12 / 104
密談………そして未来の悪役令嬢登場!
しおりを挟む
王都の貴族街のある屋敷で、ギルド長が門を叩いた。
「これは、これは。ご無沙汰しております。ギルド長殿!」
ギルド長を出迎えたのは、この屋敷を預かる執事長であった。
「先日は、質の良い解熱剤を送って頂きありがとうございました。フレイヤお嬢様の体調がすぐに良くなりましたよ」
「それは良かった。ちょうど質の良い薬草類の安定供給に力を入れている者がいたのでな」
「ほう?それはそれは」
執事長の目の色が変わった。
「この度の訪問はその者の事でしょうか?」
「詳しい話は当主とする。どうせ御主も同席するのだろう?」
執事長はまた、穏やかな顔に戻り応接室へと案内するのだった。
・
・
・
・
・
・
「良く来てくれた!先日は助かった。礼を言う!」
応接室へ入ると、この屋敷の当主がギルド長へ頭を下げた。
「ギルバード殿、公爵家の当主が平民のワシに頭を下げるな。また他のクズ貴族に嫌味を言われるぞ?」
「これは異な事を。かつてスタンピードから王国を救った英雄殿が何を仰いますか。それに、恩を受けた者に礼を言わないのは家名に傷が付きます」
「それは言わんでくれ。あの戦いで大切な盟友を失くしたのでな」
ギルド長は貴族嫌いではあったが、この公爵家の当主だけは例外的に付き合いがあった。
「それにしても、相変わらずじゃのぅ?では、本題に入ろうか。これから話す事は王国の未来にも関わることじゃと心して欲しい」
!?
「それほど重要な案件という事ですか………」
「うむ、実は─」
ギルド長の話は信じられないものであった。正直、想像以上だった。
「信じられない。四大精霊と契約をした五歳の少女。そして人間ばなれしている魔力に、植物を操る能力で領地を救ったとは………」
「しかし、その両親がクズでな。出来れば不正の証拠を掴み失脚させたいのじゃ。御主なら後見人として信用できるしのぅ」
ギルバードは腕を組み思案した。そこにギルド長が提案した。
「1度来てみないか?シルクード領へ。そこに行けばワシの話が真実じゃとわかるぞ」
「確かに、行ってみればわかりますが、流石に片道一週間の辺境には時間的に無理ですよ。代理を行かせるなら出来ますが…………」
『ほう?我が主殿が困っておると言うのに力を貸さんというのかぇ?』
!?
「誰だ!?」
突然の声に驚くと、ギルド長の隣に蒼髪の美しい女性が現れた。
「フフフッ、妾はウンディーネと申す」
!?
「なっ!?」
「我が主殿は頑張り屋でのぅ?まだ五歳だと言うのに寝る間を惜しんで万民の為に頑張っておる。その主殿の為に力を貸さんのかぇ?少し仕置きが必要かのぅ?」
ウンディーネが手に魔力を込める所で、ギルド長が止めた。
「まさか着いてきているとは思いませんでしたぞ?ただギルバード殿も高位貴族として忙しいのじゃ。許して欲しい」
「ふんっ、主以外の人間の都合など知らぬ。それに、時間が無いのであれば『転移』を使えばよい」
!?
「「転移!!!」」
二人は驚きの声を上げた。
「ウンディーネ様はあの伝説の『転移』魔法が使えるのですか!?」
「なんじゃ?人間達には使えない魔法になっておったのかぇ?無論、使えるわ」
ギルド長と公爵はお互いに顔を見て再度尋ねた。
「因みに、何人ぐらい同時に転移出来るのですか?」
「ふむ、軽く千人単位で移動は可能じゃな?主殿と契約を結んだおかげで魔力もたっぷりあるしのぅ?」
唖然…………
二人は余りの事に付いていけず呆けたが、すぐに我に返ると動き出した。
「では、一瞬でシルクードの領地に行けるのですね!」
「うむ、そうじゃ」
「どうして最初に言ってくれなかったのですか?」
「流石の妾も行ったことのない場所には転移出来んのじゃ」
なるほど………
「それでは、さっそく今から行けますか?」
公爵は執事長に出掛ける支度をさせた。
「それより、気になっておったのじゃが、この屋敷に『呪術』に掛かった者がおるのぅ?誰ぞ体調の悪い者がおらんかぇ?」
!?
「呪術ですか?」
公爵も知らない事実に驚いた!
「何か良くない『気』を感じるのじゃ。少し屋敷を見て廻ってもよいか?」
「ぜひ!お願い致します!」
ウンディーネ達が応接室しから出ようとした時、部屋のドアが開いた。
「………お父様?」
ギルバード公爵と同じ赤い髪の少女が入って来た。
「これは、これは。ご無沙汰しております。ギルド長殿!」
ギルド長を出迎えたのは、この屋敷を預かる執事長であった。
「先日は、質の良い解熱剤を送って頂きありがとうございました。フレイヤお嬢様の体調がすぐに良くなりましたよ」
「それは良かった。ちょうど質の良い薬草類の安定供給に力を入れている者がいたのでな」
「ほう?それはそれは」
執事長の目の色が変わった。
「この度の訪問はその者の事でしょうか?」
「詳しい話は当主とする。どうせ御主も同席するのだろう?」
執事長はまた、穏やかな顔に戻り応接室へと案内するのだった。
・
・
・
・
・
・
「良く来てくれた!先日は助かった。礼を言う!」
応接室へ入ると、この屋敷の当主がギルド長へ頭を下げた。
「ギルバード殿、公爵家の当主が平民のワシに頭を下げるな。また他のクズ貴族に嫌味を言われるぞ?」
「これは異な事を。かつてスタンピードから王国を救った英雄殿が何を仰いますか。それに、恩を受けた者に礼を言わないのは家名に傷が付きます」
「それは言わんでくれ。あの戦いで大切な盟友を失くしたのでな」
ギルド長は貴族嫌いではあったが、この公爵家の当主だけは例外的に付き合いがあった。
「それにしても、相変わらずじゃのぅ?では、本題に入ろうか。これから話す事は王国の未来にも関わることじゃと心して欲しい」
!?
「それほど重要な案件という事ですか………」
「うむ、実は─」
ギルド長の話は信じられないものであった。正直、想像以上だった。
「信じられない。四大精霊と契約をした五歳の少女。そして人間ばなれしている魔力に、植物を操る能力で領地を救ったとは………」
「しかし、その両親がクズでな。出来れば不正の証拠を掴み失脚させたいのじゃ。御主なら後見人として信用できるしのぅ」
ギルバードは腕を組み思案した。そこにギルド長が提案した。
「1度来てみないか?シルクード領へ。そこに行けばワシの話が真実じゃとわかるぞ」
「確かに、行ってみればわかりますが、流石に片道一週間の辺境には時間的に無理ですよ。代理を行かせるなら出来ますが…………」
『ほう?我が主殿が困っておると言うのに力を貸さんというのかぇ?』
!?
「誰だ!?」
突然の声に驚くと、ギルド長の隣に蒼髪の美しい女性が現れた。
「フフフッ、妾はウンディーネと申す」
!?
「なっ!?」
「我が主殿は頑張り屋でのぅ?まだ五歳だと言うのに寝る間を惜しんで万民の為に頑張っておる。その主殿の為に力を貸さんのかぇ?少し仕置きが必要かのぅ?」
ウンディーネが手に魔力を込める所で、ギルド長が止めた。
「まさか着いてきているとは思いませんでしたぞ?ただギルバード殿も高位貴族として忙しいのじゃ。許して欲しい」
「ふんっ、主以外の人間の都合など知らぬ。それに、時間が無いのであれば『転移』を使えばよい」
!?
「「転移!!!」」
二人は驚きの声を上げた。
「ウンディーネ様はあの伝説の『転移』魔法が使えるのですか!?」
「なんじゃ?人間達には使えない魔法になっておったのかぇ?無論、使えるわ」
ギルド長と公爵はお互いに顔を見て再度尋ねた。
「因みに、何人ぐらい同時に転移出来るのですか?」
「ふむ、軽く千人単位で移動は可能じゃな?主殿と契約を結んだおかげで魔力もたっぷりあるしのぅ?」
唖然…………
二人は余りの事に付いていけず呆けたが、すぐに我に返ると動き出した。
「では、一瞬でシルクードの領地に行けるのですね!」
「うむ、そうじゃ」
「どうして最初に言ってくれなかったのですか?」
「流石の妾も行ったことのない場所には転移出来んのじゃ」
なるほど………
「それでは、さっそく今から行けますか?」
公爵は執事長に出掛ける支度をさせた。
「それより、気になっておったのじゃが、この屋敷に『呪術』に掛かった者がおるのぅ?誰ぞ体調の悪い者がおらんかぇ?」
!?
「呪術ですか?」
公爵も知らない事実に驚いた!
「何か良くない『気』を感じるのじゃ。少し屋敷を見て廻ってもよいか?」
「ぜひ!お願い致します!」
ウンディーネ達が応接室しから出ようとした時、部屋のドアが開いた。
「………お父様?」
ギルバード公爵と同じ赤い髪の少女が入って来た。
0
お気に入りに追加
199
あなたにおすすめの小説
よくある父親の再婚で意地悪な義母と義妹が来たけどヒロインが○○○だったら………
naturalsoft
恋愛
なろうの方で日間異世界恋愛ランキング1位!ありがとうございます!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
最近よくある、父親が再婚して出来た義母と義妹が、前妻の娘であるヒロインをイジメて追い出してしまう話………
でも、【権力】って婿養子の父親より前妻の娘である私が持ってのは知ってます?家を継ぐのも、死んだお母様の直系の血筋である【私】なのですよ?
まったく、どうして多くの小説ではバカ正直にイジメられるのかしら?
少女はパタンッと本を閉じる。
そして悪巧みしていそうな笑みを浮かべて──
アタイはそんな無様な事にはならねぇけどな!
くははははっ!!!
静かな部屋の中で、少女の笑い声がこだまするのだった。
【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。
つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。
彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。
なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか?
それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。
恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。
その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。
更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。
婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。
生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。
婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。
後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。
「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。
政略結婚で結ばれた夫がメイドばかり優先するので、全部捨てさせてもらいます。
hana
恋愛
政略結婚で結ばれた夫は、いつも私ではなくメイドの彼女を優先する。
明らかに関係を持っているのに「彼女とは何もない」と言い張る夫。
メイドの方は私に「彼と別れて」と言いにくる始末。
もうこんな日々にはうんざりです、全部捨てさせてもらいます。
愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
妹がいなくなった
アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。
メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。
お父様とお母様の泣き声が聞こえる。
「うるさくて寝ていられないわ」
妹は我が家の宝。
お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。
妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?
ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました
杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」
王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。
第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。
確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。
唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。
もう味方はいない。
誰への義理もない。
ならば、もうどうにでもなればいい。
アレクシアはスッと背筋を伸ばした。
そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺!
◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。
◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。
◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。
◆全8話、最終話だけ少し長めです。
恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。
◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。
◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03)
◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます!
9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!
運命の番?棄てたのは貴方です
ひよこ1号
恋愛
竜人族の侯爵令嬢エデュラには愛する番が居た。二人は幼い頃に出会い、婚約していたが、番である第一王子エリンギルは、新たに番と名乗り出たリリアーデと婚約する。邪魔になったエデュラとの婚約を解消し、番を引き裂いた大罪人として追放するが……。一方で幼い頃に出会った侯爵令嬢を忘れられない帝国の皇子は、男爵令息と身分を偽り竜人国へと留学していた。
番との運命の出会いと別離の物語。番でない人々の貫く愛。
※自己設定満載ですので気を付けてください。
※性描写はないですが、一線を越える個所もあります
※多少の残酷表現あります。
以上2点からセルフレイティング
侯爵夫人のハズですが、完全に無視されています
猫枕
恋愛
伯爵令嬢のシンディーは学園を卒業と同時にキャッシュ侯爵家に嫁がされた。
しかし婚姻から4年、旦那様に会ったのは一度きり、大きなお屋敷の端っこにある離れに住むように言われ、勝手な外出も禁じられている。
本宅にはシンディーの偽物が奥様と呼ばれて暮らしているらしい。
盛大な結婚式が行われたというがシンディーは出席していないし、今年3才になる息子がいるというが、もちろん産んだ覚えもない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる