上 下
40 / 94

楽しい(地獄)臨海学校デスよ!

しおりを挟む
朝から疲れたシオンだったが、臨海学校の会場となる王様御用達の高級温泉旅館に着くとテンションが上がった!

「よし!楽しむぞぉ~!!!」

拳を天に向けて、やったるぞー!みたいなポーズを取るシオンにウンディーネが皆に言った!

「よし!全員いるのぅ?荷物を置いたら裏庭に集合じゃ!15分後までに集まるように!遅れた者は……………まっ、死にはしないじゃろう」

えっ!?
何をされるのよ!気になる………

「私達の部屋はここみたい!」

シオン達は、シオン、フレイ、ミレイユ、セリスのいつもメンバーで1部屋だった。

「畳の良い匂い♪」
「広いねぇ~」
「窓の外を見て!凄く良い景色よ!」

シオン達には5階の最上階の部屋だった。いや、女子生徒は5階で男子は4階と3階であった。(男子の方が多いので)

「ここからシオンの治めるシルクード領が一望できるのね。シオンが頑張っているから、ここの街には活気があるわ」

ミレイユの言葉にシオンは照れた。

「いきなり何を言うのよ」
「あっ、シオン照れてる?」

「べ、別に~?そろそろ行くよ!」

シオンは逃げるように出ていった。

「うふふ、シオンは可愛いわね」
「そうですね。………だから守って上げないとね」

この時だけは年上のお姉さんみたいにほんわかと和むフレイ達だった。







「ほう?珍しく早いのぅ?」

ウンディーネが関心したように言った。

「………なんか、いつもダメな子みたいに言わないでちょうだい」

いやだってお前はと………ウンディーネは大人なので口には出さなかった。
少しして、生徒全員が集まった。

「よし、これより裏山の方へ歩くのじゃ」

この高級温泉旅館は高台にあり、山の中腹に位置している。裏手には緑豊かな山と森林が広がっていた。

ウンディーネに付いて行くと、立派な滝が見えてきた。

「おおっ!凄いよ!」
「立派な滝だなぁ~」

多くの生徒が観光と思って歓声を上げていた。

「うむうむ♪妾が丁寧に手入れをして作ったからのぅ!」

えっ?この滝はウンディーネが作ったの!?

「では、恒例の………」

ウンディーネの言葉に察しの良い生徒が、まさか!?と、驚愕した。

「期待を裏切って悪いが、この滝に打たれる訳ではない。この水鏡(みかがみ)の滝に向かって水系の魔法を撃ち込む訓練である!」

およよ?打たれるんじゃないの?読者の期待を裏切っちゃダメでしょう?

「ちょうどいい、シオンよ『軽く』魔法を撃ってみよ」

ふふん♪やってやろうじゃない!
でも、確かに強力な魔法だとまた被害が出るし『軽く』連続水弾でも撃ってみよう。

シオンは滝に向かって手のひらを向けた。

「はっ!」

一声で、手のひらから水の弾丸がドドドドッ!!!と、放たれた!

「ふぅ~これでいいの?」

珍しくシオンは手加減をして綺麗に見本を見せた。

「うむ、素晴らしい手本じゃった。じゃが、放たれた水弾が滝に消えて行った所を見て欲しかったのぅ?」

うんっ?
そういえば、水に吸い込まれるように消えたような…………?あれ?

「シオン、余所見をするでないぞ?前を見よ」

ほえっ?
シオンが前の滝を見ると、滝からシオンが放った水弾が跳ね返ってきた!?

あばばばばばっ!!!!!!!

水弾を顔に連続で受けてシオンは………まぁ、そんな感じで倒れるのであった。

ちょっと!雑じゃないかな!?

「とまぁ、シオンが素晴らしい手本を見せてくれた所で、皆にも同じ事をやってもらうのじゃ」

ちょっと待て!さっきと同じ事を言われているけど、なんか釈然としないんですが!!!

ガシッとウンディーネの肩を掴んだシオンが、ゾンビのように言った。

「…………何か言うことは?」(低い声)
「…………仕方がない。詫びの品はこれでよいかのぅ?」

ウンディーネは懐から四角い紙をシオンにだけ見せた。

「これは!?………ちっ、仕方がない。今回だけだからね!」

ささっと、その紙を懐に閉まった。

「コホンッ、この滝に水魔法を放つと跳ね返ってくる。その跳ね返ってきた魔法にまた魔法を放ち相殺するのが今回の訓練じゃ!更に、滝の流れを読んで放つと跳ね返ってこないのじゃ。この2つを意識してやってもらう!」

こうして臨海学校の最初の課題は滝に向かって魔法を撃つことでした。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。

梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。 あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。 その時までは。 どうか、幸せになってね。 愛しい人。 さようなら。

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

お姉さまが家を出て行き、婚約者を譲られました

さこの
恋愛
姉は優しく美しい。姉の名前はアリシア私の名前はフェリシア 姉の婚約者は第三王子 お茶会をすると一緒に来てと言われる アリシアは何かとフェリシアと第三王子を二人にしたがる ある日姉が父に言った。 アリシアでもフェリシアでも婚約者がクリスタル伯爵家の娘ならどちらでも良いですよね? バカな事を言うなと怒る父、次の日に姉が家を、出た

転生したらただの女子生徒Aでしたが、何故か攻略対象の王子様から溺愛されています

平山和人
恋愛
平凡なOLの私はある日、事故にあって死んでしまいました。目が覚めるとそこは知らない天井、どうやら私は転生したみたいです。 生前そういう小説を読みまくっていたので、悪役令嬢に転生したと思いましたが、実際はストーリーに関わらないただの女子生徒Aでした。 絶望した私は地味に生きることを決意しましたが、なぜか攻略対象の王子様や悪役令嬢、更にヒロインにまで溺愛される羽目に。 しかも、私が聖女であることも判明し、国を揺るがす一大事に。果たして、私はモブらしく地味に生きていけるのでしょうか!?

婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました

Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。 順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。 特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。 そんなアメリアに対し、オスカーは… とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。

転生した悪役令嬢は破滅エンドを避けるため、魔法を極めたらなぜか攻略対象から溺愛されました

平山和人
恋愛
悪役令嬢のクロエは八歳の誕生日の時、ここが前世でプレイしていた乙女ゲーム『聖魔と乙女のレガリア』の世界であることを知る。 クロエに割り振られたのは、主人公を虐め、攻略対象から断罪され、破滅を迎える悪役令嬢としての人生だった。 そんな結末は絶対嫌だとクロエは敵を作らないように立ち回り、魔法を極めて断罪フラグと破滅エンドを回避しようとする。 そうしていると、なぜかクロエは家族を始め、周りの人間から溺愛されるのであった。しかも本来ならば主人公と結ばれるはずの攻略対象からも 深く愛されるクロエ。果たしてクロエの破滅エンドは回避できるのか。

処理中です...