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可哀想な人?

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ヴァンパイアの女は気を取り直して言った。

「なんかバカっぽい奴らね?まぁいいわ!私の名前はカーミラ、四大精霊すら滅ぼせなかった上位クラスのヴァンパイアよ♪」

妖艶に笑うカーミラはシオン達を見渡した。

「さて、誰から頂こうかしら♪」

唇を舌でペロッと舐めると狙いを付けた。

「さぁ~て、覚悟はいいかしら~?」

カーミラはセリスと目が合った。

「あっ………」
「えっ?」

激しい閃光と共にセリスの光の浄化魔法が炸裂した。カーミラは一瞬で塵となったのだった。

「「「あ~~~!?」」」

ダンジョンボスが一瞬で灰となって消えたことにシオン達一同は声を揃えて叫んでしまった。

「ちょっとどうするのよ?」
「いや、メダルが落ちているぞ。金のメダルが…………3枚!?」

「一度に複数枚のメダルを落とすなんて、本当に力のあるヴァンパイアだったんだなぁ~」

まぁ、セリスの光魔法で一撃………いや、一瞬で灰となったけどね。

「そういえば、中ボスは一時間で復活したけど、ダンジョンボスも同じなのかな?」
「そこはわからないから検証が必要だろう。ただ一時間待っているだけでは時間の無駄だ。セリスとフレイ、ミレイユはここに残ってヴァンパイアの復活時間の確認と退治をお願いする。俺とシオンは通路のアンデット系を倒して銅のメダルを集めてくるよ」

まぁ、ミレイユが居れば平気だろうけどね♪

「あっ、そうだセリスも疲れたでしょう?これあげるね♪」

シオンはポケットからセリスに飴玉を何個か渡した。

「ありがとう」
「疲れた時は甘い物だよね♪ゆっくり休んでいてね。私達はストレス発散してくるから」

フレイは、あ~と思った。このダンジョンに入ってからセリスだけでなんとかなっていたので、シオン達はほとんど戦っていないのだ。
特に戦いたがっていたシオンはストレスが溜まっているだろうと思いそのまま送り出したのだった。

それがクリス王子の仕組んだ事に気付かずに。

遺跡ダンジョンの最奥ともなると通路にはウジャウジャとアンデット系の魔物が出てくるのだった。クリスは剣で魔物を切り伏せて、シオンは適当に魔法で吹き飛ばしていた。

「数が多いから結構銅のメダルが溜まるね♪」
「そうだな。セリスの光魔法だと暫く出て来なかったから助かるな」

周囲の魔物を倒し尽くして休憩している時、クリスがシオンに近付いていった。

「どうしたの?クリス」
「いや、ようやく二人っきりになれたね」

えっ?クリス!!!?
クリスはシオンに壁ドンをして迫った。

さて、皆様は覚えているでしょうか?この小説が『恋愛』系だという事に。ファンタジーの色の濃い小説ではありますが、れっきとした恋愛小説なのです!
(わ、忘れてなんかいないんだからねっ!)

てな訳で─

「シオン、最近はゆっくりできなくて言えてなかったけど、大好きだよ」

!?

「あわわわわ……………私も……好き…だよ」

突然の展開に着いていけてないシオンは消え去りそうな小さな声で返事をしたが、内心はパニックになっていた。

どうしよう!どうしよう!?どうすんのよーーーー!!!!?

顔を真っ赤にしながらアワアワと甘~い空気を漂わせている二人に、お邪魔虫のアンデット達ですら近付けなかった。実に空気の読める奴らである。

シオン達が砂糖を吐くような甘い空気になっている時、ボス部屋でも動きがあった。
シオン達が出ていってすぐの事だった。

「セリスはゆっくり休んでいてね。さすがに疲れたでしょう?」
「いいえ、まだまだ余裕がありますので大丈夫ですよ」

セリスをみると確かに息切れなど起こしていない。まだまだ余裕がありそうだった。

「それにしても上位ヴァンパイアなんてどこで捕まえたのかしら?四大精霊の力でこのダンジョンに縛り付けて、倒しても復活するようにしているなんてね」
「そうですね。危険かも知れませんが、ここから出られないのなら大丈夫でしょう」

フレイ達が色々と話していると、5分ほどでボス部屋の奥にある祭壇から魔力が集まるのを感じた。

「えっ!もう復活!?早すぎる!」

集まった魔力は黒いモヤが集まりだした。

「くっ、さっきはなんだったのよ。私を一瞬で灰にするなんて四大精霊でも出来ないって言うのに………」

またボッ・キュン・ボンのサキュバス………じゃなかった、ヴァンパイアが現れた。

「えっ?なんでまだいる─」
「いやーーーー!!!!!」

またセリスのとっさ的な嫌悪感による光魔法で一瞬で灰になるカーミラだった。
そして5分ごとにこれが繰り返されるのであった。
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