悪役令嬢は大好きな絵を描いていたら大変な事になった件について!

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原因は──

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ヒーリング聖教国

大陸中に支部を持ち、1番信仰されている宗教である。シオンの住んでいるイースト王国の国教でもある。

そこの教皇様から直々に、高司教の子供と婚約させませんか?との、口添えの書状が送られてきたのだ。

「はぁ、どうしてヒーリング教会のトップが関わってくるんだ?」

カール公爵の呟きに、リーゼは心当たりがあるらしく目を逸らした。

「………リーゼ?何を知っているのかな?」

珍しくカール公爵の笑顔が怖かった。

「えっーと…………実は──」

夫である公爵に詰め寄られて白状した。

「多分、シオンの描いた『女神と天使』という題材の絵のせいじゃないかなと思いますわ」

公爵は誰かさんのせいで仕事が忙しく、美術館に行っていないのだ。故に、全ての絵を知っている訳ではないのである。

「それはどういう絵なんだ?」
「シオンの描いた女神アルテミス様が聖なる光りから『浮かん』で『見える』絵なのよ」

その一言でカール公爵も納得してしまった。

女神様が絵が飛び出して『見える』と言うのは神官にしてみれば驚愕の事実であり、【聖画】として、ヒーリング教会の国宝認定させてもおかしくないのである。

神の奇跡として、教会に設置されている銅像の様に祈る対象の神仏なのだ。

「それは………ヒーリング教会が確保したいと思うのも頷けるな」

カール公爵は天を仰いだ。
シオンが居れば、幾らでも奇跡の絵を量産できるのだから。

「そうなのよね。女神コーナーといって何枚もの女神様の絵や天使の絵を描いたコーナーを作ったのはやり過ぎだったわ」
「そんな事をしていたのか!!!?」

女神コーナーにはシオンが描いた絵以外にも女神の銅像や彫刻など集めて、神殿に似せた部屋を作り、ステンドグラスから神聖っぽい光りの演出もしていたのだ。

「今では『信徒巡礼』の部屋になって混雑しているのよね。みんな祈るから動かないので」
「当然だろう!早く部屋を撤去するんだ!」

そういうカール公爵にリーゼは首を降った。

「今、部屋を撤去すると暴動が起きるわよ?」
「それほどなのか…………教皇様が気にする訳だ。あ、もしかして?」

「そうなのよ。【聖徒】認定する打診の書状も混じっていたわ」

これにはリーゼもげんなりしていた。

【聖徒】とは、ヒーリング教会に大変貢献した人物を認定する制度である。
認定されると、教皇様直々に金の杖が渡され、年に1度、それなりの金銭が支給されるのである。

敬虔なる信者なら歓喜する事案であるが、そこまで信仰していない者にとっては、有能な人物を他に渡さない為の鎖になるのである。

「はぁ~さっそく国王様に動いて貰いますか」

カール公爵は何度目かのため息を付いてから、筆を取るのだった。

一方シオンは──

「むふふふ、これはどうよ?」
「くっ、シオンの癖に生意気な!でも、認めるしかないわね。素晴らしいわ!」

シオンが2週間掛けて描いた新作『鉛筆だけで写真のようなリアルな絵』であった。

この超リアルなモノクロ写真のような絵は母リーゼの顔から首元までの絵であった。
美人さんですからね♪

この世界に写真などない。

モノクロとはいえ、生きているような質感の絵などでも驚愕に値するのである。

A4用紙ぐらいの大きさであるが、かなり細かい作業になり時間が掛かるのである。
(ネットでググってみてね。マジで凄いよ!)

この超リアルな絵は3Dアートと同じく、芸術の世界で激震が走り、さらに知名度を上げるのであった。

因みに、リーゼのリアル絵は『永遠の美貌』というタイトルで、貴族の令嬢の世界で話題となるのでした。

「シオン!貴女は本当に天使ですわ♪」

歓喜した母リーゼに抱き染められて、窒息しそうになるのは後の出来事である。





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