202 / 237
第177話 過去のおはなし(13)
しおりを挟む
「あぁ、もう何なんだほんと!」
「嫌だ!嫌だよ!私…なんでぇ!」
どうして仲間割れしないといけないのか。そもそも操りとは何なのか。
(操りって魔法省が禁忌扱いしてるやつだろ!なんでできんだよ)
本来、魔法省が禁忌と認定した魔法は使えなくなる。それがどういう理屈かは分からないが、故に錬金術など世界経済に影響するものや、倫理感に問題のあるもの、そうこういう感じの操りの魔法は使えなくなっていた。
「もう…お願いだから…やめて…私…」
…そして再びの高威力高水準の魔法、今度は巨大な岩石が雨のように降り注いで来る。
いやそれだけじゃない。この岩石、地面から盛り上がっても来ている。上と下の同時攻撃。
「あぁ、もう!」
[運動変化]の魔法でどうにかなる域を達しそうだ。というか先程からかなり瀬戸際に立たされている。
「ほんとごめんなさいごめんなさい…なんで…やめて…ほんとにごめんなさいごめんなさい」
そして左右から緑の根のような物が次元から現れ、絡みつくように近づいてくる。これもまた魔法、上位魔法の連続。こんなの無理すぎる。根のような物が燃えることが幸いすごる。
何よりベラドンナには意識があった。体とその体内に潜める才のみを傀儡化されていた。ベラドンナ自身苦しんでいた。もう彼女が耳からだけでなく、鼻からも出血が確認できるほどに。
「ひっ…げっ…」
ベラドンナがえづきながらこちらへと歩み寄って来る。途端に今現在表現された魔法が全て消え失せた。
何が起きたと思うより前にベラドンナが覚束無い言動で何か言い出す。
「お願い…もう…いい。私を力付くでいいから止めて…アナリス」
「力付くって…操ってる本体を倒したほうが…それに力付くだったら…」
「私もう無理だよ、このままだったらさらに迷惑かけちゃう。あなたにも…ほんとに…だから殺す勢いでいい。だから…お願い…終わらせて」
「…私が嫌だよ。そんなの認めない」
せっかく彼女…ベラドンナと良い関係を築けたのだ。それがこんな終わり方で良いわけがない。
「…お願い、私を操っている人は多分この辺にはいない。おそらく…もっと遠いところ。それに私は今魔法が使えない…魔法の使い過ぎで…今じゃないと…」
「……」
「……」
「……やる。一瞬で終わらせる」
私はそう決めた。中途半端な覚悟ではない。命の重みというのを彼女の言葉で気付かされたことでさらに私に伸し掛かる重みは増えている。
「…あ、駄目!まだ!」
どうやらもう時間がないらしい。落ち着け、うまくいけば…
再び表現された魔法による数多の攻撃が一斉にこちらへと襲いかかる。
「…[風穴]」
よし、うまくいった。魔法でどうにか…うまくいった。
「い…いったぁ…!」
ベラドンナが痛みと束縛から逃れたことで、地面に伏せる。
「や、やった…」
なんとかうまくいった。風穴という魔法、ドラゴン退治に使った魔法の下位、いわば中位魔法に値するもの、威力は半々といったところでほんとに風穴を空けたような形で穴を空ける。
彼女、ベラドンナとパーティーを組んだ際にあんまりやり過ぎるなと言われ、中位魔法を持ち前の特性で習得したのが役に立った。
「あんま…動かないで…」
そしてベラドンナの両手の平の真ん中には風穴ざ空いていた。私が空けたものなのだが。
「…私…なんで動けるの?」
ようやくベラドンナ、ついで私も状況が掴めた。あの時、ベラドンナが魔法を発動する前に私が先に発動させた。
そして彼女はその魔法をまともに喰らい、操りから解けた。
「操りが…ない」
「まあ、そうだろうね」
「何をしたの?」
「魔力の特性を利用した」
魔法を使用する際に使われる魔力、それは体内に存在する…のは一般常識らしいのたが。
それがどこにあるか、それはおそらくだが行使する際の部位にあたる、もしくは血液中に存在すると言われていた。で操りの魔法の理論はその魔力を利用するらしい。
で、その理論は正しかったということになるらしい。だから魔力がダラダラと血液として漏れ出し、使えなくなった両手のおかげで操りが解けた…のだろうか。実を言うと咄嗟の思いつき以外の何でもない。
「多分傷が完全に治るまでは魔法は使えない。だから操りはもう解けてるはず」
「…あの…ほんとにごめんなさい…私」
私が治癒魔法で治した手を擦りながら彼女は頭を下げる。
「いいよ、終わったことだし。あいつぶっ飛ばしてチャラにしよ」
「…うん…ありがtっ」
ザシュ
「嫌だ!嫌だよ!私…なんでぇ!」
どうして仲間割れしないといけないのか。そもそも操りとは何なのか。
(操りって魔法省が禁忌扱いしてるやつだろ!なんでできんだよ)
本来、魔法省が禁忌と認定した魔法は使えなくなる。それがどういう理屈かは分からないが、故に錬金術など世界経済に影響するものや、倫理感に問題のあるもの、そうこういう感じの操りの魔法は使えなくなっていた。
「もう…お願いだから…やめて…私…」
…そして再びの高威力高水準の魔法、今度は巨大な岩石が雨のように降り注いで来る。
いやそれだけじゃない。この岩石、地面から盛り上がっても来ている。上と下の同時攻撃。
「あぁ、もう!」
[運動変化]の魔法でどうにかなる域を達しそうだ。というか先程からかなり瀬戸際に立たされている。
「ほんとごめんなさいごめんなさい…なんで…やめて…ほんとにごめんなさいごめんなさい」
そして左右から緑の根のような物が次元から現れ、絡みつくように近づいてくる。これもまた魔法、上位魔法の連続。こんなの無理すぎる。根のような物が燃えることが幸いすごる。
何よりベラドンナには意識があった。体とその体内に潜める才のみを傀儡化されていた。ベラドンナ自身苦しんでいた。もう彼女が耳からだけでなく、鼻からも出血が確認できるほどに。
「ひっ…げっ…」
ベラドンナがえづきながらこちらへと歩み寄って来る。途端に今現在表現された魔法が全て消え失せた。
何が起きたと思うより前にベラドンナが覚束無い言動で何か言い出す。
「お願い…もう…いい。私を力付くでいいから止めて…アナリス」
「力付くって…操ってる本体を倒したほうが…それに力付くだったら…」
「私もう無理だよ、このままだったらさらに迷惑かけちゃう。あなたにも…ほんとに…だから殺す勢いでいい。だから…お願い…終わらせて」
「…私が嫌だよ。そんなの認めない」
せっかく彼女…ベラドンナと良い関係を築けたのだ。それがこんな終わり方で良いわけがない。
「…お願い、私を操っている人は多分この辺にはいない。おそらく…もっと遠いところ。それに私は今魔法が使えない…魔法の使い過ぎで…今じゃないと…」
「……」
「……」
「……やる。一瞬で終わらせる」
私はそう決めた。中途半端な覚悟ではない。命の重みというのを彼女の言葉で気付かされたことでさらに私に伸し掛かる重みは増えている。
「…あ、駄目!まだ!」
どうやらもう時間がないらしい。落ち着け、うまくいけば…
再び表現された魔法による数多の攻撃が一斉にこちらへと襲いかかる。
「…[風穴]」
よし、うまくいった。魔法でどうにか…うまくいった。
「い…いったぁ…!」
ベラドンナが痛みと束縛から逃れたことで、地面に伏せる。
「や、やった…」
なんとかうまくいった。風穴という魔法、ドラゴン退治に使った魔法の下位、いわば中位魔法に値するもの、威力は半々といったところでほんとに風穴を空けたような形で穴を空ける。
彼女、ベラドンナとパーティーを組んだ際にあんまりやり過ぎるなと言われ、中位魔法を持ち前の特性で習得したのが役に立った。
「あんま…動かないで…」
そしてベラドンナの両手の平の真ん中には風穴ざ空いていた。私が空けたものなのだが。
「…私…なんで動けるの?」
ようやくベラドンナ、ついで私も状況が掴めた。あの時、ベラドンナが魔法を発動する前に私が先に発動させた。
そして彼女はその魔法をまともに喰らい、操りから解けた。
「操りが…ない」
「まあ、そうだろうね」
「何をしたの?」
「魔力の特性を利用した」
魔法を使用する際に使われる魔力、それは体内に存在する…のは一般常識らしいのたが。
それがどこにあるか、それはおそらくだが行使する際の部位にあたる、もしくは血液中に存在すると言われていた。で操りの魔法の理論はその魔力を利用するらしい。
で、その理論は正しかったということになるらしい。だから魔力がダラダラと血液として漏れ出し、使えなくなった両手のおかげで操りが解けた…のだろうか。実を言うと咄嗟の思いつき以外の何でもない。
「多分傷が完全に治るまでは魔法は使えない。だから操りはもう解けてるはず」
「…あの…ほんとにごめんなさい…私」
私が治癒魔法で治した手を擦りながら彼女は頭を下げる。
「いいよ、終わったことだし。あいつぶっ飛ばしてチャラにしよ」
「…うん…ありがtっ」
ザシュ
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
わたしは婚約者の不倫の隠れ蓑
岡暁舟
恋愛
第一王子スミスと婚約した公爵令嬢のマリア。ところが、スミスが魅力された女は他にいた。同じく公爵令嬢のエリーゼ。マリアはスミスとエリーゼの密会に気が付いて……。
もう終わりにするしかない。そう確信したマリアだった。
本編終了しました。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
魔法のせいだからって許せるわけがない
ユウユウ
ファンタジー
私は魅了魔法にかけられ、婚約者を裏切って、婚約破棄を宣言してしまった。同じように魔法にかけられても婚約者を強く愛していた者は魔法に抵抗したらしい。
すべてが明るみになり、魅了がとけた私は婚約者に謝罪してやり直そうと懇願したが、彼女はけして私を許さなかった。
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
最強パーティーのリーダーは一般人の僕
薄明
ファンタジー
ダンジョン配信者。
それは、世界に突如現れたダンジョンの中にいる凶悪なモンスターと戦う様子や攻略する様子などを生配信する探索者達のことだ。
死と隣り合わせで、危険が危ないダンジョンだが、モンスターを倒すことで手に入る品々は、難しいダンジョンに潜れば潜るほど珍しいものが手に入る。
そんな配信者に憧れを持った、三神《みかみ》詩音《しおん》は、幼なじみと共に、世界に名を轟かせることが夢だった。
だが、自分だけは戦闘能力において足でまとい……いや、そもそも探索者に向いていなかった。
はっきりと自分と幼なじみ達との実力差が現れていた。
「僕は向いてないみたいだから、ダンジョン配信は辞めて、個人で好きに演奏配信とかするよ。僕の代わりに頑張って……」
そうみんなに告げるが、みんなは笑った。
「シオンが弱いからって、なんで仲間はずれにしないといけないんだ?」
「そうですよ!私たちがシオンさんの分まで頑張ればいいだけじゃないですか!」
「シオンがいないと僕達も寂しいよ」
「しっかりしなさいシオン。みんなの夢なんだから、諦めるなんて言わないで」
「みんな………ありがとう!!」
泣きながら何度も感謝の言葉を伝える。
「よしっ、じゃあお前リーダーな」
「はっ?」
感動からつかの間、パーティーのリーダーになった詩音。
あれよあれよという間に、強すぎる幼なじみ達の手により、高校生にして世界トップクラスの探索者パーティーと呼ばれるようになったのだった。
初めまして。薄明です。
読み専でしたが、書くことに挑戦してみようと思いました。
よろしくお願いします🙏
女性として見れない私は、もう不要な様です〜俺の事は忘れて幸せになって欲しい。と言われたのでそうする事にした結果〜
流雲青人
恋愛
子爵令嬢のプレセアは目の前に広がる光景に静かに涙を零した。
偶然にも居合わせてしまったのだ。
学園の裏庭で、婚約者がプレセアの友人へと告白している場面に。
そして後日、婚約者に呼び出され告げられた。
「君を女性として見ることが出来ない」
幼馴染であり、共に過ごして来た時間はとても長い。
その中でどうやら彼はプレセアを友人以上として見れなくなってしまったらしい。
「俺の事は忘れて幸せになって欲しい。君は幸せになるべき人だから」
大切な二人だからこそ、清く身を引いて、大好きな人と友人の恋を応援したい。
そう思っている筈なのに、恋心がその気持ちを邪魔してきて...。
※
ゆるふわ設定です。
完結しました。
元悪役令嬢はオンボロ修道院で余生を過ごす
こうじ
ファンタジー
両親から妹に婚約者を譲れと言われたレスナー・ティアント。彼女は勝手な両親や裏切った婚約者、寝取った妹に嫌気がさし自ら修道院に入る事にした。研修期間を経て彼女は修道院に入る事になったのだが彼女が送られたのは廃墟寸前の修道院でしかも修道女はレスナー一人のみ。しかし、彼女にとっては好都合だった。『誰にも邪魔されずに好きな事が出来る!これって恵まれているんじゃ?』公爵令嬢から修道女になったレスナーののんびり修道院ライフが始まる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる