上 下
57 / 94

疑問

しおりを挟む
各国のトップが会議をしている時に、来客があった。

「質問致します。四大精霊の皆様が来られました」

部屋の外で待機させていた旅館の者から声が掛かった。

「わかった。お通ししてくれ」

すぐにウンディーネ達が入ってきた。

「うむ、やっておるな。今後の方針の話しは終わったかのぅ?」
「ウンディーネ殿、来るなら事前に教えて下さい。びっくりするではありませんか」

グリード皇帝は苦言した。

「まぁまぁ、それについては謝りますわ。ちょうど、こちらからも話をしたい案件がでたのでね」

シルフィが代わりに答えた。
四大精霊の席を用意して話が続いた。

「それで四大精霊達の話と言うのは?」
「うむ、先の魔王軍の襲撃前から議論していた事があってのぅ」

ウンディーネは大きな紙を広げた。

「これは?」
「簡単にまとめた年代別のグラフじゃ。まず、前回の『魔王』が倒されたのが約120年前じゃ、そして1番最初に魔王軍四天王にやられたのがノームで今から50年ほど前になる。これは若き日にグラン殿がノームにあった事から逆算した。その後はウンディーネとイフリートが20年ほど前に動けなくなり、最後にシルフィが殺られたのじゃが………」

グラフを見ながらイフリートが呟いた。

「四大精霊が実質的に動けなくなって、少なくとも20年ほどは抵抗できない期間が合ったのに、どうして魔王軍は侵略戦争を起こさなかったんだ?」

!?

各国の王達もようやく話の主旨を理解した。

「確かに!人類の庇護者である四大精霊達が封じられているこの好機をどうして逃したんだ?」
「今まで魔王軍の動向を探るだけで、『どうして四大精霊が復活した』今になって動きだしたかということに、考えがいたりませんでしたね」

「確かに言われてみればおかしいわね?」

各国の王も疑問に思った。

「そこで、我々が至った結論は、当時【魔王】はまだ復活していなかったと結論したのよ」

なるほど………確かにそう考えればつじつまは合うな。各自が思う事があった。

「………逆にいえば、魔王が復活したからこそ動き出したと?」

!?

「なるほど。確かにそれはあるじゃろうな。新しい四天王など、実力はともかく、すぐに用意できるものでもないからのぅ」
「ならば、我が国でも兵士の練度を上げるようにもっと厳しく訓練させるか。良い意味で魔王軍の襲撃があったといえば、兵士達もやる気になるだろう」

「個々の実力もそうだが、集団戦術の訓練も並行して行うとしよう。魔王軍がどれだけの数の兵力を持っているのかわからないからな」

次々に魔王軍との決戦に向けての実務や作戦など話し合いが進んだ。

「魔王軍………いや、魔王の居場所は我々精霊が引き続き行うとしよう」

精霊ならば海の中だと水の精霊が、火山地帯だと火の精霊がと、それぞれの属性に合わせた精霊で探索ができるからだ。

「我々人間も冒険者を使い、怪しい場所や不穏な動向など調べることにしよう。今回は精霊学園が襲われたが、各国の街や村が襲われる事もあると思われる。辺境の地にも伝令を走らせ、定期連絡を密にするよう厳命させよう」

他のトップも頷き、その夜遅くまで話し合いは続いた。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。

梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。 あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。 その時までは。 どうか、幸せになってね。 愛しい人。 さようなら。

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

比べないでください

わらびもち
恋愛
「ビクトリアはこうだった」 「ビクトリアならそんなことは言わない」  前の婚約者、ビクトリア様と比べて私のことを否定する王太子殿下。  もう、うんざりです。  そんなにビクトリア様がいいなら私と婚約解消なさってください――――……  

転生したらただの女子生徒Aでしたが、何故か攻略対象の王子様から溺愛されています

平山和人
恋愛
平凡なOLの私はある日、事故にあって死んでしまいました。目が覚めるとそこは知らない天井、どうやら私は転生したみたいです。 生前そういう小説を読みまくっていたので、悪役令嬢に転生したと思いましたが、実際はストーリーに関わらないただの女子生徒Aでした。 絶望した私は地味に生きることを決意しましたが、なぜか攻略対象の王子様や悪役令嬢、更にヒロインにまで溺愛される羽目に。 しかも、私が聖女であることも判明し、国を揺るがす一大事に。果たして、私はモブらしく地味に生きていけるのでしょうか!?

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

転生した悪役令嬢は破滅エンドを避けるため、魔法を極めたらなぜか攻略対象から溺愛されました

平山和人
恋愛
悪役令嬢のクロエは八歳の誕生日の時、ここが前世でプレイしていた乙女ゲーム『聖魔と乙女のレガリア』の世界であることを知る。 クロエに割り振られたのは、主人公を虐め、攻略対象から断罪され、破滅を迎える悪役令嬢としての人生だった。 そんな結末は絶対嫌だとクロエは敵を作らないように立ち回り、魔法を極めて断罪フラグと破滅エンドを回避しようとする。 そうしていると、なぜかクロエは家族を始め、周りの人間から溺愛されるのであった。しかも本来ならば主人公と結ばれるはずの攻略対象からも 深く愛されるクロエ。果たしてクロエの破滅エンドは回避できるのか。

心の声が聞こえる私は、婚約者から嫌われていることを知っている。

木山楽斗
恋愛
人の心の声が聞こえるカルミアは、婚約者が自分のことを嫌っていることを知っていた。 そんな婚約者といつまでも一緒にいるつもりはない。そう思っていたカルミアは、彼といつか婚約破棄すると決めていた。 ある時、カルミアは婚約者が浮気していることを心の声によって知った。 そこで、カルミアは、友人のロウィードに協力してもらい、浮気の証拠を集めて、婚約者に突きつけたのである。 こうして、カルミアは婚約破棄して、自分を嫌っている婚約者から解放されるのだった。

処理中です...