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見つけた!

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目の前に繰り広げられている残虐ショーに、ベルゼブブも青ざめていた。
ここには産まれたての魔物が多くいるため、まだ数多くの配下の魔物がいるのだが、目の前の冒険者達は余りにも強すぎたのだった。

最初は、上にいる人間や亜人達が世界樹の異変に気付き、ここまで精鋭を送り込んで来たのでは?と思っていたのだが、ウンディーネ達が魔法を使った事で、ようやく正体に気付いたのだった。

「お、お前達はいったい……………はっ!?この魔力はまさか!?」

目の前の圧倒的な魔力に震え上がるベルゼブブだったが、1つだけ解せない事があった。メインで戦っている三人の中で、1番幼い少女が1番魔力が強かったからだ。そしてシオンの放った魔法に驚き、空中へと逃げたのだった。そして頭上からシオンに向かって叫ぶのだった。

「貴様らはまさか四大精霊なのですか!?」

ベルゼブブの声に反応する二人。

「ああっん?だからどうした!死ねよ!」

ノームが飛び上がり攻撃を仕掛けた!

「ひっ!?」

素早さはあるようで、ベルゼブブは攻撃を避けた。

「ちっ!めんどうな!さっさと死ねよ!」

さらに空を飛べるウンディーネが襲い掛かる!

「ユルサナイ!」

赤い水の刃を手に持ち斬り掛かった!

ガギィン!!!

ベルゼブブはギリギリの所でそれを防ぎ、距離を取った。

「ディーネとノームは雑魚を倒して!蝿男は私が相手をするから!」

会話の成り立たない殺戮者モードの二人を下げてシオンが対峙した。

「ベルゼブブ!色々と教えてくれたから、私も少し話をして上げるわ」

ベルゼブブはウンディーネ達が、魔物と戦っているのを確認するとシオンを観察した。

『何者なのだ?』

ベルゼブブの記憶にはシオンの情報は無かった。

「さっき、貴方が言ったように、二人は四大精霊のウンディーネとノームよ!」

!?

「この魔力、まさかとは思いましたが」

自分の予想が最悪な方で当たり、現状のまずさを実感した。

『これはまずいですね。クイーン・アントを利用しても倒せるかどうか………それよりもこの少女はなんなんでしょうか?』

研究者としての探求心からシオンに尋ねた。

「あなたは何者ですか!複数体のゴーレムを召喚し操り、そしてあの恐ろしい魔術はいったいなんなんでしょうか!?」

「私はシオン・シルクード!この四大精霊である二人の契約者よ!」

ババッン!!!

ポーズを取ってキメ顔を決めたシオン。

「なんですって!?人間が四大精霊と契約したですって!しかも二人と!?あり得ませんよ!」

なんて規格外な!信じられないと首を振るベルゼブブであったが、現実をみれば精鋭である魔物達があっさりと屠っている所を見ると信じざる負えない。

「こうなったら仕方がありません!」

ベルゼブブは高速で飛んで行くと、クイーン・アントの側へいき、眠っているクイーン・アントを起こすのだった。

「目覚めなさい!エサの時間ですよ!」

シオンも後を追ったが、魔物達に邪魔されて進めなかった。魔物達はこの部屋に繋がる幾つかの通路から魔物達がどんどん向かってくるため、なかなか数が減らなかった。

「めんどくせーなっ!精霊魔術『土壁』(ブロック)!」

ノームが魔術を唱えると、通路の入口に分厚い壁が出来て、魔物達が入ってこれないようにした。

「ノーム!ナイスよ!」

援軍が止まった事で、シオン達はこの広間いる魔物達をどんどん狩っていった。しかし─

ゴゴゴゴッ!!!!!

ついにクイーン・アントが目覚めた。

「四大精霊であるシルフィードを喰らったクイーン・アントには貴様らでも無傷では勝てまい!ゆけ!あいつらを喰らえばお前はさらなる力を手にするだろう!」

グギャーーーーーーーーー!!!!!!!!


「ぐっ、なんて声なのよ!」

耳が痛くなるような大声に耳を塞ぐ。
この大きな部屋でもクイーン・アントには小部屋ぐらいしかない。30メートルはある巨体で、ゆっくりと歩き出した。

ドシンッ!ドシンッ!

歩く度に大きな振動が起きた。
そしてシオンは見てしまった。上体を起こした事で、見えなかった所が見えたのだ。

「あれは!?」

クイーン・アントの頭に大きなクリスタルが埋め込まれていたのだ。そして─

「みんな!クイーン・アントの頭を見て!」

皆がクイーン・アントをみるとそこには、クリスタルの中にシルフィードが閉じ込められていた。

「シルフィード!!!?」

これって、よくマンガである魔物を倒せばシルフィードが救えるってことだよね!

よし!やるぞ!!!

広間にい魔物をほとんど倒したシオン達は襲い掛かるクイーン・アントに戦闘態勢を取った!








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