155 / 237
第131話 謎と真実
しおりを挟む
「…………」
キルアは何も言わなかった。さっきまでと変わらず、ひょこんとした表情なのが一層奇怪に思えた。
「…え?」
そう言ったのはカノンだった。彼女は不思議そうにこちらを見てくる。
「それは…どういうことですか?」
「そのなんて言えば良いんだろう…俺達ってキルアを見た時、大盗賊だって思ったじゃん」
「は、はぁ」
「たださぁ、彼女みたいな大盗賊って…いた?俺の記憶では世界を騒がせた盗賊ってことになってるけど」
「え?何を言ってるのか分からないんですが…」
カノンは困惑な表情を浮かべる。そこにキルアが話し込む。
「何の話?あたしは普通に盗賊やってただけだが?」
キルアはそう言ってこちらを見てくる。するとアナリスが口を開く。
「単刀直入に言うけどさ、私は確かに君を見た時盗賊だって思った。けど盗賊の顔を知ってること自体おかしい。盗賊って顔隠してやるものでしょ?なのに私は君を見て盗賊だって思った」
「あたしは大盗賊だからな!ちょっとは有名だぞ!」
「そうなんだへぇ~。じゃあ一言説明してやってよヒカル」
アナリスに言われヒカルは決定的な事を言う。
「違和感に気づいたのはガイムのおかげだ。てかよくよく考えればわかったな」
「…何が言いたいんだよ?あたしに分かるように言ってくれ」
「そうかい。ならドイツの病院にどうやって入院した?」
途端に静寂と共に不気味な風が吹く。今日は晴れているのだが。
「…それがどうしたんだ?」
「噂じゃ急に倒れてそのまま病院に運ばれた。けど病院側も身元を特定しようとするはずだ。得体の知れない患者を入院とか普通にさせないしな」
「でもあたしはその入院?できたぞ」
「そうだろうな。何故ならお前、病院側の人に俺達と同じことしただろ?あの時、俺もお前は盗賊だって直感的に思った。中世的な世界で飛び交うお前の姿が何故か浮かんだ。その答えは一つ…」
ヒカルは俺に目を合わせる。俺が言えということだろう。
「…記憶改竄。俺達に虚偽の記憶を植え付けた…はずだ」
「はあ!?なんで!?あたしそんなのできないぞ!」
「ちょっと、落ち着いてください!どうしてそういう結論になったんですか!?」
カノンも反論を述べる。だがこちらには決定的な根拠があった。
「さっきどうにか壊れてない衛星通信の携帯電話を借りた。それですぐに電話した。ドイツのあの病院に。そしたら…」
俺は入院していた彼女の経緯を聞いた。当然病院側は個人情報の保護という名目があったのだが、こちらは引き取りに来た親族と説明し、虚偽の名前と病院に行った時の特徴を言うと、意外とあっさり答えを言った。長い待ち時間を得て…
『えっーと、確か身元不明者として救急車で運ばれて…入院となった経緯は…はっきり言ってよく分かっていません。すみませんね、お礼の電話だと言うのに』
「……あぁごめんごめん。なるほどね」
キルアはいつの間にか優しい口調になっていた。その瞬間…
ブワッという風と共に辺りの雰囲気が変わる。状況を理解しようと目を凝らし、そして驚愕する。
「キ、キルアさん…何を…?」
「ごめんね。こんなつもりじゃなかったけど仕方ないんだ」
キルアは片目を瞑りながら…笑う。カノンの首元にナイフを付けて…
「それが本性か!?さっき私達を助けた時とは違うね!」
「あたしを舐めてもらったら困るね!君達は全てあたしが作ったあたしを見てたんだよ!」
アナリスは両手に魔法の光を込めるが、何もしない。キルアも手で固定したままだ。
「とりあえずカノンを離してあげてよ。可哀想じゃん」
「やだよ。絶対あたしになんかする。とりあえずあたしを殺すってのは諦めて。多分アナリスの魔法が発動するよりあたしがカノンを殺す方が早いからさ」
「分かった分かった。ならせめてどうしてこんなことするか教えてくれても良いと思うだけどな」
アナリスは両手を下げる。するとキルアは自信満々に話し始める。
「確かにあたしは記憶改竄したよ。あの時、あたしは枕を投げたでしょ?そこに魔法を仕込ませといた。大盗賊という一文を、人間の記憶というのは意外と脆いからその一文だけであらゆる記憶が自分自身で作られる。勝手に大盗賊だと思ってただけなんだよ」
キルアはなおも饒舌に話す。
「あたしの正体は…魔法省暗殺部隊の一人。目的は理論上存在するとされる異世界に行くこと。そしてそこを新たな住処とし、人間の居住空間拡大を目的とした極秘の計画、あたしはその第一の実行者ってわけ」
「私の嫌いな魔法省の人間なわけね。確かに禁忌魔法は魔法省の人間しか使えないし納得、最初から分かってたことだけど」
「なら君達がどうしてここにいるのかも分かる?分からないよね教えてあげるよ。凄まじい力が一点に集中し、体の構成度が0.001%にまでなった時、異世界に行けるとされた。昔の魔法学者が実際に試して、遺体すら残ってなかったから一応の筋は通ってるとされた」
「それは私とヒカルでそうかな程度には考えていた事だよ」
「あっそ。それじゃあさぁ、君達ってここにいる理由は知ってる?君達は選ばれたんだよ。魔法省から相応しい人間として」
「相応しい人間…?」
俺は思わず疑問を投げつける。キルアはこちらを見つめると
「そう、相応しい人間。どんな環境にも対応できそうな強大な力を持つ人間。賢者と呼ばれた少女と剣聖と呼ばれた少女、この二人が適合された。あとはその監視役として私」
「…あれは偶然じゃないのか?」
「空から落ちてきた彗星が偶然アナリスとカノンに当たったとでも思うの?違うね。魔法で未来を当てることはできないけど推測はできる。気づかないように記憶を改竄して、誘導した。彗星が落ちるとされた場所に。何重もの魔法による呪縛でね。でも誤算はガイムが来たことと魔王一行がこっちの世界に来たこと、これは偶然…ではないかな。一応魔力の高い者に彗星は向かうはずだけど…まぁいいや」
「それで…俺達をどうするつもりなのさ?」
俺はそう聞くと、キルアの表情がふと緩む。
「そうだね…バレた時の判断はあたしに任されてるし。でもまぁ殺せって感じだったかな…ただ…」
キルアは笑いながら言う。その顔はサイコじみていた。
「あたしはもう馬鹿な少女じゃないよ。これからは一人の暗殺者としてよろしくね」
「…マジ?この状況でよろしくねって…」
「うん。カノンも離してあげるよ!」
キルアはそう言うと突きつけていたナイフをしまう。
「とりあえずは仲間だよ。あたしも魔王は嫌いだしさ。魔王が地上でおとなしかったのは魔法省ばっかり的にしてたからね。最近は人間全体の攻撃に代わったけど。でもこの世界に来た今はチャンスだよ」
「何が?」
「強い軍隊がいる。考えたこともないような。それに既に来てるし」
「は?」
来てる?どういうことだ?
「あたしは索敵魔法を常に発動してるから分かるけどさ、後ろの海から何か来てる」
その瞬間、ヘリコプターが4機こちらへと飛んできた。
_________________
『ヘリ部隊ラペリング降下開始』
『ドローンの巡回準備完了』
『高速巡視艇、香港国際空港に到着』
「周囲を完全に囲め。奴らを逃すんじゃないぞ」
-中華人民共和国 北京 国防省 中央軍事委員会 作戦本部-
「中華人民解放軍、駐香港部隊の力を見せつけてやれ。アメリカに先を越されるなやれ!」
司令官はそう激励すると、ドローンと衛星から映される映像をじっと眺めた。
キルアは何も言わなかった。さっきまでと変わらず、ひょこんとした表情なのが一層奇怪に思えた。
「…え?」
そう言ったのはカノンだった。彼女は不思議そうにこちらを見てくる。
「それは…どういうことですか?」
「そのなんて言えば良いんだろう…俺達ってキルアを見た時、大盗賊だって思ったじゃん」
「は、はぁ」
「たださぁ、彼女みたいな大盗賊って…いた?俺の記憶では世界を騒がせた盗賊ってことになってるけど」
「え?何を言ってるのか分からないんですが…」
カノンは困惑な表情を浮かべる。そこにキルアが話し込む。
「何の話?あたしは普通に盗賊やってただけだが?」
キルアはそう言ってこちらを見てくる。するとアナリスが口を開く。
「単刀直入に言うけどさ、私は確かに君を見た時盗賊だって思った。けど盗賊の顔を知ってること自体おかしい。盗賊って顔隠してやるものでしょ?なのに私は君を見て盗賊だって思った」
「あたしは大盗賊だからな!ちょっとは有名だぞ!」
「そうなんだへぇ~。じゃあ一言説明してやってよヒカル」
アナリスに言われヒカルは決定的な事を言う。
「違和感に気づいたのはガイムのおかげだ。てかよくよく考えればわかったな」
「…何が言いたいんだよ?あたしに分かるように言ってくれ」
「そうかい。ならドイツの病院にどうやって入院した?」
途端に静寂と共に不気味な風が吹く。今日は晴れているのだが。
「…それがどうしたんだ?」
「噂じゃ急に倒れてそのまま病院に運ばれた。けど病院側も身元を特定しようとするはずだ。得体の知れない患者を入院とか普通にさせないしな」
「でもあたしはその入院?できたぞ」
「そうだろうな。何故ならお前、病院側の人に俺達と同じことしただろ?あの時、俺もお前は盗賊だって直感的に思った。中世的な世界で飛び交うお前の姿が何故か浮かんだ。その答えは一つ…」
ヒカルは俺に目を合わせる。俺が言えということだろう。
「…記憶改竄。俺達に虚偽の記憶を植え付けた…はずだ」
「はあ!?なんで!?あたしそんなのできないぞ!」
「ちょっと、落ち着いてください!どうしてそういう結論になったんですか!?」
カノンも反論を述べる。だがこちらには決定的な根拠があった。
「さっきどうにか壊れてない衛星通信の携帯電話を借りた。それですぐに電話した。ドイツのあの病院に。そしたら…」
俺は入院していた彼女の経緯を聞いた。当然病院側は個人情報の保護という名目があったのだが、こちらは引き取りに来た親族と説明し、虚偽の名前と病院に行った時の特徴を言うと、意外とあっさり答えを言った。長い待ち時間を得て…
『えっーと、確か身元不明者として救急車で運ばれて…入院となった経緯は…はっきり言ってよく分かっていません。すみませんね、お礼の電話だと言うのに』
「……あぁごめんごめん。なるほどね」
キルアはいつの間にか優しい口調になっていた。その瞬間…
ブワッという風と共に辺りの雰囲気が変わる。状況を理解しようと目を凝らし、そして驚愕する。
「キ、キルアさん…何を…?」
「ごめんね。こんなつもりじゃなかったけど仕方ないんだ」
キルアは片目を瞑りながら…笑う。カノンの首元にナイフを付けて…
「それが本性か!?さっき私達を助けた時とは違うね!」
「あたしを舐めてもらったら困るね!君達は全てあたしが作ったあたしを見てたんだよ!」
アナリスは両手に魔法の光を込めるが、何もしない。キルアも手で固定したままだ。
「とりあえずカノンを離してあげてよ。可哀想じゃん」
「やだよ。絶対あたしになんかする。とりあえずあたしを殺すってのは諦めて。多分アナリスの魔法が発動するよりあたしがカノンを殺す方が早いからさ」
「分かった分かった。ならせめてどうしてこんなことするか教えてくれても良いと思うだけどな」
アナリスは両手を下げる。するとキルアは自信満々に話し始める。
「確かにあたしは記憶改竄したよ。あの時、あたしは枕を投げたでしょ?そこに魔法を仕込ませといた。大盗賊という一文を、人間の記憶というのは意外と脆いからその一文だけであらゆる記憶が自分自身で作られる。勝手に大盗賊だと思ってただけなんだよ」
キルアはなおも饒舌に話す。
「あたしの正体は…魔法省暗殺部隊の一人。目的は理論上存在するとされる異世界に行くこと。そしてそこを新たな住処とし、人間の居住空間拡大を目的とした極秘の計画、あたしはその第一の実行者ってわけ」
「私の嫌いな魔法省の人間なわけね。確かに禁忌魔法は魔法省の人間しか使えないし納得、最初から分かってたことだけど」
「なら君達がどうしてここにいるのかも分かる?分からないよね教えてあげるよ。凄まじい力が一点に集中し、体の構成度が0.001%にまでなった時、異世界に行けるとされた。昔の魔法学者が実際に試して、遺体すら残ってなかったから一応の筋は通ってるとされた」
「それは私とヒカルでそうかな程度には考えていた事だよ」
「あっそ。それじゃあさぁ、君達ってここにいる理由は知ってる?君達は選ばれたんだよ。魔法省から相応しい人間として」
「相応しい人間…?」
俺は思わず疑問を投げつける。キルアはこちらを見つめると
「そう、相応しい人間。どんな環境にも対応できそうな強大な力を持つ人間。賢者と呼ばれた少女と剣聖と呼ばれた少女、この二人が適合された。あとはその監視役として私」
「…あれは偶然じゃないのか?」
「空から落ちてきた彗星が偶然アナリスとカノンに当たったとでも思うの?違うね。魔法で未来を当てることはできないけど推測はできる。気づかないように記憶を改竄して、誘導した。彗星が落ちるとされた場所に。何重もの魔法による呪縛でね。でも誤算はガイムが来たことと魔王一行がこっちの世界に来たこと、これは偶然…ではないかな。一応魔力の高い者に彗星は向かうはずだけど…まぁいいや」
「それで…俺達をどうするつもりなのさ?」
俺はそう聞くと、キルアの表情がふと緩む。
「そうだね…バレた時の判断はあたしに任されてるし。でもまぁ殺せって感じだったかな…ただ…」
キルアは笑いながら言う。その顔はサイコじみていた。
「あたしはもう馬鹿な少女じゃないよ。これからは一人の暗殺者としてよろしくね」
「…マジ?この状況でよろしくねって…」
「うん。カノンも離してあげるよ!」
キルアはそう言うと突きつけていたナイフをしまう。
「とりあえずは仲間だよ。あたしも魔王は嫌いだしさ。魔王が地上でおとなしかったのは魔法省ばっかり的にしてたからね。最近は人間全体の攻撃に代わったけど。でもこの世界に来た今はチャンスだよ」
「何が?」
「強い軍隊がいる。考えたこともないような。それに既に来てるし」
「は?」
来てる?どういうことだ?
「あたしは索敵魔法を常に発動してるから分かるけどさ、後ろの海から何か来てる」
その瞬間、ヘリコプターが4機こちらへと飛んできた。
_________________
『ヘリ部隊ラペリング降下開始』
『ドローンの巡回準備完了』
『高速巡視艇、香港国際空港に到着』
「周囲を完全に囲め。奴らを逃すんじゃないぞ」
-中華人民共和国 北京 国防省 中央軍事委員会 作戦本部-
「中華人民解放軍、駐香港部隊の力を見せつけてやれ。アメリカに先を越されるなやれ!」
司令官はそう激励すると、ドローンと衛星から映される映像をじっと眺めた。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
わし七十歳定年退職者、十七歳冒険者と魂だけが入れ替わる ~17⇔70は地球でも異世界でも最強です~
天宮暁
ファンタジー
東京郊外で定年後の穏やかな生活を送る元会社員・桜塚猛(さくらづかたける)、70歳。
辺境の街サヴォンに暮らす万年D級冒険者ロイド・クレメンス、17歳。
冒険者ランク昇格をかけて遺跡の奥に踏み込んだロイドは、東京・桜塚家で目を覚ます。
一方、何事もなく眠りについたはずの桜塚猛は、冒険者の街サヴォンの宿屋で目を覚ました。
目覚めた二人は、自分の姿を見て驚愕する。ロイドはまったく見覚えのない老人の身体に、桜塚は若く精悍な冒険者の身体に変わっていたのだ。
何の接点もなかったはずの二人の意識が、世界を跨いで入れ替わってしまったのだ!
七十歳が十七歳に、十七歳が七十歳に――
いきなり常識の通じない「異世界」に放り出された二人の冒険が、今始まる!
※ 異世界、地球側並行で話が進みます。
完結まで毎日更新の予定です。
面白そう!と思ってもらえましたら、ご応援くださいませ。
勇者現代へ帰る。でも、国ごと付いてきちゃいました。
Azanasi
ファンタジー
突然召喚された卒業間近の中学生、直人
召喚の途中で女神の元へ……女神から魔神の討伐を頼まれる。
断ればそのまま召喚されて帰るすべはないと女神は言い、討伐さえすれば元の世界の元の時間軸へ帰してくれると言う言葉を信じて異世界へ。
直人は魔神を討伐するが帰れない。実は魔神は元々そんなに力があるわけでもなくただのハリボテだった。そう、魔法で強く見せていただけだったのだが、女神ともなればそれくらい簡単に見抜けるはずなおだが見抜けなかった。女神としては責任問題だここでも女神は隠蔽を施す。
帰るまで数年かかると直人に伝える、直人は仕方なくも受け入れて現代の知識とお買い物スキルで国を発展させていく
ある時、何の前触れもなく待望していた帰還が突然がかなってしまう。
それには10年の歳月がかかっていた。おまけにあろうことか国ごと付いてきてしまったのだ。
現代社会に中世チックな羽毛の国が現れた。各国ともいろんな手を使って取り込もうとするが直人は抵抗しアルスタン王国の将来を模索して行くのだった。
■小説家になろうにも掲載
私(僕)達は同じ過ちを繰り返さないために・・・
ちょこあいす
ファンタジー
世界中で起きた異変
バケモノがはびこる世界
必死に生き延びる人達
命のやり取りが当たり前の世界
不定期更新なので気長に待ってください
前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に二週目の人生を頑張ります
京衛武百十
ファンタジー
俺の名前は阿久津安斗仁王(あくつあんとにお)。いわゆるキラキラした名前のおかげで散々苦労もしたが、それでも人並みに幸せな家庭を築こうと仕事に精を出して精を出して精を出して頑張ってまあそんなに経済的に困るようなことはなかったはずだった。なのに、女房も娘も俺のことなんかちっとも敬ってくれなくて、俺が出張中に娘は結婚式を上げるわ、定年を迎えたら離婚を切り出されれるわで、一人寂しく老後を過ごし、2086年4月、俺は施設で職員だけに看取られながら人生を終えた。本当に空しい人生だった。
なのに俺は、気付いたら五歳の子供になっていた。いや、正確に言うと、五歳の時に危うく死に掛けて、その弾みで思い出したんだ。<前世の記憶>ってやつを。
今世の名前も<アントニオ>だったものの、幸い、そこは中世ヨーロッパ風の世界だったこともあって、アントニオという名もそんなに突拍子もないものじゃなかったことで、俺は今度こそ<普通の幸せ>を掴もうと心に決めたんだ。
しかし、二週目の人生も取り敢えず平穏無事に二十歳になるまで過ごせたものの、何の因果か俺の暮らしていた村が戦争に巻き込まれて家族とは離れ離れ。俺は難民として流浪の身に。しかも、俺と同じ難民として戦火を逃れてきた八歳の女の子<リーネ>と行動を共にすることに。
今世では結婚はまだだったものの、一応、前世では結婚もして子供もいたから何とかなるかと思ったら、俺は育児を女房に任せっきりでほとんど何も知らなかったことに愕然とする。
とは言え、前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に、何とかしようと思ったのだった。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。
夜兎ましろ
ファンタジー
高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。
ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。
バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
異世界に追放されました。二度目の人生は辺境貴族の長男です。
ファンタスティック小説家
ファンタジー
科学者・伊介天成(いかい てんせい)はある日、自分の勤める巨大企業『イセカイテック』が、転移装置開発プロジェクトの遅延を世間にたいして隠蔽していたことを知る。モルモットですら実験をしてないのに「有人転移成功!」とうそぶいていたのだ。急進的にすすむ異世界開発事業において、優位性を保つために、『イセカイテック』は計画を無理に進めようとしていた。たとえ、試験段階の転移装置にいきなり人間を乗せようとも──。
実験の無謀さを指摘した伊介天成は『イセカイテック』に邪魔者とみなされ、転移装置の実験という名目でこの世界から追放されてしまう。
無茶すぎる転移をさせられ死を覚悟する伊介天成。だが、次に目が覚めた時──彼は剣と魔法の異世界に転生していた。
辺境貴族アルドレア家の長男アーカムとして生まれかわった伊介天成は、異世界での二度目の人生をゼロからスタートさせる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる