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19,村

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「わああああー!?」
 毛皮からやっとのことで離れた俺達はフィールに乗って飛行中。なのだが――
「飲酒運転はおやめくださーい!?」
 超スピードで飛んでいるにも関わらず、あっちへこっちへふらふら飛ぶ。いや、ぎゅんぎゅん飛ぶ。
「は、吐きそうです……」
 ナナカが青い顔で、口元を押さえる。
「頑張れ!? 美少女が吐くとかかなりやばい絵面だぞ!?」
「が、がんばびばす……」
 手を震わせながら、涙目で答えるナナカ。
 ピューイ。急にスピードが落ちた。
「ん?」
 どうやらフィールが何か見つけたようだ。
「な、なんか見えたぞ!」
 光が点々と灯っている。自然な光ではなく、人工的な光だ。
「ここがエルフの集落か?」
「は、はい、そうです……早く、早く止まってください……」
 息も絶え絶えなナナカが懇願する。頑張ってくれ!
「フィール、村の前に降りれるか?」
「ピュー」
 コクリとうなずいて、降下を始めた。








「何者だ、貴様!」
 村の近くで降り、集落に入ろうとしたら早速イケメンな門番に止められた。この尖った耳、間違いない、おとぎ話の通りのエルフですね、はい。
「あ、えーっと、旅人です」
 なんて言ったらいいのか思いつかず、嘘ともホントとも取れない言い方をする。
「嘘だ! 旅人ごときがここにたどり着けるわけがない!」
「ほ、ほんとですよぅ」
 げっそりしたナナカが俺の肩から弱々しい返事をする。
「ピューイ」
 フィールは思いっきり飛べて満足だったのか、嬉しそうに俺の横に止まった。
「ん? ……うわぁ! ハ、ハ、ハ、ハイダーフィだ! 襲われる!?」
 門番はフィールを見て腰を抜かすほど驚き、後ずさり、持っていた槍を構える。
「来い! どうせならその毛皮、モフって死んでやる!」
 ……この人、俺とおんなじようなことしてるなぁ。
 なんだか親近感の湧いた俺であった。
「……あれ? 襲ってこない?」
 拍子抜けしたように、槍を下ろす門番。
「あー、大丈夫です多分」
「……このハイダーフィはお前たちの連れなのか?」
 恐る恐るといった感じで俺とフィールを見る。
「は、はい」
 そう聞くと門番は慌てて閉ざされていた門を開いた。
「と、とりあえず中に入ってもいいが、まずは長老にお会いしてくれ。まさかハイダーフィを従える事のできる者がいるとは……」
 空いた口が塞がらない、といった感じで、改めて俺達を見る。
「はあ、わかりました」
 門番のエルフにお礼を言いつつ、とりあえず中に入った。
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