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94,なんつー才能
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「さて、迦具土様に腕の報告もできたことじゃし、修行を再開するぞい」
ソアさんがぱちんと指を鳴らす。
「どれ、まずはその雷の威力がどれぐらいか試させてもらうぞ。とりあえずそこの木に最小の出力で撃ってみてくれ」
「あ、はい」
とりあえずほんとにちょびっと。ちょびっとだけ!
「えい!」
ズガァーン! 大地が震えた。
「……え? これ、お主の最小かえ?」
「はい……これでもいいほうなんですぅ……」
木は真っ黒に焦げ付き、ところどころから火が上がっている。
「これでいいほう……お主、これは調節とかそういうレベルじゃないわ。もっと根本的なところじゃ」
「根本的なところ?」
「そうじゃ。ところでお主はどこで魔法を習った?」
「んーと、独学です」
「ど、独学ぅ!?」
「はい! 独学です! 本を読んでなんとなく使える気がして。そーしたらできちゃいました!」
てへ!
「なんつー才能じゃ……」
「嫌だなぁ、褒めても何も出ませんよ〜」
照れるわ〜!
そんなことを考えていると、ポツリとソアさんが呟いた。
「……わかった。お主が調節できない理由、わしにはわかったぞ」
ぶつぶつと何かをつぶやきながらそこら辺を歩き回るソアさん。
「原因は魔力放出器官じゃ」
「魔力放出器官?」
「図で説明してやろう」
そう言ってソアさんは近くに落ちていた棒で地面に絵を書いた。
「お主はこのボトルじゃ。で、わしはこのボトル。わしのボトルはちょろちょろと水を流す。つまりボトルの注ぎ口が小さいのじゃ。しかしお主の注ぎ口は大きい。つまり、同じだけ傾けても、出ていく水の量が違うのじゃ。ここまではわかるか?」
「あ、はい。なんとか」
「うむ、話を続けるぞ。お主が最小だと思っていても、常人から見ればほぼ最大じゃ。よく魔力切れでぶっ倒れたじゃろ?」
「まあ、週に二回ぐらいですかね。普通じゃないですか?」
「普通じゃないわい……まあ、そういうことじゃ。そこの魔力コントロールから始めなきゃ、出力調整とかそういうことも不可能じゃ」
「ほー。じゃあ、修行すれば治るんですね?」
「……はぁー」
ソアさんが大きなため息をつく。
「もう不可能の領域じゃ。普通は幼少期、もしくは初めて魔法を覚えるときに一番最初にやることじゃ。それを今治すってことは、ほぼ不可能じゃ。実際、左手で物を書いているのに、右で書けと言われても直すのにはかなりの時間がいるじゃろ? それと同じことじゃ。時間のない今、直している暇は無いんじゃ。はぁ。それなら魔力最大量を増やす道を探すしか無いか……」
「いいや、その必要はないよ」
……あれ? 私喋ってる? もしかしてリーナ?
「ん?」
「アタシがその魔力放出器官、ゲートの調節をしてあげる。使うときにその出し口を広げたり縮めたりしてあげる。そーしたら、少しずつ助けを無くして、自分で調節できるようにしてあげる」
「ほお! その考えは無かったの! まさか内側から支援するとは! 凄いではないかフェイウ!」
「いや、今アタシリーナだがら」
「どっちでもいいわい! じゃあそのアイデアを今実行してもらおうぞ!」
ソアさんがぱちんと指を鳴らす。
「どれ、まずはその雷の威力がどれぐらいか試させてもらうぞ。とりあえずそこの木に最小の出力で撃ってみてくれ」
「あ、はい」
とりあえずほんとにちょびっと。ちょびっとだけ!
「えい!」
ズガァーン! 大地が震えた。
「……え? これ、お主の最小かえ?」
「はい……これでもいいほうなんですぅ……」
木は真っ黒に焦げ付き、ところどころから火が上がっている。
「これでいいほう……お主、これは調節とかそういうレベルじゃないわ。もっと根本的なところじゃ」
「根本的なところ?」
「そうじゃ。ところでお主はどこで魔法を習った?」
「んーと、独学です」
「ど、独学ぅ!?」
「はい! 独学です! 本を読んでなんとなく使える気がして。そーしたらできちゃいました!」
てへ!
「なんつー才能じゃ……」
「嫌だなぁ、褒めても何も出ませんよ〜」
照れるわ〜!
そんなことを考えていると、ポツリとソアさんが呟いた。
「……わかった。お主が調節できない理由、わしにはわかったぞ」
ぶつぶつと何かをつぶやきながらそこら辺を歩き回るソアさん。
「原因は魔力放出器官じゃ」
「魔力放出器官?」
「図で説明してやろう」
そう言ってソアさんは近くに落ちていた棒で地面に絵を書いた。
「お主はこのボトルじゃ。で、わしはこのボトル。わしのボトルはちょろちょろと水を流す。つまりボトルの注ぎ口が小さいのじゃ。しかしお主の注ぎ口は大きい。つまり、同じだけ傾けても、出ていく水の量が違うのじゃ。ここまではわかるか?」
「あ、はい。なんとか」
「うむ、話を続けるぞ。お主が最小だと思っていても、常人から見ればほぼ最大じゃ。よく魔力切れでぶっ倒れたじゃろ?」
「まあ、週に二回ぐらいですかね。普通じゃないですか?」
「普通じゃないわい……まあ、そういうことじゃ。そこの魔力コントロールから始めなきゃ、出力調整とかそういうことも不可能じゃ」
「ほー。じゃあ、修行すれば治るんですね?」
「……はぁー」
ソアさんが大きなため息をつく。
「もう不可能の領域じゃ。普通は幼少期、もしくは初めて魔法を覚えるときに一番最初にやることじゃ。それを今治すってことは、ほぼ不可能じゃ。実際、左手で物を書いているのに、右で書けと言われても直すのにはかなりの時間がいるじゃろ? それと同じことじゃ。時間のない今、直している暇は無いんじゃ。はぁ。それなら魔力最大量を増やす道を探すしか無いか……」
「いいや、その必要はないよ」
……あれ? 私喋ってる? もしかしてリーナ?
「ん?」
「アタシがその魔力放出器官、ゲートの調節をしてあげる。使うときにその出し口を広げたり縮めたりしてあげる。そーしたら、少しずつ助けを無くして、自分で調節できるようにしてあげる」
「ほお! その考えは無かったの! まさか内側から支援するとは! 凄いではないかフェイウ!」
「いや、今アタシリーナだがら」
「どっちでもいいわい! じゃあそのアイデアを今実行してもらおうぞ!」
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