【連載版】異世界に転生した少女は異世界を満喫する

圧勝

正直に話そう。

獣人の村を救う戦いは、あっという間に終わった。エリザやマリンは村に入り、侵入してくる魔物の迎撃に当たったが、30人の村人達は嬉々として魔物を狩りまくった。
そう、倒すのではなく、狩りをしたのだ。

倒すだけなら斬り刻んだり、魔法で丸焼きのすればいいが、そうすると素材が取れない。
だから村人達はヘッドショットで一撃で屠ったりと、芸の細かい戦い方をしていた。

「どうして、こんな多くの魔物に囲まれてそこまで気を配れるのよ！」

マリンは悪態を付くが、村人達には素材の山にしか見えてないいうだった。
獣人達も余りの圧倒的な強さに呆然としていた。

「こ、こんなに強いなんて…………」
「しかも１人じゃない。30人も居るなんて………」

獣人達は今度は自分達が狩られるのではと恐怖したが、あらかたカタが着いた所で、ジークが獣人達に頭を下げた。

「近くに居ながらこんな事になっているとは気付かずに大変申し訳ありませんでした！」

その心身な心意気は獣人達の胸を打つのだった。元々獣人達は仲間意識が強く、礼には礼で返す種族である。

「いや、助けて頂き本当にありがとうございました！」

獣人達はジーク達に頭を下げて感謝を伝えた。

「食糧を持ってきました。皆さんで食べて下さい。それと、動ける方で解体のできる人がいたら手伝って貰えると助かります」

村の外では村人達がせっせと素材を剥ぎ取っていた。

「食べられる魔物の肉は全て獣人達にお渡し致します。ただ、毛皮や爪、牙などの素材は頂きたい」
「それは無論です！貴方達が倒したのですから当然です。それより、何から何まで感謝致します！」

こうしてその日は、倒した魔物の肉などでパーティーが開かれました。

っていうか、素材の剥ぎ取りに１日掛かりましたので、今日は英気を養い、明日ダンジョンへ向かう事になりました。

「今頃シオンはどうしているかしら？」
「まさか、父親であるジーク様が同行を許さないなんてね～」

今頃は行きたい！行きたい！ってごねてる頃でしょうね」

エリザとマリンの言うとおり、シオンは───

「行きたい！行きたいよーーーー！！！！」

ジタバタと駄々をこねていました。