上 下
33 / 61

英雄再来!

しおりを挟む
お母様のゴーレムは特別製であった。
ゴーレムは強い力と耐久性で、実用性が高いが唯一の弱点は動きが鈍重で遅いことだが─

お母様のゴーレムは上半身が人形で、足の部分がキャタピラーになっていた。キャタピラーが戦車の様に高速に動いて魔物達を蹴散らしていった。その速さは馬並みあった。
まさに、ガ○タンクの様である!

移動しながら、両腕を広げてラリアットの様にしたり、正面から引き殺したりと蹂躙していった。

「うわぁ~、流石はお母様のゴーレムね!」

召喚したゴーレム達は全部で3体。魔法を使えば倒せるだろうが、中級の大きさばかりの魔物の軍勢では倒すのは困難だろう。時間は掛かるが確実に魔物を減らしていった。

「スピカ!1体を西側の正面の城門まで進めて道を作れ!後の2体は北側と南側に向かわせ、牽制するんだ!カストル!北側の魔物を頼めるか?」

「大丈夫です!任せて下さい!」

「よし!ジンとシオンと一緒に北側の魔物を頼んだぞ!私はここを制圧した後、南側へ向かう!スピカ、カイ、付いてきてくれ!」

「「了解!!!」」

カウスの的確な指示の下、南側はシオンの魔法でほぼ全滅しており、城門近くにいた魔物が少し残っていたぐらいであった。

カウス達はゴーレムを先頭に、城門の目の前までやってきた。

「スピカ、いつもの頼む」
「ええ♪良いわよ!」

風魔法でカウスの声は交易都市イーグル全体に響き渡った。

「私の名前はカウス・グリーンウッド!ユグドラ王国で英雄の称号を頂いている者だ!このイーグルに攻めてきている魔物の軍勢は私達が受持つ!もうしばらく耐えて欲しい!」

そう言って、カウスは西側の魔物を全滅させた後、南側の方へ駆け足で移動した。

「カウス様?イーグルから援軍を出して貰ったら良かったのでは?」

まだまだ北側と南側には魔物が多く存在しているのだ。手を貸して貰った方が早く片付くだろう。

「いや、イーグルは何日も籠城していて攻勢にでる力がないだろう。それに、入口は資材で封鎖しているだろうから、すぐに出てこれまい。だったら俺達でやった方がやり易いだろう」

カウスの言葉にカイは納得して、カウスの後を追うのだった。

「『流星剣』!!!!」

カストルが剣を振るうと多数の斬撃が弧を描きながら目の前の敵に襲い掛かり、魔物を切り刻んだ。

「小型系の魔物が多いな。的が小さく面倒だ!」
「カストル様、気付いていますか?」

カストルはジンの言葉に頷いた。

「ああ、ゴブリンがいるな。しかも狼系の魔物に乗っているライダーも居やがる」
「ええ、この魔物の軍勢………まさかと思いますが、ゴブリンの進化系が大将なのかも知れませんね」

この魔物の軍勢で、一部のゴブリンが後ろから指示を出している所が見えた。ゴブリンより大型のオークもゴブリンに従っている。普通はあり得ない光景である。

「兎に角、目に付く魔物達を殲滅しますよ!水よ、我が敵を穿て『ハイドロ・ブラスト』!」

シオンの前に出した手のひらから、鉄砲水が放出され、北側に密集していた魔物の軍勢を吹き飛ばした。

「お兄様!」

!?

「わかった!雷神よ、我が身に宿りて力を貸せ!そして、我が逆鱗に触れし愚かなる者に裁きをくださん『疾風迅雷』!」

カストルは剣をレイピアの様に突き出し、カミナリを纏って、超高速移動したのだった。
カストルの直線上にいた魔物達は黒焦げになりながらバラバラになっていき、地面を伝って周囲にいた魔物も感電し、あっという間に殲滅されたのだった。

「シオン、ありがとう。おかげで楽に倒せたよ」
「お兄様も怪我がなくて良かったですわ♪」

この兄妹を見て、ジンは少し魔物達に同情するのだった。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
転生したら奴隷の赤ん坊だった お母さんと離れ離れになりそうだったけど、何とか強くなって帰ってくることができました。 全力でお母さんと幸せを手に入れます ーーー カムイイムカです 今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします 少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^ 最後まで行かないシリーズですのでご了承ください 23話でおしまいになります

