七色の魔弾使い

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庶民には怖い……

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マリンは部屋の中で震えていた。

私は普通の部屋でいいのぉ~~
マリンの部屋は、超が付くほどの高級家具で溢れていた。

「こ、このティーカップ1つでも私のお小遣い1年分はするんじゃ………」

マリンは恐ろしくて不用意に触れなかった。
そんな高級家具に囲われて震えていたのだ。1時間ほどしてメイドが呼びにきた。

「マリン様、シオン様がお呼びです」
「は、はい!すぐに行きます!」

こんな所に居るよりはと、急いで出て行くのだった。

「やあマリン、ゆっくり休めたか?」

招かねたお客と過ごす、大きめの部屋でシオンはお茶を飲んでいた。

「いや~~、部屋の家具が高級過ぎて、壊したらと思うと恐ろしくて動けなかったわ……………」

はぁ~とため息を付きながらマリンは言った。

「別に気にしなくていいぞ?多少壊しても文句など言わないから気楽に過ごしてくれ」

だ~か~ら~~~元々、前世の記憶がある分、庶民には恐ろしいのよぉ~~~

口に出して言えないので、心の中で叫ぶのだった。

「まぁいいや。それでマリン、せっかく来たんだ。うちの庭園を案内しよう」

「庭園ね…………」


正直、マリンは花より団子の方が好きだった。
前世でも花を見ても綺麗だなぁ~と思う程度で、それよりアクセサリーや美味しいデザートの方が好きだったのだ。

シオンにエスコートされて、屋敷の裏庭に出て、しばらく歩くと……………え、もう10分は歩いているんだけど!?

広すぎじゃないの!?

屋敷の裏庭は生け垣が迷路のように作ってあり、少し遠くを見ると、奥には森に繋がっているのが見えた。

「あそこまでは行かないぞ?この生け垣を曲がると池があるんだ」

歩きながら説明を受けると、思った以上の大きな池?が見えてきた。

「ねぇ?池って言うより湖じゃないの!」

シオンとマリンの感覚が違うのか、池?の大きさは全長100メートルはある大きさだった。

「ここから水を引いているんだ。ほら、あそこだ」

シオンの手で示した先には、人が通れるアーチ状の薔薇のトンネルがあった。

「す、すごっ!?」

様々な色の薔薇が絡み合ってその美しさに目を奪われた。ゆっくりとその中を通って行くと、開けた場所があり、現在で言う所のビニールハウスのような建物があった。

「ここは母上が管理していてな。ルビーとよくここで茶会を開いているんだ」

建物の中に入るとテーブルが設置してあり、多少の家具も設置してあった。中から外を見ると美しい薔薇をメインに様々な花が植えてあり、目を楽しませた。

「今日は俺がもてなそう」

シオンはテキパキとお湯を沸かし、ティーカップにお茶を注いだ。

「どうぞ」

静かに置かれたティーカップを少し見ながら口に付けた。

「美味しい!」

どこの茶葉か知らないけど、ほのかに花の香りがした。

「この薔薇園でとれた薔薇のシロップを少量入れてあるんだ。ルビーが好きな紅茶だな」

そうはにかむシオンを見て幸眼だと思った。
これはどんな女子でも落ちるわよね~

最近、免疫がついたマリンだったので特に問題はなかったが、ルビーの苦労も察することができたのだ。

これは女子が群がってくるわよね~
自覚のない美少年に遠い目をしながらルビーの事を思うのだった。



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