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頑張ったよ!
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少し時間は遡る。
産まれたばかりの赤ちゃんであるシオンが危ないと感じたフィーネは急いで助けを求めた。
向かった先は、先ほど部屋から追い出された父親の所であった。
『いたわ!』
廊下を歩いていたシオンの父親であるカール公爵に声を掛けた。
『カール公爵!大変です!』
!?
突然の声に辺りを見渡した。
なんだ?どこから声が………?
『私は………新しく産まれた赤ちゃんに惹かれてやって来た妖精です!その赤ちゃんに危険が迫ってます!知らない侍女が部屋に……急いで下さい!』
一瞬、言い淀んだが、妖精って事にフィーネはした。そしてカール公爵はすぐにシオンの部屋に戻って行った。
『ふぅ~、素直に信じてくれる方で良かったわ』
そう呟いて、フィーネも公爵の後を追った。
ちょうど部屋から出てくる怪しい侍女と出くわした。
『カール公爵!あの侍女です!?』
カール公爵の動きは素早かった。即座に侍女を昏倒させたのだ。
「お前達!」
ビクッ!?
「この者を知っているか?」
・
・
・
・
・
・
・
怪しい侍女の部屋を捜索し、妖精の声に従って哺乳瓶を調べて見ると毒が仕込まれていた。
「………報告を聞こう」
目の前には長年仕えて執事長がいた。
「はい、彼の者はこのバーニングハート公爵家に怨みを持つ者の間者でした」
「そんな事はわかっている!私が知りたいのはその後だ!」
カールは苛立っていた。産まれたばかりの子供を殺されかけたのだから。最悪、妻であるリーゼも………いや、考えたくもない事だ。
「はい。間者の対応としてまず歯を全て抜きました。いつも通り毒が仕込まれていました。そして、命を代価として交渉致しまし所、依頼主を吐きました」
「ほう?今回の間者は甘いな?」
執事長は軽く首を振った。
「いえ、まだ裏付けが取れておりません。こちらを混乱させる為の嘘を述べている可能性があり、情報の確認にしばらくお時間を頂きたいと思います」
執事長の言葉にカール公爵は頷きつつ聞いた。
「それで、依頼主はだれと答えた?」
「………フセイン伯爵と答えました」
カール公爵は一瞬驚いた顔をしたがすぐに平静を取り戻した。
「まさか、長年の親友の名前を上げるとはな?お前の見解を聞かせて欲しい」
「はい、彼の者はアクベイ子爵家からの紹介状を持ってやって来ました。恐らくはあらかじめ嘘の依頼主の名前を言うようにしていたと思っています」
「だろうな。さらに言えば、アクベイ子爵家はスケープゴートだろう。あの家とは商売でも怨みを買っていない。ならば………あそこの寄り親は─」
「アークモン侯爵家ですな」
アークモン侯爵家は代々、黒い噂が絶えない家ではあったが、昔からの名家でもあり、力もかなりある大貴族である。
そして、バーニングハート家と敵対している家でもあった。
「ふぅ、子供が産まれるからと侍女を増やす指示をだした私のミスだな。我が家族に危害を加える者を雇うとは………クソッ」
怒りに震えるカール公爵を執事長が疑問に思っていた質問をした。
「カール様、1つだけよろしいでしょうか?」
「なんだ?」
「どうしてカール様は不審な侍女に気付いたのでしょうか?」
まだ妖精のことを話していたなかった事に気付いた。
「そうだったな。………正直、信じて貰えるかわからないのだが、実は──」
カール公爵は執事長に、自分の身に起こった妖精の声の事を話した。
「なんとも不思議な事もあるものですな。しかし、シオンお嬢様には特別な能力でもあるのかも知れませんね」
完全にではないが、こんなウソをいう方ではないと知っているからこそ、産まれたばかりの赤ちゃんに何かあるのではと思った執事長であった。
「引き続き、屋敷内の警備の強化と周囲の情報収集を豆にしてくれ。シオンの『兄達』にも護衛を着けるように」
執事長は畏まりましたと部屋を後にした。
『ふわぁ~、やっぱりシオンの側にいた方が良さそうね。一緒に寝ましょう』
フィーネはシオンの隣で眠るのだった。
それが新たなトラブルを起こすのは次の日になってからであった。
産まれたばかりの赤ちゃんであるシオンが危ないと感じたフィーネは急いで助けを求めた。
向かった先は、先ほど部屋から追い出された父親の所であった。
『いたわ!』
廊下を歩いていたシオンの父親であるカール公爵に声を掛けた。
『カール公爵!大変です!』
!?
突然の声に辺りを見渡した。
なんだ?どこから声が………?
『私は………新しく産まれた赤ちゃんに惹かれてやって来た妖精です!その赤ちゃんに危険が迫ってます!知らない侍女が部屋に……急いで下さい!』
一瞬、言い淀んだが、妖精って事にフィーネはした。そしてカール公爵はすぐにシオンの部屋に戻って行った。
『ふぅ~、素直に信じてくれる方で良かったわ』
そう呟いて、フィーネも公爵の後を追った。
ちょうど部屋から出てくる怪しい侍女と出くわした。
『カール公爵!あの侍女です!?』
カール公爵の動きは素早かった。即座に侍女を昏倒させたのだ。
「お前達!」
ビクッ!?
「この者を知っているか?」
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怪しい侍女の部屋を捜索し、妖精の声に従って哺乳瓶を調べて見ると毒が仕込まれていた。
「………報告を聞こう」
目の前には長年仕えて執事長がいた。
「はい、彼の者はこのバーニングハート公爵家に怨みを持つ者の間者でした」
「そんな事はわかっている!私が知りたいのはその後だ!」
カールは苛立っていた。産まれたばかりの子供を殺されかけたのだから。最悪、妻であるリーゼも………いや、考えたくもない事だ。
「はい。間者の対応としてまず歯を全て抜きました。いつも通り毒が仕込まれていました。そして、命を代価として交渉致しまし所、依頼主を吐きました」
「ほう?今回の間者は甘いな?」
執事長は軽く首を振った。
「いえ、まだ裏付けが取れておりません。こちらを混乱させる為の嘘を述べている可能性があり、情報の確認にしばらくお時間を頂きたいと思います」
執事長の言葉にカール公爵は頷きつつ聞いた。
「それで、依頼主はだれと答えた?」
「………フセイン伯爵と答えました」
カール公爵は一瞬驚いた顔をしたがすぐに平静を取り戻した。
「まさか、長年の親友の名前を上げるとはな?お前の見解を聞かせて欲しい」
「はい、彼の者はアクベイ子爵家からの紹介状を持ってやって来ました。恐らくはあらかじめ嘘の依頼主の名前を言うようにしていたと思っています」
「だろうな。さらに言えば、アクベイ子爵家はスケープゴートだろう。あの家とは商売でも怨みを買っていない。ならば………あそこの寄り親は─」
「アークモン侯爵家ですな」
アークモン侯爵家は代々、黒い噂が絶えない家ではあったが、昔からの名家でもあり、力もかなりある大貴族である。
そして、バーニングハート家と敵対している家でもあった。
「ふぅ、子供が産まれるからと侍女を増やす指示をだした私のミスだな。我が家族に危害を加える者を雇うとは………クソッ」
怒りに震えるカール公爵を執事長が疑問に思っていた質問をした。
「カール様、1つだけよろしいでしょうか?」
「なんだ?」
「どうしてカール様は不審な侍女に気付いたのでしょうか?」
まだ妖精のことを話していたなかった事に気付いた。
「そうだったな。………正直、信じて貰えるかわからないのだが、実は──」
カール公爵は執事長に、自分の身に起こった妖精の声の事を話した。
「なんとも不思議な事もあるものですな。しかし、シオンお嬢様には特別な能力でもあるのかも知れませんね」
完全にではないが、こんなウソをいう方ではないと知っているからこそ、産まれたばかりの赤ちゃんに何かあるのではと思った執事長であった。
「引き続き、屋敷内の警備の強化と周囲の情報収集を豆にしてくれ。シオンの『兄達』にも護衛を着けるように」
執事長は畏まりましたと部屋を後にした。
『ふわぁ~、やっぱりシオンの側にいた方が良さそうね。一緒に寝ましょう』
フィーネはシオンの隣で眠るのだった。
それが新たなトラブルを起こすのは次の日になってからであった。
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