上 下
81 / 104

魔王軍四天王!(二人目)

しおりを挟む
シオン達が地面に穴を開けて下に降りると、意外なものが目に飛び込んできた。
そこは何かの研究施設のようで、大きな部屋になっていたのだ。辺りにはテーブルがあり、フラスコやよくわからない液体の入ったビンなど散乱していた。

「一体なんの研究をしてたのやら....….」
「どうせろくでもない研究に決まっているわよ!」

辺りを調べていると、向こうの方で悲鳴が上がった!

「きゃっ!!!」

どうしたと、皆が集まるとそこには大きな樹の根が壁のようになっており、中がくり貫かれて様々な魔物が培養液?のような液体の中で存在していた。

「…………気持ち悪いな」

魔物はガラスのような物で蓋をされていて、中が見える様になっており、培養液が溢れないようになっていた。

「魔物を培養している?いや、これは─」

ウンディーネはマジマジと見ながらブツブツと言っていた。

「これはもっとヤバイ研究をしているのかも知れないわね」

中を見て廻っていると全容が明らかになってきた。
どうやら魔物の強化を研究しているようであった。

研究所の部屋を出ると、そこは吹き抜けになっており、地上から地下へ垂直へ根を張った、特別に大きな樹の根を中心に、円を描きながら世界樹の根に魔物達が埋められているのだ。
世界樹の根から発せられる光が不気味に見えた。

「まだこの下みたいね。シルフィードの気配がするのは」

吹き抜けの巨大な鍾乳洞になっている地下で、螺旋階段を降りていくシオン達。
高さだけで見れば10階ほどの高さがあった。

「地下にこれ程の空洞があるなんてね。よく崩れないね」
「世界樹の樹の根が小さく根を張って岩盤を固めているからだと思うよ」

周囲を警戒しながら階段を降りて、ようやく最下層にたどり着いた。そこでシオン達はとんでもないものを発見した。

「みんな、大きな声を出しちゃだめだよ!」

最下層には、世界樹の巨大な根の裏側に超巨大な大蟻の魔物が眠っていたのだ!体長30メートルはあるだろう。その大きさは龍ほどあった!

【鑑定】
『クイーン・アント』
大蟻の母にして、精霊を喰らいし者。通常のクイーン・アントとは比べものにならないくらい強くなっている。産まれてくる魔物も強くなっている。

!?

シオンは悲鳴を上げそうになった。

「あ、あぁぁぁ……………」
「シオンどうしたの!?」

シオンの様子がおかしい事に気付いたフローリアはシオンを労り理由を尋ねた。
シオンはクイーン・アントの事をみんなに話した。

「なんじゃと!」
「シッ!声が大きい!」

ノームのように身動きが取れない状態と思っていたが、まさか、巨大な魔物に喰われていたとは………絶望が周囲に漂った。すでにシルフィードは─

「確かに現状は最悪の状態じゃ。しかし、あのクイーン・アントからはシルフィードの気配がするのじゃ。ならば、まだ救える可能性は残されておるはずじゃぞ!」

「確かに完全に消滅していなければ、何とかなるかも知れないわ」

ウンディーネの言葉にノームが同意した。そして、みんなが行動に移そうとした時─

「いえいえ、もうシルフィードは手遅れですよ?クイーン・アントがシルフィードを取り込んでどれだけの年月が経っていると思っているのですか?」

!?

ババッ!!!

百戦錬磨の各自が、その場を飛び去った!

「おほほほ!そんなに警戒しなくてもよろしいですよ」

いつの間に現れたのか、目の前には人と同じ大きさのハエ男が佇んでいた。

【鑑定】
『ベルゼブブ』
魔王四天王の1人。様々な研究をしており、魔王軍の魔物の戦力の増強を担っている。インテリ(研究者)であり魔族では珍しく頭脳戦に長けている。

「魔王軍四天王…………」

シオンの呟きに、ベルゼブブは歓喜した。

「おおっ!まだ幼いのに私の事を知っておられるとは勤勉ですねー?どうですか!私の研究のお手伝いなどしませんか?」

勧誘してきたベルゼブブにシオンはビシッ!と指差して言うのだった。

「私達が来たからにはもうここまでよ!観念なさい!」

ふっ、決まったわ!
内心でキメ顔を決めるシオンだった。

「おおっと、それは怖いですねー?しかし、あなた達の探し人はすでにお亡くなりになっています。どうぞお帰りなさい」

ふざけた態度のベルゼブブにイラッとするシオン。

「貴方の目的はなに!」

自分達の目的がバレている以上、敵の目的を探ろうとしたシオンに、ベルゼブブは思った以上に喰いついてきた。

「おおっ!いいですねー!ここには喋れない魔物ばかりで自慢したかったのですよ!」

ベルゼブブはペラペラと目的を話し出すのだった。

インテリってなんでしたっけ?
(インテリとは自分の知識を自慢したいバカな者達を指します)





