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作戦会議
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痛み分けに終わった初戦のその夜──
「怪我人の収容は終わったか」
「はい。怪我人の収容は終わりました。死者に対しては、戦場の横にずらしただけになっていますが………」
まだ戦争は終わっていないのだ。可哀想だが、すぐに収容して形見など仕分けする訳にはいかないのだ。
「それは仕方がない。この戦を早々に終わらせるぞ」
「はいっ!」
とある指揮官と部下が戦後処理をしている時、作戦司令室のテントにて、不穏な空気が漂っていた。
「まさか、あれから押し返されるとはな………」
腕を組みながら、テーブルの上に置かれた周辺の地図をみながらジャンヌは呟いた。
「あれは何だったのでしょうか?」
蛮族の兵士達が、薄い赤い光に包まれたと思ったら、突然強くなって襲い掛かってきたのだ。
「恐らくはS級クラスのスキルの効果だろうな」
「スキルですか?」
記憶のないレグルスが尋ねた。
「ああ、幼い頃に魔法の才能を調べる時、教会で洗礼を受けるんだ。そこでランダムで『スキル』という力を授けて貰うんだ」
フムフムと聞いているとミリアが補足事項を話した。
「多くの場合は、身体強化や剣術などが一般的に授かります。しかし、稀に剣術でも剣聖など上位スキルを授かる場合があるのです。一般的なスキルとは力がまるで違うんです。ちなみに、私のスキルは『治癒魔法効果・増』なんですよ♪」
ミリアはドヤァ顔をして胸を張った。
「ミリアは自分の能力とスキルが合致した珍しいタイプだな。たまに、魔術師で剣術のスキルを授かったりするヤツもいるから、スキルは本当にランダムなんだよ」
なるほどね。
「さて、話を戻すが、敵のスキルは、恐らく広範囲の味方の能力を向上させるものだろう。しかも、厄介なのは自然回復………リジェネーションの効果もあったな」
「つまり、敵は能力が上がり、多少の傷も治ってしまうと言うことですね。何千人と言う兵士が…………最強じゃないですか!?」
「ようやく気付いたか。だからこうやって頭を悩ませているんだろう!」
レグルスの説明も含めて、今の状況を確認した事でより今の状況が悪いと認識したジャンヌは、皆に意見を求めた。
「意見って言ってもこのままやるしかねぇだろう?」
傭兵団の団長のヴォルフは頭を掻きながら言った。他のメンバーも有効策が思い付かなく唸った。そこにレグルスが手を上げた。
「すみません。案ではなく1つ疑問に思った事があるんですが、良いでしょうか?」
今は、何でも情報が欲しかったジャンヌは許可した。
「どうしてこれだけ強力なスキルを最初から使わなかったのでしょうか?」
!?
「言われてみればそうだな。ファランクスという見慣れない陣形を使うよりは、最初から能力を向上させて戦わせた方が、被害が少なかっただろうに」
そこでジャンヌを初めとしたここにいるメンバーは同時に顔を上げた。
「団長!これだけ強力なスキルです。何か時間制限があるのではないでしょうか?」
「ええ、それ以外では、何か代償が必要な場合も考えられるわね」
副団長のクレアと魔導師のメビウスが皆を代弁して述べた。
「とはいえ、仮に時間制限があったとしてどうやって防ぐかだが………」
ジャンヌはレグルスに視線を送った。
「レグルスに頑張ってもらうしかないか」
神剣を持った勇者に先頭に立たせて対抗するしかないか思っていたとき、レグルスの神剣が反応した。
「怪我人の収容は終わったか」
「はい。怪我人の収容は終わりました。死者に対しては、戦場の横にずらしただけになっていますが………」
まだ戦争は終わっていないのだ。可哀想だが、すぐに収容して形見など仕分けする訳にはいかないのだ。
「それは仕方がない。この戦を早々に終わらせるぞ」
「はいっ!」
とある指揮官と部下が戦後処理をしている時、作戦司令室のテントにて、不穏な空気が漂っていた。
「まさか、あれから押し返されるとはな………」
腕を組みながら、テーブルの上に置かれた周辺の地図をみながらジャンヌは呟いた。
「あれは何だったのでしょうか?」
蛮族の兵士達が、薄い赤い光に包まれたと思ったら、突然強くなって襲い掛かってきたのだ。
「恐らくはS級クラスのスキルの効果だろうな」
「スキルですか?」
記憶のないレグルスが尋ねた。
「ああ、幼い頃に魔法の才能を調べる時、教会で洗礼を受けるんだ。そこでランダムで『スキル』という力を授けて貰うんだ」
フムフムと聞いているとミリアが補足事項を話した。
「多くの場合は、身体強化や剣術などが一般的に授かります。しかし、稀に剣術でも剣聖など上位スキルを授かる場合があるのです。一般的なスキルとは力がまるで違うんです。ちなみに、私のスキルは『治癒魔法効果・増』なんですよ♪」
ミリアはドヤァ顔をして胸を張った。
「ミリアは自分の能力とスキルが合致した珍しいタイプだな。たまに、魔術師で剣術のスキルを授かったりするヤツもいるから、スキルは本当にランダムなんだよ」
なるほどね。
「さて、話を戻すが、敵のスキルは、恐らく広範囲の味方の能力を向上させるものだろう。しかも、厄介なのは自然回復………リジェネーションの効果もあったな」
「つまり、敵は能力が上がり、多少の傷も治ってしまうと言うことですね。何千人と言う兵士が…………最強じゃないですか!?」
「ようやく気付いたか。だからこうやって頭を悩ませているんだろう!」
レグルスの説明も含めて、今の状況を確認した事でより今の状況が悪いと認識したジャンヌは、皆に意見を求めた。
「意見って言ってもこのままやるしかねぇだろう?」
傭兵団の団長のヴォルフは頭を掻きながら言った。他のメンバーも有効策が思い付かなく唸った。そこにレグルスが手を上げた。
「すみません。案ではなく1つ疑問に思った事があるんですが、良いでしょうか?」
今は、何でも情報が欲しかったジャンヌは許可した。
「どうしてこれだけ強力なスキルを最初から使わなかったのでしょうか?」
!?
「言われてみればそうだな。ファランクスという見慣れない陣形を使うよりは、最初から能力を向上させて戦わせた方が、被害が少なかっただろうに」
そこでジャンヌを初めとしたここにいるメンバーは同時に顔を上げた。
「団長!これだけ強力なスキルです。何か時間制限があるのではないでしょうか?」
「ええ、それ以外では、何か代償が必要な場合も考えられるわね」
副団長のクレアと魔導師のメビウスが皆を代弁して述べた。
「とはいえ、仮に時間制限があったとしてどうやって防ぐかだが………」
ジャンヌはレグルスに視線を送った。
「レグルスに頑張ってもらうしかないか」
神剣を持った勇者に先頭に立たせて対抗するしかないか思っていたとき、レグルスの神剣が反応した。
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