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法王国の異変!
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少し時間が遡る。
「ええっい!まだイルミナ将軍は見つからんのか!?」
姿をくらませたイルミナ将軍に苛立ちを隠せない教皇は、報告にきた諜報員に当たり散らした!
「も、申し訳ございません!」
「くっ!イルミナもイルミナだ!ここまで育ててやった恩を忘れおって!」
イルミナ将軍のこれまでの実績と、イフリートの愛し子としての価値は高い!その育て親としての地位は決して無視できないのだ。
諜報員を下がらせて、教皇は落ち着きなく部屋を歩き回った。
「各国の調略もことごとくご破算になった今、法王国の最大戦力まで居なくなるのはマズイ!なんとしても見つけ出して、さらに強固な洗脳を施さねば!」
そんな時、苛立つ教皇に声を掛ける者が現れた。
『苛立っているな教皇よ。しかし戦力であれば我らがいるではないか?』
誰もいない部屋に声だけが響き渡る。
「おぬしか。確かにおぬし達の力は有効だ。しかし、暗殺などであれば心強いが、正面切っての戦争では使えぬよ。特にこの国の在り方ではな」
『ふむ?人間とは難儀なものよな。すぐ近くにある力を自由に使えぬとはな』
人をバカにするような言い方で教皇に話掛ける。
「確かに自由とはいかん。しかし使えぬ訳ではないぞ?今後、帝国にしろ、王国にしろ正面からは使えがしかし、事を構えた後で向こうの国の軍隊のみ、魔物が深夜に襲ってきて戦力を削る分には問題ないぞ?」
教皇の影から聞こえてくる声は愉快そうに言った。
『クククッ!教皇のそういう考えは好感が持てる。安心しろ!盟約に基づき、我らは教皇に力を貸そう』
影からの声にようやく落ち着きを取り戻した教皇だったがその時、突然に地震が起こった!
ゴゴゴゴッ!!!!!!
「な、何事だ!?」
地震はすぐに止んだが、遠くから爆音が聞こえていた。すぐに窓の外を見ると─
「ばかなっ!?」
法王国で聖なる山として崇めていた火山が、大噴火をしていたのだ!
モクモクと黒煙と溶岩を吹き出し、周辺の空黒く染めていた。
「いったいどうして…………」
呆然となっている教皇に影からの声が聞こえてきた。
『…………少々マズイかも知れぬな。あの山にはイフリートが居たのだろう?無理矢理、封印を解いたのかもしれん。我が配下の者に見にいかせよう』
影からの声が聞こえなくなると同時に、各関係者が飛び込んできた。
「教皇様大変です!!!!」
指示を仰ぎに大勢の人々がやってきた事で、教皇は身動きが取れなくなってしまった。
『くそっ!私も早く確認しにいかねばならぬのに無能どもが!』
内心で悪態を付きつつも、一切顔に出さず人々に指示をだした。
「落ち着きなさい。神はお怒りですが、人命救助が先です。兵士達に、近隣の人々の避難誘導をさせなさい。蓄えから炊き出しの準備も忘れずに!そして、手の空いている司祭や司教を大聖堂に集めて、祈るように言いなさい!神の怒りを静めるのです!」
教皇は為政者でもあるのだ。決して暗愚ではなく的確に指示を出して人々を導いていった。
これが私利私欲ではなく、本当に人々を思っての行動なら名君となっただろうに。
・
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教皇の住む所は厳密には城ではなく、巨大な教会である。入口から入ると巨大な女神像が建ち並ぶ大聖堂になっており、3千人は収納可能な広間になっていた。その最上階に教皇の住居があるのだ。
そして地下には─
「まったくあの愚か者が…………」
先ほどの影の声の主がそこにいた。
「マイロード!如何されますか?」
声の主は豪華な金の細工がしてある椅子に座っており、その目の前には多くの『魔物』達が膝を付いていた。
「マイロード、所詮は教皇といっても人間です。我らが傀儡に過ぎませんよ」
マイロードと呼ばれた者は長身の人間の男によく似た姿であった。しかし、よくみると耳は尖っており、口には牙が見えていた。そして決め手にはマイロードの眼は真っ赤であった。
「傀儡か………かつて何代か前の教皇と契約を結び、この隠れ家を手に入れ、対価として敵対勢力を葬ることで共存共栄をしてきたが、各四大精霊が目覚めた今、契約を見直さねばならぬな」
マイロードと呼ばれた者はクックックッと、思いだし笑いをして、部下から声を掛けられた。
「マイロード、どうされましたか?ご機嫌がよろしいようですが?」
「いや、なに、我らが闇の者が光の神殿の地下に潜んでいることが滑稽だと思ってな。気にするな」
「さようでしたか。純血のヴァンパイアであるマイロードに敵などいませんが、微力ながら我々も力になる所存です。何卒、なんでもご命令下さい」
部下からの言葉にマイロードと呼ばれたヴァンパイアは指示を出した。
「では我、ノスフェラトゥが命じる。現在、噴火している火山へ赴き、イフリートの状況を確認してくるのだ」
「はっ!」
「それと、帰りには山にいた魔物達に命じて近隣の街や村を襲わせろ。今なら教皇の好きな『神』のせいにできるだろう。そして適当に暴れたら撤退させるのだ。教皇が居もしない神のお陰で魔物が去ったと公開するだろうからな」
「まだ教皇に肩入れするのですか?」
側近の言葉にノスフェラトゥはニヤリッと不気味に嗤うのだった。
「ええっい!まだイルミナ将軍は見つからんのか!?」
姿をくらませたイルミナ将軍に苛立ちを隠せない教皇は、報告にきた諜報員に当たり散らした!
「も、申し訳ございません!」
「くっ!イルミナもイルミナだ!ここまで育ててやった恩を忘れおって!」
イルミナ将軍のこれまでの実績と、イフリートの愛し子としての価値は高い!その育て親としての地位は決して無視できないのだ。
諜報員を下がらせて、教皇は落ち着きなく部屋を歩き回った。
「各国の調略もことごとくご破算になった今、法王国の最大戦力まで居なくなるのはマズイ!なんとしても見つけ出して、さらに強固な洗脳を施さねば!」
そんな時、苛立つ教皇に声を掛ける者が現れた。
『苛立っているな教皇よ。しかし戦力であれば我らがいるではないか?』
誰もいない部屋に声だけが響き渡る。
「おぬしか。確かにおぬし達の力は有効だ。しかし、暗殺などであれば心強いが、正面切っての戦争では使えぬよ。特にこの国の在り方ではな」
『ふむ?人間とは難儀なものよな。すぐ近くにある力を自由に使えぬとはな』
人をバカにするような言い方で教皇に話掛ける。
「確かに自由とはいかん。しかし使えぬ訳ではないぞ?今後、帝国にしろ、王国にしろ正面からは使えがしかし、事を構えた後で向こうの国の軍隊のみ、魔物が深夜に襲ってきて戦力を削る分には問題ないぞ?」
教皇の影から聞こえてくる声は愉快そうに言った。
『クククッ!教皇のそういう考えは好感が持てる。安心しろ!盟約に基づき、我らは教皇に力を貸そう』
影からの声にようやく落ち着きを取り戻した教皇だったがその時、突然に地震が起こった!
ゴゴゴゴッ!!!!!!
「な、何事だ!?」
地震はすぐに止んだが、遠くから爆音が聞こえていた。すぐに窓の外を見ると─
「ばかなっ!?」
法王国で聖なる山として崇めていた火山が、大噴火をしていたのだ!
モクモクと黒煙と溶岩を吹き出し、周辺の空黒く染めていた。
「いったいどうして…………」
呆然となっている教皇に影からの声が聞こえてきた。
『…………少々マズイかも知れぬな。あの山にはイフリートが居たのだろう?無理矢理、封印を解いたのかもしれん。我が配下の者に見にいかせよう』
影からの声が聞こえなくなると同時に、各関係者が飛び込んできた。
「教皇様大変です!!!!」
指示を仰ぎに大勢の人々がやってきた事で、教皇は身動きが取れなくなってしまった。
『くそっ!私も早く確認しにいかねばならぬのに無能どもが!』
内心で悪態を付きつつも、一切顔に出さず人々に指示をだした。
「落ち着きなさい。神はお怒りですが、人命救助が先です。兵士達に、近隣の人々の避難誘導をさせなさい。蓄えから炊き出しの準備も忘れずに!そして、手の空いている司祭や司教を大聖堂に集めて、祈るように言いなさい!神の怒りを静めるのです!」
教皇は為政者でもあるのだ。決して暗愚ではなく的確に指示を出して人々を導いていった。
これが私利私欲ではなく、本当に人々を思っての行動なら名君となっただろうに。
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教皇の住む所は厳密には城ではなく、巨大な教会である。入口から入ると巨大な女神像が建ち並ぶ大聖堂になっており、3千人は収納可能な広間になっていた。その最上階に教皇の住居があるのだ。
そして地下には─
「まったくあの愚か者が…………」
先ほどの影の声の主がそこにいた。
「マイロード!如何されますか?」
声の主は豪華な金の細工がしてある椅子に座っており、その目の前には多くの『魔物』達が膝を付いていた。
「マイロード、所詮は教皇といっても人間です。我らが傀儡に過ぎませんよ」
マイロードと呼ばれた者は長身の人間の男によく似た姿であった。しかし、よくみると耳は尖っており、口には牙が見えていた。そして決め手にはマイロードの眼は真っ赤であった。
「傀儡か………かつて何代か前の教皇と契約を結び、この隠れ家を手に入れ、対価として敵対勢力を葬ることで共存共栄をしてきたが、各四大精霊が目覚めた今、契約を見直さねばならぬな」
マイロードと呼ばれた者はクックックッと、思いだし笑いをして、部下から声を掛けられた。
「マイロード、どうされましたか?ご機嫌がよろしいようですが?」
「いや、なに、我らが闇の者が光の神殿の地下に潜んでいることが滑稽だと思ってな。気にするな」
「さようでしたか。純血のヴァンパイアであるマイロードに敵などいませんが、微力ながら我々も力になる所存です。何卒、なんでもご命令下さい」
部下からの言葉にマイロードと呼ばれたヴァンパイアは指示を出した。
「では我、ノスフェラトゥが命じる。現在、噴火している火山へ赴き、イフリートの状況を確認してくるのだ」
「はっ!」
「それと、帰りには山にいた魔物達に命じて近隣の街や村を襲わせろ。今なら教皇の好きな『神』のせいにできるだろう。そして適当に暴れたら撤退させるのだ。教皇が居もしない神のお陰で魔物が去ったと公開するだろうからな」
「まだ教皇に肩入れするのですか?」
側近の言葉にノスフェラトゥはニヤリッと不気味に嗤うのだった。
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