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】気づいたら異世界に転生。読んでいた小説の脇役令嬢に。原作通りの人生は歩まないと決めたら隣国の王子様に愛されました

hikari
恋愛
気がついたら自分は異世界に転生していた事に気づく。 そこは以前読んだことのある異世界小説の中だった……。転生をしたのは『山紫水明の中庭』の脇役令嬢のアレクサンドラ。アレクサンドラはしつこくつきまとってくる迷惑平民男、チャールズに根負けして結婚してしまう。 「そんな人生は嫌だ!」という事で、宿命を変えてしまう。アレクサンドラには物語上でも片思いしていた相手がいた。 王太子の浮気で婚約破棄。ここまでは原作通り。 ところが、アレクサンドラは本来の物語に無い登場人物から言い寄られる。しかも、その人物の正体は実は隣国の王子だった……。 チャールズと仕向けようとした、王太子を奪ったディアドラとヒロインとヒロインの恋人の3人が最後に仲違い。 きわめつけは王太子がギャンブルをやっている事が発覚し王太子は国外追放にあう。 ※ざまぁの回には★印があります。

【完結!!】妹と婚約者に虐げられ全てを奪われた光の大聖女は、断罪された後なぜか【シン・魔女】となり、もふもふ殿下の呪いまで解呪し溺愛された件

竹本蘭乃
恋愛
【簡単なあらすじ】 大聖女と国中から愛された私。でも気がつけば、世界最悪の称号【常闇の魔女】と認定された。 父や妹。そして婚約者に暴行され、終いには国民から石を投げつけられて、火あぶりにされてしまう。 悲しくて胸が張り裂けそう……でもその時、太陽に一筋の黒い陰があらわれて、私を連れ去る。 旅の途中、新月の夜に出会う不思議な人物――【新月華の皇太子】 彼との出会いが私の心を大きく動かし、もう、すべてが、止まらないと魂が理解した。 【普通のあらすじ】 神の寵愛をうけた娘が国の安定を司り、発展と平和の象徴――聖女。 その聖女の中でも、百年に一度と言われる大聖女が生まれ落ちた。 名をエリーシア・フォン・ローデックといい、この国の第一王女でもある。 ある時、エリーシアは王家の血筋にちかしい四大公爵家の一つ、ワール公爵家の嫡男であるデレクと婚約をし、仲むつまじく過ごす。 それが一年ほどたった、とある正午に、全ての運命が大きく動き出す。 大聖女たるエリーシアは前日に急激なめまいにより倒れ、気がつけば朝だった。 頭が冴えないまま起床すると、メイドを押しのけ近衛兵が押し寄せやって来る。 何事かとたずねるエリーシアだったが、一切答えずに国王たる父の元へと突き出されてしまう。 困惑するエリーシア。しかしその原因が廊下を歩く時に気がついていた。 そう……聖女の象徴たる〝右手の甲にある聖印〟が無くなっていたのだから。 案の定、その事で国王に問い詰められるが、原因が全くわからない。 ますます混乱するエリーシアの元へと双子の妹、コレットがやって来る。 コレットはエリーシアを抱きしめると、自分がハメたのだとソッと耳打ち。 その意味がわからずさらに困惑した瞬間、婚約者に殴られ床へと血を流し転がってしまう。 そして父たる国王より言い渡される、この国最悪の存在――〝常闇の魔女〟認定。 国中から怨嗟の声を一身に受け、エリーシアは翌日火あぶりの刑に処され、命が消え失せる刹那それは現れる。 悪魔の象徴――厄災の魔女。 それが突如現れ、エリーシアを連れ去ってしまう。 やがて自由になったエリーシアは、知り合った白いもふもふと旅をし、新月の夜に【新月華の皇太子】と出会い恋に落ちる、が……。 二人の行き先に立ち阻む茨の道。それらを乗り越え、二人はどこへ向かうのか。 そして妹のコレットとエリーシアの関係は? 最後に訪れる、絶望と希望は誰の手に? それは物語を見ている、あなただけが知っています。

妻と夫と元妻と

キムラましゅろう
恋愛
復縁を迫る元妻との戦いって……それって妻(わたし)の役割では? わたし、アシュリ=スタングレイの夫は王宮魔術師だ。 数多くの魔術師の御多分に漏れず、夫のシグルドも魔術バカの変人である。 しかも二十一歳という若さで既にバツイチの身。 そんな事故物件のような夫にいつの間にか絆され絡めとられて結婚していたわたし。 まぁわたしの方にもそれなりに事情がある。 なので夫がバツイチでもとくに気にする事もなく、わたしの事が好き過ぎる夫とそれなりに穏やかで幸せな生活を営んでいた。 そんな中で、国王肝入りで魔術研究チームが組まれる事になったのだとか。そしてその編成されたチームメイトの中に、夫の別れた元妻がいて……… 相も変わらずご都合主義、ノーリアリティなお話です。 不治の誤字脱字病患者の作品です。 作中に誤字脱字が有ったら「こうかな?」と脳内変換を余儀なくさせられる恐れが多々ある事をご了承下さいませ。 性描写はありませんがそれを連想させるワードが出てくる恐れがありますので、破廉恥がお嫌いな方はご自衛下さい。 小説家になろうさんでも投稿します。

【完結】烏公爵の後妻〜旦那様は亡き前妻を想い、一生喪に服すらしい〜

七瀬菜々
恋愛
------ウィンターソン公爵の元に嫁ぎなさい。 ある日突然、兄がそう言った。 魔力がなく魔術師にもなれなければ、女というだけで父と同じ医者にもなれないシャロンは『自分にできることは家のためになる結婚をすること』と、日々婚活を頑張っていた。 しかし、表情を作ることが苦手な彼女の婚活はそううまくいくはずも無く…。 そろそろ諦めて修道院にで入ろうかと思っていた矢先、突然にウィンターソン公爵との縁談が持ち上がる。 ウィンターソン公爵といえば、亡き妻エミリアのことが忘れられず、5年間ずっと喪に服したままで有名な男だ。 前妻を今でも愛している公爵は、シャロンに対して予め『自分に愛されないことを受け入れろ』という誓約書を書かせるほどに徹底していた。 これはそんなウィンターソン公爵の後妻シャロンの愛されないはずの結婚の物語である。 ※基本的にちょっと残念な夫婦のお話です

【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?

つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。 彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。 次の婚約者は恋人であるアリス。 アリスはキャサリンの義妹。 愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。 同じ高位貴族。 少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。 八番目の教育係も辞めていく。 王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。 だが、エドワードは知らなかった事がある。 彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。 他サイトにも公開中。

悪徳領主の娘に転生しました。『魔法学園恋愛編!』たぶん!

naturalsoft
恋愛
別タイトル『悪徳領主の娘に転生しました。貧乏領地を豊かにします!』 の、続編になります。 前回の幼少期から成長して学園に入学する所から始まります! 果たして、シオンの恋心はどうなるのか? (ファンタジー強めです)

いじめられ続けた挙げ句、三回も婚約破棄された悪役令嬢は微笑みながら言った「女神の顔も三度まで」と

鳳ナナ
恋愛
伯爵令嬢アムネジアはいじめられていた。 令嬢から。子息から。婚約者の王子から。 それでも彼女はただ微笑を浮かべて、一切の抵抗をしなかった。 そんなある日、三回目の婚約破棄を宣言されたアムネジアは、閉じていた目を見開いて言った。 「――女神の顔も三度まで、という言葉をご存知ですか?」 その言葉を皮切りに、ついにアムネジアは本性を現し、夜会は女達の修羅場と化した。 「ああ、気持ち悪い」 「お黙りなさい! この泥棒猫が!」 「言いましたよね? 助けてやる代わりに、友達料金を払えって」 飛び交う罵倒に乱れ飛ぶワイングラス。 謀略渦巻く宮廷の中で、咲き誇るは一輪の悪の華。 ――出てくる令嬢、全員悪人。 ※小説家になろう様でも掲載しております。

側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。

とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」 成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。 「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」 ********************************************        ATTENTION ******************************************** *世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。 *いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。 *R-15は保険です。

処理中です...