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相談

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クリフト子爵と一緒にワイン店を出ると、子爵の屋敷へ招待された。

護衛騎士は3人連れて残りの一人は伝言の為に宿屋に戻らせた。危険があるかも知れないので、アメリアも一緒にだ。
無論、新しいワインを持っての帰還である。

馬車の中では無言だった。
ゼファー子爵家の屋敷は街の郊外にあるらしく、街の景色を見ながら今後の方針を考えていた。

屋敷に着くとすぐに応接室へ通された。
クリフト子爵は準備してくると言って部屋にはシオンと護衛騎士だけになった。

コソッ
「シオンお嬢様は、どうしてこうもトラブルを犯すのか………」

ハラハラと涙を流す1人の護衛騎士がいた。

「いや、行ったワイン店でたまたま、ここの領主と鉢合わせなんて【偶然】あるわけ無い。トラブルがシオンお嬢様に向かってくるんだよ」
「違うな。お嬢様が、トラブルに向かって突き進んで行くんだよ」

ここにいる護衛騎士達は全員で涙を流しながら、トラブルメーカーのシオンに、これからどうなるのか心配で泣いていた。

「あなた達ね~~!」

なんて不敬な護衛達何でしょう!
まったくもうっ!

そうこうしている間にクリフト子爵が入ってきた。

「お待たせして申し訳ない。それでは詳しいお話を聞かせて頂きたい」

子爵は秘書の方を連れて入ってきた。

「ええ、実は私達はアーク・ダイカーン男爵領から旅して来たのですが、男爵が不正をしていることが露見しまして、皇帝陛下が王宮騎士団を派遣したそうなのです」

!?

「そう……ですか。ついに露見したんですね」

クリフト子爵の反応をみて確信した。

「私達は王宮騎士団が到着する前に旅立ちましたが、早馬である程度の事情を耳にしました。余りにも酷すぎる不正の為に、東部一帯の調査も行うそうです」

シオンは間を置いて尋ねた。

「クリフト子爵も隣の領地で行われていた酷い税の事を知っていましたね?自分の領地でもワインの中身の入れ替えなど不正に手を貸している………ワインは子爵家が主導で行っている産業ですもの。子爵に隠して不正は出来ないですものね?」

シオンの言葉にクリフト子爵は顔をしかめた。

「お嬢!もう少し言い方があるのではないですか!?」

護衛の騎士達は余り子爵怒らせないようにシオンを注意したが───

「いやはや、シオン令嬢の言う通りですよ。弁解の余地もない………」

子爵は全てに観念したかの様に悲しげに目を伏せた。

「私も少なからず事情を知っているつもりです。この事を言い触らすつもりはありません。ただ教えて下さい。少なくとも、子爵様は街の領民の為にしっかりと善政を敷いているように思えます。そんな方が不正をしてでもお金が必要なのは、寄親であるヴァイス侯爵の献金のせいですか?」

!?

クリフト子爵は驚いた顔でシオンをみた。

「そこまでご存知でしたか。ダイカーン男爵は、侯爵に側近にしてやると唆されて、喜々として不正をしていましたが、私は………娘の為に仕方なくやらざるおえませんでした」

「娘さんの為ですか?」

「はい。私の娘がヴァイス侯爵の縁ある伯爵家の婚約が決まったのです。うちより上の階級の家に嫁げると言うことで、普通なら喜ばしいことなのですが………」

シオンは手を前に出して止めた。

「ああぁ~~言わなくてもいいわ。だいたい予想できたから」

理由は2つ。
格上の伯爵家とその後ろにいる侯爵には逆らえない状態だった。

結婚する嫁入りの結納金が莫大な金額を請求された。

シオン上げた説明で、子爵はその通りですと答えた。

「それで、伯爵家の子息の人柄はどうなのよ?」
「………最悪の人格です。女遊びが激しく、ギャンブル好きという。できれば断りたい相手なのです。年も10歳以上離れていますしね」

ちなみに伯爵家のドラ息子32歳
子爵令嬢17歳

「うげっ、それ絶対に不良物件を売り付けられてるじゃない。その年で今まで結婚していないのは、性格に難があって誰も相手が居なかったからでしょう!」

「おっしゃる通りです。しかし、この東部ではヴァイス侯爵に逆らうと商売ができなくなります。隣の領主達から取引きを禁止されたりするので逆らえないのです」

「うわぁ~最悪!ヴァイス侯爵は。金にがめついとは聞いていたけどね~」

子爵は顔を下げて上げることが出来なかった。
そこに秘書の方が口を出した。

「確かに我々のしている事は最低な行いだと理解しています。ここ1年はヴァイス侯爵の娘さんが皇帝の妃に選ばれたので、応援する為の献金を支払えと命じてきました。クリフト子爵も守るべきものがあるのです。どうか、見逃して頂けないでしょうか!」

秘書の方は土下座して詫びてきた。

「頭を上げてください。最初に言ったのですが今回の事を言い触らすつもりはありません。ただ、この状況を変えたいとは思っているのですよね?」

「それは、まぁ……」

シオンは、それはそれは悪だくみしている顔で子爵と秘書の方を見るのでした。








【護衛騎士達の心の声】
『おい!あれ絶対悪巧みしている顔だろう』
『またトラブル確定だな(泣)』
『俺達、お嬢を帝国に送り届けるだけのはずじゃなかったけ?』
『いや、まぁ、お嬢のことは仕える主として好きではあるのよ?ノリも良いし、素晴らしい主だよ。最高だよ。でもな?』
『わかる!その気持ちわかる!』

『『少しは【自重】してくださいよ!!!』』

悲しい護衛騎士達の明日どっちだ!?

(機会があれば護衛の騎士達にも、そろそろ名前を出しますね)

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