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悪役の役者なんかに負けませんわ♪
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連載中の息抜き(現実逃避中)に書きました。
連載中の『ヒロインは元皇后様!?~あら?生まれ変わりましたわ?~』
第二部の更新はもう少しお待ち下さい。
少しスランプ中~
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
私(わたくし)は、シオン・レッドルビー公爵令嬢と申します。このシャネル王国の3大公爵家の1つの名家であり、私は現王太子であるカール・シャネル王子の婚約者ですの。
残念ながら両親が16歳の時に他界して、暫定当主として必死に頑張ってきました。
たまたま他に適齢年齢の令嬢が居なかったので王子の婚約者に私が選ばれたらしいのですが、最近困った事がありましたの。
現在、18歳の私はもうすぐ卒業してカール様と結婚する予定なのですが、最近私達の周りをウロチョロするピンクの子猿が現れて困っていますの。
いつもはカール様のお姿をみて目の保養をして【楽しんで】いますのに。流石に目障りなってきましたわ。
さて、本日はどんな【情報】が入ってくるのか楽しみですわね♪
そうこうしているうちに卒業パーティの日になりました。
「お嬢様、本日のパーティなのですが──」
優秀な私(わたくし)の侍女が報告して来ました。
「うふふふ、素晴らしいわね♪楽しくなりそうですわ♪」
面白い情報を手に入れた私は1人でパーティ会場に向かいました。
王家主催の【王城】での会場で、豪華絢爛という言葉が似合う精巧に作られた会場に、私は1人で向かいました。
1人で会場に入ってきた私に、知り合いの令嬢達が集まってきました。普通は婚約者などにエスコートされて、ペアで入場するのが普通ですので、心配してくれたのです。
「シオン様、大丈夫ですの?」
「この後、どうされますか?」
「シオン様、お手伝いする事はございますか?」
流石は私が選び抜いたご友人達ですわね。
殆どの令嬢はすでにこの後の『予定』を聞いているのでしょう。
うふふふ、大丈夫ですわ。
私(わたくし)は【友人】を大切にするのが自慢ですのよ?
私は友人達に囲まれながら雑談を楽しんでいると、婚約者のカール王子がピンク色の子猿を連れてやって来ました。
「まぁ、なんですの?あの下品なドレスは?」
私の周りにいた令嬢の1人が顔をしかめました。ピンクの子猿…………失礼、ピンク色の髪を靡かせて、ドレスまでピンク色でフリルが沢山付いた奇抜な?可愛いの?子供っぽい?
とにかく表現の難しいデザインのドレスを着たピンクの子猿がカール王子の腕にぶら下がりながらやってきました。
この私に表現できない格好で来場だなんて、やりますわね!(褒めて差し上げますわ)
カール王子はピンクの子猿を連れてパーティ会場の前に設置してあった壇上に上がりました。
「みんなに聞いて欲しい事がある!」
なんだ?なんだ?と、会場にいた観衆の目が集まります。
「今、ここにシオン・レッドルビー公爵令嬢との婚約を破棄すると宣言する!」
あらあら!?
本当に宣言しましたわ♪
…………本当に面白いですわね。
ここは是非とも、舞台に乗りませんとね!
「カール王子、自分の言っている意味をわかっていらして?」
「無論、理解している!貴様の傍若無人な振る舞いもこれまでだ!私はお前との婚約を破棄し、ここにいる聖女アリアと婚約し直すと宣言する!」
あら?
あの子猿さんアリアと言うお名前でしたのね。
しかも聖女ってなんでしょうか?
「すみませんが、2つお聞きしても?」
「なんだ!?私の話している時に邪魔をするな!」
私は無視して聞きました。
「まず1つ、聖女とはなんでしょうか?2つ、私の傍若無人な振る舞いとは?」
カール王子は苛立ちながら答えました。
「そんな事も知らないのかっ!聖女とは光魔法の使える希少な人物の事だ。アリアは教会の慈善活動を自主的に行い、多くの怪我人など癒やしている事で民から【聖女】と言われているのだ!」
付け加えるなら、癒やしているのはほぼ全て、お金の持っている商人や貴族なんですけどね。条件の良い患者を優先する事から、お金の無い平民からは疎まれていますわよ?
