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アンステア国
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ケート村からアンステア国へは馬を使っても3日ほどかかるため、その間は簡易テントで過ごしました。
体力が回復するために一緒にテントの中で寝ましょうと提案しても、イルゼはかたくなに拒否。
「イルゼだけが外では申し訳ないですわ」
「いえ、私はお守りすると決めたので」
夜は野獣などもいて危ないとのことで、イルゼは外で見張っててくれました。
そのため朝は少しゆっくりしてもらって、私が木の実や果物などをとり朝食の準備を。
「イルゼ、昼食の準備ができましたよ」
少しうとうとしていたイルゼが目を覚まします。
一緒に朝食をいただいていたところ、急にイルゼが頭を下げました。
「どうしました?」
「このような生活をさせてしまい申し訳ございません。私が王に頭を下げてお城に居つづけていただいたほうが良かったのかもしれません」
「そんなことないですわ」
私の両親も欲がなく、自分たちが稼いだお金は困っている人に寄付したりしていました。
そのためお城に入る前は、おうちこそあれ、基本的に質素な生活をしていたので、こういった生活も全然苦になりません。
それにあのヴェルパス国から離れたら、思っていた以上に気が楽で、こっちの方が断然いいです。
「ケート村のように、人の役に立てている実感が得られるので、外のほうが楽しいですわ。でも」
「でも?」
「イルゼが一緒にいてくれるおかげで、おいしく食べられますし、旅も楽しいですわ」
「ありがとうございます」
イルゼがぱぁぁぁっと表情が明るくなり、くったくのない笑顔になりました。
イルゼが旅をしだしてから表情が豊かになったのは、あのお城のせいかもしれません。
やはりアルトゥール王のもとにいると、何かと気が滅入ることが多く、騎士団長という立場は日々緊張することも多かったのでしょう。
今の笑顔が素敵なイルゼこそ、本来のイルゼなのかも。
そういえば私もあのお城にいるときにあまり笑ったことがないのを思い出しました。
3日目の朝、アンステア国につきました。
海に近いため、船も多く、商人など人の出入りも多いようでした。
「ここもやはり黒い感じがしますわね」
ケート村の領主様から通行証を預かっていたので、国にはすぐに入ることができました。
「ユリアーネ、まずはグレグのお姉さんの家を探しましょう」
ケート村にいた少年グレグのお姉さん、サリーさんは、結婚してこの国に。最初はたまに帰ってきたり、手紙を送ってくれたりしたけれど、急に手紙も来なくなったとのこと。
ケート村の領主様が、アンステア国の悪い噂を聞きだしたころと一致しています。
大きな国でしたが、特徴など聞いていたのでイルゼが何人かに場所を聞いてくれてすぐに見つけることができました。
サリーさんのおうちの前に立ったとき、疲れ切った顔の女性が出てきたのでたずねると、その女性こそがサリーさんでした。
「グレグ、久しぶりに会いたいなぁ」
「どうして会いに行けないのですか?」
「主人の仕事が激減し、本人も落ち込みが激しくて」
ちらっと家の中を心配そうに見るサリーさん。外からでも寝転んでいる男性の足が見えます。
話を聞くと、ご主人と一緒にアンステア国で海外から取り寄せた食器を売っていたとのこと。
しかしあるときからサリーさんのところで売っている食器は質が悪いと噂がたつようになったけれど、誰かが言っているかわからない。
そしてご主人は人間不信になっており、サリーさんも気分が沈む日が増えたのだとか。
「少し考え事をしたいので、一部屋貸していただけませんか?」
聖女のお祈りというのは、町の人たちにはあまり知られていないので、考え事をするといって、お祈りをさせてもらいました。
お祈りをしていると、船、粗悪品、ここら辺とはちがう衣装の人たち、まだら模様の蛇のマークが見えました。
