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それは赤かった。心臓の部分には、赤く輝くコアが埋め込まれていて、そう、まるで――
「生きているみたい、でしょ?」
母は無邪気に笑った。相変わらず顔にはシワ一つもない。
「でも、本当に生きているのよ。この竜石は」
この石が、赤き鎧に力を与えているらしい。
「これは赤い竜石でできているから赤竜王。他の青い竜石からできていたら青竜王。全部で竜石は七つ、つまりは七体の竜王がいるってわけね」
「それじゃあ、他の竜王は?」
「えーっと、中国、ロシア、フランス、イギリス、ドイツ、アメリカにあるわ」
「…はぁ!? なんで!?」
すると母は、ペロッと舌を出して、頭の後ろで手を組みながら言った。
「だって仕方ないのよー。竜石を生成するのには莫大なお金とエネルギーが必要だったから、仕方なく他の国の力を借りたのよー。そしたらうちの国に一機よこせってうるさかったのよー」
…そういうことか。なら仕方ない、かな?
「あと一つの理由はね、適合者が少なかったのよ」
「適合者?」
「竜王はね、乗り手を選ぶの。私も乗ろうと頑張ったんだけどねー。やっぱり無理だったわ」
やっぱりって…。
「でね、私の何が不満なのかって聞いてみたのよ。そしたらね、『格闘技が強いヤツを連れて来い』って喋ったのよ!」
あ、赤竜王喋るんだ。
「で、訓練の成績表を見たらね、アナタが一番だったのよ、緋色」
「…俺?」
「うん、俺」
……ま、まじか…。
「生きているみたい、でしょ?」
母は無邪気に笑った。相変わらず顔にはシワ一つもない。
「でも、本当に生きているのよ。この竜石は」
この石が、赤き鎧に力を与えているらしい。
「これは赤い竜石でできているから赤竜王。他の青い竜石からできていたら青竜王。全部で竜石は七つ、つまりは七体の竜王がいるってわけね」
「それじゃあ、他の竜王は?」
「えーっと、中国、ロシア、フランス、イギリス、ドイツ、アメリカにあるわ」
「…はぁ!? なんで!?」
すると母は、ペロッと舌を出して、頭の後ろで手を組みながら言った。
「だって仕方ないのよー。竜石を生成するのには莫大なお金とエネルギーが必要だったから、仕方なく他の国の力を借りたのよー。そしたらうちの国に一機よこせってうるさかったのよー」
…そういうことか。なら仕方ない、かな?
「あと一つの理由はね、適合者が少なかったのよ」
「適合者?」
「竜王はね、乗り手を選ぶの。私も乗ろうと頑張ったんだけどねー。やっぱり無理だったわ」
やっぱりって…。
「でね、私の何が不満なのかって聞いてみたのよ。そしたらね、『格闘技が強いヤツを連れて来い』って喋ったのよ!」
あ、赤竜王喋るんだ。
「で、訓練の成績表を見たらね、アナタが一番だったのよ、緋色」
「…俺?」
「うん、俺」
……ま、まじか…。
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