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財政の健全化
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バーネットさんは憎しみのこもった目でシオンを睨み付けていた。
『このクソ女め!私になんの怨みがあるのよ!』
「シオンさん、そういう貴女は何を提案するのですかしら?さぞ、素晴らしい提案なんでしょうね!」
嫌味を込めて言った。
シオンはふむ、と少し考えてから、同じ王妃候補達に尋ねた。
「まず、帝国の財政が厳しいのは理解しました。だから王妃を1人にする思惑もあるのでしょう。それ故に同じ王妃候補の皆さんに尋ねます。自分が王妃になった時、数年でいくらほど利益を出すことができますか?具体的な金額を答えて下さい。セラさん、帝国の財政を健全にするには、まず、いくらほどの資金が必要ですか?」
「はい、父が言うには現在の帝国の収益は毎年赤字となっています。入ってくる税収より支出の方が多いのです」
「でっ、いくらほど赤字をだしているのです?」
「毎年、多少の差はありますが、おおよそ、70億Gぐらいです。累計の赤字は考えたくもありませんが………」
それって、各王妃達の出費じゃないのよ?
各王妃達には年間に決まった交遊費と言う名目でお金がでる。使わなければ、それは貯蓄として王妃の資金となる。それが帝国の財政にダメージを与えているらしいね。
「では、各自が先に言った政策で、いくらほど儲けが出ますか?」
3人の王妃候補は悩んだ。
「ちょっと!貴女は何をしようとしているのよ!今は貴女がどんな政策をするのかの場でしょう!」
バーネットが口を挟んだ。
「これは私の政策をお伝えする前に、聞いておかねばならない事です。バーネットさん、貴女はいくら儲けを出せますか?」
シオンの圧力に気圧された。
「わ、私なら先ほどの関税を下げて、安くなった商品を売る場合、下げた関税の差額をだすと、年間約10億Gの儲けは出せるわ」
流石は商売人の家系だ。
バーネットの計算は妥当な所だろう。
次にセラ令嬢が発言した。
「シオンさん、私は税収の健全化が上手くいけば、30~40億Gぐらいの増収は可能だと思います」
うん、どれだけの貴族が不正しているかわからないけど、東部の状況を見るとそれくらいの増収は行けそうだね。しかも、セラさんの政策の良いところは、来年以降かならず増収になると言う所だ。不作などで多少の前後はするだろうが、隠していた税の収入が判明したのだ。次回から極端に隠せなくなる。
エリスだけ悩んでいた。
「正直、私の政策では短期で国の増収は難しいと思う。貿易が上手くいっても、いきなり多くの商品のやり取りはできないもの。少しづつ貿易の量を増やしていくとしても数年では1~5億Gぐらいかしら?」
確かにしっかりと現実が見えている。
みんな中々考えているじゃない!
ここでようやくシオンが自分の意見を伝えた。
「皆さん、しっかりと帝国の状況を見ていますね。しかし、それでは帝国は救えない」
!?
「なら貴女は何を行なうと言うのですか!」
シオンは一呼吸置いてから話した。
「500億Gです」
「はっ?」
バーネットは何を言っているんだと声を出した。
「私は年間500億Gの外貨を稼ぎます」
「「はっーーーーーーー!!!!!????」」
多くの人々から声が上がった。
「そんな嘘を堂々と!恥を知りなさい!」
バーネットは騒ぐが────
「シオン令嬢、具体的にはどうやってだ?」
ゼノン皇帝が楽しそうに聞いてきた。
シオンはハルに指示をだして、外からある物を持ってこさせた。
ハルが部屋の外に出て戻ってくるまでに、先に話しを進めた。
「まずこれを見て下さい」
テーブルにシオンは小瓶を2つ置いた。
「それはなんですの?」
エリスとセラは興味深く見つめた。
「これは、帝国で採れた【砂糖】と【メープルシロップ】です」
!?
「嘘よ!帝国で砂糖なんて採れる訳ないわ!南の王国から持ってきたのでしょう!」
バーネットの言葉にゼノン皇帝が首を振った。すでにシオンが王宮に入り時間ができた事で、ヴァイス侯爵領にあった例の【アレ】が帝都周辺にも、多く自生している事を調べて、大規模な栽培を皇帝に提案していたのだ。
すでに作る工場も実際に見て貰っている。
「それは事実だ。すでにとある作物から砂糖ができる現場を俺自身が確認している」
嘘よ………
すでに皇帝も確認済みなどでは認めざるおえない。
「俺としてはメープルシロップの方が驚いたがな?」
シオンは微笑みながらアキに、各王妃候補の目の前に小瓶を持っていった。
失礼しますと、意外にセラが瓶を開けて、それぞれ匂いを嗅いでから、ひと舐めした。
「間違いなく砂糖だわ。でもメープルシロップとはいったい?蜂蜜とも違う………初めての味だわ」
エリスとバーネットも舐めた。
「これはとある木から採れる樹液なんです。冬の間しか採れない欠点がありますが、木自体は多く生えているのを確認済みです」
「「これが樹液ですって!?」」
驚きの声が上がった。
※補足事項
国の収益で500億Gと言う金額が、少ないかと思われるかもしれませんが、この世界では物価が違うので数倍、価値が高いと思って下さい。
『このクソ女め!私になんの怨みがあるのよ!』
「シオンさん、そういう貴女は何を提案するのですかしら?さぞ、素晴らしい提案なんでしょうね!」
嫌味を込めて言った。
シオンはふむ、と少し考えてから、同じ王妃候補達に尋ねた。
「まず、帝国の財政が厳しいのは理解しました。だから王妃を1人にする思惑もあるのでしょう。それ故に同じ王妃候補の皆さんに尋ねます。自分が王妃になった時、数年でいくらほど利益を出すことができますか?具体的な金額を答えて下さい。セラさん、帝国の財政を健全にするには、まず、いくらほどの資金が必要ですか?」
「はい、父が言うには現在の帝国の収益は毎年赤字となっています。入ってくる税収より支出の方が多いのです」
「でっ、いくらほど赤字をだしているのです?」
「毎年、多少の差はありますが、おおよそ、70億Gぐらいです。累計の赤字は考えたくもありませんが………」
それって、各王妃達の出費じゃないのよ?
各王妃達には年間に決まった交遊費と言う名目でお金がでる。使わなければ、それは貯蓄として王妃の資金となる。それが帝国の財政にダメージを与えているらしいね。
「では、各自が先に言った政策で、いくらほど儲けが出ますか?」
3人の王妃候補は悩んだ。
「ちょっと!貴女は何をしようとしているのよ!今は貴女がどんな政策をするのかの場でしょう!」
バーネットが口を挟んだ。
「これは私の政策をお伝えする前に、聞いておかねばならない事です。バーネットさん、貴女はいくら儲けを出せますか?」
シオンの圧力に気圧された。
「わ、私なら先ほどの関税を下げて、安くなった商品を売る場合、下げた関税の差額をだすと、年間約10億Gの儲けは出せるわ」
流石は商売人の家系だ。
バーネットの計算は妥当な所だろう。
次にセラ令嬢が発言した。
「シオンさん、私は税収の健全化が上手くいけば、30~40億Gぐらいの増収は可能だと思います」
うん、どれだけの貴族が不正しているかわからないけど、東部の状況を見るとそれくらいの増収は行けそうだね。しかも、セラさんの政策の良いところは、来年以降かならず増収になると言う所だ。不作などで多少の前後はするだろうが、隠していた税の収入が判明したのだ。次回から極端に隠せなくなる。
エリスだけ悩んでいた。
「正直、私の政策では短期で国の増収は難しいと思う。貿易が上手くいっても、いきなり多くの商品のやり取りはできないもの。少しづつ貿易の量を増やしていくとしても数年では1~5億Gぐらいかしら?」
確かにしっかりと現実が見えている。
みんな中々考えているじゃない!
ここでようやくシオンが自分の意見を伝えた。
「皆さん、しっかりと帝国の状況を見ていますね。しかし、それでは帝国は救えない」
!?
「なら貴女は何を行なうと言うのですか!」
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「500億Gです」
「はっ?」
バーネットは何を言っているんだと声を出した。
「私は年間500億Gの外貨を稼ぎます」
「「はっーーーーーーー!!!!!????」」
多くの人々から声が上がった。
「そんな嘘を堂々と!恥を知りなさい!」
バーネットは騒ぐが────
「シオン令嬢、具体的にはどうやってだ?」
ゼノン皇帝が楽しそうに聞いてきた。
シオンはハルに指示をだして、外からある物を持ってこさせた。
ハルが部屋の外に出て戻ってくるまでに、先に話しを進めた。
「まずこれを見て下さい」
テーブルにシオンは小瓶を2つ置いた。
「それはなんですの?」
エリスとセラは興味深く見つめた。
「これは、帝国で採れた【砂糖】と【メープルシロップ】です」
!?
「嘘よ!帝国で砂糖なんて採れる訳ないわ!南の王国から持ってきたのでしょう!」
バーネットの言葉にゼノン皇帝が首を振った。すでにシオンが王宮に入り時間ができた事で、ヴァイス侯爵領にあった例の【アレ】が帝都周辺にも、多く自生している事を調べて、大規模な栽培を皇帝に提案していたのだ。
すでに作る工場も実際に見て貰っている。
「それは事実だ。すでにとある作物から砂糖ができる現場を俺自身が確認している」
嘘よ………
すでに皇帝も確認済みなどでは認めざるおえない。
「俺としてはメープルシロップの方が驚いたがな?」
シオンは微笑みながらアキに、各王妃候補の目の前に小瓶を持っていった。
失礼しますと、意外にセラが瓶を開けて、それぞれ匂いを嗅いでから、ひと舐めした。
「間違いなく砂糖だわ。でもメープルシロップとはいったい?蜂蜜とも違う………初めての味だわ」
エリスとバーネットも舐めた。
「これはとある木から採れる樹液なんです。冬の間しか採れない欠点がありますが、木自体は多く生えているのを確認済みです」
「「これが樹液ですって!?」」
驚きの声が上がった。
※補足事項
国の収益で500億Gと言う金額が、少ないかと思われるかもしれませんが、この世界では物価が違うので数倍、価値が高いと思って下さい。
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