転生したら死にそうな孤児だった

佐々木鴻
ファンタジー
過去に四度生まれ変わり、そして五度目の人生に目覚めた少女はある日、生まれたばかりで捨てられたの赤子と出会う。 保護しますか? の選択肢に【はい】と【YES】しかない少女はその子を引き取り妹として育て始める。 やがて美しく育ったその子は、少女と強い因縁があった。 悲劇はありません。難しい人間関係や柵はめんどく(ゲフンゲフン)ありません。 世界は、意外と優しいのです。

悪役令嬢は大好きな絵を描いていたら大変な事になった件について!

naturalsoft
ファンタジー
『※タイトル変更するかも知れません』 シオン・バーニングハート公爵令嬢は、婚約破棄され辺境へと追放される。 そして失意の中、悲壮感漂う雰囲気で馬車で向かって─ 「うふふ、計画通りですわ♪」 いなかった。 これは悪役令嬢として目覚めた転生少女が無駄に能天気で、好きな絵を描いていたら周囲がとんでもない事になっていったファンタジー(コメディ)小説である! 最初は幼少期から始まります。婚約破棄は後からの話になります。

30年待たされた異世界転移

明之 想
ファンタジー
 気づけば異世界にいた10歳のぼく。 「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」  こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。  右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。  でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。  あの日見た夢の続きを信じて。  ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!  くじけそうになっても努力を続け。  そうして、30年が経過。  ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。  しかも、20歳も若返った姿で。  異世界と日本の2つの世界で、  20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。

虚弱高校生が世界最強となるまでの異世界武者修行日誌

力水
ファンタジー
 楠恭弥は優秀な兄の凍夜、お転婆だが体が弱い妹の沙耶、寡黙な父の利徳と何気ない日常を送ってきたが、兄の婚約者であり幼馴染の倖月朱花に裏切られ、兄は失踪し、父は心労で急死する。  妹の沙耶と共にひっそり暮そうとするが、倖月朱花の父、竜弦の戯れである条件を飲まされる。それは竜弦が理事長を務める高校で卒業までに首席をとること。  倖月家は世界でも有数の財閥であり、日本では圧倒的な権勢を誇る。沙耶の将来の件まで仄めかされれば断ることなどできようもない。  こうして学園生活が始まるが日常的に生徒、教師から過激ないびりにあう。  ついに《体術》の実習の参加の拒否を宣告され途方に暮れていたところ、自宅の地下にある門を発見する。その門は異世界アリウスと地球とをつなぐ門だった。  恭弥はこの異世界アリウスで鍛錬することを決意し冒険の門をくぐる。    主人公は高い技術の地球と資源の豊富な異世界アリウスを往来し力と資本を蓄えて世界一を目指します。  不幸のどん底にある人達を仲間に引き入れて世界でも最強クラスの存在にしたり、会社を立ち上げて地球で荒稼ぎしたりする内政パートが結構出てきます。ハーレム話も大好きなので頑張って書きたいと思います。また最強タグはマジなので嫌いな人はご注意を!  書籍化のため1~19話に該当する箇所は試し読みに差し換えております。ご了承いただければ幸いです。  一人でも読んでいただければ嬉しいです。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

よくある父親の再婚で意地悪な義母と義妹が来たけどヒロインが○○○だったら………

naturalsoft
恋愛
なろうの方で日間異世界恋愛ランキング1位!ありがとうございます! ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 最近よくある、父親が再婚して出来た義母と義妹が、前妻の娘であるヒロインをイジメて追い出してしまう話……… でも、【権力】って婿養子の父親より前妻の娘である私が持ってのは知ってます?家を継ぐのも、死んだお母様の直系の血筋である【私】なのですよ? まったく、どうして多くの小説ではバカ正直にイジメられるのかしら? 少女はパタンッと本を閉じる。 そして悪巧みしていそうな笑みを浮かべて── アタイはそんな無様な事にはならねぇけどな! くははははっ!!! 静かな部屋の中で、少女の笑い声がこだまするのだった。

処理中です...