上 下
61 / 104

出航!!!

しおりを挟む
次の日になりました。

王都の側には港があり、他国との交易にて利益を上げていた。そして、普段は少し離れた桟橋に停泊されているリュミナス王国の軍艦5隻が、商人達が利用する港に浮かんでいた為に港が騒がしかった。

そして、海龍に襲われボロボロになった船が港に帰投したことも、騒がしい要因であった。

「港にクリス君が乗っていた船が戻って来たって本当!?」

シオンも話を聞きたくて、すぐに飛んでいった。港に着いた船からはすでに乗組員や、乗客達が下船しており、簡易テントなどで休んでいた。

「お願いです!すぐに救援を!!!」
「あの王子様は俺達の身代わりになってくれたんだ!お願いです!海龍の討伐をお願いします!」

一部の乗客が兵士達に懇願していた。

「どうしたの?」

シオンが野次馬に話を聞くと─

「なんでも亜人連合国に使者として向かわれたクリス王子様が海龍に襲われたそうなんだ。その時、クリス王子が自ら囮になって船を逃がしてくれたみたいなんだ。乗客達は感動して、救援を懇願しているって訳だ!」

なるほど。
クリスの勇敢な行動が人々の心を動かしたのね!
シオンは、少し嬉しく思った。一国の王子としての行動では誉められたものではないが、クリスの身を呈した行動は無駄では無かったのだ。

その時シオンは改めてクリス全力で助けると誓うのであった。

ざわざわ
ざわざわ

人々のざわめきが大きくなった。視線をやると国王様の一行が港にやってきたようだ。

「皆の者!騒がしくしてすまぬ!すでに聞き及んでいる者もいるだろうが、海龍が現れた!そして、襲われた船を助けるために、我が息子が囮になった!普通ならもう生きてはいないだろう。しかし!息子には、四大精霊のウンディーネ殿が『護衛』に付いていた。まだ生きている!故に、これから海龍討伐に向かう!」

おおっ!!!!!

港で大歓声が響いた。ああ、そうか!これも国民の不安を払拭するパフォーマンスなんだ!

その時、シオンの肩をグランが叩いた。

「ふむ、あの若き国王も最近になって、荒波に揉まれたお陰で、『国王』としての風格が出てきたのぅ?」

息子のクリスに四大精霊が護衛に付いていることや、強大な魔物である海龍を討伐しにいくなど、国民に取っては頼もしい限りだろうね!

「そうですね。最近は、最初にあった時より頼もしく思えます」

最初は、貴族達に舐められていて、その後は温泉旅館で寛ぐ、ダメダメ国王様だったのにねー?

おっと、こほん!

「今回は5隻の軍艦で出港するようだ。万が一、船が沈んでも別の船で助けられるようにな」

「なるほどね」

シオンはグランに連れられ軍艦に乗った。

「大きいなぁ~」

シオンは大きいと言ったが、通常の船としては中の上といった大きさなのだった。

「今回は速度優先で、中型の軍艦で出航する。そして、ノームの乗る船が1番狙われるので、乗組員と物資は最小限にしてある」

そうだね。1番狙われるのなら仕方ないね。

「船はシオンとノーム殿が乗る船を先頭に、残りは少し離れて▷の形で移動する」
「先頭の船が襲われている時に、後ろから攻撃できるようにですね」

グランは頷くと、国王様の演説も終わったようで、討伐に向かう兵士の乗船も次第に終わっていく。

「シオン君、本来であれば私も討伐に向かいたいのだが、そうもいかぬ事情がある。クリスのことを頼んだぞ!」
「はい!絶対に助けてきます!」

流石に、国王様まで万が一があったら大変だもんね。本当1番助けに行きたいだろうに………

「ええ、それではクリスを助けに参りましょう!」

えっ?なんか場違いな優雅な女性の声が聞こえてきましたよ?

シオンが振り替えると、そこには軽装の服装でたたずむソフィア王妃様と、フレイのお母さんであるレイラ公爵婦人がいました。

どゆこと?


しおりを挟む

処理中です...