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本気

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シオンは魔法を放ち一撃で城門を粉々にした。







味方の兵士達も大きく口を開いて、しばらくはそのままであった。

「………まさかここまでの威力の魔法を放てるとは」

早く我に返ったゼファー伯爵とブルーネット公爵が呟いた。

「シオン令嬢が襲われた現場に行って、地面が焼けている草原を見たが、ここまで破壊力のある魔法が放てるのか………」
「皇帝陛下も知っていたのでしょうか?だからこの城壁を見ても余裕があったのですな」

そこまで言ってから目を開いた。
皇帝陛下も魔法を放ったからだ。

「シオンに比べて地味で悪いがな」

城壁に向けて氷の魔法を放ち、階段状の建造物を作り登れるようにしたのだ。しかも少し融けている状態にして、滑り難くしている凝り様であった。

「よし!行きなさい!!!」

「「「はっ!了解!!!!」」」

まだ唖然としている敵に向かって、シオンの護衛達が駆け出した。

ハルとアキは氷の階段を飛び跳ねながら登り城壁に、他のメンバーは城門を潜り抜け、その後ろにいた敵の兵士を斬り伏せて行った。

「この間の失態をここで返す!」
「オレ達だけで敵を全滅させるつもりで戦うぜ!」
「みんなに迷惑を掛けた罪をここで返す!」
「仲間を傷付けた落とし前をここで付けるぜっ!」

シオンの配下の強さを見てまた味方が目を見張った。

「何をしている!シオン様を狙った叛逆者を倒す為にここに来たのだろう!シオン様の配下ばかりに手柄を取らすな!帝国騎士団の強さを見せるのだ!!!」

ハッと兵士達も我に返えり雄叫びを上げた。

「「「オオオオォォォォ!!!!!!」」」

そして叫びながら突撃していった。

「一部は陛下の作った氷の階段から城壁に登り、弓隊を倒せ!残りは城門から敵戦力の殲滅だ!!!」

「「おうっ!!!!」」

先にハルとアキが先行し、弓隊を撹乱しているため上から弓矢はほとんど飛んでこない。

帝国騎士団は城門から中に入るとシオンの護衛騎士達を援護した。

「ここの殲滅は帝国騎士団に任せる!オレ達はメイゲン伯爵を探すぞ!」
「了解!!!」

一番手薄な場所を突っきてそのまま街へと駆け出した。敵の数も500前後でほぼ互角だったが、半分が徴兵した平民であり、傭兵も目の前の魔法を見て及び腰だった。

殺る気に満ちた帝国騎士達は敵をどんどん倒していった。

「皇帝陛下、城門の制圧が終わったら一度待機させて下さい。それと降伏する者は殺さないように指示を」

「降伏者の事はわかったが、城門を制圧した後はどうするんだ?」

「恐らくメイゲン伯爵はほとんどの戦力をここに集めたはずです。ここが破られれば、まず自分の屋敷に逃げ込むか、北の国に亡命するでしょう。私の配下の者には、まず北の国境の城門を制圧するように言ってあります」

皇帝はなるほどと頷いた。

「他国に逃げられると面倒だからな。逃げ道を封じたら屋敷に取り敢えず逃げ込むだろうな。だが、秘密の抜け穴とかありそうだ」

「確かに。そういえばバーネット令嬢はどうしました?」

「ああ、帝都の王妃宮にいたから、そのまま身柄を押さえてある」

そうかぁ~
せっかくコレステロール半分のマヨネーズを作ったのになぁ~今度、差し入れに持って行こう。

どうでもいい事を考えていると、城門の戦闘は早々に終結した。
傭兵達は所詮、金で雇われているだけで、旗色が悪くなればすぐに投降した。
他の徴兵された平民もすぐに投降した。

犠牲者は双方合わせても100人も出なかった。

「後の処理は任せます。私はメイゲン伯爵を捕らえに行きます」
「待て待て、オレも一緒に行くぞ。置いていくな」

シオンはゼノンに止められた。

「もうシオンだけで行かせないからな」
「貴方は帝国の皇帝ですよ!帝国で一番尊い方が危険な所へ行くのはどうかと思いますが………」
「それをキミが言うのか?」

そんなやり取りを見ていたゼファー伯爵とブルーネット公爵が苦笑いをしながら間に入った。

「皇帝陛下、それは我々のセリフですぞ?お二人が行くのなら家臣である我々がお供致しましょう」
「お二人共、自身のお立場をお考え下さい」

こうして、帝国の中核を担う重臣達も共に向かう事になった。




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