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プロローグ
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去年投稿した短編が好評だったので連載開始しました。
ストックがあるうちは毎日投稿していきます!
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
アガレス王国暦260年、偉大なる皇后様が病気で60歳のお年で亡くなられた。
若き日は公爵令嬢として派閥争いを仲裁し、王妃になられた時は国内外の情勢を見極め、内政や外交に精力的に関わり王国のために尽力しました。
王子を二人と王女一人を産み、夫である皇王が子供に王位を譲った後は、離宮にて国内の貴族のバランスを取りながらゆっくりとした時間を過ごしていた矢先の事であった。
夫である元皇王も、愛する妻を最後まで看病していたが、遂にお別れの時が来たのだった。
「…………あなた、私は幸せでした。若い時は戦争や飢饉災害などで苦労もしましたが、最後は愛するあなたや、子供達に見守られて逝く事ができます。私は先に旅立ちますが、あなたは最後まで頑張って生きて、子供達や孫達を見守って下さいね……………」
夫は涙を流しながら必死に頷きながら手を握った。
「…………ありが……とう…」
ゴーーーン!!!!
ゴーーーン!!!!
その日、王国の王都では偉大な皇后様が亡くなったという鐘の音が鳴り響き、王都の民や貴族達までもが悲しみに暮れた。
そして亡くなる者もいれば新しく生まれる者もいる。
アガレス王国の『東の辺境』にある男爵家にて、新たな生命が生まれた。
「よくやったぞマリア!大丈夫か?」
オギャー!!!!
オギャー!!!!
男爵夫人は元気な女の子を出産していた。
「フフフ、これで二人目ですもの。大丈夫ですわジーク」
去年長男を出産し、今は女の子を産んだのだ。
「名前はもう決めてあるんだ。皇后様がもう長くないという噂だ。恩ある皇后様を忘れないよう皇后様の名前を貰い『シオン』と名付けようと思う」
「まぁ、シオンは皇后様の名前に恥じ無いように育てなければなりませんね」
愛おしそうに赤ちゃんを抱く母親は優しく撫でた。
そして、当の赤ちゃんは──
『はて?わたくしは死んだので無かったかしら?目もぼやけて良く見えませんわ?』
しばらく観察して自分が生まれ変わった事を知った。
『なるほど、ここは辺境の男爵家で、私は長女として産まれたのですね。どうしてこうなったのかわかりませんが、前世では忙しく生きていましたし、今世ではのんびりと過ごすといたしましょうか』
こうして前世と同じ名前を付けられた『シオン』は辺境のスローライフを楽しむと決めたのだった。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
作者メモ
辺境のイージス男爵家
父親ジーク・イージス男爵
母親マリア・イージス夫人
兄ペルセウス・イージス(1歳)
妹シオン・イージス(0歳)
ストックがあるうちは毎日投稿していきます!
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アガレス王国暦260年、偉大なる皇后様が病気で60歳のお年で亡くなられた。
若き日は公爵令嬢として派閥争いを仲裁し、王妃になられた時は国内外の情勢を見極め、内政や外交に精力的に関わり王国のために尽力しました。
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夫は涙を流しながら必死に頷きながら手を握った。
「…………ありが……とう…」
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その日、王国の王都では偉大な皇后様が亡くなったという鐘の音が鳴り響き、王都の民や貴族達までもが悲しみに暮れた。
そして亡くなる者もいれば新しく生まれる者もいる。
アガレス王国の『東の辺境』にある男爵家にて、新たな生命が生まれた。
「よくやったぞマリア!大丈夫か?」
オギャー!!!!
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「フフフ、これで二人目ですもの。大丈夫ですわジーク」
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「名前はもう決めてあるんだ。皇后様がもう長くないという噂だ。恩ある皇后様を忘れないよう皇后様の名前を貰い『シオン』と名付けようと思う」
「まぁ、シオンは皇后様の名前に恥じ無いように育てなければなりませんね」
愛おしそうに赤ちゃんを抱く母親は優しく撫でた。
そして、当の赤ちゃんは──
『はて?わたくしは死んだので無かったかしら?目もぼやけて良く見えませんわ?』
しばらく観察して自分が生まれ変わった事を知った。
『なるほど、ここは辺境の男爵家で、私は長女として産まれたのですね。どうしてこうなったのかわかりませんが、前世では忙しく生きていましたし、今世ではのんびりと過ごすといたしましょうか』
こうして前世と同じ名前を付けられた『シオン』は辺境のスローライフを楽しむと決めたのだった。
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作者メモ
辺境のイージス男爵家
父親ジーク・イージス男爵
母親マリア・イージス夫人
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