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王妃としての心構え

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重苦しい空気の中、ゼノン皇帝が入室した。
シオン達は一斉に立ち上がり、ゼノン皇帝に頭を下げた。

「よく来てくれた。7人中4人も来てくれるとは思っていなかったぞ」

暗に、辞退する奴らが多いと思っていたと言っている。

「さて、ここにいるメンバーで1年後に王妃になる者が決まる。事前に聞いてはいるが、1人1人、王妃になって何をしたいのか発言してもらおうか」

そう言うと現在の序列順で始まった。

「エリス・ブルーネットです。私が王妃になった場合は、南のイリシア王国との貿易の強化と、貴族の取締りを強化します」

この部屋にいるメンバーの視線が集まる。

「エリス、南の貿易の強化とは、具体的にはどうするつもりだ?」

「はい、新しい品々での貿易を考えております。帝国の北西部でやっている羊毛の繊維の衣類など、北の国々に輸出していた製品を、南のイリシア王国と、そこから海外に輸出していきたいと思っています」

ふむ?
シオンやゼノンは考え込んだ。

「まぁ、新しい試みだ。失敗してもフォローするから頑張って欲しい。それと、貴族の取締りについては、どういうことだ?下手をすると、お前の支援している派閥からも反発を受けるぞ?」

「覚悟の上です。最近の貴族の腐敗は目に余ります。憲兵すら機能しておりません。恨まれても、やらねば民が被害を被ります。これが私の覚悟です!」

おおっ!カッコいいよ!?
シオンは感動していた。

貿易はわかるけど、今の腐ったイリシア王国の王族は許可しないだろうなぁ~~

それ以外は良かったと思うよ。
シオンは、うんうんと頷いて拍手を送った。

次はセラ・ラビット侯爵令嬢だった。バーネット令嬢と順位が入れ替わっている。

「はい、私が王妃になったあかつきには、内政の強化に務めたいと思っています」

「具体的にはどうするつもりだ?」

「現在、税を不正に誤魔化している貴族が多いです。王宮内に専門の部署を作り、1度各領地の税の支払額を調査します。そして、王宮の内政の事務官など、今でも文官の数が足りず、手が廻らない状態ですので、優れた人物であれば平民でもどんどん採用していきたいと思っています」

うん、これも良い案ではあるね。
日本でも、江戸時代ぐらいに米の収穫量を調べた【太閤検地】って調査もあったしね。

でも、今の状態では難しいだろうなぁ~~

「ふむ、これも貴族達から反発が強そうだな?」
「私も覚悟の上です。このままでは、遠からず帝国は【財政破綻】しますので」

!?

マジで!???
なるほど、それで二人は貿易と内政強化で、税収などを増やそうとしているのか。

次にバーネット・メイゲン伯爵令嬢だが、バーネット令嬢は無難に、領地が面している北の貿易を増やそうと言った。一部の商品の税を下げて、輸入を増やして他国の商品を安く販売できるようにする。
まともな意見ではあるが、それは自分の領地で行える施策であり、王妃として国全体で行う政策とは違うと思った。

「バーネット令嬢、関税を下げると税収は減る。その補填はどうするつもりだ?」

「はい、それは他国の商品を通常より多目に輸入すればカバーできると思います」

はぁ~国の税収を減らして、輸入した商品をそれなりの値段で売って自分が儲けるつもりだろう?
流石にわかりやす過ぎるぞ。

ゼノン皇帝が不機嫌になったが、シオンが助言した。

「すみません。それでは輸入した後、しっかり値下げして売ったかわかりません。関税を下げた輸入品は、国境の目の前に、大型のお店を建てて、国が運営する形の直売所で販売するのがよろしいかと。そうでなければ、不当に販売して利益を得る者がでますので」

いわゆる、【免税店】である。

「ほぅ?それは面白いですな。1度、国が買い入れて、それを商人達に売る。そこから商人達が上乗せして利益が出るように各地に運んで売る訳ですか。近くに住む者なら、直接買いに行っても良いですし、悪くない案かも知れません!」

宰相さんが強く賛同してくれた。
エリスは、そんな考えがあるのかと頷き、セラさんは、目をキラキラさせて素晴らしい案だわと、宰相さんと同じく賛同してくれた。

バーネットさんは、憎しみの目でシオンを睨み付けていた。

なんかゴメンよ~~~!!!!



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