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次の戦場
しおりを挟む中央のナニワまでは、見渡す限りの平野部が拡がっている。障害物が少なく、見通しが良いため、奇襲には不向きである。
そこに、ナニワを目指す一団があった。
砦攻略を失敗したブレイク傭兵団とリーガル傭兵団、ヨド傭兵団の残党達であった。
重い足取りで歩く傭兵達はナニワの街への入国を断られた。
「オイッ!どういう事だ!!!」
リードは衛兵に掴みそうになった所で、予想していたブレークが止めた。
「…………そちらの言い分はわかった。ただし、怪我人が多くいる。街へは入らないので、薬と治療員の手配をしてくれ。金は払う」
流石に怪我人を放置しては悪評が立つと思い、責任者は許可し、郊外でテントを張っている傭兵団に治療員を派遣すると約束した。
「クソッ!どういう事だっ!」
野営地に戻り、張られたテントでリードとブレークは話し合った。
町の入口での一件で憤るリードにブレークが言った。
「予想していた事だ。宣戦布告までして、その責任を俺達に擦り付ける代わりに、多額の前金を貰っただろう?それが負けて戻ってきたんだ。繋がりを認める訳にはいかないから、俺達を切り捨てるつもりだろう」
「それがわかっていてどうして落ち着いていられる!生活するだけでも食料などの物資が必要だろう。街へ入れないとなると死活問題だぞ!」
リードの考えはもっともであった。
外での野宿はストレスが溜まる。
『色々』と問題が出てくるものなのだ。
「それは大丈夫だ。食料は末端の者を使い調達させる。まだ遠征様の食料も多くあるしな。それに、そんなに時間は掛からない」
「どういう事だ?いつまで───はっ!?」
頭の切れるリードも思いたった。
「……………神炎騎士団が攻めてくるという事か」
「ああ、俺ならそうする。時間が経てば各地の傭兵団が集まってくるからな」
リードもこの後の展開を想像して指示を出した。
「野営地を東へ移動させる」
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「ああ、他の傭兵団が迎撃にでて、勝てば何もしない。だが──」
「負ける事があれば加勢して、恩を売ると言う訳か。流石だな」
お互いに最後まで言わなくても話が通じるので気楽に話せた。
「さて、これからどう動くか観ものだな」
「ああ、そうだな」
二人の団長は頷くと行動を開始しようとしたが……………
「それは困ります。高みの見物ではなく、この傭兵団には働いて貰わないとね?」
「「誰だ!!!」」
二人の団長はその場を飛び去ると武器を抜いた。
ザザザッ
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黒いローブを纏った声からして『女』が言ってきた。
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