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怒らせるとお怖いのよ?

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シオンは早目にマリアを休ませると、地下の訓練所に入れる限りの屋敷の護衛達を集結させた。

「さて、お母様が襲われた事は皆が知っていると思う。そして、数ヶ月掛けても、暗殺者を雇っている者が分からないことも、理解はしている。敵国の知らない土地での活動ですものね。でも───」

シオンは周囲を見渡してから言ったです

「あのお優しいお母様が狙われた!絶対に許せないことです!」

「「「はっ!!!!!」」」

メンバーは敬礼して賛同した。

「依頼者が見つけられないのなら、考えを変えましょう!裏稼業の者達を根こそぎ狩っていくのです!そうすれば、段々と狙われている暗殺家業の者達は姿を消していきます!【依頼】を受ける者が居なくなれば依頼者が馬脚を現すかも知れません。依頼者が見つからないなら、依頼を受ける者(暗殺者)を消して行くのです!」

オオオォォォォォォオオ!!!!!!!!

シオンの言葉に会場が歓声に包まれた。

「それと依頼を受ける仲介屋………消しなさい。そして、我々の手の者と入れ替えるのです。そうすれば、敵が網に掛かるのを待てばいい」

不敵に微笑むシオンから目が離せなかった。

「な、なるほど!流石はシオンお嬢様だ!」
「我々は少し慎重になり過ぎていたのかも知れない」
「悪どい事を考えさせたらお嬢にかなう者なんていねぇーぜ!」

オイ!コラ!!!
それって褒めてる???

「お母様には内密で動いてくださいね。裏稼業の者を狙う事は皇帝陛下にも話は通しておきます。他国の我々が大人しくしていると思ったら大間違いだと、愚かな依頼人、ならびに裏稼業の奴らに思い知らせてやりましょう!もしかしたら、常闇の蜘蛛の情報も入るかも知れませんしね」

!?

その場の雰囲気が変わった。

「帝国に潜む闇の者達に思い知らせてやりなさい。竜の尻尾を踏んだ愚かさを。そして誰が帝国の『裏の支配者』なのか、しっかりと思い知らせましょう!」

シオンが手を前に出してポーズを付けると、その場に居た配下の者達は片膝を付いて臣下の礼を取った。

「今回、お母様の護衛だった者にはこの任に付いて貰います。しばらくは帰れないと思いなさい。お母様には今回の罰でしばらく別の任務を与えたと言っておきます」

ハルを始め、他の護衛達の目に炎が灯った。

「明日の朝には荷物をまとめて出立しなさい!いつも通り、各自の定期連絡は欠かさないように。メイド長!無理して仲間を死なせないようバックアップは念入りにね」

「かしこまりました」

こうして、奇しくもジグモやジョロウグモが懸念していた大規模な裏組織の掃討作戦が始まった。

そして、しばらくは、お母様は自宅で招待状の整理と、王妃宮にお客様を招くお茶会に変更した。

「私はお母様の選んだ貴族のお茶会に積極的に参加します。そうすれば、襲われたと噂されても、それに動じず活動していると、逆に認められるでしょうからね」

メイド長がホッとして話した。

「マリア様が王妃宮に滞在するなら、残りの護衛をシオンお嬢様に振り分けれます。万全を尽くしますが、お気を付けて」

「ええ、わかっているわ」

シオンはそれから様々な帝国貴族達と会って話をしていく事になった。
あらかじめお母様が厳選していた貴族ばかりの為、概ね友好的な貴族が多く、やはりシオンを敵にするより友好を結んだ方が得だという認識で一致していた。


こうして、あっという間に20日が過ぎてお母様が帰る日になりました。

「せっかく来て頂いたのに余り屋敷から出られず申し訳ありませんでした」
「いいえ、こちらが突然来たのですから気にしないで。それに次に会えるのは、来年のシオンが王妃になって盛大な結婚式を挙げる時かしら?」

ボンッとシオンが真っ赤になった。

「少し安心したわ。皇帝陛下と良い関係を築いているようでね。シオン、無理だけはしないでね?貴女には頼れる仲間がいる事を忘れてはいけないわ」

「はい!心に刻んでおきます!」

優しい笑みを浮かべながらシオンとマリアは抱き合うと、マリアは名残り惜しいように領地へと帰って行くのだった。







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