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119,別に理由なくカラオケなんてしないんだからねっ!
しおりを挟む「よーし、歌いますよー!」
メイド喫茶から出てすぐ近くのカラオケボックスに飛び込んだ。
「さあさあ、どのアニソンから行きましょうかねぇ」
私はお気に入りのアニソンを何曲か選択する。
「やっぱり最初はQ&Aリサイタル!」
戸松遥さんが歌うQ&Aリサイタル、私の大好きな曲の一つ!
「飽きるぐらいぜーんぶ、君が欲しいよ! ハートは涙でいっぱーい!」
さて、ここで皆さんに誤解を解いておかなきゃいけない。私がこのカラオケで歌っているのには決して娯楽ではない。むしろ修行なのだ。……多分。
それを説明するにには少し遡らなければいけない。え? なんだか時間軸がわかりづらいって? それは申し訳ありません! ですが! ですがですよ、私は悪くありません! 苦情はご主人にお願いします!
――――ネリアが日本に来る直前の日――――
「ナナカ、お主に課題を課そうと思う」
また久々に日本に行けるとわくわくしていた私を、ソア様が呼び出した。
「えー? 面倒なのはいやですよ?」
このとき私は物凄く不機嫌な顔をしていたのだろう。なぜならいつもソア様が課す課題は達成が困難なのだ。この前なんか、珍しい魔導書を見つけるまで帰ってくるな! なんて言われて世界中を駆けずり回ったんですよ!
「そんな顔するんでない。なに、お主の趣味の延長線じゃ。それに――」
ソア様はある本を胸元から取り出した。
「お主のナンバーズ習得にも結びついておるのじゃ」
「え!? それってどういうことですか!? つまり私はもうナンバーズを習得できるってことですか!?」
私は思わず体を乗り出す。あんまりにも驚いたので、ソア様の頭の上に座る。
「まあまあ、落ち着くんじゃ。誰も今、習得ができるとは言っておらんぞ」
ズズズ、とソア様が紅茶を飲む。
「まあでも、習得への道のりの一部、つまりは過程であることは間違いない。そもそもナンバーズとは何なのか、ナナカ、説明できるかえ?」
「もっちろんですよ! 私を誰だと思っているんですか? ナンバーゼロゼロセブン、ナナカちゃんですよ! イエィ!」
「あいあい、わかった、わかったから」
ソア様がもうたくさんだと言わんばかりに手をひらひらと振る。
「ちぇー。えーっと、ナンバーズは私達シスターズにのみ使える力って認識でいいんですよね?」
「うむ、大体はそんな認識で良かろう。まあ、付け加えるとしたら――」
ソア様はさっき取り出した本を開いた。
「魔法でも、魔技でも、魔術でもない、全く別のものということだけじゃ。そこんとこはミツカに任せるとするわい」
ボンッと煙が上がり、そこから女性が出て来る。黄色い軍服にナンバーズおなじみの赤髪を若草色のリボンで腰のあたりで結んだその女性は――
「あらあら、お呼ばれしたようね?」
「ミツカお姉さまー!」
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