21 / 61
あっという間……………
しおりを挟む
我に返った総大将ガーランドはすぐに行動を開始した。
「後方で待機しているこの部隊1万の内、半分の5千を救援に向かわせろ!まだ敵と交戦していない東の部隊に中央の敵の側面に突撃させるんだ!乱戦になれば大規模魔法は使えん!」
伝令の兵士は確認の為に聞き返した!
「東のローズガーデンが突撃してきたらどうなされるのですか?」
「バカ者が!東の軍を指揮する将軍であれば、そのくらい対処できるわ!」
6万もの兵力を持つ帝国軍は中央に3万の兵力を置き、左右に『1万』の軍を配備していた。ローズガーデンは2万5千の内、1万5千を中央に、左右に『5千』を配備していたのだ。
ローズガーデンが突撃してきても、半分の兵力で対応できるのである。
総司令から中央を救援するように伝令が飛べば、全軍を動かさず半分の兵力で救援に向かわせる事ぐらいは、将軍であればいちいち言わなくても瞬時に理解できるのだ。
伝令が走ったと同時であった。東側の軍が『吹き飛んだ』のは。
「なっ!?」
何度目かの驚愕の声が上がった。
「私はユグドラ王国の英雄カウス・グリーンウッドだ!死にたくない者は逃げよ!死にたいヤツは掛かってくるがいい!」
前回と同じように口上を声高らかに叫ぶ。そして剣を振る度に、衝撃波が発生し帝国の兵士達が吹き飛んでいった。
「あ、あれがユグドラ王国の英雄…………』
カウスの振るう剣は見えないくらい速く、ワンテンポ遅れて衝撃波が帝国軍を襲った。
総大将ガーランドは、西の城塞砦の報告書が正しかったと、今さらながら理解した。
普通は、たった1人で万の大軍を相手にできる訳がないのだ。ガーランドだけを責めることは出来ないだろう。
東の軍もカウスに散々と手酷くやられた所をローズガーデンの軍が突撃を開始した為、救援に向かわせる事ができなくなった。
唯一、後方の本陣から救援に向かわせた5千が中央の軍の助けに入った。敗走を開始した兵士達を留めて、隊列を組むように指示を出していった。
しかし、ここで総大将ガーランドは西の城塞砦と同じミスを犯してしまったのだ。自らを守る守備兵力を減らしてしまった事に気付かなかった!
中央のボロボロになった軍からカストルが前方の兵士を倒しながら飛び出してきたのだ。
5千の援軍は密集しておらず、敗走兵を束ねる為に、広く兵士を分配していたのだ。
そこに、中央突破を目指していたカストルが飛び出してきたのだ!
しかし、敗走兵の防止に努めていた将軍の部隊ではカストルを止める事は出来なかった。通り道沿いにいた兵士を吹き飛ばして敵大将のいる後方部隊へと突っ込んでいった。
「何者かが飛び出して行ったぞ!気を付けろ!」
カストルは速かったが、将軍を守る後方の守備隊は反応していた。
「少し距離があるから対応されるか?」
走りながら握った剣に力を込めるが─
カストルの後方からファイヤーボールが100個ほど飛んできた。
ドン!ドン!ドドドンッ!!!!
ファイヤーボールが守備隊の前線を崩した。
「シオンか!?よしっ!」
振り返る事もせず、そのまま剣を振るい突っ込んでいった。
「ぐわっ!?」
「止めろ!」
前線を崩された守備隊ではあったが、敵陣奥深くに入ったカストル1人に、前後左右から攻撃を仕掛けた。
「遅い!」
カストルが飛び上がり、突かれた槍が空を切る。そして、空中で剣を振り周囲の敵を吹き飛ばす!
「よし!もう少しだ!」
一気に距離を詰めていくカストルだった。守備隊は救援に半数を行かせたので、兵士の厚みが薄くなっていた。
「……………まさか、これほどとは。まさに一騎当千とはこの事だな」
総大将ガーランドは、自分の部隊に突っ込んできたカストルを見据えていた。
「ひぃぃぃいいいい!おい!どうなっている!敵がそこまで来ているのだぞ!」
これだけの兵力差で、本陣まで敵が来るとは思っていなかったポーランドは恐怖していた。
しかし、すでに逃げ場などないのだ。
ドコッーーーーン!!!!
遂に、ガーランドの前にカストルが現れた。
何故かちゃっかりとシオンも着いてきていた。
「お前が総大将か?」
カストルの言葉にガーランドは名乗りを上げた!
「いかにも!我が名はガーランド・オリバー!ローズガーデン侵攻軍の総大将を務めている者だ!よくぞここまできた!勇敢なる者よ!御主は名を答えよ!」
「私の名はカストル・グリーンウッド!ユグドラの英雄の息子だ!」
「同じく!シオン・グリーンウッドです!」
カストルとシオンは高らかに答えた。
「なるほど…………英雄の家族がこれほどまで厄介だとはな………」
ガーランドは静かに剣を抜いた。
「ならばカストルよ!帝国軍6万を束ねる我が首を取ってみるがいい!」
ガーランドは物凄い気合いと共に斬りかかってきた!
「シオン!手を出すなよ!」
ガキーーーーン!!!!
ガーランドの渾身の一撃を受け止めた!
ギリギリッ!
「びくともせぬとは、英雄の息子も英雄ということか!」
「ガーランドも今まで戦ってきた帝国兵の中では1番強いと思うよっ!」
ガッギーーーーン!!!
ギンッ!ギンッ!
最初こそは気合いの入ったガーランドが押していたが、すぐに斬り合いになるとすぐに押され始めた。
「ぐっ!?斬激が速すぎて見えぬ!」
ガーランドは賭けにでた!
ザシュッ!!!
カストルの剣がガーランドの腕を飛ばした!
「将軍!!!?」
「ガーランド様!?」
多くの兵士がもうダメだと思い、カストル自身も終わったと思った。
しかし、覚悟を決めていたガーランドは腕を無くしても、剣を握っていた片方の腕で斬り掛かった!
「なっ!?」
カストルの右肩に剣が入った!?
「お兄様!?」
幸いにも距離が近すぎたのと、片腕で斬り掛かったため、カストルの肩で剣は止まっていた。
あえていうならカストルの軽装鎧は最上級の素材で作られた防御力に優れていた事もある。
「…………無念」
「いや、たいしたヤツだったよ。帝国軍総大将ガーランド・オリバー!貴公の武功は私は生涯忘れぬであろう!」
カストルはそう言うとガーランドの首を跳ねた─
ガギーーーン!!!
ガーランドの首を落とす手前で、何者かがカストルの刃を止めた。
「後方で待機しているこの部隊1万の内、半分の5千を救援に向かわせろ!まだ敵と交戦していない東の部隊に中央の敵の側面に突撃させるんだ!乱戦になれば大規模魔法は使えん!」
伝令の兵士は確認の為に聞き返した!
「東のローズガーデンが突撃してきたらどうなされるのですか?」
「バカ者が!東の軍を指揮する将軍であれば、そのくらい対処できるわ!」
6万もの兵力を持つ帝国軍は中央に3万の兵力を置き、左右に『1万』の軍を配備していた。ローズガーデンは2万5千の内、1万5千を中央に、左右に『5千』を配備していたのだ。
ローズガーデンが突撃してきても、半分の兵力で対応できるのである。
総司令から中央を救援するように伝令が飛べば、全軍を動かさず半分の兵力で救援に向かわせる事ぐらいは、将軍であればいちいち言わなくても瞬時に理解できるのだ。
伝令が走ったと同時であった。東側の軍が『吹き飛んだ』のは。
「なっ!?」
何度目かの驚愕の声が上がった。
「私はユグドラ王国の英雄カウス・グリーンウッドだ!死にたくない者は逃げよ!死にたいヤツは掛かってくるがいい!」
前回と同じように口上を声高らかに叫ぶ。そして剣を振る度に、衝撃波が発生し帝国の兵士達が吹き飛んでいった。
「あ、あれがユグドラ王国の英雄…………』
カウスの振るう剣は見えないくらい速く、ワンテンポ遅れて衝撃波が帝国軍を襲った。
総大将ガーランドは、西の城塞砦の報告書が正しかったと、今さらながら理解した。
普通は、たった1人で万の大軍を相手にできる訳がないのだ。ガーランドだけを責めることは出来ないだろう。
東の軍もカウスに散々と手酷くやられた所をローズガーデンの軍が突撃を開始した為、救援に向かわせる事ができなくなった。
唯一、後方の本陣から救援に向かわせた5千が中央の軍の助けに入った。敗走を開始した兵士達を留めて、隊列を組むように指示を出していった。
しかし、ここで総大将ガーランドは西の城塞砦と同じミスを犯してしまったのだ。自らを守る守備兵力を減らしてしまった事に気付かなかった!
中央のボロボロになった軍からカストルが前方の兵士を倒しながら飛び出してきたのだ。
5千の援軍は密集しておらず、敗走兵を束ねる為に、広く兵士を分配していたのだ。
そこに、中央突破を目指していたカストルが飛び出してきたのだ!
しかし、敗走兵の防止に努めていた将軍の部隊ではカストルを止める事は出来なかった。通り道沿いにいた兵士を吹き飛ばして敵大将のいる後方部隊へと突っ込んでいった。
「何者かが飛び出して行ったぞ!気を付けろ!」
カストルは速かったが、将軍を守る後方の守備隊は反応していた。
「少し距離があるから対応されるか?」
走りながら握った剣に力を込めるが─
カストルの後方からファイヤーボールが100個ほど飛んできた。
ドン!ドン!ドドドンッ!!!!
ファイヤーボールが守備隊の前線を崩した。
「シオンか!?よしっ!」
振り返る事もせず、そのまま剣を振るい突っ込んでいった。
「ぐわっ!?」
「止めろ!」
前線を崩された守備隊ではあったが、敵陣奥深くに入ったカストル1人に、前後左右から攻撃を仕掛けた。
「遅い!」
カストルが飛び上がり、突かれた槍が空を切る。そして、空中で剣を振り周囲の敵を吹き飛ばす!
「よし!もう少しだ!」
一気に距離を詰めていくカストルだった。守備隊は救援に半数を行かせたので、兵士の厚みが薄くなっていた。
「……………まさか、これほどとは。まさに一騎当千とはこの事だな」
総大将ガーランドは、自分の部隊に突っ込んできたカストルを見据えていた。
「ひぃぃぃいいいい!おい!どうなっている!敵がそこまで来ているのだぞ!」
これだけの兵力差で、本陣まで敵が来るとは思っていなかったポーランドは恐怖していた。
しかし、すでに逃げ場などないのだ。
ドコッーーーーン!!!!
遂に、ガーランドの前にカストルが現れた。
何故かちゃっかりとシオンも着いてきていた。
「お前が総大将か?」
カストルの言葉にガーランドは名乗りを上げた!
「いかにも!我が名はガーランド・オリバー!ローズガーデン侵攻軍の総大将を務めている者だ!よくぞここまできた!勇敢なる者よ!御主は名を答えよ!」
「私の名はカストル・グリーンウッド!ユグドラの英雄の息子だ!」
「同じく!シオン・グリーンウッドです!」
カストルとシオンは高らかに答えた。
「なるほど…………英雄の家族がこれほどまで厄介だとはな………」
ガーランドは静かに剣を抜いた。
「ならばカストルよ!帝国軍6万を束ねる我が首を取ってみるがいい!」
ガーランドは物凄い気合いと共に斬りかかってきた!
「シオン!手を出すなよ!」
ガキーーーーン!!!!
ガーランドの渾身の一撃を受け止めた!
ギリギリッ!
「びくともせぬとは、英雄の息子も英雄ということか!」
「ガーランドも今まで戦ってきた帝国兵の中では1番強いと思うよっ!」
ガッギーーーーン!!!
ギンッ!ギンッ!
最初こそは気合いの入ったガーランドが押していたが、すぐに斬り合いになるとすぐに押され始めた。
「ぐっ!?斬激が速すぎて見えぬ!」
ガーランドは賭けにでた!
ザシュッ!!!
カストルの剣がガーランドの腕を飛ばした!
「将軍!!!?」
「ガーランド様!?」
多くの兵士がもうダメだと思い、カストル自身も終わったと思った。
しかし、覚悟を決めていたガーランドは腕を無くしても、剣を握っていた片方の腕で斬り掛かった!
「なっ!?」
カストルの右肩に剣が入った!?
「お兄様!?」
幸いにも距離が近すぎたのと、片腕で斬り掛かったため、カストルの肩で剣は止まっていた。
あえていうならカストルの軽装鎧は最上級の素材で作られた防御力に優れていた事もある。
「…………無念」
「いや、たいしたヤツだったよ。帝国軍総大将ガーランド・オリバー!貴公の武功は私は生涯忘れぬであろう!」
カストルはそう言うとガーランドの首を跳ねた─
ガギーーーン!!!
ガーランドの首を落とす手前で、何者かがカストルの刃を止めた。
0
お気に入りに追加
77
あなたにおすすめの小説
転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
転生したら奴隷の赤ん坊だった
お母さんと離れ離れになりそうだったけど、何とか強くなって帰ってくることができました。
全力でお母さんと幸せを手に入れます
ーーー
カムイイムカです
今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします
少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^
最後まで行かないシリーズですのでご了承ください
23話でおしまいになります
転生したら死にそうな孤児だった
佐々木鴻
ファンタジー
過去に四度生まれ変わり、そして五度目の人生に目覚めた少女はある日、生まれたばかりで捨てられたの赤子と出会う。
保護しますか? の選択肢に【はい】と【YES】しかない少女はその子を引き取り妹として育て始める。
やがて美しく育ったその子は、少女と強い因縁があった。
悲劇はありません。難しい人間関係や柵はめんどく(ゲフンゲフン)ありません。
世界は、意外と優しいのです。
あの、神様、普通の家庭に転生させてって言いましたよね?なんか、森にいるんですけど.......。
▽空
ファンタジー
テンプレのトラックバーンで転生したよ......
どうしようΣ( ̄□ ̄;)
とりあえず、今世を楽しんでやる~!!!!!!!!!
R指定は念のためです。
マイペースに更新していきます。
拝啓、お父様お母様 勇者パーティをクビになりました。
ちくわ feat. 亜鳳
ファンタジー
弱い、使えないと勇者パーティをクビになった
16歳の少年【カン】
しかし彼は転生者であり、勇者パーティに配属される前は【無冠の帝王】とまで謳われた最強の武・剣道者だ
これで魔導まで極めているのだが
王国より勇者の尊厳とレベルが上がるまではその実力を隠せと言われ
渋々それに付き合っていた…
だが、勘違いした勇者にパーティを追い出されてしまう
この物語はそんな最強の少年【カン】が「もう知るか!王命何かくそ食らえ!!」と実力解放して好き勝手に過ごすだけのストーリーである
※タイトルは思い付かなかったので適当です
※5話【ギルド長との対談】を持って前書きを廃止致しました
以降はあとがきに変更になります
※現在執筆に集中させて頂くべく
必要最低限の感想しか返信できません、ご理解のほどよろしくお願いいたします
※現在書き溜め中、もうしばらくお待ちください
魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます
ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう
どんどん更新していきます。
ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。
30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
よくある父親の再婚で意地悪な義母と義妹が来たけどヒロインが○○○だったら………
naturalsoft
恋愛
なろうの方で日間異世界恋愛ランキング1位!ありがとうございます!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
最近よくある、父親が再婚して出来た義母と義妹が、前妻の娘であるヒロインをイジメて追い出してしまう話………
でも、【権力】って婿養子の父親より前妻の娘である私が持ってのは知ってます?家を継ぐのも、死んだお母様の直系の血筋である【私】なのですよ?
まったく、どうして多くの小説ではバカ正直にイジメられるのかしら?
少女はパタンッと本を閉じる。
そして悪巧みしていそうな笑みを浮かべて──
アタイはそんな無様な事にはならねぇけどな!
くははははっ!!!
静かな部屋の中で、少女の笑い声がこだまするのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる