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ドナドナ………

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シオン達は実家の呼び出しの手紙を受け取ってから緊急会議を開いていた。
あれから数日が経過していた。

「さて、ようやく帝国が落ち着き、これからより良い国を作っていこうと言う所で問題が発生した」

丁度、ゼファー伯爵が定期報告に帝都に来ていたので、宰相、ブルーネット公爵、ゼファー伯爵、ルドルフ卿などその他、帝国の名だたる貴族が大きな長テーブルに着いて集まっていた。

「陛下、問題とは?」

まだ宰相以外、緊急会議の理由を知らされていなかった。

「まずは、前回のシオンを襲った襲撃犯の捜索と北部の盟主メイゲン伯爵の討伐に尽力してくれたこと、この場を借りて再度感謝を述べる」

ゼノンは立ち上がり深く頭を下げた。

「皇帝陛下、我々は当然のことをしただけでございます」
「帝国をより良い国にするために尽力しているシオン様を襲うなど言語道断です!」
「皇帝の臣下として忠義を尽くしただけでございます」

まさか皇帝が頭を下げるとは思ってもいなく、臣下達は動揺を隠せなかった。

「今まで皇帝の名は失墜しており、その当然ができていなかった。これからは皆が一丸となって帝国を盛り立てていくのじゃ。正直、どんな問題でも皆がいれば解決できると思っておるよ」

一番の年長者であるルドルフ卿も満足そうに言った。

「そ、それがな………」

ゼノンは言い難そうに一呼吸置いてから話した。

「シオンが襲撃されて意識不明になったのは皆も知っていると思う。それでシオンの実家であるオリオン辺境伯が怒っていてな………母君が帰ったばかりの時だった事もあり……シオンを守れないなら実家に帰せと言ってきた」

!?

家臣は少し驚いたがそれがそこまでの問題か?と内心で思った。

「確かにオリオン家の武力は凄まじいですし、大事な娘が襲われて意識不明と聞けば、怒るのも仕方がないといえますが………」
「オリオン辺境伯には正式にお詫びに行けば良いのでは?シオン様は帝国の王妃になられる方。実家に挨拶も兼ねて行けばそこまでの問題はないのでは?」

当然の意見ではあった。
そこに事情の知る宰相が口を開いた。

「甘いですな。しかしワシも想像できないことでしたので仕方がないじゃろう」

宰相は周囲を見渡してから話した。

「その程度のことであれば皇帝陛下が頭を下げにいくわい。ただオリオン辺境伯は我々の想像を超える暴挙に出たのじゃ!」

宰相の言葉にブルーネット公爵はふむ?と考えながら声を出した。

「周りくどいぞ。早く本題を言え。まさかクーデターでも起こした訳でもあるまい?」

ガヤガヤ
ガヤガヤ

少し笑い声が出るほど会場が騒めいた。

「勘が良いな。その通りだ」

「「はっ!?」」

間の抜けた声が一声にでた。

「シオンの実家が圧力をかけてイリシア王国の宰相や大臣達がクーデターを起こし王族を幽閉した。そしてその後のトップはオリオン辺境伯に着いて欲しいと言っているらしい」

「「ふわぁ!!???」」

この場にいた者達は変な声しか出なかった。

「そして、ここからが重要だ。オリオン辺境伯は、のちにシオンを女王にするつもりだ」


「「「なんですとーーーーーー!!!!!!?????」

絶叫が響いた。

「もしそうなれば女王になったシオンを娶ることができなくなる!これはオリオン辺境伯家の最大の嫌がらせなのだ!!!!!!」

一国の王が嫁入りしまえば国が吸収合併してしまう。
流石に王国の貴族も民も納得しないだろう。

「い、嫌がらせのためにクーデターを起こして国を乗っ取るなんてありえん!?」
「それは本当なのですか!?」

手紙が届いた後、正式な外交官を王国に向かわせたが、王城では国王や王子は見かけなかったと言う。

「はぁ~~ようやくシオンにプロポーズしたと言うのに………」

皇帝の落ち込みは酷い物だった。

「…………幸いシオン令嬢は皇帝陛下のプロポーズを承諾してくれました。気持ちは皇帝と帝国にあります。それ故に、なんとか穏便にオリオン家の怒りを鎮めてもらい、快く嫁に送り出してもらいたいのです」

救いはある。

「一つだけよろしいか?いつまでにシオン令嬢を実家に帰せと言っているのですか?」
「明確な期限は言ってきていない。ただなるべく早急にとは書いてある」

なかなか難しい問題だ。

「もしこのままシオン令嬢の帰宅を許せば?」
「もう戻ってこない可能性があるな」

ズーーーン!

会議室の空気が重くなるのだった。




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