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聖王の最後
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二体の女神像が沈黙した事で、勝敗は決した。
すでに聖王の軍には戦う気力は残されていなかった。
「何故じゃ!どうしてあの強大な攻撃を何度も避ける事が出来たのじゃ!?」
沈黙した女神像を呆然と見ていた聖王が現実を受け止められず叫んだ!
「確かにこの強大な女神像の攻撃力は脅威だったよ。だが、所詮は感情のないゴーレムだ。動きが単調で、予備動作から何処に攻撃するのかわかり易かったよ」
「そ、そんな事でじゃと!?」
まぁ、大き過ぎて全力で避けてるのに神経を使ったけどな。
ジャンヌは平然を粧って聖王を見据えた。
「もう終わりにしよう。聖王!」
聖王はまだ残っている兵士に戦いを呼び掛けたが戦意を失った軍は沈黙したままだった。
道が開くようにジャンヌ達が進むと、聖王の軍は左右に移動し、道を作った。
「くっ、むぅ…………」
目の前に辿り着いたジャンヌに何も言えなく唸るしか出来なかった聖王にジャンヌは言った。
「ここまでだ。聖王!その王冠を脱いでもらう日が来たぞ」
聖王を見下ろしながらジャンヌは伝えた。そんな聖王はジャンヌを睨め付けながら言い返した。
「この叛逆者共め!戦う事しか知らぬ貴様に国を治めることなどできるものか!誰がこの西方を纏めていたと思っておるか!綺麗ごとだけでは国を治めることなどできぬのだぞ!」
確かに聖王は西の国々を纏めて宗主国として発言力が大きかった。その政治的手腕は、かなりのものではあったのだ。
「そんな事は百も承知だ。私も、綺麗ごとだけで国を治めることなどできぬと思っているよ。だがな!貴様の様に、自身の権力を維持するために、辺境の村を焼き払うような事はせぬ!」
!?
ジャンヌの言葉に思い当る節のある者は聖王をみた。前に、高い税のせいで民の不満が高まった時に悪魔を崇拝する村が見つかり、殲滅したと言うニュースが大々的に公開された。
それが民達のガズ抜きに使われていたとは殆どの者は知らなかったのだ。
「貴様は近隣の国々に金をバラ撒き、言う事を聞かせていただけだろう!その金品を捻出する為に、聖王国は周辺国と比べても税率が高いのだ。少なくとも私ならもう少し自国の為にその血税を使うつもりだ」
「黙れ!貴様も聖王になればわかる!貴様もワシと同じように権力を握れば贅沢をするようになるのじゃ!」
ツバ吐きながら言い捨てる聖王にジャンヌは静かに首を振った。
「それは無理だな。贅沢をしようにも、集めた税は全て我が野望の為に使う予定だから、少しも残らん!」
「や、野望だと?貴様の野望は聖王となり、一国の王となって権力を握る事ではないのか!?」
「それは手段であって目的ではない。私の最終目的は、この大陸から争いをなくす事だ」
ポカーンとジャンヌが何をいったのか聖王は理解出来なかった。
「何を言っている………?」
「だから言っただろう?大陸から戦争をなくすのだ」
「そんな事は不可能だ!出来る訳がない!かつて、この大陸を統一した巨大帝国の───!?」
まさか──
「ま、まさか………やろうと言うのか?大陸統一を…………」
ジャンヌは無言で頷いた。
「フフフッ、わーーーーはっはははは!大陸統一かっ!確かに資金がどれだけあっても足りぬな!しかしそれは血塗られた道よ!争いを無くそうと争いを起こす貴様は矛盾しておる!まさかここまで狂っておるとはワシも予想外よっ!」
聖王は笑いながらジャンヌを睨んで最後に言った。
「ワシの負けじゃ。最後に────」
聖王はジャンヌに何か伝えると歯に仕込んでいた毒を飲んで息絶えた。
逃げ出そうとしていた聖王の側近を捉えて、一通りの決着を付けたのだった。
すでに聖王の軍には戦う気力は残されていなかった。
「何故じゃ!どうしてあの強大な攻撃を何度も避ける事が出来たのじゃ!?」
沈黙した女神像を呆然と見ていた聖王が現実を受け止められず叫んだ!
「確かにこの強大な女神像の攻撃力は脅威だったよ。だが、所詮は感情のないゴーレムだ。動きが単調で、予備動作から何処に攻撃するのかわかり易かったよ」
「そ、そんな事でじゃと!?」
まぁ、大き過ぎて全力で避けてるのに神経を使ったけどな。
ジャンヌは平然を粧って聖王を見据えた。
「もう終わりにしよう。聖王!」
聖王はまだ残っている兵士に戦いを呼び掛けたが戦意を失った軍は沈黙したままだった。
道が開くようにジャンヌ達が進むと、聖王の軍は左右に移動し、道を作った。
「くっ、むぅ…………」
目の前に辿り着いたジャンヌに何も言えなく唸るしか出来なかった聖王にジャンヌは言った。
「ここまでだ。聖王!その王冠を脱いでもらう日が来たぞ」
聖王を見下ろしながらジャンヌは伝えた。そんな聖王はジャンヌを睨め付けながら言い返した。
「この叛逆者共め!戦う事しか知らぬ貴様に国を治めることなどできるものか!誰がこの西方を纏めていたと思っておるか!綺麗ごとだけでは国を治めることなどできぬのだぞ!」
確かに聖王は西の国々を纏めて宗主国として発言力が大きかった。その政治的手腕は、かなりのものではあったのだ。
「そんな事は百も承知だ。私も、綺麗ごとだけで国を治めることなどできぬと思っているよ。だがな!貴様の様に、自身の権力を維持するために、辺境の村を焼き払うような事はせぬ!」
!?
ジャンヌの言葉に思い当る節のある者は聖王をみた。前に、高い税のせいで民の不満が高まった時に悪魔を崇拝する村が見つかり、殲滅したと言うニュースが大々的に公開された。
それが民達のガズ抜きに使われていたとは殆どの者は知らなかったのだ。
「貴様は近隣の国々に金をバラ撒き、言う事を聞かせていただけだろう!その金品を捻出する為に、聖王国は周辺国と比べても税率が高いのだ。少なくとも私ならもう少し自国の為にその血税を使うつもりだ」
「黙れ!貴様も聖王になればわかる!貴様もワシと同じように権力を握れば贅沢をするようになるのじゃ!」
ツバ吐きながら言い捨てる聖王にジャンヌは静かに首を振った。
「それは無理だな。贅沢をしようにも、集めた税は全て我が野望の為に使う予定だから、少しも残らん!」
「や、野望だと?貴様の野望は聖王となり、一国の王となって権力を握る事ではないのか!?」
「それは手段であって目的ではない。私の最終目的は、この大陸から争いをなくす事だ」
ポカーンとジャンヌが何をいったのか聖王は理解出来なかった。
「何を言っている………?」
「だから言っただろう?大陸から戦争をなくすのだ」
「そんな事は不可能だ!出来る訳がない!かつて、この大陸を統一した巨大帝国の───!?」
まさか──
「ま、まさか………やろうと言うのか?大陸統一を…………」
ジャンヌは無言で頷いた。
「フフフッ、わーーーーはっはははは!大陸統一かっ!確かに資金がどれだけあっても足りぬな!しかしそれは血塗られた道よ!争いを無くそうと争いを起こす貴様は矛盾しておる!まさかここまで狂っておるとはワシも予想外よっ!」
聖王は笑いながらジャンヌを睨んで最後に言った。
「ワシの負けじゃ。最後に────」
聖王はジャンヌに何か伝えると歯に仕込んでいた毒を飲んで息絶えた。
逃げ出そうとしていた聖王の側近を捉えて、一通りの決着を付けたのだった。
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