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186,潜行詠唱
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186,潜行詠唱
「……ここが総本山ってわけね……」
私は正面の敵を見据える。黒いローブをまとった、和神にしては洋風な野良神の出で立ちに緊張を隠せない。
「……如何にも魔術師ヨ。そして、妖のモノよ。だが、一足遅かっタな」
ほぼ効力を失いかけている要石の上に乗り、あざ笑うように言葉をつなぐ。
「私は野良神ダ。だが、そんじょそコらのモノと一緒にされテは困る。元は中級神でネ」
私はポケットから数枚護符を用意する。いつ攻撃を受けてもいいように。
「……この結界は貴方が破壊したのですか?」
静かな怒りを内側に内包したリーちゃんは、常に最高の攻撃を繰り出せるようにしている。
「……そうダ。殆どは我が同胞が破壊したノだがな」
その言葉に反応し、わらわらと神社要石の後ろから数十体の野良神が現れる。
「っ!」
「さあ、ショータイムだ!」
その言葉で同時に私達は動き出した。
「リーちゃん!」
「わかっています!」
私は要石の制圧に、リーちゃんは野良神の掃討に走り出した。
「はっ!」
リーちゃんは数体をまとめて処理し、私に注意が行かないように最新の注意を払ってくれる。
「……跳躍符! からの起爆符!」
私はしこたまためておいた護符を展開する。起爆符は近づいたモノに反応して爆発する。跳躍符は、私が飛ぶときの補助をしてくれる。
「雷よ! 気の精霊よ! 幾筋もの雷光を! 降りる鉄槌! 『豪砲雷火』!」
ペンダントを握りしめ、叫ぶ。雷属性は正直専門外だけど、やるしか無い!
暗雲から幾筋かの光が野良神に落ちる。しかし――
「……ヌルい。ヌルすぎる。こんなもので私が倒せとでも?」
……ですよね。
やはりそうは問屋がおろさないってわけね。
「牽制だもの。私の専門じゃないからね」
大地が私専門分野だもの。だから――
「植物の檻! プラントロック!」
「ぐっ……!」
さっきの詠唱中に潜行詠唱で唱えておいた大地系統の魔法を展開する。すると、地面から木の根がにょきにょきと生えて、野良神を拘束する。
潜行詠唱。これは、私が考えた、私オリジナルのやり方。そもそも、『掛詞』というものを知っているかな? 説明は難しいのだけど、平安時代に流行った和歌の技法の一つ。要は一つの文に、2つの意味、ってことなの。今回は結構無理やりだけどね。気の精霊って文の気を木ととらえてもらって、幾筋の幾を育ってとらえてもらって、降りるを檻ととらえてもらったの。でも、まあ、不安定だから――
「大樹は根をはり、青々とした葉を茂らす! 幹はただ太く固く!」
追加詠唱で強度を高めておく。
「凄いです梨沙!」
リーちゃんが野良神を相手にしながら感嘆の声をあげる。
「ありがと! でも、気は抜けない! まーくん!」
「承知だ主」
まーくんを呼び出し、魔獣形態に戻ってもらう。
「相手をよろしく! 私は今から修復作業に入るから!」
「……ああ、任せておけ」
私が張り巡らせた木の根はもうほとんどちぎられている。
ここからは時間との勝負!
【筆者から一言!】
掛詞の説明が不足していると感じた方、近況ボードのほうで説明しておりますのでどうかお目をお通しいただければ幸いです!
「……ここが総本山ってわけね……」
私は正面の敵を見据える。黒いローブをまとった、和神にしては洋風な野良神の出で立ちに緊張を隠せない。
「……如何にも魔術師ヨ。そして、妖のモノよ。だが、一足遅かっタな」
ほぼ効力を失いかけている要石の上に乗り、あざ笑うように言葉をつなぐ。
「私は野良神ダ。だが、そんじょそコらのモノと一緒にされテは困る。元は中級神でネ」
私はポケットから数枚護符を用意する。いつ攻撃を受けてもいいように。
「……この結界は貴方が破壊したのですか?」
静かな怒りを内側に内包したリーちゃんは、常に最高の攻撃を繰り出せるようにしている。
「……そうダ。殆どは我が同胞が破壊したノだがな」
その言葉に反応し、わらわらと神社要石の後ろから数十体の野良神が現れる。
「っ!」
「さあ、ショータイムだ!」
その言葉で同時に私達は動き出した。
「リーちゃん!」
「わかっています!」
私は要石の制圧に、リーちゃんは野良神の掃討に走り出した。
「はっ!」
リーちゃんは数体をまとめて処理し、私に注意が行かないように最新の注意を払ってくれる。
「……跳躍符! からの起爆符!」
私はしこたまためておいた護符を展開する。起爆符は近づいたモノに反応して爆発する。跳躍符は、私が飛ぶときの補助をしてくれる。
「雷よ! 気の精霊よ! 幾筋もの雷光を! 降りる鉄槌! 『豪砲雷火』!」
ペンダントを握りしめ、叫ぶ。雷属性は正直専門外だけど、やるしか無い!
暗雲から幾筋かの光が野良神に落ちる。しかし――
「……ヌルい。ヌルすぎる。こんなもので私が倒せとでも?」
……ですよね。
やはりそうは問屋がおろさないってわけね。
「牽制だもの。私の専門じゃないからね」
大地が私専門分野だもの。だから――
「植物の檻! プラントロック!」
「ぐっ……!」
さっきの詠唱中に潜行詠唱で唱えておいた大地系統の魔法を展開する。すると、地面から木の根がにょきにょきと生えて、野良神を拘束する。
潜行詠唱。これは、私が考えた、私オリジナルのやり方。そもそも、『掛詞』というものを知っているかな? 説明は難しいのだけど、平安時代に流行った和歌の技法の一つ。要は一つの文に、2つの意味、ってことなの。今回は結構無理やりだけどね。気の精霊って文の気を木ととらえてもらって、幾筋の幾を育ってとらえてもらって、降りるを檻ととらえてもらったの。でも、まあ、不安定だから――
「大樹は根をはり、青々とした葉を茂らす! 幹はただ太く固く!」
追加詠唱で強度を高めておく。
「凄いです梨沙!」
リーちゃんが野良神を相手にしながら感嘆の声をあげる。
「ありがと! でも、気は抜けない! まーくん!」
「承知だ主」
まーくんを呼び出し、魔獣形態に戻ってもらう。
「相手をよろしく! 私は今から修復作業に入るから!」
「……ああ、任せておけ」
私が張り巡らせた木の根はもうほとんどちぎられている。
ここからは時間との勝負!
【筆者から一言!】
掛詞の説明が不足していると感じた方、近況ボードのほうで説明しておりますのでどうかお目をお通しいただければ幸いです!
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