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第133話 取り返し
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「それで、また俺に電話してきたってわけか?」
「悪い悪い、そう怒るなよ。それで進捗は?」
「ないな。1月前からずっと調べてるが。お前が言ってたあのヘリコプターの情報は皆無、自衛隊や警視庁が使ってるやつとはまるで違う」
「やーっぱ変な組織絡んでる感じ?CIAやらMI6やら?」
「さぁな。ここからは俺でも分からん…それで電話してきた理由がこれか?ったくどんたけ俺をこき使わせる気だ?」
「異世界の情報を特別にお前だけ教えたんだからトントンだろ?信じれるのは別としてだが。いいだろ?ユウタ君」
電話相手の大須裕太は不機嫌そうな声で再び答える。
「…てか何なんだよこれ?どこにあるんだ?その…基地か?」
「場所?」
ヒカルは一息置いてユウタに現在地を伝える。
____________________
2022年 8月20日 現地標準時
午後11時17分
デンマーク ファルスター島 ゲッサー
____________________
「デンマーク?」
「そ。探し物の場所自体は分かった。でも明らかにデンマーク軍じゃない奴らがいる」
「どうして分かるんだ?」
「オスプレイ」
「は?」
「2022年現在でV-22 オスプレイを運用してる国はアメリカと日本だけ」
「そういうのは知らん…というかお前一体どうやって撮影してるんだ!?」
ヒカルは今更気づいたのかと思った。ユウタには結構鈍臭いところはあるが。
本来軍事基地と言うのは中身が見れないように囲いがあるわけだが、俺達はそれを無視するべく空中から撮影している。
無論ドローンとかではない。スマホを浮かして撮影してる。時刻は深夜、その為画質と明るさが非常に悪く、目の前にある基地で見えたのはかろうじてV-22とC-130、管制塔、車庫と兵舎だけが分かる程度だった。
「ねえ話終わった?できれば早く済ませてほしいんだけど」
隣にいるスマホを浮かした本人ことアナリスはそう言ってくる。
「それで俺に何をしろと?」
「すぐじゃなくていい。ただどうにかユウタの伝手であの基地やら何やらの正体掴めないかなって思って」
「俺はそんなことできん」
「やれるだけ頼むよ~。そんなこと言わずにさ」
「………暇だったら」
そう言われると電話は一方的に切られた。とりあえずは了承ということで良いだろう。
「にしてもさ、アナリス。まさかまだ帰れないとはね。俺のスマホだけ新しく買っただけじゃん。日本で」
「私がいなかったらもっと時間かかってた。魔力探知の魔法って物を探す時はその物の容姿を鮮明に思い出せれば索敵範囲が上がるから、私がそこまでじゃないと…」
「分かった分かった。それで、カノンの鎧を早く見つけれたわけね?」
「そーだね。あの魔王軍の幹部、武神と言われた人の形見ということだし、何よりちょっと可哀想だから…付き合ってあげようよ」
アナリスはそう言うと目の前に広がる基地を見つめる。と云うのも現在キルアが絶賛盗みを働いている。
「バレずに盗めたらガイムとカノンがいる車まで逃げる。運転はガイム任せで問題なし。普通ヘリコプターの操縦できた奴が車運転できないとかありえない」
「じゃあヒカルも?いける?」
「もーちろん。それにこの状況、女の子と二人きりになれたのも俺は嬉しいし」
「お前らしいや」
アナリスはそう言うと微笑んだ。
_________________
ガイム視点
5人乗りのレンタカー、魔法による見た目の詐称と経歴の詐称を合わせ、どうにか借りてきた代物。銀色のGTD。
《当たり前だが無免許運転は絶対しないように。想像ならOK!》
とまぁ、俺は無免許なわけだ。そもそも戸籍のない人間に免許は取れない。作るも出身が異世界となるためできないらしい。
「なあ、いつになったら終わるんだ?」
俺は後部座席にいるカノンに話しかける。
「さぁ、いつなんでしょうね」
「それにキルアって奴に任せていいのか?」
「あの人も一応こちらの味方ですよ。信じてあげましょうよ」
カノンは微笑みながらそう言う。王家のお嬢様とあってその容姿はかなり美しい。
「そ、そうだな」
キルア曰く、「あたしは魔法省の人間っちゃ人間だけど人間の味方じゃないわけじゃないから協力したい。というかしてほしい。この世界思ったよりやばい。ちゃんと活躍するから頼む~!」
と飛行機の中で言われたからとりあえず今まで通りにしようかとなったのである。首にナイフを突きつけられていたカノンがそう言うのであれば仕方ないのだが。
「…ふと思ったのですが…」
カノンがきょとんとした顔で俺を見る。
「ガイム…ガイムさんってどこの出身なんですか?」
「呼び捨てでいいよ。俺の出身?それってあっちの世界の?」
「そうですね。なんというか気になっちゃって」
カノンは首をかしげながらそう聞くと、答えを待っている。
「その…なんというか…」
俺の出身…記憶にない。いつの間にか冒険者をやっていたという曖昧な事だ。どうやって冒険者でいたのかすら分からなかった。
「分かんない」
俺は正直に話す。カノンの声色に疑問の声が混じる。
「分からないって…?」
「俺幼い頃に何をしてたのか、親が誰なのかすら分かんないんだよ。なんか夢を見るくらい曖昧で…」
「そうなんですか…なんだかすみません」
「いや全然気にしないでい…」
いいよと言おうとした瞬間、後ろから明かりが灯り、その明かりが真っ暗な空を照らす。そしてけたたましいサイレン音。
ウーーーーーー!ウーーーーーー!
規則正しいその音は誰もが気味悪がるような感じで段々と大きくなっていく。その時、アナリスが車のドアのサイドミラーを叩いてきた。どうやら何かあって車まで来たらしい。
「…あいつやっぱり馬鹿だよ!」
「どうしたのアナリス?」
「キルアが…あたしだって馬鹿じゃないって高らかに言って…そしたら…バレた…」
……
「…キルアは?」
「今ヒカルと合流した。多分だけど…」
その時、後ろからババババという音が聞こえてくる。そして…これはまずい。
「わ、わ、わ、わ、私のせいです!すみません!」
カノンは気が動転してバタバタする。
「とりあえずいつでも行けるようにして!」
キルアの仕事は上手くいかなかった。
「悪い悪い、そう怒るなよ。それで進捗は?」
「ないな。1月前からずっと調べてるが。お前が言ってたあのヘリコプターの情報は皆無、自衛隊や警視庁が使ってるやつとはまるで違う」
「やーっぱ変な組織絡んでる感じ?CIAやらMI6やら?」
「さぁな。ここからは俺でも分からん…それで電話してきた理由がこれか?ったくどんたけ俺をこき使わせる気だ?」
「異世界の情報を特別にお前だけ教えたんだからトントンだろ?信じれるのは別としてだが。いいだろ?ユウタ君」
電話相手の大須裕太は不機嫌そうな声で再び答える。
「…てか何なんだよこれ?どこにあるんだ?その…基地か?」
「場所?」
ヒカルは一息置いてユウタに現在地を伝える。
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2022年 8月20日 現地標準時
午後11時17分
デンマーク ファルスター島 ゲッサー
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「デンマーク?」
「そ。探し物の場所自体は分かった。でも明らかにデンマーク軍じゃない奴らがいる」
「どうして分かるんだ?」
「オスプレイ」
「は?」
「2022年現在でV-22 オスプレイを運用してる国はアメリカと日本だけ」
「そういうのは知らん…というかお前一体どうやって撮影してるんだ!?」
ヒカルは今更気づいたのかと思った。ユウタには結構鈍臭いところはあるが。
本来軍事基地と言うのは中身が見れないように囲いがあるわけだが、俺達はそれを無視するべく空中から撮影している。
無論ドローンとかではない。スマホを浮かして撮影してる。時刻は深夜、その為画質と明るさが非常に悪く、目の前にある基地で見えたのはかろうじてV-22とC-130、管制塔、車庫と兵舎だけが分かる程度だった。
「ねえ話終わった?できれば早く済ませてほしいんだけど」
隣にいるスマホを浮かした本人ことアナリスはそう言ってくる。
「それで俺に何をしろと?」
「すぐじゃなくていい。ただどうにかユウタの伝手であの基地やら何やらの正体掴めないかなって思って」
「俺はそんなことできん」
「やれるだけ頼むよ~。そんなこと言わずにさ」
「………暇だったら」
そう言われると電話は一方的に切られた。とりあえずは了承ということで良いだろう。
「にしてもさ、アナリス。まさかまだ帰れないとはね。俺のスマホだけ新しく買っただけじゃん。日本で」
「私がいなかったらもっと時間かかってた。魔力探知の魔法って物を探す時はその物の容姿を鮮明に思い出せれば索敵範囲が上がるから、私がそこまでじゃないと…」
「分かった分かった。それで、カノンの鎧を早く見つけれたわけね?」
「そーだね。あの魔王軍の幹部、武神と言われた人の形見ということだし、何よりちょっと可哀想だから…付き合ってあげようよ」
アナリスはそう言うと目の前に広がる基地を見つめる。と云うのも現在キルアが絶賛盗みを働いている。
「バレずに盗めたらガイムとカノンがいる車まで逃げる。運転はガイム任せで問題なし。普通ヘリコプターの操縦できた奴が車運転できないとかありえない」
「じゃあヒカルも?いける?」
「もーちろん。それにこの状況、女の子と二人きりになれたのも俺は嬉しいし」
「お前らしいや」
アナリスはそう言うと微笑んだ。
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ガイム視点
5人乗りのレンタカー、魔法による見た目の詐称と経歴の詐称を合わせ、どうにか借りてきた代物。銀色のGTD。
《当たり前だが無免許運転は絶対しないように。想像ならOK!》
とまぁ、俺は無免許なわけだ。そもそも戸籍のない人間に免許は取れない。作るも出身が異世界となるためできないらしい。
「なあ、いつになったら終わるんだ?」
俺は後部座席にいるカノンに話しかける。
「さぁ、いつなんでしょうね」
「それにキルアって奴に任せていいのか?」
「あの人も一応こちらの味方ですよ。信じてあげましょうよ」
カノンは微笑みながらそう言う。王家のお嬢様とあってその容姿はかなり美しい。
「そ、そうだな」
キルア曰く、「あたしは魔法省の人間っちゃ人間だけど人間の味方じゃないわけじゃないから協力したい。というかしてほしい。この世界思ったよりやばい。ちゃんと活躍するから頼む~!」
と飛行機の中で言われたからとりあえず今まで通りにしようかとなったのである。首にナイフを突きつけられていたカノンがそう言うのであれば仕方ないのだが。
「…ふと思ったのですが…」
カノンがきょとんとした顔で俺を見る。
「ガイム…ガイムさんってどこの出身なんですか?」
「呼び捨てでいいよ。俺の出身?それってあっちの世界の?」
「そうですね。なんというか気になっちゃって」
カノンは首をかしげながらそう聞くと、答えを待っている。
「その…なんというか…」
俺の出身…記憶にない。いつの間にか冒険者をやっていたという曖昧な事だ。どうやって冒険者でいたのかすら分からなかった。
「分かんない」
俺は正直に話す。カノンの声色に疑問の声が混じる。
「分からないって…?」
「俺幼い頃に何をしてたのか、親が誰なのかすら分かんないんだよ。なんか夢を見るくらい曖昧で…」
「そうなんですか…なんだかすみません」
「いや全然気にしないでい…」
いいよと言おうとした瞬間、後ろから明かりが灯り、その明かりが真っ暗な空を照らす。そしてけたたましいサイレン音。
ウーーーーーー!ウーーーーーー!
規則正しいその音は誰もが気味悪がるような感じで段々と大きくなっていく。その時、アナリスが車のドアのサイドミラーを叩いてきた。どうやら何かあって車まで来たらしい。
「…あいつやっぱり馬鹿だよ!」
「どうしたのアナリス?」
「キルアが…あたしだって馬鹿じゃないって高らかに言って…そしたら…バレた…」
……
「…キルアは?」
「今ヒカルと合流した。多分だけど…」
その時、後ろからババババという音が聞こえてくる。そして…これはまずい。
「わ、わ、わ、わ、私のせいです!すみません!」
カノンは気が動転してバタバタする。
「とりあえずいつでも行けるようにして!」
キルアの仕事は上手くいかなかった。
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