158 / 237
第134話 取り返し(2)
しおりを挟む
「侵入者発生!侵入者発生!」
「どこにいるか確認しろ!」
「監視カメラとドローンからの映像は!?」
「偵察ヘリコプター発進!赤外線での探索開始!」
「既に基地外へ逃亡した模様!」
「被害は!?」
「証拠品が…鎧が盗まれました。大変です!」
「なんとしてでも取り返せ!」
_________________
「おーい、早く!」
俺は早口にそう言うとヒカルとキルアはスピードを上げてこちらへと向かってくる。
「ヘリコプターがき、来てる」
ヒカルは息を切らしながらそう言うと後部座席へと乗り込む。キルアも乗り込んだのを見て、慎重に車を発進させる。
「お、お前ほんとに異世界の暗殺者なのかよ…。なんで…せき、赤外線に…引っかかるわけ?」
とぎれとぎれながもヒカルはキルアに当てつけるが
「し、しゃあないだろ!あたしだってあんな赤い線、当たったらまずいことくらい分かったさ!でも…熱感知の魔法で死ぬレベルのやつじゃなかった…から」
「死にはしないがバレる代物だったわけね。映画のバイハザみたく細切れにならなくて良かったな」
「その…私のせいですみません…」
もとはカノンが言い出した、というよりカノンの私物を取り返そうとしたための事態であるため、居心地は最悪だろう。
「鎧は大丈夫です。あきらめま…」
「取ってきたぞ!ほら!物質収縮の魔法使ってたから気づかなかったのか?」
そう言うと豆粒大であったであろう鎧が大きくなってキルアの手に現れる。
「ひえっ…」
俺は振り向いてドン引きの声を上げる。何故なら物質収縮の魔法自体は俺でも使えるが、その効果がやはりというか…とんでもない。何故あの鎧を豆粒大にできるのだろうか。
「って、重!重!」
そう言うとキルアは再び鎧を小さくする。この魔法、生き物と有機物には効果がない事が幸いである。
こうして車でドンドンと基地から離れていく…が
ババババ!
聞き慣れた音が耳に聞こえる。ヒカルが窓を開け、そして叫ぶ。
「右にAH-6リトルバード!やばいよ!」
「どうして!?」
アナリスがそう聞くとヒカルは
「7.62mm砲で撃たれたらこの車吹き飛ばされ…」
ダダダダッッ!!
言ってるそばからそのリトルバードが砲撃をこちらへと向けてきた。
「前に出ました!」
カノンがそう叫ぶ。前方を覆うようにしてリトルバードがこちらへ銃口を向けていた。
「くるぞ!アナリス!出番!」
ヒカルを合図にアナリスは光を手の中から発する。
「機関砲d…」
チュドーン!
「ぎゃあああ!!!」
俺は目の前の視界の反転と突然の出来事に叫んでしまう。
しばらくすると視界は元に戻った。もう運転なんかしたくない。
「LAU-68Dロケット…容赦ねぇなあ!」
「というか今、ひっくり返った気がするんだが…?」
「私が戻したの!スナイパーライフルとかないわけ!?」
「やっぱりこの世界って…剣が役に立たない…」
「なんで…なんで鉄が空飛べんだよ!おかしいだろ!あたしでもできないぞ!」
阿鼻叫喚の一言に尽きた。リトルバードは行く手を遮るようにして飛行している。
「私がどうにかする!車に魔法陣張るから時間稼ぎを…」
「待って…」
アナリスが魔法陣を張ろうとした瞬間、キルアが身を乗り出して車外へ出ようとする。
「あたし思いついちゃったぁ!」
キルアは笑顔でそう言うと、車の上へと乗る。天井は凹みこそしなかったがバン!という大きな衝撃音が一面に広がる。
「何をする気なんですか!?」
「ふぅぅ!」
カノンの問いに答えることはない。キルアは次の瞬間、前へと飛び出る。
その姿は走ってる車の速度を越え、遂にはヘリコプターに張り付くまでに至る。ヘリコプターは目の前に人が張り付いた影響か制御を失い、去っていく。
「ほいよ!」
いつの間にか車の中に戻ってきていたキルアは手にある物を見せる。
「小さくして取ってきてやったぜ」
それはヘリコプターのローター部分、直後ヒュンヒュンという音と共にドカン!と落ちる音が響き渡った。
「どこにいるか確認しろ!」
「監視カメラとドローンからの映像は!?」
「偵察ヘリコプター発進!赤外線での探索開始!」
「既に基地外へ逃亡した模様!」
「被害は!?」
「証拠品が…鎧が盗まれました。大変です!」
「なんとしてでも取り返せ!」
_________________
「おーい、早く!」
俺は早口にそう言うとヒカルとキルアはスピードを上げてこちらへと向かってくる。
「ヘリコプターがき、来てる」
ヒカルは息を切らしながらそう言うと後部座席へと乗り込む。キルアも乗り込んだのを見て、慎重に車を発進させる。
「お、お前ほんとに異世界の暗殺者なのかよ…。なんで…せき、赤外線に…引っかかるわけ?」
とぎれとぎれながもヒカルはキルアに当てつけるが
「し、しゃあないだろ!あたしだってあんな赤い線、当たったらまずいことくらい分かったさ!でも…熱感知の魔法で死ぬレベルのやつじゃなかった…から」
「死にはしないがバレる代物だったわけね。映画のバイハザみたく細切れにならなくて良かったな」
「その…私のせいですみません…」
もとはカノンが言い出した、というよりカノンの私物を取り返そうとしたための事態であるため、居心地は最悪だろう。
「鎧は大丈夫です。あきらめま…」
「取ってきたぞ!ほら!物質収縮の魔法使ってたから気づかなかったのか?」
そう言うと豆粒大であったであろう鎧が大きくなってキルアの手に現れる。
「ひえっ…」
俺は振り向いてドン引きの声を上げる。何故なら物質収縮の魔法自体は俺でも使えるが、その効果がやはりというか…とんでもない。何故あの鎧を豆粒大にできるのだろうか。
「って、重!重!」
そう言うとキルアは再び鎧を小さくする。この魔法、生き物と有機物には効果がない事が幸いである。
こうして車でドンドンと基地から離れていく…が
ババババ!
聞き慣れた音が耳に聞こえる。ヒカルが窓を開け、そして叫ぶ。
「右にAH-6リトルバード!やばいよ!」
「どうして!?」
アナリスがそう聞くとヒカルは
「7.62mm砲で撃たれたらこの車吹き飛ばされ…」
ダダダダッッ!!
言ってるそばからそのリトルバードが砲撃をこちらへと向けてきた。
「前に出ました!」
カノンがそう叫ぶ。前方を覆うようにしてリトルバードがこちらへ銃口を向けていた。
「くるぞ!アナリス!出番!」
ヒカルを合図にアナリスは光を手の中から発する。
「機関砲d…」
チュドーン!
「ぎゃあああ!!!」
俺は目の前の視界の反転と突然の出来事に叫んでしまう。
しばらくすると視界は元に戻った。もう運転なんかしたくない。
「LAU-68Dロケット…容赦ねぇなあ!」
「というか今、ひっくり返った気がするんだが…?」
「私が戻したの!スナイパーライフルとかないわけ!?」
「やっぱりこの世界って…剣が役に立たない…」
「なんで…なんで鉄が空飛べんだよ!おかしいだろ!あたしでもできないぞ!」
阿鼻叫喚の一言に尽きた。リトルバードは行く手を遮るようにして飛行している。
「私がどうにかする!車に魔法陣張るから時間稼ぎを…」
「待って…」
アナリスが魔法陣を張ろうとした瞬間、キルアが身を乗り出して車外へ出ようとする。
「あたし思いついちゃったぁ!」
キルアは笑顔でそう言うと、車の上へと乗る。天井は凹みこそしなかったがバン!という大きな衝撃音が一面に広がる。
「何をする気なんですか!?」
「ふぅぅ!」
カノンの問いに答えることはない。キルアは次の瞬間、前へと飛び出る。
その姿は走ってる車の速度を越え、遂にはヘリコプターに張り付くまでに至る。ヘリコプターは目の前に人が張り付いた影響か制御を失い、去っていく。
「ほいよ!」
いつの間にか車の中に戻ってきていたキルアは手にある物を見せる。
「小さくして取ってきてやったぜ」
それはヘリコプターのローター部分、直後ヒュンヒュンという音と共にドカン!と落ちる音が響き渡った。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
『おっさんが二度も転移に巻き込まれた件』〜若返ったおっさんは異世界で無双する〜
たみぞう
ファンタジー
50歳のおっさんが事故でパラレルワールドに飛ばされて死ぬ……はずだったが十代の若い体を与えられ、彼が青春を生きた昭和の時代に戻ってくると……なんの因果か同級生と共にまたもや異世界転移に巻き込まれる。現代を生きたおっさんが、過去に生きる少女と誰がなんのために二人を呼んだのか?、そして戻ることはできるのか?
途中で出会う獣人さんやエルフさんを仲間にしながらテンプレ? 何それ美味しいの? そんなおっさん坊やが冒険の旅に出る……予定?
※※※小説家になろう様にも同じ内容で投稿しております。※※※
勇者現代へ帰る。でも、国ごと付いてきちゃいました。
Azanasi
ファンタジー
突然召喚された卒業間近の中学生、直人
召喚の途中で女神の元へ……女神から魔神の討伐を頼まれる。
断ればそのまま召喚されて帰るすべはないと女神は言い、討伐さえすれば元の世界の元の時間軸へ帰してくれると言う言葉を信じて異世界へ。
直人は魔神を討伐するが帰れない。実は魔神は元々そんなに力があるわけでもなくただのハリボテだった。そう、魔法で強く見せていただけだったのだが、女神ともなればそれくらい簡単に見抜けるはずなおだが見抜けなかった。女神としては責任問題だここでも女神は隠蔽を施す。
帰るまで数年かかると直人に伝える、直人は仕方なくも受け入れて現代の知識とお買い物スキルで国を発展させていく
ある時、何の前触れもなく待望していた帰還が突然がかなってしまう。
それには10年の歳月がかかっていた。おまけにあろうことか国ごと付いてきてしまったのだ。
現代社会に中世チックな羽毛の国が現れた。各国ともいろんな手を使って取り込もうとするが直人は抵抗しアルスタン王国の将来を模索して行くのだった。
■小説家になろうにも掲載
わし七十歳定年退職者、十七歳冒険者と魂だけが入れ替わる ~17⇔70は地球でも異世界でも最強です~
天宮暁
ファンタジー
東京郊外で定年後の穏やかな生活を送る元会社員・桜塚猛(さくらづかたける)、70歳。
辺境の街サヴォンに暮らす万年D級冒険者ロイド・クレメンス、17歳。
冒険者ランク昇格をかけて遺跡の奥に踏み込んだロイドは、東京・桜塚家で目を覚ます。
一方、何事もなく眠りについたはずの桜塚猛は、冒険者の街サヴォンの宿屋で目を覚ました。
目覚めた二人は、自分の姿を見て驚愕する。ロイドはまったく見覚えのない老人の身体に、桜塚は若く精悍な冒険者の身体に変わっていたのだ。
何の接点もなかったはずの二人の意識が、世界を跨いで入れ替わってしまったのだ!
七十歳が十七歳に、十七歳が七十歳に――
いきなり常識の通じない「異世界」に放り出された二人の冒険が、今始まる!
※ 異世界、地球側並行で話が進みます。
完結まで毎日更新の予定です。
面白そう!と思ってもらえましたら、ご応援くださいませ。
新人神様のまったり天界生活
源 玄輝
ファンタジー
死後、異世界の神に召喚された主人公、長田 壮一郎。
「異世界で勇者をやってほしい」
「お断りします」
「じゃあ代わりに神様やって。これ決定事項」
「・・・え?」
神に頼まれ異世界の勇者として生まれ変わるはずが、どういうわけか異世界の神になることに!?
新人神様ソウとして右も左もわからない神様生活が今始まる!
ソウより前に異世界転生した人達のおかげで大きな戦争が無い比較的平和な下界にはなったものの信仰が薄れてしまい、実はピンチな状態。
果たしてソウは新人神様として消滅せずに済むのでしょうか。
一方で異世界の人なので人らしい生活を望み、天使達の住む空間で住民達と交流しながら料理をしたり風呂に入ったり、時にはイチャイチャしたりそんなまったりとした天界生活を満喫します。
まったりゆるい、異世界天界スローライフ神様生活開始です!
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
私(僕)達は同じ過ちを繰り返さないために・・・
ちょこあいす
ファンタジー
世界中で起きた異変
バケモノがはびこる世界
必死に生き延びる人達
命のやり取りが当たり前の世界
不定期更新なので気長に待ってください
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる