30 / 106
出会い
しおりを挟む
リオンが王宮に行ってから数日して戻ってきた。早馬で半日といえ、帰りは途中で休みながら戻った為だ。無論、シオンはそれも折込み済で、リオンの帰りを待っていた。
リオンが戻ってきたのは昼になる前ぐらいだった。
「お嬢!ただいま戻りました!」
宿屋の部屋に入るとリオンは元気よく挨拶した。
「お帰りなさい。それで陛下の許可は貰えたのでしょうね?」
リオンは部屋を見渡すと、全員が揃っていた。
「みんな揃っているんですね。それなら──」
リオンは一呼吸置いて──
「お嬢様ーーーー!!!!マジで勘弁して下さい!?まさか皇帝陛下から皇帝代理のメダルをもらっているなんて聞いてませんよ!?」
うわぁぁぁぁぁぁっん!!!!!
緊張の糸が切れたのか、シオンの足にしがみついて泣いた。
「ちょっと落ち着いて!?」
「コラ!リオン!?なんて羨ま──不敬だぞ!?」
他の騎士が引き離した。
「うるさい!そんな重要なメダルを失くしてみろ!全員が首チョンパなんだぞ!?」
!?
「「お嬢!なんて物を貰ったんですか!!!?」」
リオンの言葉を聞いた他のメンバーも、手のひらを返して、一緒にシオンを責めるのだった。
実に気持ちのよい裏返しである。
「貰ったんじゃないわよ!借りただけよ!それに、身内の恥を見せるんじゃないわよ!?」
シオンが首をクイッとやると入口に知らない騎士が立っていた。
「は、初めまして。皇帝陛下直属の近衛騎士を務めますカノンと申します」
先ほどの騒ぎに驚き顔が引き攣っていた。当然だろう。まさかこんなに、主人と配下の者の距離が近いとは思ってもいなかった。(コメディともいう)
「こちらこそ初めまして。オリオン辺境伯が娘、シオン・オリオンでございます。お見苦しいものをお見せして恥ずかしいですわ」
シオンは挨拶すると、ギランッと仲間達を睨みつけた。皇帝陛下の監視役に身内の恥を見せるな!
それを見たカノンは──
『なかなか鋭い眼光をする令嬢だな。バカ騒ぎだけではなく、締める所はきちんと締めて統制を取っている』
シオンの容姿をマジマジとみて、帝国では珍しい髪色をした美しいシオンに見惚れてしまった。
『これが、最近周囲を騒がせているシオン令嬢か………』
値踏みするかの様に、しばしボーと立ってしまった。そこにシオンが椅子に掛けるよう促した。
「これは失礼しました」
女性をジロジロと見てしまった事に頭を下げた。
「構いません。それより本題に入りましょう。皇帝陛下の【代理任命証】は貰えたのですよね?」
「はい、この筒に丸めて入っています」
シオンに渡した。
「よし!それでは今夜、伯爵家に乗り込んでクズドラ息子をブッ殺すわよ!」
「「おおっーーー!!!!!」」
威勢よく声を張り上げるシオン達に、またカノンの顔が引きつった。
「こらこら、ぶっ殺してはダメですよ?」
ハルが注意した。
おおっ!流石は慈愛のハルと呼ばれているだけあるよ♪
「あのゴミクズドラ息子は、半殺し×半殺しにして、回復魔法を何度もかけて、生きていた事を後悔させましょう!」
あ、半殺しと回復魔法を、かけるを、かけてます♪
恐っ!?慈愛のハルちゃんどこ行った!??
「それって全殺しって意味じゃ………」
今だにシオン達のやり取りに慣れてないカノンは呆然とするのだった。
リオンが戻ってきたのは昼になる前ぐらいだった。
「お嬢!ただいま戻りました!」
宿屋の部屋に入るとリオンは元気よく挨拶した。
「お帰りなさい。それで陛下の許可は貰えたのでしょうね?」
リオンは部屋を見渡すと、全員が揃っていた。
「みんな揃っているんですね。それなら──」
リオンは一呼吸置いて──
「お嬢様ーーーー!!!!マジで勘弁して下さい!?まさか皇帝陛下から皇帝代理のメダルをもらっているなんて聞いてませんよ!?」
うわぁぁぁぁぁぁっん!!!!!
緊張の糸が切れたのか、シオンの足にしがみついて泣いた。
「ちょっと落ち着いて!?」
「コラ!リオン!?なんて羨ま──不敬だぞ!?」
他の騎士が引き離した。
「うるさい!そんな重要なメダルを失くしてみろ!全員が首チョンパなんだぞ!?」
!?
