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1章:過去編

過去編~お父様の決断!

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シリカを婚約者とし、順風満帆な生活の日々が続いた。シリカ主導で転移魔法の研究が極秘でされている事ぐらいしか変わった事はしていない。

14歳になりそろそろ学園に入る準備をする時期になった時、事件が起きた。大飢饉が起こったのだ!

その年は、温暖化気候の国なのに長期雨が続き、気温が上がらず冷夏で作物が根から腐って枯れてしまったのだ。うちの領地は魔物の肥料があったのとビニールハウスモドキやシリカの魔法で農地の土を上手いこと調整したので被害はそこまで無かったが、他の領地は半分以上の作物がダメになった。


他の領地から救援要請が次々に届いた。私の領地から西側(ワルサー帝国側)は戦争で爵位を貰った下級貴族が多い。理由は腕っぷしで貴族になったので戦争になったときの防波堤のため帝国のある西側に領地を貰うことが多いためだ。


私の領地の学校に子供を通わせている知り合いも多いため、出来る限りの援助をした。父を見習い、無条件では無く救援を求める相手にどれくらいの食料が必要で、備蓄分はどれだけあるのか細かく教えるよう伝えた。うちの学校に通う者達で私の性格を知っている貴族はすぐに提出してきた。うんうん!みんな優秀になってきたなー

こんな事をするのは無条件で援助すると懐にしまうクズが出てくるからだ。
近隣の知り合いの貴族には特製肥料も送って次回の収穫量増加も考える。

次々に送られてくる救援要請に、シリカの案で国中の被害情報を配下の者に調べさせていた。すると信じられない事が判明した。救援要請してきた一部の大貴族達で備蓄分を民に還元せず夜会など開いているのだ。
自分の私財を使わずただで物資を貰おうと言う魂胆だろう。ふざけるな!!!


救援物資を送らなければ、国を裏切ったなどと言われ、下手をすると国家反逆罪として吊し上げられる可能性があるため、私は不快に思いながらも、民の為に使うという【確約書+誓約書】を書けば援助に応じる返事を出した。見てろよ!自分達の思い通りになると思うなよ!
私は食料と救援物資を持って他領地に向かった。


そして、そこで視たものは・・・地獄だった。


私は、ここに来た事を後悔し同時に感謝した。
救える命があったからだ。
私が見たものは、道端で倒れている人や雑草を煮込んで食べたりしている人、泣きながら子供を売る家族、山に年寄りを捨ててくる息子、その様子から備蓄分の炊き出しなど1度も行われていないのがわかる。
同伴した配下にすぐに炊き出しの準備をさせると、周りの人々は泣きながら集まった。動けない者にはその場にスープを持っていき飲ませた。
私も色々奔走し、動けなくなって倒れている10歳ぐらいの、ガリガリに痩せた少女に急いでスープを飲ませると一言、おいしい。ありがとう・・・そういって少女は息を引き取った。


うおぉぉーーーーーー!!!!!


言葉にならない悲鳴を上げる。餓死したのはこの少女だけでは無いが、自分がもう少し早く来ていれば助かったかも知れないと思うとやりきれない気持ちなり、少女を抱きながら静かに泣いた。そんな時、側にきたシリカに頬を叩かれ呆然とする。


「貴方にはまだやらなければならない事があるでしょう!」

シリカも目に涙を溜めながら私に抱きつく。漸く私は辺りを見渡すと、一緒に来ていた部下や侍女と言った皆がここの無能領主に怒りと悔しさを滲ませていた。私も覚悟を決め、持ってきた物資を地域事に均等に分配し、国中を周りながら救援し続けた。思った以上に貴族達が溜め込んだ備蓄分の配給をしていなく、途中物資が切れてしまった。私は1度、自分の領地に戻り、前から打診していた海向こうにある友好国【フィリアス領】から食料を自腹で緊急輸入し、他の領地に運んだ。向こうもこちらの事情を察してくれてかなり安い捨て値で食糧を融通してくれた。
ありがたいことだ!おまけに薬品類も譲ってくれたんだ。フィリアス領の当主が良い人で本当に助かったよ!


この恩は必ず返すと誓った。



前回、援助した下級貴族達にお願いし人手を借りる事にした。下級貴族の方々は喜んで手を貸してくれた。金も物資の援助も出来ないが、力仕事の人手ぐらいなら此方から喜んで貸しますと、当主自ら来てくれる所もあった。そして私に同行して地獄を見た。


「ば、バカな・・上級貴族の者達は自分の領地の現状を知っているのか!?」


前回は居なく、今回初めて連れてきた下級貴族やその同伴者はあり得ない現状に驚愕していた。そして、私がどうして自腹を切って食料を他の領地に配給しに行くのか漸くわかったのだ。食料だけでは無く医療品なども持ってきており、手分けして救助していく。疫病が流行ったら自分の領地も危ないからね。
国中を廻り、暫くぶりに自分の領地に戻ると父と母が迎えてくれた。今更だが私は両親が好きだ。食料を買い付けするため屋敷の家財を売る事にも賛同してくれ、突然現れたシリカとの婚約も認めてくれたしな!何より中央の貴族のコネや政争には父の力が必要だ。家族との再会もそこそこに、書斎に通され封書を渡された。

「これは?」

目を通すと嗤える事が書いてあった。再三の救援要請を無視し、自治領地のみ良ければ良いのか、他の領地の民の為に国王陛下の了承の上、兵を挙げると・・
コイツらは救援物資を自分の屋敷か指定場所の倉庫に持って行くと思っていたんだろうな。まさか現地に持っていき即座に炊き出しをして消化するとは思っても見なかったのだろう。それこそが私のささやかな嫌がらせだ。だから書かせただろう?民の為に使うと誓約書を・・・

だったら私達が民の為に炊き出ししても文句を言われる事は無い!どうせ民の為に使うのならば。

「問題は力ずくで来た事ね。陛下まで承認するなんて」

シリカの問いに父が答える

「今の王家にそこまで力が無いのだよ。軍閥貴族のアレク公爵家が実権を握り、大飢饉で民が困窮していると大義名分を掲げれば国王陛下は了承するしかないさ」

「とはいえ私達はともかく、戦うとしても民に犠牲が出ては困ります。無条件降伏しますか?」

斥候の話しでは北部と北東部の上級貴族を中心に5千の兵が向かっているそうだ。こちらは、かき集めて1千ほどだ・・・

5倍の兵力差か私は少し考えて答えた。

「降伏は無い!犠牲が出ても徹底抗戦だ!」

普段の温厚な私の口から過激な発言がありみんな驚いている。少し考えればわかるはずだ、このまま降伏して私達が居なくなれば搾取するだけの貴族が執政官になる。あの地獄をうちの領地でする訳にはいけない!みんなも降伏後の状況を思い賛同してくれた。
作戦会議の日から3日経った、街の広場で騎士団を集めた。無論、街の人達も遠巻きに集まり何が始まるのか待っている。
私は特設で作った壇上に立って演説した。

「みんな!聞いてくれ!これから戦争になる。敵はアレク公爵と他の貴族達の連合軍5千だ!こちらは1千ほどで5倍の数が相手となる。」

私は包み隠さず話した。飢饉のため他の領地の民は飢えているのに、こんな時の為の備蓄分を配給せず、自分達は夜会など贅沢している。そんな奴等がこの領地を狙っている事、数的に勝ち目が薄い事も話した。

「みんな、兵力的に勝率は薄い。兵士達も逃げたい者は罰しないの逃げたい者は逃げろ!街の人達は戦場になるこの街を出て、逃げて欲しい!」

拡声器を使った私の声は町中に響き渡る。

1人の兵士が答える
「領主様はどうするのですか?」

「私は1人でも戦うよ。ここをあの地獄にするわけには行かないからね!奴等に一泡吹かせてみせる!」

その瞬間空気が変わった。
騎士団長が大声で叫ぶ!

「アルフォード領主閣下に敬礼!!!」

その声に騎士団全員が胸に手を当て最敬礼をする。

「アルフォード様!水臭いですよ!少なくとも私は貴方様と共にあの地獄を見てきたのです!私利私欲に眼の眩んだクズ貴族どもに怒りの鉄槌を!民の苦しみを味会わせる為に、私も・・いえ、私達も一緒に戦います!」


騎士団長の言葉に一斉に雄叫びが轟く!


私は目頭が潤みながら、すまないと小さく呟いた。
そこへ、西の方から武装集団が向かっていると報せが入った。先触れから下級貴族の兵士との事だった。
そのまま広場までやって来ると下級貴族の代表として前回、救援物資の手伝いにきてくれた貴族の当主の方だった。

「アルフォード侯爵様!私達も一緒に戦わせて下さい。」

男爵位のグラン男爵だそうだ。貴族連合軍が向かっていると知り援軍に来てくれたのだ。

「グラン男爵!そして他の援軍の皆さんありがとう!でも援軍は許可出来ない!このままお引き取り下さい!」

グラン男爵や他の者達も驚く。

「な、何故ですか!私もあの地獄を見てきたのです!一緒に戦わせて下さい!他の領地とは言え、民の苦しみを、無念を晴らさせて下さい!」

グラン男爵の気持ちが痛いほどわかる。私も同じだからだ。でも・・

「気持ちは凄く嬉しいよ。でも、先触れの手紙には今回の出兵には国王陛下も認めてしまっている。ここで私に力を貸せば反逆罪になってしまう。貴殿らをそんな目に会わせたく無いんだよ・・」

そこでグラン男爵達は漸く私の言わんとする事がわかったのだ。
だが・・
「少なくとも私は構いません。お手伝いさせてください」

私は驚いて叫んだ

「バカな事は言わないでくれ!貴方だけの問題では無いのだ!勝っても負けても反逆者罪で家族まで被害が及ぶかも知れないのだぞ!一時の感情で見誤るな!」

「確かにアルフォード様の言いたい事はわかりました。お若いのにしっかり今後の事も見据えている。しかし・・一つだけ間違っています」

「な、何を間違えていると言うのだ!?」

「それは、ここにいるみんなが貴方に死んで欲しく無いのですよ。ここにいる全ての者が貴方に生きて欲しいと願っているのです。貴方を守る為なら力を合わせて戦います!」

私はグラン男爵の言葉に辺りを見渡した。騎士団のみならず遠巻きにいる町の人達まで目に決意の感情が見える。

「私は祖国の為に帝国と戦い男爵の位を頂いたが、私はこの国に住まう民が安心して暮らせるように戦ったのです!民をないがしろにする国王や上級貴族の為に戦ったのではない!」

周りの者達も一様に頷く。 
私も覚悟を決め一緒に戦うようお願いした。

そこからは3日間掛けて考えた作戦を援軍の兵士、騎士団を交えて話あった。町の人達も協力をお願いし、子供やお年寄りの方には少し離れた所にある港の倉庫に避難してもらう事にした。

敵は5千、こちらは援軍を含めて1500になった。そしてこの街は港町と栄えて人口5万人の人達が住んでいる。特に学校の創設や新しい作物の販売などで更に年々増えて来ている。この街の構造を上手く使い敵を倒す!


~~~~~~~~~~~~~
それから1日後、遂に貴族連合軍がやって来た。総大将はアレク公爵本人だ。軍閥貴族として・・勝ち戦の為に実績を作る為にやって来たのだ。

「クックック・・漸くあの成金の成り上がりを葬る事が出来る。」

アレク公爵は前々から莫大な富の集まる侯爵領の港町を欲していたのだ。自ら逆賊を討った褒美としてここを手に入れるつもりなのだ。今回の遠征で溜め込んでいた備蓄を放出したがすぐに元が取れると踏んでいる。ここの領地は飢饉の影響が少なく民も飢えていないと聞く。

「もうすぐだ・・もうすぐ手に入いる」
すでに手に入れた後の事を思いながら進軍する。街はもう目の前だ。

斥候が戻ってきたようだ。どうやら街の門は開いているらしい。
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