「はぁ、それで2つ目の質問については?」
カール王子はビシッと指を突き付けて言った。
「貴様が金と権力を使い、聖女アリアに嫉妬して嫌がらせをしただろう!知らないとでも思っていたか!」
はい、知りませんわよ?
何故、やってもいない事を知っているとおっしゃるのかわかりませんわ。
「嫌がらせ……ですか?何の事だかわかりませんわ?」
「ふんっ、アリアから聞いているぞ!人の居ない所でアリアの教科書を破り捨てたり、アリアの物を壊したりしているそうだな!」
「う~ん?私はやってはいませんが、証拠はありまして?」
「アリアの証言が証拠だ!」
ポカーン……………
はっ!?
私(わたくし)とした事が、表情を無くして呆気に取られてしまいましたわ。
ここまでの【珍獣】だったとは知りませんでしたわ。
周囲も居た堪れない空気になって居心地が悪そうでした。
「コホンッ、カール王子よろしいですか?」
「なんだ?罪を認めるのか?」
シオンはビシッと指をさして言ってやりました。
「実は私は、そこの子猿………あ、失礼、聖女アリアに虐められていたのです!」
「はっ?」
カール王子と聖女アリアはポカーンとした。
「ねぇ、そうですわよね?皆様!」
シオンが見渡して言うと、取り巻きの令嬢達がすぐに同意して言ってきた。
「私も見ました!ありもしない嘘を王子達に触れ込み誹謗中傷を言ってました!
「そうです!シオン様が貴族社会の常識を親切に教えて差し上げているのに、勝手に嫌味を言われたと去って行ったりしましたわ!」
「私も見掛けました!シオン様を陥れる為に、教会で治療した人達に嘘の噂を流すよう依頼してましたわ!」
次々に出てくる話にザワザワと周囲が騒がしくなった。聖女アリアの嘘ではなく、本当の事実を言っているからだ。
「煩いぞっ!そんなデタラメが証拠になるかっ!」
「ええ、そうですわ。証拠になりませんわ」
ニッコリと微笑むシオンにカール王子は?マークを浮かべた。
「さっき、王子が言った事を実演しただけです。アリアさんの『証言だけ』では『証拠になりません』のよ?』
あっ!?と、ようやくシオンの言いたい事がわかったのか、カール王子は顔を真っ赤にしてプルプルと怒りに震えた。
「巫山戯るなよ!この悪役令嬢がっ!」
ピクッ
悪役令嬢………ですって?
「……………王子、悪役令嬢とはなんですか?」
ザザッ
空気が変わったのを感じ取った取り巻き達は距離を取った。
「フンッ、これも知らないのか!今、巷で流行っている演劇の話に出てくる令嬢の事だ」
「そうよ!ヒロインである私の邪魔をしてくる悪役令嬢の貴方の事ですわ!」
ピキピキッ!?
「へぇ~そんな『役者の令嬢』がいるのですわね~」
「そうだ!貴様の様に性格の悪く、すぐに揚げ足を取って来るような令嬢の事を言うのだ!」
へぇ~そうなのですね?
そろそろ我慢の限界ですわね。
「1つだけ訂正してもよろしいでしょうか?」
笑顔でシオンが尋ねました。
「はっ!何を訂正すると言うのだ?全て事実であろうが!」
シオンは手を上げた。
すると、周囲の人々のほとんどがシオンの後ろ側へ移動した。
「な、なんだ?」
動揺するカール王子をよそに命令を下した。
「目の前の愚か者を拘束しなさい」
ザザザッ!
素早く周りの騎士達が二人を拘束し、床に押えつけました。
「貴様らどういうつもりだっ!」
「離しなさいよっ!」
喚き散らす二人を冷めた目で見下ろして、騎士に目配りをした。
「な、何をするのよ…………」
剣を取り出した騎士にアリアが怯えた。
「やりなさい」
命令と共にアリアの片腕を斬り落とした。
ギャァァァァァ!!!!
アリアの腕が斬り落とされて、カール王子は真っ青になり急に静かになった。
「そう、それで良いのよ。『珍獣』は観ていて楽しいのだけれど、五月蝿すぎると不快になるものね」
ガタガタ震えながらもカール王子は虚勢を張る様に言った。
「こ、こんな事をして、父上が黙っていないぞ!」
シオンは深いため息をついて周囲を見渡した。
「国王陛下もすでに私の言う事を聞くしかないのよ。この周りを見てわからない?」
いまいちピンときてないカール王子に説明してあげた。
「すでにこの国は私のモノなのよ。貴方の後ろにいる人達達は無能や汚職にまみれたクズ貴族達の為、私の配下に入るのを断られた者達で、権力も発言力もないわ」
クスリッと笑いながらこの状況を楽しんでいるように優雅に振り向いた。
シオンの後ろには会場の3分の2の貴族達が付いていた。王子の後ろにはわけも分からずその場に留まった貴族のみだった。
フフッ、これまでに弱味を握ったり、賊に襲わせて、それを助ける事で恩を売り、商売を上手くいかないように圧力を掛けて借金を作らせ、さらに無利子でお金を貸して恩を売る。
面白いほど上手く行きましたわ。
ここ最近は戦争などなく、平和が続き貴族達は平和ボケしていたのでしょう。
最初はレッドルビー公爵家の権力を使い事を進めたが、すぐに協力者が増えて動き易くなりましたわ。すでにこの国の力を掌握しているのですから。
「何をバカな事を…………」
クスッ
「この国を動かしているのは、各領地を治めている貴族達よ。国王など居なくても国は廻りますわ。まぁ、でも各自が好き勝手にされては隣国に攻められる口実になりますし、そろそろ王権を渡して貰いましょうか」
サァーと、青い顔を真っ白にしながらガチガチと恐怖に歯を鳴らせた。堂々と反乱を起こすと言っているからだ。
これは誰だ?
いつもニコニコして、与えられた業務をこなし、ただ優雅にお茶を飲むだけの令嬢だったはずだ。
コレハダレダ?
「あらあら?顔が真っ青ですわよ?そろそろお休みになられた方が良いですわ」
ゾクッ!?
それは永遠に眠れと言うことか!?
「ま、待て!オレが悪かった!だから許してくれ!?」
「イヤよ」
!?
「えっ……………」
「別に貴方を許しなどいらないもの。後は私が上手くやるから心配しないでね」
シオンはゆっくりとカール王子近付いた。
「貴方だって害獣を駆除するのに誰の許しなど取らないでしょう?見ている分には貴方は【珍獣】として面白かったのだけれど、飼い主を不快にさせる珍獣などいらないわ」
この時、カールは初めて気付いた。
シオンが自分を人間として見てなかった事を。
「お、オレが何をした…………と……」
婚約破棄した事か?
いや、あの目は他の事で不快に思ったようだ。
「ええ、貴方のミスは私(わたくし)を『悪役令嬢』と言った事ですわ」
「なっ!?そんな事で!」
「そんな事ですって?私、とても傷付きましたわ」
シオンは間を作って言った。
「悪『役』令嬢ってなんですの?私は悪『の』令嬢ですわ。悪役の役者と一緒にしないで………ね?」
その後、シオンは兵士をまとめて国王夫妻を退位に追い込み、辺境の領地でそれなりの暮らしを約束させた。
珍獣、もといカール王子は隣国の10歳以上離れている王族と結婚させ、国から出ていった。
その時のカール王子は泣いて喜んだという。
あの夜からカール王子は離塔に監禁され、バカを治す為に、再教育を受けさられていた。
常識を知り、命の危険から逃れられた事で、カール王子は隣国でささやかな幸せを掴んだ。
聖女アリアは、あの後そのまま簡単な治療をさせて、後日王族の暗殺未遂の主犯として処刑された。
これは不満の溜まっていた民のガス抜きでもあった。
シオンは、この不祥事をネタに教会上層部にメスを入れて、自分の配下を高位の司祭に任命した。そして、今まで以上に手厚い支援を行い、シオンの名の元に、教会は貧困層の助けを行う事で、信用を回復させ、シオンの名声を高めていった。
電撃的に国王が退位し、王族の血を引くレッドルビー公爵の令嬢が『女王』に即位した事に不安に思う者もいたが、各地の領主が認め、いつもと変わらない日常に民はすぐにシオンを認めた。
シオンの名の下で教会が今まで以上に貧困層の救済に取り組んだのも功を奏した。
クズ貴族達も排除し、世代交代させ王国はシオンの名の下に発展していった。
当人である女王となったシオンは優雅にお茶を飲んでいた。
「はぁ、退屈ですわ」
絶対的強者であり勝利者である者の1番の敵は『退屈』である。
だからこそ頭の悪いカール王子と婚約して、遠目から予想外の行動を取るカールを珍獣として見て楽しんでいたに過ぎない。
ただ、シオンは殺戮を楽しむ異常者ではない。
だからこそ最低限、国王夫妻などを殺さず、なるべく穏便に王権を交代させたのだ。
カール王子についても同じ理由であった。
さて、そろそろ王配である者も探さないといけない次期である。
「この国には私を満足させてくれる者は居なかったわね。そろそろ、隣国を…………いえ、大陸を巻き込んだ戦争でも始めましょうか」
シオンはこれからの事を頭の中で想像しながら、真の悪の令嬢は微笑むのだった。
連載中の『ヒロインは元皇后様!?~あら?生まれ変わりましたわ?~』
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私(わたくし)は、シオン・レッドルビー公爵令嬢と申します。このシャネル王国の3大公爵家の1つの名家であり、私は現王太子であるカール・シャネル王子の婚約者ですの。
残念ながら両親が16歳の時に他界して、暫定当主として必死に頑張ってきました。
たまたま他に適齢年齢の令嬢が居なかったので王子の婚約者に私が選ばれたらしいのですが、最近困った事がありましたの。
現在、18歳の私はもうすぐ卒業してカール様と結婚する予定なのですが、最近私達の周りをウロチョロするピンクの子猿が現れて困っていますの。
いつもはカール様のお姿をみて目の保養をして【楽しんで】いますのに。流石に目障りなってきましたわ。
さて、本日はどんな【情報】が入ってくるのか楽しみですわね♪
そうこうしているうちに卒業パーティの日になりました。
「お嬢様、本日のパーティなのですが──」
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「うふふふ、素晴らしいわね♪楽しくなりそうですわ♪」
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王家主催の【王城】での会場で、豪華絢爛という言葉が似合う精巧に作られた会場に、私は1人で向かいました。
1人で会場に入ってきた私に、知り合いの令嬢達が集まってきました。普通は婚約者などにエスコートされて、ペアで入場するのが普通ですので、心配してくれたのです。
「シオン様、大丈夫ですの?」
「この後、どうされますか?」
「シオン様、お手伝いする事はございますか?」
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殆どの令嬢はすでにこの後の『予定』を聞いているのでしょう。
うふふふ、大丈夫ですわ。
私(わたくし)は【友人】を大切にするのが自慢ですのよ?
私は友人達に囲まれながら雑談を楽しんでいると、婚約者のカール王子がピンク色の子猿を連れてやって来ました。
「まぁ、なんですの?あの下品なドレスは?」
私の周りにいた令嬢の1人が顔をしかめました。ピンクの子猿…………失礼、ピンク色の髪を靡かせて、ドレスまでピンク色でフリルが沢山付いた奇抜な?可愛いの?子供っぽい?
とにかく表現の難しいデザインのドレスを着たピンクの子猿がカール王子の腕にぶら下がりながらやってきました。
この私に表現できない格好で来場だなんて、やりますわね!(褒めて差し上げますわ)
カール王子はピンクの子猿を連れてパーティ会場の前に設置してあった壇上に上がりました。
「みんなに聞いて欲しい事がある!」
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あらあら!?
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あら?
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「はぁ、それで2つ目の質問については?」
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「貴様が金と権力を使い、聖女アリアに嫉妬して嫌がらせをしただろう!知らないとでも思っていたか!」
はい、知りませんわよ?
何故、やってもいない事を知っているとおっしゃるのかわかりませんわ。
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「ふんっ、アリアから聞いているぞ!人の居ない所でアリアの教科書を破り捨てたり、アリアの物を壊したりしているそうだな!」
「う~ん?私はやってはいませんが、証拠はありまして?」
「アリアの証言が証拠だ!」
ポカーン……………
はっ!?
私(わたくし)とした事が、表情を無くして呆気に取られてしまいましたわ。
ここまでの【珍獣】だったとは知りませんでしたわ。
周囲も居た堪れない空気になって居心地が悪そうでした。
「コホンッ、カール王子よろしいですか?」
「なんだ?罪を認めるのか?」
シオンはビシッと指をさして言ってやりました。
「実は私は、そこの子猿………あ、失礼、聖女アリアに虐められていたのです!」
「はっ?」
カール王子と聖女アリアはポカーンとした。
「ねぇ、そうですわよね?皆様!」
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「私も見ました!ありもしない嘘を王子達に触れ込み誹謗中傷を言ってました!
「そうです!シオン様が貴族社会の常識を親切に教えて差し上げているのに、勝手に嫌味を言われたと去って行ったりしましたわ!」
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「ええ、そうですわ。証拠になりませんわ」
ニッコリと微笑むシオンにカール王子は?マークを浮かべた。
「さっき、王子が言った事を実演しただけです。アリアさんの『証言だけ』では『証拠になりません』のよ?』
あっ!?と、ようやくシオンの言いたい事がわかったのか、カール王子は顔を真っ赤にしてプルプルと怒りに震えた。
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ピクッ
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「……………王子、悪役令嬢とはなんですか?」
ザザッ
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「そうだ!貴様の様に性格の悪く、すぐに揚げ足を取って来るような令嬢の事を言うのだ!」
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ザザザッ!
素早く周りの騎士達が二人を拘束し、床に押えつけました。
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「な、何をするのよ…………」
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「やりなさい」
命令と共にアリアの片腕を斬り落とした。
ギャァァァァァ!!!!
アリアの腕が斬り落とされて、カール王子は真っ青になり急に静かになった。
「そう、それで良いのよ。『珍獣』は観ていて楽しいのだけれど、五月蝿すぎると不快になるものね」
ガタガタ震えながらもカール王子は虚勢を張る様に言った。
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いまいちピンときてないカール王子に説明してあげた。
「すでにこの国は私のモノなのよ。貴方の後ろにいる人達達は無能や汚職にまみれたクズ貴族達の為、私の配下に入るのを断られた者達で、権力も発言力もないわ」
クスリッと笑いながらこの状況を楽しんでいるように優雅に振り向いた。
シオンの後ろには会場の3分の2の貴族達が付いていた。王子の後ろにはわけも分からずその場に留まった貴族のみだった。
フフッ、これまでに弱味を握ったり、賊に襲わせて、それを助ける事で恩を売り、商売を上手くいかないように圧力を掛けて借金を作らせ、さらに無利子でお金を貸して恩を売る。
面白いほど上手く行きましたわ。
ここ最近は戦争などなく、平和が続き貴族達は平和ボケしていたのでしょう。
最初はレッドルビー公爵家の権力を使い事を進めたが、すぐに協力者が増えて動き易くなりましたわ。すでにこの国の力を掌握しているのですから。
「何をバカな事を…………」
クスッ
「この国を動かしているのは、各領地を治めている貴族達よ。国王など居なくても国は廻りますわ。まぁ、でも各自が好き勝手にされては隣国に攻められる口実になりますし、そろそろ王権を渡して貰いましょうか」
サァーと、青い顔を真っ白にしながらガチガチと恐怖に歯を鳴らせた。堂々と反乱を起こすと言っているからだ。
これは誰だ?