「「お嬢!なんて物を貰ったんですか!!!?」」
リオンの言葉を聞いた他のメンバーも、手のひらを返して、一緒にシオンを責めるのだった。
実に気持ちのよい裏返しである。
「貰ったんじゃないわよ!借りただけよ!それに、身内の恥を見せるんじゃないわよ!?」
シオンが首をクイッとやると入口に知らない騎士が立っていた。
「は、初めまして。皇帝陛下直属の近衛騎士を務めますカノンと申します」
先ほどの騒ぎに驚き顔が引き攣っていた。当然だろう。まさかこんなに、主人と配下の者の距離が近いとは思ってもいなかった。(コメディともいう)
「こちらこそ初めまして。オリオン辺境伯が娘、シオン・オリオンでございます。お見苦しいものをお見せして恥ずかしいですわ」
シオンは挨拶すると、ギランッと仲間達を睨みつけた。皇帝陛下の監視役に身内の恥を見せるな!
それを見たカノンは──
『なかなか鋭い眼光をする令嬢だな。バカ騒ぎだけではなく、締める所はきちんと締めて統制を取っている』
シオンの容姿をマジマジとみて、帝国では珍しい髪色をした美しいシオンに見惚れてしまった。
『これが、最近周囲を騒がせているシオン令嬢か………』
値踏みするかの様に、しばしボーと立ってしまった。そこにシオンが椅子に掛けるよう促した。
「これは失礼しました」
女性をジロジロと見てしまった事に頭を下げた。
「構いません。それより本題に入りましょう。皇帝陛下の【代理任命証】は貰えたのですよね?」
「はい、この筒に丸めて入っています」
シオンに渡した。
「よし!それでは今夜、伯爵家に乗り込んでクズドラ息子をブッ殺すわよ!」
「「おおっーーー!!!!!」」
威勢よく声を張り上げるシオン達に、またカノンの顔が引きつった。
「こらこら、ぶっ殺してはダメですよ?」
ハルが注意した。
おおっ!流石は慈愛のハルと呼ばれているだけあるよ♪
「あのゴミクズドラ息子は、半殺し×半殺しにして、回復魔法を何度もかけて、生きていた事を後悔させましょう!」
あ、半殺しと回復魔法を、かけるを、かけてます♪
恐っ!?慈愛のハルちゃんどこ行った!??
「それって全殺しって意味じゃ………」
今だにシオン達のやり取りに慣れてないカノンは呆然とするのだった。
26
お気に入りに追加
48
あなたにおすすめの小説
【連載版】「すまない」で済まされた令嬢の数奇な運命
玉響なつめ
恋愛
アナ・ベイア子爵令嬢はごくごく普通の貴族令嬢だ。
彼女は短期間で二度の婚約解消を経験した結果、世間から「傷物令嬢」と呼ばれる悲劇の女性であった。
「すまない」
そう言って彼らはアナを前に悲痛な顔をして別れを切り出す。
アナの方が辛いのに。
婚約解消を告げられて自己肯定感が落ちていた令嬢が、周りから大事にされて気がついたら愛されていたよくあるお話。
※こちらは2024/01/21に出した短編を長編化したものです
※小説家になろう・カクヨムにも掲載しています
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
不憫な推しキャラを救おうとしただけなのに【魔法学園編 突入☆】
はぴねこ
BL
魔法学園編突入! 学園モノは読みたいけど、そこに辿り着くまでの長い話を読むのは大変という方は、魔法学園編の000話をお読みください。これまでのあらすじをまとめてあります。
美幼児&美幼児(ブロマンス期)からの美青年×美青年(BL期)への成長を辿る長編BLです。
金髪碧眼美幼児のリヒトの前世は、隠れゲイでBL好きのおじさんだった。
享年52歳までプレイしていた乙女ゲーム『星鏡のレイラ』の攻略対象であるリヒトに転生したため、彼は推しだった不憫な攻略対象:カルロを不運な運命から救い、幸せにすることに全振りする。
見た目は美しい王子のリヒトだが、中身は52歳で、両親も乳母も護衛騎士もみんな年下。
気軽に話せるのは年上の帝国の皇帝や魔塔主だけ。
幼い推しへの高まる父性でカルロを溺愛しつつ、頑張る若者たち(両親etc)を温かく見守りながら、リヒトはヒロインとカルロが結ばれるように奮闘する!
リヒト… エトワール王国の第一王子。カルロへの父性が暴走気味。
カルロ… リヒトの従者。リヒトは神様で唯一の居場所。リヒトへの想いが暴走気味。
魔塔主… 一人で国を滅ぼせるほどの魔法が使える自由人。ある意味厄災。リヒトを研究対象としている。
オーロ皇帝… 大帝国の皇帝。エトワールの悍ましい慣習を嫌っていたが、リヒトの利発さに興味を持つ。
ナタリア… 乙女ゲーム『星鏡のレイラ』のヒロイン。オーロ皇帝の孫娘。カルロとは恋のライバル。
妹に全部取られたけど、幸せ確定の私は「ざまぁ」なんてしない!
石のやっさん
恋愛
マリアはドレーク伯爵家の長女で、ドリアーク伯爵家のフリードと婚約していた。
だが、パーティ会場で一方的に婚約を解消させられる。
しかも新たな婚約者は妹のロゼ。
誰が見てもそれは陥れられた物である事は明らかだった。
だが、敢えて反論もせずにそのまま受け入れた。
それはマリアにとって実にどうでも良い事だったからだ。
主人公は何も「ざまぁ」はしません(正当性の主張はしますが)ですが...二人は。
婚約破棄をすれば、本来なら、こうなるのでは、そんな感じで書いてみました。
この作品は昔の方が良いという感想があったのでそのまま残し。
これに追加して書いていきます。
新しい作品では
①主人公の感情が薄い
②視点変更で読みずらい
というご指摘がありましたので、以上2点の修正はこちらでしながら書いてみます。
見比べて見るのも面白いかも知れません。
ご迷惑をお掛けいたしました
全裸で異世界に呼び出しておいて、国外追放って、そりゃあんまりじゃないの!?
猿喰 森繁
恋愛
私の名前は、琴葉 桜(ことのは さくら)30歳。会社員。
風呂に入ろうと、全裸になったら異世界から聖女として召喚(という名の無理やり誘拐された被害者)された自分で言うのもなんだけど、可哀そうな女である。
日本に帰すことは出来ないと言われ、渋々大人しく、言うことを聞いていたら、ある日、国外追放を宣告された可哀そうな女である。
「―――サクラ・コトノハ。今日をもって、お前を国外追放とする」
その言葉には一切の迷いもなく、情けも見えなかった。
自分たちが正義なんだと、これが正しいことなのだと疑わないその顔を見て、私はムクムクと怒りがわいてきた。
ずっと抑えてきたのに。我慢してきたのに。こんな理不尽なことはない。
日本から無理やり聖女だなんだと、無理やり呼んだくせに、今度は国外追放?
ふざけるのもいい加減にしろ。
温厚で優柔不断と言われ、ノーと言えない日本人だから何をしてもいいと思っているのか。日本人をなめるな。
「私だって好き好んでこんなところに来たわけじゃないんですよ!分かりますか?無理やり私をこの世界に呼んだのは、あなたたちのほうです。それなのにおかしくないですか?どうして、その女の子の言うことだけを信じて、守って、私は無視ですか?私の言葉もまともに聞くおつもりがないのも知ってますが、あなたがたのような人間が国の未来を背負っていくなんて寒気がしますね!そんな国を守る義務もないですし、私を国外追放するなら、どうぞ勝手になさるといいです。
ええ。
被害者はこっちだっつーの!
錬金術師カレンはもう妥協しません
山梨ネコ
ファンタジー
「おまえとの婚約は破棄させてもらう」
前は病弱だったものの今は現在エリート街道を驀進中の婚約者に捨てられた、Fランク錬金術師のカレン。
病弱な頃、支えてあげたのは誰だと思っているのか。
自棄酒に溺れたカレンは、弾みでとんでもない条件を付けてとある依頼を受けてしまう。
それは『血筋の祝福』という、受け継いだ膨大な魔力によって苦しむ呪いにかかった甥っ子を救ってほしいという貴族からの依頼だった。
依頼内容はともかくとして問題は、報酬は思いのままというその依頼に、達成報酬としてカレンが依頼人との結婚を望んでしまったことだった。
王都で今一番結婚したい男、ユリウス・エーレルト。
前世も今世も妥協して付き合ったはずの男に振られたカレンは、もう妥協はするまいと、美しく強く家柄がいいという、三国一の男を所望してしまったのだった。
ともかくは依頼達成のため、錬金術師としてカレンはポーションを作り出す。
仕事を通じて様々な人々と関わりながら、カレンの心境に変化が訪れていく。
錬金術師カレンの新しい人生が幕を開ける。
※小説家になろうにも投稿中。
【完結】結婚してから三年…私は使用人扱いされました。
仰木 あん
恋愛
子爵令嬢のジュリエッタ。
彼女には兄弟がおらず、伯爵家の次男、アルフレッドと結婚して幸せに暮らしていた。
しかし、結婚から二年して、ジュリエッタの父、オリビエが亡くなると、アルフレッドは段々と本性を表して、浮気を繰り返すようになる……
そんなところから始まるお話。
フィクションです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる