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第76話 アフリカ動乱(5)
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2022年 8月8日 西アフリカ標準時
午後2時6分
ギニア湾 UN運用 ワスプ級強襲揚陸艦
_________________
「ナイジェリア北部に向かわせた部隊をすぐに向かわせろ」
「現地での飛行許可が降りました。戦闘機発進可能です」
「F-35Bをすぐに現地へ。何か情報はないのか?」
「フライトに問題なし」
「到着予定は?あと何分かかる?怪我人と死者は?」
「衛生映像きました!」
「部隊との連絡が途絶!」
騒がしい艦内の中、アルフレッド オルン少将は国連管轄の強襲揚陸艦の名を借りた艦艇の司令室でテキパキと業務をこなしていた。
衛生からきたのは雲のないところで砂嵐が吹き荒れている映像。
「嵐か?あれは?」
「何故嵐が!?」
「ブラックホーク、全機墜落!」
オルンは黙って映像を見ている。現地で何が起きているのを知りたかった。そして…
「この艦に置いてある戦闘機を全て発進!現地へ向かわせろ!すぐにだ!」
「了解!」
「全機スクランブル発進だ!」
____________________
「戦闘機がこっちに向かってる!」
ボロボロに壊れた民家のような建物。そこに身を隠した俺達に朗報が飛び込む。ロイドが嬉しそうな顔でそう言ったのだ。
「ライトニングならあいつだって…」
ハミルトンが同じく嬉しそうな顔でそう言うが俺、いやクリスとマキシモフは微妙そうな顔をしている。
「どうかな…うまくいくといいが…」
クリスがカッコつけるようにそう言った。傍から見れば渋いイケメンだからそう見えるだけかもしれないが。
マキシモフは先程からチラチラと外の様子を伺っている。
「マキシモフ。リトルバードは?」
「俺達が逃げる時間を稼いでる間に…墜落したんだろうな。見えないから」
……静寂がやってくる。戦闘機の到着、応援部隊の到着はいつだろうか。とその時全員の無線が鳴る。
『こちら司令部。聞こえるか?応答願う。繰り返すこちら司令部』
「こちらストライカー01のアレックス。聞こえるぞ」
『ストライカー01。現在の状況を詳細に』
「他の部隊は全滅。見たところ我々しか生き残りはいない。パイロットも2名死亡した。現在民家に隠れてる」
『了解。敵の特徴と現在位置を把握できるか?』
「敵の特徴は…限りなく人間だ。青い髪で。ただ耳が長くて、あと念動力を使う」
『念動力?』
「物を持ち上げたり、風を起こしたり。手を使わなくてそれらを。敵の現在位置は現在不明」
『…なるほど。戦闘機の到着は残り5分だ。それまでそこに待機してくれ。衛星映像を使って奴を叩きのめしてやる』
「分かった了解」
俺はそう言うと武器を確認する。M4の弾薬は僅かになっていた。当然だ。なにせここまでの激戦を想定していないのだから。
「到着予定は5分。それまで見つかったらいけないんですよね?」
ハミルトンが俺に確認するかのようにそう聞いてくる。
「そうだ。銃が効かない以上、見つかったら一方的にやられてしまう」
「けどまだこいつは試してないぜ」
クリスはそう言うと腰に下げてあった楕円形の…マークII手榴弾を取り出す。
「まあおそらく効かないだろうが。あいつ一体なんなんだ…」
クリスは壁にもたれかかりながら足を伸ばして座。、そのまま顔を下げる。一体なんなんだ、それはおそらくこの場にいる全員が思っていることであろう。
「アレク。サソリの時と状況が違いすぎるぜ」
「サソリはもしかしたら弱かったのかもな」
「でもアフガンの基地じゃあ10何人だっけか?そのくらい死んでるんだろ?」
マキシモフが話に割り込んでくる。
「18人。若い兵士も中にはいた」
「そうか…すまねぇな」
マキシモフはそう言うと再び外の様子を伺いだす。こういう時の5分は長いと俺は実感した。
戦闘機のブオーという音が遠くから聞こえたことで俺達は一斉にその音の方に顔を向けていた。と同時に無線が鳴り出す。
『衛星で奴の姿を捉えた。今から攻撃する。衝撃に備えろ』
直後に4機のF-35Bが上空を通り過ぎていく。
午後2時6分
ギニア湾 UN運用 ワスプ級強襲揚陸艦
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「ナイジェリア北部に向かわせた部隊をすぐに向かわせろ」
「現地での飛行許可が降りました。戦闘機発進可能です」
「F-35Bをすぐに現地へ。何か情報はないのか?」
「フライトに問題なし」
「到着予定は?あと何分かかる?怪我人と死者は?」
「衛生映像きました!」
「部隊との連絡が途絶!」
騒がしい艦内の中、アルフレッド オルン少将は国連管轄の強襲揚陸艦の名を借りた艦艇の司令室でテキパキと業務をこなしていた。
衛生からきたのは雲のないところで砂嵐が吹き荒れている映像。
「嵐か?あれは?」
「何故嵐が!?」
「ブラックホーク、全機墜落!」
オルンは黙って映像を見ている。現地で何が起きているのを知りたかった。そして…
「この艦に置いてある戦闘機を全て発進!現地へ向かわせろ!すぐにだ!」
「了解!」
「全機スクランブル発進だ!」
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「戦闘機がこっちに向かってる!」
ボロボロに壊れた民家のような建物。そこに身を隠した俺達に朗報が飛び込む。ロイドが嬉しそうな顔でそう言ったのだ。
「ライトニングならあいつだって…」
ハミルトンが同じく嬉しそうな顔でそう言うが俺、いやクリスとマキシモフは微妙そうな顔をしている。
「どうかな…うまくいくといいが…」
クリスがカッコつけるようにそう言った。傍から見れば渋いイケメンだからそう見えるだけかもしれないが。
マキシモフは先程からチラチラと外の様子を伺っている。
「マキシモフ。リトルバードは?」
「俺達が逃げる時間を稼いでる間に…墜落したんだろうな。見えないから」
……静寂がやってくる。戦闘機の到着、応援部隊の到着はいつだろうか。とその時全員の無線が鳴る。
『こちら司令部。聞こえるか?応答願う。繰り返すこちら司令部』
「こちらストライカー01のアレックス。聞こえるぞ」
『ストライカー01。現在の状況を詳細に』
「他の部隊は全滅。見たところ我々しか生き残りはいない。パイロットも2名死亡した。現在民家に隠れてる」
『了解。敵の特徴と現在位置を把握できるか?』
「敵の特徴は…限りなく人間だ。青い髪で。ただ耳が長くて、あと念動力を使う」
『念動力?』
「物を持ち上げたり、風を起こしたり。手を使わなくてそれらを。敵の現在位置は現在不明」
『…なるほど。戦闘機の到着は残り5分だ。それまでそこに待機してくれ。衛星映像を使って奴を叩きのめしてやる』
「分かった了解」
俺はそう言うと武器を確認する。M4の弾薬は僅かになっていた。当然だ。なにせここまでの激戦を想定していないのだから。
「到着予定は5分。それまで見つかったらいけないんですよね?」
ハミルトンが俺に確認するかのようにそう聞いてくる。
「そうだ。銃が効かない以上、見つかったら一方的にやられてしまう」
「けどまだこいつは試してないぜ」
クリスはそう言うと腰に下げてあった楕円形の…マークII手榴弾を取り出す。
「まあおそらく効かないだろうが。あいつ一体なんなんだ…」
クリスは壁にもたれかかりながら足を伸ばして座。、そのまま顔を下げる。一体なんなんだ、それはおそらくこの場にいる全員が思っていることであろう。
「アレク。サソリの時と状況が違いすぎるぜ」
「サソリはもしかしたら弱かったのかもな」
「でもアフガンの基地じゃあ10何人だっけか?そのくらい死んでるんだろ?」
マキシモフが話に割り込んでくる。
「18人。若い兵士も中にはいた」
「そうか…すまねぇな」
マキシモフはそう言うと再び外の様子を伺いだす。こういう時の5分は長いと俺は実感した。
戦闘機のブオーという音が遠くから聞こえたことで俺達は一斉にその音の方に顔を向けていた。と同時に無線が鳴り出す。
『衛星で奴の姿を捉えた。今から攻撃する。衝撃に備えろ』
直後に4機のF-35Bが上空を通り過ぎていく。
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