今見たイメージについてサリーさんにたずねましたが、心当たりがないようです。
外に出ると、周りの人から聞き込みをしていたイルゼも帰ってきました。
「見たこともない人が商品を売りつけようとしていたと聞いたくらいで、あまり有力な情報は得られませんでした。一度王様に会ってみたほうが早いかもしれません」
「そうですわね。でもすぐに会えるでしょうか」
「ユリアーネのことは王も知っていると思いますし、私は何度かお会いしたことがありますので訪ねてみてもいいかと思います」
そばで私たちの話を聞いていたサリーさんはきょとんとしていました。
「お二人はただの旅人ではないのですか?」
「いえ、ただの旅人ですわ」
サリーさんは良い人そうだけど、聖女を悪用しようとする人もいるらしいので、あまり素性を話さないほうがいいと、以前イルゼと決めていたのです。
「また詳細がわかったら来ますね」と伝えてお城へ。
立派なお城の前では、門番が立っていましたが、イルゼのことをよく知っていたようで、すぐにパトリック王のところに通してくださいました。
「イルゼ様に、聖女のユリアーネ様もご一緒とは! いかがいたしました」
まだヴェルパス国から追放されたとの話はこちらには来ていないようですわね。
「最近こちらの空気が悪いとの話を聞きやってまいりました」
「おぉ! それはありがたい。とても困っていたのです」
街中で食器などの粗悪品が出回っていること。それを売っていると噂の商人がサリーのご主人だけど、それは間違った噂で、ほかの人が流している可能性が高い。でも町の人たちは噂を進じている。そのほかの人が誰なのかがわからない。
といった内容を聞きました。
先ほど私が見たイメージを伝えると、パトリック王は臣下に地図を持ってこさせました。
「我が国は半分以上を海で囲まれている。船がどこら辺にいるかおわかりでしょうか」
うーん……。
イメージで見ただけなので、なかなか難しいですわね。
「ユリアーネ様の見たグループの服装の特徴から考えると、西の方面からきた可能性が高いですね」
イルゼ、王の前だと旅人のふりをする必要はないので、様付けにもどっていますわね。
それにしても、私のイメージを聞き、パトリック王からの情報も加味して船のある場所の検討をつけたようです。
ヴェルパス国はあまり戦争をしかけられることはありませんでした。
私がお祈りで国を守っていたこともありますが、戦略家で強いイルゼがいるため戦いを挑まれなかったのかもしれません。
「まだ見つけたわけではありません。慎重に行きましょう」
「そこは見落としていました! イルゼ様は頼りになりますな!」
パトリック王やほかの騎士たちを連れてきて一緒に海に行くことに。
商人たちが利用する船着き場より少しずれた位置、崖の下にまだら模様の蛇のマークがある船を発見しました。
「まさかこんなところから入国していたとは……」
パトリック王たちが見当もつかなかった場所で船を見つけて、驚いていました。
私と王は上で待ち、イルゼを先頭に騎士たちが崖を降りて船の中に入ると、詐欺メンバーがいたようです。
歯向かってきたメンバーもいたそうですが、イルゼの素早い動きであっという間につかまったそうで、ロープに縛られて詐欺メンバーは崖の上まで連れてこられました。
「商人たちの評判を悪くして、自分たちの商品を有利に売れるようにしたかったんだ」
詐欺メンバーのリーダーらしき人が王にいいました。
「やはり商人の売っているものが粗悪品というのはデマだったのか。商人のうわさは私が責任をもってデマだったことを証明しよう」
「ありがとうございます」
元々良い商品を売っていたのなら、そのご主人も商売は元に戻ることでしょう。
「お二人のおかげでとても助かりました。このようなお方がいらっしゃるヴェルパス国はうらやましいですな」
追放されているので、なんと申していいのかわからず曖昧に笑っていると、他の騎士が詐欺グループの売ろうとしていた商品を持ってきました。
食器や雑貨など。その中に、水の出る箱が。
水の出る箱?
どこかで見たことあるような……?
考えていると、どこかで聞いたことのあるような声が。
「このクズ女め! だましやがって」
身なりを隠すようにして歩いてきた人がいましたが、どう見てもおひとりはアルトゥール王。
ではもう一人の女性は、私が追放されたときに後ろで笑っていた水の聖女とかいうミューカでした。
体力が回復するために一緒にテントの中で寝ましょうと提案しても、イルゼはかたくなに拒否。
「イルゼだけが外では申し訳ないですわ」
「いえ、私はお守りすると決めたので」
夜は野獣などもいて危ないとのことで、イルゼは外で見張っててくれました。
そのため朝は少しゆっくりしてもらって、私が木の実や果物などをとり朝食の準備を。
「イルゼ、昼食の準備ができましたよ」
少しうとうとしていたイルゼが目を覚まします。
一緒に朝食をいただいていたところ、急にイルゼが頭を下げました。
「どうしました?」
「このような生活をさせてしまい申し訳ございません。私が王に頭を下げてお城に居つづけていただいたほうが良かったのかもしれません」
「そんなことないですわ」
私の両親も欲がなく、自分たちが稼いだお金は困っている人に寄付したりしていました。
そのためお城に入る前は、おうちこそあれ、基本的に質素な生活をしていたので、こういった生活も全然苦になりません。
それにあのヴェルパス国から離れたら、思っていた以上に気が楽で、こっちの方が断然いいです。
「ケート村のように、人の役に立てている実感が得られるので、外のほうが楽しいですわ。でも」
「でも?」
「イルゼが一緒にいてくれるおかげで、おいしく食べられますし、旅も楽しいですわ」
「ありがとうございます」
イルゼがぱぁぁぁっと表情が明るくなり、くったくのない笑顔になりました。
イルゼが旅をしだしてから表情が豊かになったのは、あのお城のせいかもしれません。
やはりアルトゥール王のもとにいると、何かと気が滅入ることが多く、騎士団長という立場は日々緊張することも多かったのでしょう。
今の笑顔が素敵なイルゼこそ、本来のイルゼなのかも。
そういえば私もあのお城にいるときにあまり笑ったことがないのを思い出しました。
3日目の朝、アンステア国につきました。
海に近いため、船も多く、商人など人の出入りも多いようでした。
「ここもやはり黒い感じがしますわね」
ケート村の領主様から通行証を預かっていたので、国にはすぐに入ることができました。
「ユリアーネ、まずはグレグのお姉さんの家を探しましょう」
ケート村にいた少年グレグのお姉さん、サリーさんは、結婚してこの国に。最初はたまに帰ってきたり、手紙を送ってくれたりしたけれど、急に手紙も来なくなったとのこと。
ケート村の領主様が、アンステア国の悪い噂を聞きだしたころと一致しています。
大きな国でしたが、特徴など聞いていたのでイルゼが何人かに場所を聞いてくれてすぐに見つけることができました。
サリーさんのおうちの前に立ったとき、疲れ切った顔の女性が出てきたのでたずねると、その女性こそがサリーさんでした。
「グレグ、久しぶりに会いたいなぁ」
「どうして会いに行けないのですか?」
「主人の仕事が激減し、本人も落ち込みが激しくて」
ちらっと家の中を心配そうに見るサリーさん。外からでも寝転んでいる男性の足が見えます。
話を聞くと、ご主人と一緒にアンステア国で海外から取り寄せた食器を売っていたとのこと。
しかしあるときからサリーさんのところで売っている食器は質が悪いと噂がたつようになったけれど、誰かが言っているかわからない。
そしてご主人は人間不信になっており、サリーさんも気分が沈む日が増えたのだとか。
「少し考え事をしたいので、一部屋貸していただけませんか?」
聖女のお祈りというのは、町の人たちにはあまり知られていないので、考え事をするといって、お祈りをさせてもらいました。
お祈りをしていると、船、粗悪品、ここら辺とはちがう衣装の人たち、まだら模様の蛇のマークが見えました。
今見たイメージについてサリーさんにたずねましたが、心当たりがないようです。
外に出ると、周りの人から聞き込みをしていたイルゼも帰ってきました。
「見たこともない人が商品を売りつけようとしていたと聞いたくらいで、あまり有力な情報は得られませんでした。一度王様に会ってみたほうが早いかもしれません」
「そうですわね。でもすぐに会えるでしょうか」
「ユリアーネのことは王も知っていると思いますし、私は何度かお会いしたことがありますので訪ねてみてもいいかと思います」
そばで私たちの話を聞いていたサリーさんはきょとんとしていました。
「お二人はただの旅人ではないのですか?」
「いえ、ただの旅人ですわ」
サリーさんは良い人そうだけど、聖女を悪用しようとする人もいるらしいので、あまり素性を話さないほうがいいと、以前イルゼと決めていたのです。
「また詳細がわかったら来ますね」と伝えてお城へ。
立派なお城の前では、門番が立っていましたが、イルゼのことをよく知っていたようで、すぐにパトリック王のところに通してくださいました。
「イルゼ様に、聖女のユリアーネ様もご一緒とは! いかがいたしました」
まだヴェルパス国から追放されたとの話はこちらには来ていないようですわね。
「最近こちらの空気が悪いとの話を聞きやってまいりました」
「おぉ! それはありがたい。とても困っていたのです」
街中で食器などの粗悪品が出回っていること。それを売っていると噂の商人がサリーのご主人だけど、それは間違った噂で、ほかの人が流している可能性が高い。でも町の人たちは噂を進じている。そのほかの人が誰なのかがわからない。
といった内容を聞きました。
先ほど私が見たイメージを伝えると、パトリック王は臣下に地図を持ってこさせました。
「我が国は半分以上を海で囲まれている。船がどこら辺にいるかおわかりでしょうか」
うーん……。
イメージで見ただけなので、なかなか難しいですわね。
「ユリアーネ様の見たグループの服装の特徴から考えると、西の方面からきた可能性が高いですね」
イルゼ、王の前だと旅人のふりをする必要はないので、様付けにもどっていますわね。
それにしても、私のイメージを聞き、パトリック王からの情報も加味して船のある場所の検討をつけたようです。
ヴェルパス国はあまり戦争をしかけられることはありませんでした。
私がお祈りで国を守っていたこともありますが、戦略家で強いイルゼがいるため戦いを挑まれなかったのかもしれません。
「まだ見つけたわけではありません。慎重に行きましょう」
「そこは見落としていました! イルゼ様は頼りになりますな!」
パトリック王やほかの騎士たちを連れてきて一緒に海に行くことに。
商人たちが利用する船着き場より少しずれた位置、崖の下にまだら模様の蛇のマークがある船を発見しました。
「まさかこんなところから入国していたとは……」
パトリック王たちが見当もつかなかった場所で船を見つけて、驚いていました。
私と王は上で待ち、イルゼを先頭に騎士たちが崖を降りて船の中に入ると、詐欺メンバーがいたようです。
歯向かってきたメンバーもいたそうですが、イルゼの素早い動きであっという間につかまったそうで、ロープに縛られて詐欺メンバーは崖の上まで連れてこられました。
「商人たちの評判を悪くして、自分たちの商品を有利に売れるようにしたかったんだ」
詐欺メンバーのリーダーらしき人が王にいいました。
「やはり商人の売っているものが粗悪品というのはデマだったのか。商人のうわさは私が責任をもってデマだったことを証明しよう」
「ありがとうございます」
元々良い商品を売っていたのなら、そのご主人も商売は元に戻ることでしょう。
「お二人のおかげでとても助かりました。このようなお方がいらっしゃるヴェルパス国はうらやましいですな」
追放されているので、なんと申していいのかわからず曖昧に笑っていると、他の騎士が詐欺グループの売ろうとしていた商品を持ってきました。
食器や雑貨など。その中に、水の出る箱が。
水の出る箱?
どこかで見たことあるような……?
考えていると、どこかで聞いたことのあるような声が。
「このクズ女め! だましやがって」
身なりを隠すようにして歩いてきた人がいましたが、どう見てもおひとりはアルトゥール王。
ではもう一人の女性は、私が追放されたときに後ろで笑っていた水の聖女とかいうミューカでした。
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