ねて上に振るとウィンドウが出てきます」
こうですよ、と彼女は実演してくれた。すると、先程と同じヴン、と音がして半透明のウィンドウが出てきた。
「なるほど……こうか?」
俺も彼女を真似てみる。
ヴン。ちゃんと開くことができた。
「そうです。それで、本当は他人のステータスを確認するにはその本人の同意が必要となります。でも、一部の神官様などは、閲覧ができます」
「ああ、さっき覗かれたな。ってことは、君の許可があれば俺は君のウィンドウの中を見ることができるのか?」
「あ、はい。……み、見たい、ですか?」
「あ、う、うん……」
……どーしてこの侍女さんは顔を赤らめてるのか。
「えっと、柊夜様? を許可します」
すると、今までモヤッとしていた彼女のウィンドウの文字が急に読めるようになった。
「おー、なるほど」
名前は……レミ・マルエルか。
「えーっと、レミさん?」
「は、はい! な、なんでしょうか……?」
名前はどうやら合っていたらしい。
「あと、固有職業っていうのを知りたいんだけど」
一番気になっていたところだ。これがなんだか、これから先の俺の行く末を決める、そんな気がする。
「固有職業ですね? 固有職業というのは、勇者様方が持つ、第一の職業ですね。これは固定されていて、絶対に変えることはできません。そのかわりに、第二職があり、固有職業のサポートとして取ることができます」
「ふむふむ、ってことは、俺の『毒師』は固定で、その上から追加で他の職業をかぶせるんだな。よし、続けてくれるか?」
なるほど。職業を二つ取れるのが勇者の強み、ってわけか。
「はい、あと勇者召喚は、五十年に一度行われます。ですが……」
そこでレミさんは言葉に詰まる。
「……先の召喚は二年前でした」
「え?」
ど、どういうこと?
「二年前、召喚が行われ、五人の勇者が呼び出されました。その五人は、世界の危機に立ち向かうべく、パーティを組んで旅立ちました。しかし、二ヶ月後。……パーティの一人『毒師』に全員が暗殺されていたのです」
……なるほど。理解した。どうして俺が毒師というだけであれほど慌てふためいていたのか。
「理解したよ、ありがとう」
要は、悪いのは先代だということだな? 俺は悪くないんだよな多分?
「……失礼します。他の勇者様方と連絡が取れ、貴方様の処遇が決定いたしました」
そのとき、外から扉を叩き、さっき俺に説明をしてくれた大臣が入ってきた。
「えー、勇者様からの伝言です。『……え? なに? 五人目? マジかよ。え? 男? イラネ。え? 加えて毒師? なおさらイラネ。俺っち、もうレベッカちゃんパーティ入れちゃったしー』……だ、そうです」
…………えぇー? なんだこの勇者。しばき倒してぇ。
「これに基づき、我が国で話し合った結果、処刑派三、穏健派四、旅をさせるべしゼロで、勇者柊夜様は、このまま開放となります」
……処刑派が四⁉ おいおい、随分と身勝手じゃね-か……!
「ということで、大変申し訳ないのですが、これから先、自分の力だけで生き残っていただきます」
「は、はあ。えっと、ちなみに給付金とかは……」
「無しでございます。さあ、ご退出を」
……なんつー無理なことを言いやがる。でも、ここでごねると近くにいる衛兵が怖いし……従うしかないかぁ。
「わかりましたよ……。はぁ」
俺は諦めて、レミさんの案内で城から出された。
「あ、あの……」
城から出る直前、外壁の前で先程まで黙っていたレミさんが声を出す。
「ん?」
「その……す、少ないですけど、これ……!」
彼女は意を決したように俺の目を見て、じゃらりと何かの入った麻袋を俺に渡してきた。
「これって……」
俺が中身を手に出すと、ジャラッ、と銀貨一枚と十数枚の銅貨が出てきた。
「えっと、その、私のお給金なんですけど、もし良かったら使ってください……!」
「え、そ、それは悪いよ。返すよ」
「いいえ! 文無しでこの先、生き残れるほどこの世界は甘くありません! せっかく色々お教えしたのに、すぐに死なれては寝付きが悪くなりますので! それに」
ふふっ、と彼女は笑う。
「レミさん、って呼んでくださって、嬉しかったんです。ささ、貯めるしか使いみちのないお金なので、持っていってください」
「……ありがとうレミさん。俺、きっと返しに来るから」
やばい、涙出そう。俺、異世界で人の優しさに触れました。
「はいっ! 楽しみにしてますね!」
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