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お披露目の演説
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ゼノン皇帝が視線をこちらに向けた。
「さて、みんなも早く会いたいだろう。さぁ!今回の王妃候補達だ!」
大勢の拍手の中、私達は入場した。
「さて、知っている顔もいるだろうが、順番に挨拶して欲しい」
取り敢えず暫定順位で挨拶が始まった。
エリス・ブルーネット公爵令嬢
セラ・ラビット侯爵令嬢
バーネット・メイゲン伯爵令嬢
そして、シオン・オリオン辺境伯令嬢
それぞれの自己紹介と王妃になった時の抱負を語り、拍手で会場が包まれた。
先の令嬢達は帝国貴族で顔が知られている。今回、夜間の参加者達はシオンの順番を待っていた。
「それでは最後に、シオン・オリオン辺境伯令嬢、お願い致します」
壇上の上でシオンが一歩前にでた。
「初めまして。シオン・オリオンです。この度は皇帝陛下の妃候補としてここにいます」
無難な挨拶から始まった。
そして、シオンは各領地の収穫高など調べる事、新たな作物の事など語った、
「無論、全ての領地で受け入れられるとは思ってもいません。それぞれ、痛くもない腹を探られるのは嫌でしょうしね。しかし、この帝国は他国に較べて遅れています!これ以上遅れる事があれば、他国の経済競争に負けて緩やかに滅びる瀬戸際だと認識して下さい!故に、どんな反論があろうと国全体の収穫高をしっかりと把握し、合っていない農作物を作っている領地には別の作物を育ててもらい、各領地の収入を底上げします!すでに、東部では試験的に、新たな作物の大規模な作付けを行っています。民が飢える事がなければ、民も領主を、貴族を敬うでしょうし、収入が上がれば領主達も潤います」
最初のざわめきが無くなり、会場の全ての貴族がシオンの演説に耳を傾けた。
「そして、私が成そうとしている最大の政策として、平民が通える学校の設立です!」
ザワッと初めて会場がざわめいた。
「この帝国では【教育】が他国に比べ1番遅れております。正直、文字の読み書きが出来ないのは問題です」
ここで貴族達から質問が飛んだ。
「別に平民が文字を読み書きできなくても問題ないでしょう?」
シオンは足をダンッと叩いて黙らせた。
「その考えが愚かだと何故気付かないのですか!文字の読み書きが出来れば、契約書に騙される可能性が減ります!作物の収集量を民が計算できるようになるので、文官などの就職先が増えるでしょう!何より知識があれば、長年毒があり食べられ無かった物が、実は食べられる物だと、研究し知ることができたはずです。それでどれだけの民が飢えず済んだか、わかりますかっ!」
シオンの威勢にまた会場が静かになった。
「文字の読み書きだけではないのです!知識を蓄えることができれば、新たなアイディアが生まれると言うこと。1人の知識より大勢の知識が集まった方が、良い案が生まれるのは当然なのはわかりますね?それを国全体で考えて下さい。国の民は貴族より平民の方が多いのです。その民が知識を付ければ、様々な道具や政策、暮らしを少しでも良くする案がたくさん生まれるでしょう。そうやって国とは発展していくのです!」
シーーーン!
「本日、夜間の料理は私が考え考案した物ですが、それから少しでも、味と見た目を良くしようとしたのは料理人です。知識を幅広く公開していく事で、もっとより良い物が生まれると私は信じております」
シオンの演説が終わると会場が割れんばかりの拍手と喝采が起こった。シオンの言葉は多くの貴族達の心を打ったようである。
「素晴らしい!」
「ぜひ私の領地でも実践して欲しいですな!」
「次は私の領地を見にきてください!」
会場全体で拍手が響いたが、特に東部の貴族達から熱烈な歓迎を受けていた。
それから各王妃候補達も壇上か降りて夜会に参加した所、シオンの周りには人垣ができた。
「シオンお姉様、お久しぶりです!」
ルナーリア令嬢は抱きつきたい気持ちを抑えて、ドレスの裾を掴んでカーテシーをして挨拶した。
「お久しぶですルナーリアさんは元気に過ごしていましたか?」
「はい!お陰様で、お父様が新しい派閥を作って東部の盟主になりましたので、お茶会の誘いなど多くきて大変ですが、しっかりとシオンお姉様の活躍はお伝えしてます!」
拳を握ってフンスッと息巻くルナーリアちゃんにシオンはどんな事を話しているのか気になった。
「失礼致します。ゼファー令嬢、ぜひご紹介して頂けないでしょうか?」
貴族の当主だけではなく、同年代の令嬢達も群がってきた。
貴族の当主や子息達はまず、同年代の女性達を向かわせ、どういう対応をするのか伺っている状態だ。
シオンが友好的なのか、否定的な対応をするのか敵国の令嬢ということもあり様子を見ていた。
「シオンお姉様、こちらは同じ東部に領地を構えるご令嬢達です。それと南部で取引のある令嬢も何人かいます」
シオンは丁寧に挨拶するといきなり聞きにくい事から話した。
「南部の貴族とは何度も侵略してきた帝国の兵士として戦をしてきました。当家に家族や兵士を殺された方もいるでしょう。あなた達はそんな私を許せるのですか?」