いつもニコニコして、与えられた業務をこなし、ただ優雅にお茶を飲むだけの令嬢だったはずだ。
コレハダレダ?
「あらあら?顔が真っ青ですわよ?そろそろお休みになられた方が良いですわ」
ゾクッ!?
それは永遠に眠れと言うことか!?
「ま、待て!オレが悪かった!だから許してくれ!?」
「イヤよ」
!?
「えっ……………」
「別に貴方を許しなどいらないもの。後は私が上手くやるから心配しないでね」
シオンはゆっくりとカール王子近付いた。
「貴方だって害獣を駆除するのに誰の許しなど取らないでしょう?見ている分には貴方は【珍獣】として面白かったのだけれど、飼い主を不快にさせる珍獣などいらないわ」
この時、カールは初めて気付いた。
シオンが自分を人間として見てなかった事を。
「お、オレが何をした…………と……」
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いや、あの目は他の事で不快に思ったようだ。
「ええ、貴方のミスは私(わたくし)を『悪役令嬢』と言った事ですわ」
「なっ!?そんな事で!」
「そんな事ですって?私、とても傷付きましたわ」
シオンは間を作って言った。
「悪『役』令嬢ってなんですの?私は悪『の』令嬢ですわ。悪役の役者と一緒にしないで………ね?」
その後、シオンは兵士をまとめて国王夫妻を退位に追い込み、辺境の領地でそれなりの暮らしを約束させた。
珍獣、もといカール王子は隣国の10歳以上離れている王族と結婚させ、国から出ていった。
その時のカール王子は泣いて喜んだという。
あの夜からカール王子は離塔に監禁され、バカを治す為に、再教育を受けさられていた。
常識を知り、命の危険から逃れられた事で、カール王子は隣国でささやかな幸せを掴んだ。
聖女アリアは、あの後そのまま簡単な治療をさせて、後日王族の暗殺未遂の主犯として処刑された。
これは不満の溜まっていた民のガス抜きでもあった。
シオンは、この不祥事をネタに教会上層部にメスを入れて、自分の配下を高位の司祭に任命した。そして、今まで以上に手厚い支援を行い、シオンの名の元に、教会は貧困層の助けを行う事で、信用を回復させ、シオンの名声を高めていった。
電撃的に国王が退位し、王族の血を引くレッドルビー公爵の令嬢が『女王』に即位した事に不安に思う者もいたが、各地の領主が認め、いつもと変わらない日常に民はすぐにシオンを認めた。
シオンの名の下で教会が今まで以上に貧困層の救済に取り組んだのも功を奏した。
クズ貴族達も排除し、世代交代させ王国はシオンの名の下に発展していった。
当人である女王となったシオンは優雅にお茶を飲んでいた。
「はぁ、退屈ですわ」
絶対的強者であり勝利者である者の1番の敵は『退屈』である。
だからこそ頭の悪いカール王子と婚約して、遠目から予想外の行動を取るカールを珍獣として見て楽しんでいたに過ぎない。
ただ、シオンは殺戮を楽しむ異常者ではない。
だからこそ最低限、国王夫妻などを殺さず、なるべく穏便に王権を交代させたのだ。
カール王子についても同じ理由であった。
さて、そろそろ王配である者も探さないといけない次期である。
「この国には私を満足させてくれる者は居なかったわね。そろそろ、隣国を…………いえ、大陸を巻き込んだ戦争でも始めましょうか」
シオンはこれからの事を頭の中で想像しながら、真の悪の令嬢は微笑むのだった。
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