48 / 117
過去編
戦争
しおりを挟む
国境からの火急の知らせを聞いてカイルは顔を歪めた。
「クソッ!あの業突く張りのクソジジイがっ!」
これまではカイルの父親が皇王を務めていた時に、1度うちの国に手を出して痛い目をみた隣国、【エルザ王国】の王は大人しくしていましたが、世代が変わったドサクサを狙って侵攻を開始しました。
「落ち着いてカイル。今は何をすべきかわかるでしょう?こういう時は冷静沈着にね?」
深呼吸をして落ち着いたカイルは言った。
「ふぅ、そうだな。至急援軍を送る事だ。周囲の貴族に王命で兵を出させる。時間を稼いでいる間に、王都周辺の貴族と王国の騎士団を率いて迎撃する!」
「そう、それでいいの。尊敬している御父上が亡くなったばかりだというのに、それを狙った侵攻など許せませんわ!」
冷静に助言しているシオンも憤っていた。
本来であれば、アガレス王国の貴族当主達を集めて皇王の葬儀をする筈だったが、母上にお願いし、身内だけで質素に済ますと、エルザ王国の対応に向かうのだった。
侵攻当初は国境にある大きな砦で迎え討つ話だったが、事態が大きく変わった。
砦には5千の兵が詰めており、敵は2万の軍勢で攻めてきた。敵国の名将【マーチス将軍】は1万の兵で包囲し、残り1万を複数の部隊に別けて辺境の各地に侵攻を開始した。
辺境の貴族達は各自バラバラに兵を挙げて砦に向かっていた所を各個撃破され壊滅。
王都周辺からまとまった兵を集めて辺境に向かい到着するには2週間は掛かりその間に国境砦が陥落してしまったのだ。
カイル達は自分達の最大の守りである国境砦を逆に攻略せねばならなくなった。
カイル王国軍は野戦の簡易陣地では攻略は不可能とし、王都へ続く街道の城壁のある大きな街に撤退せざるおえなかった。
「クソッ!エルザ王国軍めっ!」
ドンッとテーブルに拳を落して怒りを露わにするカイルに周囲の側近達がなだめた。
「カイル皇王陛下!落ち着いて下さい!」
「そうです!頭に血が登っては良い案も浮かびませぬ」
カイルはわかっている!と言い放ち、現状の確認と攻略作戦の立案を求めた。
だいたいの意見は、今のままでは国境砦の攻略は不可能。奴らが侵攻を開始して砦から出てきた所を平野部で打ち破り、兵の少なくなった砦を攻略すると言う所で話は終わった。
しかし、エルザ王国はカイル達の上を行っていた。エルザ王国侵攻軍はそれ以上進軍せずに、砦の周囲の地域の制圧に力を入れたのだ。
アガレス王国軍が救援に向かうと、すぐに砦に戻ってしまい蹂躙された周囲の村や街が残り、その救援をしなければばらなく、辺境の民の支持は下がっていく一方であった。
カイルは苦渋の決断とし、辺境砦の周囲の地域を放棄し、アガレス軍が駐屯している街道沿いにある1番近い街に住民を非難させる事にした。
一部は反発したが、エルザ軍に蹂躙された町や村を聞いて不満を飲み込み移動を開始した。
こうしてアガレス王国は領地を一部切り取られる形となったのであった。
「クソッ!あの業突く張りのクソジジイがっ!」
これまではカイルの父親が皇王を務めていた時に、1度うちの国に手を出して痛い目をみた隣国、【エルザ王国】の王は大人しくしていましたが、世代が変わったドサクサを狙って侵攻を開始しました。
「落ち着いてカイル。今は何をすべきかわかるでしょう?こういう時は冷静沈着にね?」
深呼吸をして落ち着いたカイルは言った。
「ふぅ、そうだな。至急援軍を送る事だ。周囲の貴族に王命で兵を出させる。時間を稼いでいる間に、王都周辺の貴族と王国の騎士団を率いて迎撃する!」
「そう、それでいいの。尊敬している御父上が亡くなったばかりだというのに、それを狙った侵攻など許せませんわ!」
冷静に助言しているシオンも憤っていた。
本来であれば、アガレス王国の貴族当主達を集めて皇王の葬儀をする筈だったが、母上にお願いし、身内だけで質素に済ますと、エルザ王国の対応に向かうのだった。
侵攻当初は国境にある大きな砦で迎え討つ話だったが、事態が大きく変わった。
砦には5千の兵が詰めており、敵は2万の軍勢で攻めてきた。敵国の名将【マーチス将軍】は1万の兵で包囲し、残り1万を複数の部隊に別けて辺境の各地に侵攻を開始した。
辺境の貴族達は各自バラバラに兵を挙げて砦に向かっていた所を各個撃破され壊滅。
王都周辺からまとまった兵を集めて辺境に向かい到着するには2週間は掛かりその間に国境砦が陥落してしまったのだ。
カイル達は自分達の最大の守りである国境砦を逆に攻略せねばならなくなった。
カイル王国軍は野戦の簡易陣地では攻略は不可能とし、王都へ続く街道の城壁のある大きな街に撤退せざるおえなかった。
「クソッ!エルザ王国軍めっ!」
ドンッとテーブルに拳を落して怒りを露わにするカイルに周囲の側近達がなだめた。
「カイル皇王陛下!落ち着いて下さい!」
「そうです!頭に血が登っては良い案も浮かびませぬ」
カイルはわかっている!と言い放ち、現状の確認と攻略作戦の立案を求めた。
だいたいの意見は、今のままでは国境砦の攻略は不可能。奴らが侵攻を開始して砦から出てきた所を平野部で打ち破り、兵の少なくなった砦を攻略すると言う所で話は終わった。
しかし、エルザ王国はカイル達の上を行っていた。エルザ王国侵攻軍はそれ以上進軍せずに、砦の周囲の地域の制圧に力を入れたのだ。
アガレス王国軍が救援に向かうと、すぐに砦に戻ってしまい蹂躙された周囲の村や街が残り、その救援をしなければばらなく、辺境の民の支持は下がっていく一方であった。
カイルは苦渋の決断とし、辺境砦の周囲の地域を放棄し、アガレス軍が駐屯している街道沿いにある1番近い街に住民を非難させる事にした。
一部は反発したが、エルザ軍に蹂躙された町や村を聞いて不満を飲み込み移動を開始した。
こうしてアガレス王国は領地を一部切り取られる形となったのであった。
0
お気に入りに追加
209
あなたにおすすめの小説
この契約結婚は依頼につき〜依頼された悪役令嬢なのに、なぜか潔癖公爵様に溺愛されています!〜
海空里和
恋愛
まるで物語に出てくる「悪役令嬢」のようだと悪評のあるアリアは、魔法省局長で公爵の爵位を継いだフレディ・ローレンと契約結婚をした。フレディは潔癖で女嫌いと有名。煩わしい社交シーズン中の虫除けとしてアリアが彼の義兄でもある宰相に依頼されたのだ。
噂を知っていたフレディは、アリアを軽蔑しながらも違和感を抱く。そして初夜のベッドの上で待っていたのは、「悪役令嬢」のアリアではなく、フレディの初恋の人だった。
「私は悪役令嬢「役」を依頼されて来ました」
「「役」?! 役って何だ?!」
悪役令嬢になることでしか自分の価値を見出だせないアリアと、彼女にしか触れることの出来ない潔癖なフレディ。
溺愛したいフレディとそれをお仕事だと勘違いするアリアのすれ違いラブ!
「君以外を愛する気は無い」と婚約者様が溺愛し始めたので、異世界から聖女が来ても大丈夫なようです。
海空里和
恋愛
婚約者のアシュリー第二王子にべた惚れなステラは、彼のために努力を重ね、剣も魔法もトップクラス。彼にも隠すことなく、重い恋心をぶつけてきた。
アシュリーも、そんなステラの愛を静かに受け止めていた。
しかし、この国は20年に一度聖女を召喚し、皇太子と結婚をする。アシュリーは、この国の皇太子。
「たとえ聖女様にだって、アシュリー様は渡さない!」
聖女と勝負してでも彼を渡さないと思う一方、ステラはアシュリーに切り捨てられる覚悟をしていた。そんなステラに、彼が告げたのは意外な言葉で………。
※本編は全7話で完結します。
※こんなお話が書いてみたくて、勢いで書き上げたので、設定が緩めです。
虐げられた人生に疲れたので本物の悪女に私はなります
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
恋愛
伯爵家である私の家には両親を亡くして一緒に暮らす同い年の従妹のカサンドラがいる。当主である父はカサンドラばかりを溺愛し、何故か実の娘である私を虐げる。その為に母も、使用人も、屋敷に出入りする人達までもが皆私を馬鹿にし、時には罠を這って陥れ、その度に私は叱責される。どんなに自分の仕業では無いと訴えても、謝罪しても許されないなら、いっそ本当の悪女になることにした。その矢先に私の婚約者候補を名乗る人物が現れて、話は思わぬ方向へ・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
雪解けの白い結婚 〜触れることもないし触れないでほしい……からの純愛!?〜
川奈あさ
恋愛
セレンは前世で夫と友人から酷い裏切りを受けたレスられ・不倫サレ妻だった。
前世の深い傷は、転生先の心にも残ったまま。
恋人も友人も一人もいないけれど、大好きな魔法具の開発をしながらそれなりに楽しい仕事人生を送っていたセレンは、祖父のために結婚相手を探すことになる。
だけど凍り付いた表情は、舞踏会で恐れられるだけで……。
そんな時に出会った壁の花仲間かつ高嶺の花でもあるレインに契約結婚を持ちかけられる。
「私は貴女に触れることもないし、私にも触れないでほしい」
レインの条件はひとつ、触らないこと、触ることを求めないこと。
実はレインは女性に触れられると、身体にひどいアレルギー症状が出てしまうのだった。
女性アレルギーのスノープリンス侯爵 × 誰かを愛することが怖いブリザード令嬢。
過去に深い傷を抱えて、人を愛することが怖い。
二人がゆっくり夫婦になっていくお話です。
悪女と言われた令嬢は隣国の王妃の座をお金で買う!
naturalsoft
恋愛
隣国のエスタナ帝国では七人の妃を娶る習わしがあった。日月火水木金土の曜日を司る七人の妃を選び、日曜が最上の正室であり月→土の順にランクが下がる。
これは過去に毎日誰の妃の下に向かうのか、熾烈な後宮争いがあり、多くの妃や子供が陰謀により亡くなった事で制定された制度であった。無論、その日に妃の下に向かうかどうかは皇帝が決めるが、溺愛している妃がいても、その曜日以外は訪れる事が禁じられていた。
そして今回、隣の国から妃として連れてこられた一人の悪女によって物語が始まる──
※キャライラストは専用ソフトを使った自作です。
※地図は専用ソフトを使い自作です。
※背景素材は一部有料版の素材を使わせて頂いております。転載禁止
大好きなあなたを忘れる方法
山田ランチ
恋愛
あらすじ
王子と婚約関係にある侯爵令嬢のメリベルは、訳あってずっと秘密の婚約者のままにされていた。学園へ入学してすぐ、メリベルの魔廻が(魔術を使う為の魔素を貯めておく器官)が限界を向かえようとしている事に気が付いた大魔術師は、魔廻を小さくする事を提案する。その方法は、魔素が好むという悲しい記憶を失くしていくものだった。悲しい記憶を引っ張り出しては消していくという日々を過ごすうち、徐々に王子との記憶を失くしていくメリベル。そんな中、魔廻を奪う謎の者達に大魔術師とメリベルが襲われてしまう。
魔廻を奪おうとする者達は何者なのか。王子との婚約が隠されている訳と、重大な秘密を抱える大魔術師の正体が、メリベルの記憶に導かれ、やがて世界の始まりへと繋がっていく。
登場人物
・メリベル・アークトュラス 17歳、アークトゥラス侯爵の一人娘。ジャスパーの婚約者。
・ジャスパー・オリオン 17歳、第一王子。メリベルの婚約者。
・イーライ 学園の園芸員。
クレイシー・クレリック 17歳、クレリック侯爵の一人娘。
・リーヴァイ・ブルーマー 18歳、ブルーマー子爵家の嫡男でジャスパーの側近。
・アイザック・スチュアート 17歳、スチュアート侯爵の嫡男でジャスパーの側近。
・ノア・ワード 18歳、ワード騎士団長の息子でジャスパーの従騎士。
・シア・ガイザー 17歳、ガイザー男爵の娘でメリベルの友人。
・マイロ 17歳、メリベルの友人。
魔素→世界に漂っている物質。触れれば精神を侵され、生き物は主に凶暴化し魔獣となる。
魔廻→体内にある魔廻(まかい)と呼ばれる器官、魔素を取り込み貯める事が出来る。魔術師はこの器官がある事が必須。
ソル神とルナ神→太陽と月の男女神が魔素で満ちた混沌の大地に現れ、世界を二つに分けて浄化した。ソル神は昼間を、ルナ神は夜を受け持った。
いつかの空を見る日まで
たつみ
恋愛
皇命により皇太子の婚約者となったカサンドラ。皇太子は彼女に無関心だったが、彼女も皇太子には無関心。婚姻する気なんてさらさらなく、逃げることだけ考えている。忠実な従僕と逃げる準備を進めていたのだが、不用意にも、皇太子の彼女に対する好感度を上げてしまい、執着されるはめに。複雑な事情がある彼女に、逃亡中止は有り得ない。生きるも死ぬもどうでもいいが、皇宮にだけはいたくないと、従僕と2人、ついに逃亡を決行するのだが。
------------
復讐、逆転ものではありませんので、それをご期待のかたはご注意ください。
悲しい内容が苦手というかたは、特にご注意ください。
中世・近世の欧風な雰囲気ですが、それっぽいだけです。
どんな展開でも、どんと来いなかた向けかもしれません。
(うわあ…ぇう~…がはっ…ぇえぇ~…となるところもあります)
他サイトでも掲載しています。
性悪という理由で婚約破棄された嫌われ者の令嬢~心の綺麗な者しか好かれない精霊と友達になる~
黒塔真実
恋愛
公爵令嬢カリーナは幼い頃から後妻と義妹によって悪者にされ孤独に育ってきた。15歳になり入学した王立学園でも、悪知恵の働く義妹とカリーナの婚約者でありながら義妹に洗脳されている第二王子の働きにより、学園中の嫌われ者になってしまう。しかも再会した初恋の第一王子にまで軽蔑されてしまい、さらに止めの一撃のように第二王子に「性悪」を理由に婚約破棄を宣言されて……!? 恋愛&悪が報いを受ける「ざまぁ」もの!! ※※※主人公は最終的にチート能力に目覚めます※※※アルファポリスオンリー※※※皆様の応援のおかげで第14回恋愛大賞で奨励賞を頂きました。ありがとうございます※※※
すみません、すっきりざまぁ終了したのでいったん完結します→※書籍化予定部分=【本編】を引き下げます。【番外編】追加予定→ルシアン視点追加→最新のディー視点の番外編は書籍化関連のページにて、アンケートに答えると読めます!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる