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第137話 テロ(2)

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2022年 9月5日

アメリカ合衆国 ペンシルベニア州 フィラデルフィア 自由の鐘付近

アメリカ合衆国 メリーランド州 ノースオーシャンシティ

イギリス バーミンガム バーミンガム・ニューストリート駅

上記3つの都市で銃乱射事件が発生。中東勢力によるテロだともされたが、犯行グループがYouTubeに声明を発表。彼らはSURFER FROM SUFFERINGと名乗った。
____________________
「いいぞ!いいぞ!」

「遂にやりましたよリーダー!」

「まだだ、まだ終わらん!俺はまだこの炎を広げてやる!」

「その…カリスマ性…誰もがあなたに付いて行きたくなるでしょう!このすわりの悪い世の中を…変えることが…」

「次は奴らだ。奴らを殺す。俺が一番嫌いな奴ら…アジア人共を…」

「彼らも準備を整えています。さあ、行きましょう。日本へと」
_________________
2022年 9月13日 日本 千葉県

「秋葉原?」

「そう。秋葉原」

「どこですかそれは?」

俺はヒカルが言う秋葉原について聞く。

「日本の象徴的文化が集まる街」

「いや無理でしょ」

「ん?」

「顔。テレビ。やばいことくらい俺でも分かるってのに」

「だいじょーぶだいじょーぶ。そこはアナリスさんに幻惑魔法かけてもらうから。顔の区別を曖昧にするとかいう」

「それって…ここに帰ってくるためにしたやつか?ご隠居暮らしにならなかったのは良かったけど」

「幻惑魔法、[五感曖昧]とか言うなんともかっこいい魔法を使ってくれればいいわけで」

「リスク高すぎだろ。てかもうめんどいからどこにも行きたくない」

「…頼む」

ヒカルは顔の前で手を合わせる。深刻そうな言葉遣いのわりに顔は笑ってる。

「てか秋葉原に何があるんだよ?」

「行けば分かる。一人だと気まずい」

「えぇ…」

「決行日は9月15日な。魔王軍の場所さえ分かれば潰してもらえるけど分かんないからなぁ~。やる事ないなら付いて来てよ、楽しいよ?」

潰せるではなく潰してもらえるという受け身。とは言え俺も特に何かすることがあるわけでもないので

「ええよ」

「ほんと?よし!」

かくして俺達はジャパニーズトラディションシティに出向くことになった。
_________________
2022年 9月14日 モロッコ マラケシュ郊外 TSA基地

「F-35Bの4機、UH-60の3機、AH-6Jの8機パイロット4名、投入した部隊の死者数は18名、計22名の損害と死亡が確認されました」

「奴はどうなってる?」

アルフレッド オルン大佐は短く簡潔にそう言うと答えを待つ。マイク アレックスはこの後言うべき言葉を巡らせる。

「衛星と無人偵察機で監視していたところ…ナイジェリアとニジェール国境地帯で飛行型生物によって回収。消息を絶ってます」

「その飛行型生物については?」

「リビア軍のレーダー基地で存在が確認されたようです。ですがスクランブルは行っていないようです。レーダーの反応が小さく、誤作動もしくは故障と勘違いしたのかと」

「なるほど、な…」

「それと…奴が目の前で発していた言葉…」

「魔王…か?」

「はい。ファランクスという名前自体は古代ギリシア時代のスパルタが行っていた戦術…もしくは海軍のM61」

「おそらくだがそれがそいつの名前なんだろうな。それより気になるのはやはり魔王という言葉。魔王は代々世界を破滅に導く者の代名詞だ…」

「……どうしますか?大佐」

「これは私の手に負えなくなるかもしれん…」

「既に本部には伝えてあります。撤退もしてよいと」

「そうだな。奴らの居場所が分からない以上、ここに留まる意味はない。ドラゴンの状況も気になるしな。すぐに全員に伝えてくれ」

「分かりました」

「あぁ、それとだ」

大佐は暗い会議室を出ようとする俺を呼び止める。

「上からの命令で君達に休暇がでている」

「休暇ですか?」

俺は後ろ向きにそう言うと大佐は続けて

「名目は現地調査の心身管理のためらしい。しばらく休んで回復しろとのことだ。想定内ではなかった事態であったわけでもあるしな」

「分かりました。ありがとうございます」

「あぁ、幸運を」

俺はゆっくりと暗がりから出ていった。







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