38 / 130
聖王の誤算
しおりを挟む
アストライア聖王国の王都に神罰騎士団生き残りが慌てて飛び込んできた。
聖王は玉座にて機嫌の良さそうに言った。
「では報告を聞こう」
白い長い顎ひげを触りながら伝令の報告を聞いた。
「申し上げます!神盾騎士団のバサラ団長は戦死!それにより投降した神盾騎士団は神炎騎士団に吸収されました!更に、後詰の神罰騎士団は全滅しました。伝令として生かされた我々約100名ほどのみとなっております!」
………………はっ?
片膝を付きながらガタガタと震えながら一気に報告する哀れな神罰騎士団の兵であった。
聖王は何を言われたのか理解出来なく呆けてしまった。
負ける要素など何も何も無かったはずだ。
神炎騎士団の傭兵の数を減らし、蛮族と戦わせた。もし勝ったとしても、かなりの戦力を減らしているはずだった。
そこへ、後方より神盾騎士団と神罰騎士団の2つの騎士団を向かわせて、後方の仲間の騎士団からの奇襲で一気に殲滅する作戦で失敗する要素など何も無かった。
聖王は我に返ると激高して、帰ってきた神罰騎士団を罵った。
「この無能共が!全員死刑じゃ!!!」
聖王は怒りに任せて言い放ったが、その場にいた側近の他の枢機卿が助言した。
「聖王様。お怒りはごもっともですが、今は、100人でも戦力が必要です。さらに、もっと詳しい情報も聞かねばなりませぬ。ここは堪えて、これからの事に対処しなければなりませぬぞ!」
まだまともな感性を持つザルバ枢機卿が進言した。
「これからの事じゃと?」
「はい。神炎騎士団はこれより王都へ進軍するでしょう。急ぎ、こちらも準備せねばなりませぬ!」
!?
怒りに我を忘れていた。
そうじゃ。早く対策を練らねばこの身が危ない。落ち着きを取り戻した聖王はすぐに指示をだした。
「神炎騎士団と神盾騎士団の2つの騎士団が集まったとすれば、数が、減ったとはいえ2万前後はおるじゃろう。ザルバ枢機卿よ。この王都にいる戦力は如何ほどじゃ?」
「はい。現在は王都の警備を司る『神民騎士団』が3千ほど。この王城を守る近衛、神王騎士団が5千といったところで、1万にも満たないです」
ザルバ枢機卿と聖王は落ち着いていた。
普通ならば数で劣るので慌てるはずだったが───
「ふむ。少々兵力が心許ないのじゃな。では、【聖戦】の発動を行う!ザルバ枢機卿よ!周辺の小国や独立都市に聖王の名で使者を送るのじゃ!」
ザルバ枢機卿も聖王がこう言うとわかっていたようで、丁寧に頭を下げて承りましたと承諾した。
西の盟主国とは、アストライア聖王国だけではない。厳密には複数の小国が集まっている多集団国家である。
宗教により、国家の垣根を越えて協力することで中央などの強豪国と対等に渡り合っていたのだ。
その周辺国家から援軍が集まれば、軽く5万以上の兵力が集まるのだ。
聖王は神炎騎士団が来るまでに援軍を呼び掛けるように指示したのだった。
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
しかし、聖王の目論見は裏切られる事になる。
周辺国からの書状を見て聖王は叫ぶのだった。
「な、なんじゃとーーーーーーー!!!!!!!」
それは援軍を送らないと言う趣旨の手紙だった。
聖王は玉座にて機嫌の良さそうに言った。
「では報告を聞こう」
白い長い顎ひげを触りながら伝令の報告を聞いた。
「申し上げます!神盾騎士団のバサラ団長は戦死!それにより投降した神盾騎士団は神炎騎士団に吸収されました!更に、後詰の神罰騎士団は全滅しました。伝令として生かされた我々約100名ほどのみとなっております!」
………………はっ?
片膝を付きながらガタガタと震えながら一気に報告する哀れな神罰騎士団の兵であった。
聖王は何を言われたのか理解出来なく呆けてしまった。
負ける要素など何も何も無かったはずだ。
神炎騎士団の傭兵の数を減らし、蛮族と戦わせた。もし勝ったとしても、かなりの戦力を減らしているはずだった。
そこへ、後方より神盾騎士団と神罰騎士団の2つの騎士団を向かわせて、後方の仲間の騎士団からの奇襲で一気に殲滅する作戦で失敗する要素など何も無かった。
聖王は我に返ると激高して、帰ってきた神罰騎士団を罵った。
「この無能共が!全員死刑じゃ!!!」
聖王は怒りに任せて言い放ったが、その場にいた側近の他の枢機卿が助言した。
「聖王様。お怒りはごもっともですが、今は、100人でも戦力が必要です。さらに、もっと詳しい情報も聞かねばなりませぬ。ここは堪えて、これからの事に対処しなければなりませぬぞ!」
まだまともな感性を持つザルバ枢機卿が進言した。
「これからの事じゃと?」
「はい。神炎騎士団はこれより王都へ進軍するでしょう。急ぎ、こちらも準備せねばなりませぬ!」
!?
怒りに我を忘れていた。
そうじゃ。早く対策を練らねばこの身が危ない。落ち着きを取り戻した聖王はすぐに指示をだした。
「神炎騎士団と神盾騎士団の2つの騎士団が集まったとすれば、数が、減ったとはいえ2万前後はおるじゃろう。ザルバ枢機卿よ。この王都にいる戦力は如何ほどじゃ?」
「はい。現在は王都の警備を司る『神民騎士団』が3千ほど。この王城を守る近衛、神王騎士団が5千といったところで、1万にも満たないです」
ザルバ枢機卿と聖王は落ち着いていた。
普通ならば数で劣るので慌てるはずだったが───
「ふむ。少々兵力が心許ないのじゃな。では、【聖戦】の発動を行う!ザルバ枢機卿よ!周辺の小国や独立都市に聖王の名で使者を送るのじゃ!」
ザルバ枢機卿も聖王がこう言うとわかっていたようで、丁寧に頭を下げて承りましたと承諾した。
西の盟主国とは、アストライア聖王国だけではない。厳密には複数の小国が集まっている多集団国家である。
宗教により、国家の垣根を越えて協力することで中央などの強豪国と対等に渡り合っていたのだ。
その周辺国家から援軍が集まれば、軽く5万以上の兵力が集まるのだ。
聖王は神炎騎士団が来るまでに援軍を呼び掛けるように指示したのだった。
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
しかし、聖王の目論見は裏切られる事になる。
周辺国からの書状を見て聖王は叫ぶのだった。
「な、なんじゃとーーーーーーー!!!!!!!」
それは援軍を送らないと言う趣旨の手紙だった。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
異世界でも男装標準装備~性別迷子とか普通だけど~
結城 朱煉
ファンタジー
日常から男装している木原祐樹(25歳)は
気が付くと真っ白い空間にいた
自称神という男性によると
部下によるミスが原因だった
元の世界に戻れないので
異世界に行って生きる事を決めました!
異世界に行って、自由気ままに、生きていきます
~☆~☆~☆~☆~☆
誤字脱字など、気を付けていますが、ありましたら教えて頂けると助かります!
また、感想を頂けると大喜びします
気が向いたら書き込んでやって下さい
~☆~☆~☆~☆~☆
カクヨム・小説家になろうでも公開しています
もしもシリーズ作りました<異世界でも男装標準装備~もしもシリーズ~>
もし、よろしければ読んであげて下さい
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる