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それぞれの思惑
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南からの敵の増援部隊はテントを張り休憩していた。
『そちらの状況はどうだ?』
高価で希少な通信球で離れた者と会話している者がいた。
『はっ!初日はムダに時間を使いましたが、本日は正面から激突しました。君主様の考案されたファランクス部隊で途中まで優勢でしたが、敵の魔術師の魔法で一転して劣勢になりましたが、私のS級スキルで持ち直し、ほぼ五分の被害でした』
『ふむ?その初日のお陰で、こちらの遅れが挽回出来そうだな。しかし、解せぬな?』
『と、おっしゃいますと?』
蛮族の王である【主君】と呼ばれている男、バルドは顎に手を当てながら言った。
『いつもの神炎騎士団と戦い方が違うな?先の定時連絡の時には山の頂きで【陣地】を作っていたのだろう?気になるな』
『確かにいつもの神炎騎士団とは違う気がします。しかし、主君様が、バルド様が後ろから援軍を引き連れて来ている事はヤツらは知りません!絶対に勝ってみせます!』
つい、大きな声を上げてしまい慌てて頭を下げるガルムだった。
『そうだ。オレ達に敗北は許されない!あのクソ坊主どもを皆殺しにして、奴隷にされた同胞を救いだす!だが、ガルム。貴様も無駄死にはするなよ?勝利した時に、信頼できる友が居なければ意味がないからな』
『ば、バルド様…………勿体ない事です』
主君の心意気に涙を流した。
『明日の昼前には到着する。それまでは無理に攻めるなよ?オレの奇襲が成功しても、纏まった兵力が無ければ神炎騎士団を殲滅できんからな』
『はっ!心得ております』
『では、明日会おう!』
プツッと通信が切れた。
「主君バルド様の為に、連れて行かれた同胞の為に、絶対に勝つぞっ!」
ガルムは闘士を燃やして心に誓った。
テントから出ると各部隊長が待っていた。
「ガルム殿だけ主君様とお話できるのは狡くないか?」
「お前達、どうして………?」
部隊長達はニマニマしながらガルムに言った。
「いやなに。ガルム殿が主君様の為にと暴走しないか見に来た訳よ」
「クククッ、ガルム殿の心意気は我々にも聞こえていたぞ」
ガルムは恥ずかしくなって、パクパクッと口を動かすしか出来なかった。
「き、貴様ら!さっさと明日に備えて寝てしまえっ!」
各部隊長を追い返そうとしたが、急にマジメな顔でガルムに詰め寄った。
「わかってるよ。それより──」
コソッ
「俺達全員の意志だ。神炎騎士団の動きがおかしい。万が一、後ろからの奇襲に気付かれたら主君であるバルド様が危険だ。その時はガルム、お前が援軍に向かえ!それまではS級スキル『英雄の進軍』は使うなよ」
!?
「お前達………」
「俺達の国をこの十年で住みやすい国にしてくれたバルド様の事を慕っているのはお前だけじゃないんだよ。頼んだぞ!」
手を振りながら各部隊長は去っていった。ガルムも頭を掻きながら、より綿密な作戦を考えようとテントに戻るのだった。
『そちらの状況はどうだ?』
高価で希少な通信球で離れた者と会話している者がいた。
『はっ!初日はムダに時間を使いましたが、本日は正面から激突しました。君主様の考案されたファランクス部隊で途中まで優勢でしたが、敵の魔術師の魔法で一転して劣勢になりましたが、私のS級スキルで持ち直し、ほぼ五分の被害でした』
『ふむ?その初日のお陰で、こちらの遅れが挽回出来そうだな。しかし、解せぬな?』
『と、おっしゃいますと?』
蛮族の王である【主君】と呼ばれている男、バルドは顎に手を当てながら言った。
『いつもの神炎騎士団と戦い方が違うな?先の定時連絡の時には山の頂きで【陣地】を作っていたのだろう?気になるな』
『確かにいつもの神炎騎士団とは違う気がします。しかし、主君様が、バルド様が後ろから援軍を引き連れて来ている事はヤツらは知りません!絶対に勝ってみせます!』
つい、大きな声を上げてしまい慌てて頭を下げるガルムだった。
『そうだ。オレ達に敗北は許されない!あのクソ坊主どもを皆殺しにして、奴隷にされた同胞を救いだす!だが、ガルム。貴様も無駄死にはするなよ?勝利した時に、信頼できる友が居なければ意味がないからな』
『ば、バルド様…………勿体ない事です』
主君の心意気に涙を流した。
『明日の昼前には到着する。それまでは無理に攻めるなよ?オレの奇襲が成功しても、纏まった兵力が無ければ神炎騎士団を殲滅できんからな』
『はっ!心得ております』
『では、明日会おう!』
プツッと通信が切れた。
「主君バルド様の為に、連れて行かれた同胞の為に、絶対に勝つぞっ!」
ガルムは闘士を燃やして心に誓った。
テントから出ると各部隊長が待っていた。
「ガルム殿だけ主君様とお話できるのは狡くないか?」
「お前達、どうして………?」
部隊長達はニマニマしながらガルムに言った。
「いやなに。ガルム殿が主君様の為にと暴走しないか見に来た訳よ」
「クククッ、ガルム殿の心意気は我々にも聞こえていたぞ」
ガルムは恥ずかしくなって、パクパクッと口を動かすしか出来なかった。
「き、貴様ら!さっさと明日に備えて寝てしまえっ!」
各部隊長を追い返そうとしたが、急にマジメな顔でガルムに詰め寄った。
「わかってるよ。それより──」
コソッ
「俺達全員の意志だ。神炎騎士団の動きがおかしい。万が一、後ろからの奇襲に気付かれたら主君であるバルド様が危険だ。その時はガルム、お前が援軍に向かえ!それまではS級スキル『英雄の進軍』は使うなよ」
!?
「お前達………」
「俺達の国をこの十年で住みやすい国にしてくれたバルド様の事を慕っているのはお前だけじゃないんだよ。頼んだぞ!」
手を振りながら各部隊長は去っていった。ガルムも頭を掻きながら、より綿密な作戦を考えようとテントに戻るのだった。
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