その言葉で周囲の令嬢達の笑顔が固まるのだった。
「さて、みんなも早く会いたいだろう。さぁ!今回の王妃候補達だ!」
大勢の拍手の中、私達は入場した。
「さて、知っている顔もいるだろうが、順番に挨拶して欲しい」
取り敢えず暫定順位で挨拶が始まった。
エリス・ブルーネット公爵令嬢
セラ・ラビット侯爵令嬢
バーネット・メイゲン伯爵令嬢
そして、シオン・オリオン辺境伯令嬢
それぞれの自己紹介と王妃になった時の抱負を語り、拍手で会場が包まれた。
先の令嬢達は帝国貴族で顔が知られている。今回、夜間の参加者達はシオンの順番を待っていた。
「それでは最後に、シオン・オリオン辺境伯令嬢、お願い致します」
壇上の上でシオンが一歩前にでた。
「初めまして。シオン・オリオンです。この度は皇帝陛下の妃候補としてここにいます」
無難な挨拶から始まった。
そして、シオンは各領地の収穫高など調べる事、新たな作物の事など語った、
「無論、全ての領地で受け入れられるとは思ってもいません。それぞれ、痛くもない腹を探られるのは嫌でしょうしね。しかし、この帝国は他国に較べて遅れています!これ以上遅れる事があれば、他国の経済競争に負けて緩やかに滅びる瀬戸際だと認識して下さい!故に、どんな反論があろうと国全体の収穫高をしっかりと把握し、合っていない農作物を作っている領地には別の作物を育ててもらい、各領地の収入を底上げします!すでに、東部では試験的に、新たな作物の大規模な作付けを行っています。民が飢える事がなければ、民も領主を、貴族を敬うでしょうし、収入が上がれば領主達も潤います」
最初のざわめきが無くなり、会場の全ての貴族がシオンの演説に耳を傾けた。
「そして、私が成そうとしている最大の政策として、平民が通える学校の設立です!」
ザワッと初めて会場がざわめいた。
「この帝国では【教育】が他国に比べ1番遅れております。正直、文字の読み書きが出来ないのは問題です」
ここで貴族達から質問が飛んだ。
「別に平民が文字を読み書きできなくても問題ないでしょう?」
シオンは足をダンッと叩いて黙らせた。
「その考えが愚かだと何故気付かないのですか!文字の読み書きが出来れば、契約書に騙される可能性が減ります!作物の収集量を民が計算できるようになるので、文官などの就職先が増えるでしょう!何より知識があれば、長年毒があり食べられ無かった物が、実は食べられる物だと、研究し知ることができたはずです。それでどれだけの民が飢えず済んだか、わかりますかっ!」
シオンの威勢にまた会場が静かになった。
「文字の読み書きだけではないのです!知識を蓄えることができれば、新たなアイディアが生まれると言うこと。1人の知識より大勢の知識が集まった方が、良い案が生まれるのは当然なのはわかりますね?それを国全体で考えて下さい。国の民は貴族より平民の方が多いのです。その民が知識を付ければ、様々な道具や政策、暮らしを少しでも良くする案がたくさん生まれるでしょう。そうやって国とは発展していくのです!」
シーーーン!
「本日、夜間の料理は私が考え考案した物ですが、それから少しでも、味と見た目を良くしようとしたのは料理人です。知識を幅広く公開していく事で、もっとより良い物が生まれると私は信じております」
シオンの演説が終わると会場が割れんばかりの拍手と喝采が起こった。シオンの言葉は多くの貴族達の心を打ったようである。
「素晴らしい!」
「ぜひ私の領地でも実践して欲しいですな!」
「次は私の領地を見にきてください!」
会場全体で拍手が響いたが、特に東部の貴族達から熱烈な歓迎を受けていた。
それから各王妃候補達も壇上か降りて夜会に参加した所、シオンの周りには人垣ができた。
「シオンお姉様、お久しぶりです!」
ルナーリア令嬢は抱きつきたい気持ちを抑えて、ドレスの裾を掴んでカーテシーをして挨拶した。
「お久しぶですルナーリアさんは元気に過ごしていましたか?」
「はい!お陰様で、お父様が新しい派閥を作って東部の盟主になりましたので、お茶会の誘いなど多くきて大変ですが、しっかりとシオンお姉様の活躍はお伝えしてます!」
拳を握ってフンスッと息巻くルナーリアちゃんにシオンはどんな事を話しているのか気になった。
「失礼致します。ゼファー令嬢、ぜひご紹介して頂けないでしょうか?」
貴族の当主だけではなく、同年代の令嬢達も群がってきた。
貴族の当主や子息達はまず、同年代の女性達を向かわせ、どういう対応をするのか伺っている状態だ。
シオンが友好的なのか、否定的な対応をするのか敵国の令嬢ということもあり様子を見ていた。
「シオンお姉様、こちらは同じ東部に領地を構えるご令嬢達です。それと南部で取引のある令嬢も何人かいます」
シオンは丁寧に挨拶するといきなり聞きにくい事から話した。
「南部の貴族とは何度も侵略してきた帝国の兵士として戦をしてきました。当家に家族や兵士を殺された方もいるでしょう。あなた達はそんな私を許せるのですか?」
その言葉で周囲の令嬢達の笑顔が固まるのだった。
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