79 / 237
第74話 アフリカ動乱(3)
しおりを挟む
「ハミルトン!大丈夫か立て!」
ハミルトンが何かに躓いて転ぶ。その間にも暴風はゆっくりと近づいて、いや段々とスピードを上げている。あと15mくらいしかない。
「隊長!あれ!」
「分かってる!ロイド!ブラックホークとリトルバードは!?」
「マキシモフがすぐにこっちに来るそうだ!電波が妨害されてるのか他の部隊とは繋がらない!」
その時ババババという音と共に広場の方に黒い何かが浮遊する。
「マキシモフだ!」
クリスはすぐに気づいたのかそう言った後
「皆端によれ!ガトリング砲に巻き込まれるぞ」
そう言うとクリスは建物に張り付くようにして体制を整える。俺はハミルトンの体を起こしたあと彼の腕を無理やりに掴んで投げるように建物へと向かわせる。隣には無線をイジるロイドがいる。
直後ブラックホークに搭載されているGAU-19が火を吹く。ダダダダと言う音が辺りに響く。弾丸は暴風の中心に向かって撃たれている。
「壁に張り付きながらブラックホークに向かえ!着陸してから一気に走るぞ!」
俺がそう言った時、ブラックホークは高度を下げ、GAU-19をマキシモフは撃ちまくる。
ブラックホークのもとに急いで辿り着くと調子者のマキシモフの顔が珍しく強張っている。
「よし!早く乗れ!乗れ!」
火を吹くGAU-19があるドアとは反対のドアからハミルトンを最後にブラックホークへと乗り出す。
ブラックホークはそれを合図に浮上するとその場をすぐに離れる。マキシモフはガンナー席から離れ
「なんなんだ!?あいつ!?」
「分からない!本部との連絡はしたのか!?」
「既にしてあるぞ…それより凄まじい風の音だ…」
と言い終えた時だ。
「おいおい、どうなってやがる。他のブラックホークがいない!」
そう言ったのはパイロット。車で言う助手席に座ったパイロットがそう言うと焦ったように辺りを見渡す。このパイロットもハミルトンと同じく若く、クリーム色の金髪をしていた。
「墜落したのか!?」
「リトルバードが2機とブラックホークが1機!もう1機との連絡も途絶!」
その時ブラックホークが揺れ出す。ピーッピーッという警告音が響き渡る。驚きながら俺は声を上げる。
「なんだ!?どうした!?」
「分からない!墜落するぞ!」
ランドンはそれだけを答えると操縦桿を強く握りしめる。ブラックホークはヒュンヒュンと言いながらゆっくり落下していく。
「耐ショック姿勢!」
そう叫びながら俺は頭を守る姿勢をとった。
キーンという音が耳に直接響く。そして痛みが全身に襲いかかる。だが耐えられないほどではない。
「隊長!こっちだ!」
俺はクリスと思わしき人物に引きずられる。直後ブラックホークは轟音と共に爆発する。
それで耳鳴りが治る。今の状況を確かめようと辺りを見渡す。いるのはハミルトン、クリス、マキシモフ、そしてロイドもちゃんといる。だが…
「パイロットは!?」
俺の質問にすぐ答える者はいなかった。やがてロイドが俯きながら答える。
「あの…中だ…」
俺はそう言われた時ブラックホークのコックピットを直視する。焼かれる機体、その中に黒くあちこちが焦げた二つの…
「クソッ!」
俺は気がつけば建物の柱に拳を打ち付けていた。
「あんたが悪いわけじゃない隊長」
クリスは精一杯の慰めなのかそう言ってくる。拳を打ち付けいくらか気持ちが楽になった俺はノートパソコンを失ったロイドに言う。
「……リトルバードは?」
「もう2機がすぐこっちに…」
その時不意にブラックホークが俺達の頭上を飛ぶ。
だが普通ではない。何故ならそのブラックホークは俺達が先程乗っていた…そのブラックホークは横に飛んでいた。ブレードも何枚かもがれている。吹き飛ばされたのだ。
そしてブラックホークが吹き飛ばされ何を根源として燃えているのか分からない炎がその先の光景を蜃気楼へと誘う。
「………!」
ハミルトンが声にならない喘ぎをもらす。その先にいるものは俺を愕然とさせた。
炎は消え去る。奴の周りを吹きつける風によって消される。奴はブラックホークが墜落した丁度の場所まで来ていた。俺達はとっさに横にされた木箱に隠れる。
俺を合わせた全員が銃を向ける。その目には怯え、怒り、驚き、いろいろな感情が溢れる。
奴は人間に極めて近かった。横に長い耳と猿のような丸い頭をした人型の生物。
童話に出てきそうな見た目のそれは俺達に微笑みかけた。
ハミルトンが何かに躓いて転ぶ。その間にも暴風はゆっくりと近づいて、いや段々とスピードを上げている。あと15mくらいしかない。
「隊長!あれ!」
「分かってる!ロイド!ブラックホークとリトルバードは!?」
「マキシモフがすぐにこっちに来るそうだ!電波が妨害されてるのか他の部隊とは繋がらない!」
その時ババババという音と共に広場の方に黒い何かが浮遊する。
「マキシモフだ!」
クリスはすぐに気づいたのかそう言った後
「皆端によれ!ガトリング砲に巻き込まれるぞ」
そう言うとクリスは建物に張り付くようにして体制を整える。俺はハミルトンの体を起こしたあと彼の腕を無理やりに掴んで投げるように建物へと向かわせる。隣には無線をイジるロイドがいる。
直後ブラックホークに搭載されているGAU-19が火を吹く。ダダダダと言う音が辺りに響く。弾丸は暴風の中心に向かって撃たれている。
「壁に張り付きながらブラックホークに向かえ!着陸してから一気に走るぞ!」
俺がそう言った時、ブラックホークは高度を下げ、GAU-19をマキシモフは撃ちまくる。
ブラックホークのもとに急いで辿り着くと調子者のマキシモフの顔が珍しく強張っている。
「よし!早く乗れ!乗れ!」
火を吹くGAU-19があるドアとは反対のドアからハミルトンを最後にブラックホークへと乗り出す。
ブラックホークはそれを合図に浮上するとその場をすぐに離れる。マキシモフはガンナー席から離れ
「なんなんだ!?あいつ!?」
「分からない!本部との連絡はしたのか!?」
「既にしてあるぞ…それより凄まじい風の音だ…」
と言い終えた時だ。
「おいおい、どうなってやがる。他のブラックホークがいない!」
そう言ったのはパイロット。車で言う助手席に座ったパイロットがそう言うと焦ったように辺りを見渡す。このパイロットもハミルトンと同じく若く、クリーム色の金髪をしていた。
「墜落したのか!?」
「リトルバードが2機とブラックホークが1機!もう1機との連絡も途絶!」
その時ブラックホークが揺れ出す。ピーッピーッという警告音が響き渡る。驚きながら俺は声を上げる。
「なんだ!?どうした!?」
「分からない!墜落するぞ!」
ランドンはそれだけを答えると操縦桿を強く握りしめる。ブラックホークはヒュンヒュンと言いながらゆっくり落下していく。
「耐ショック姿勢!」
そう叫びながら俺は頭を守る姿勢をとった。
キーンという音が耳に直接響く。そして痛みが全身に襲いかかる。だが耐えられないほどではない。
「隊長!こっちだ!」
俺はクリスと思わしき人物に引きずられる。直後ブラックホークは轟音と共に爆発する。
それで耳鳴りが治る。今の状況を確かめようと辺りを見渡す。いるのはハミルトン、クリス、マキシモフ、そしてロイドもちゃんといる。だが…
「パイロットは!?」
俺の質問にすぐ答える者はいなかった。やがてロイドが俯きながら答える。
「あの…中だ…」
俺はそう言われた時ブラックホークのコックピットを直視する。焼かれる機体、その中に黒くあちこちが焦げた二つの…
「クソッ!」
俺は気がつけば建物の柱に拳を打ち付けていた。
「あんたが悪いわけじゃない隊長」
クリスは精一杯の慰めなのかそう言ってくる。拳を打ち付けいくらか気持ちが楽になった俺はノートパソコンを失ったロイドに言う。
「……リトルバードは?」
「もう2機がすぐこっちに…」
その時不意にブラックホークが俺達の頭上を飛ぶ。
だが普通ではない。何故ならそのブラックホークは俺達が先程乗っていた…そのブラックホークは横に飛んでいた。ブレードも何枚かもがれている。吹き飛ばされたのだ。
そしてブラックホークが吹き飛ばされ何を根源として燃えているのか分からない炎がその先の光景を蜃気楼へと誘う。
「………!」
ハミルトンが声にならない喘ぎをもらす。その先にいるものは俺を愕然とさせた。
炎は消え去る。奴の周りを吹きつける風によって消される。奴はブラックホークが墜落した丁度の場所まで来ていた。俺達はとっさに横にされた木箱に隠れる。
俺を合わせた全員が銃を向ける。その目には怯え、怒り、驚き、いろいろな感情が溢れる。
奴は人間に極めて近かった。横に長い耳と猿のような丸い頭をした人型の生物。
童話に出てきそうな見た目のそれは俺達に微笑みかけた。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
虐げられた令嬢、ペネロペの場合
キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。
幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。
父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。
まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。
可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。
1話完結のショートショートです。
虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい……
という願望から生まれたお話です。
ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。
R15は念のため。
婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな
カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界
魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた
「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね?
それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」
小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く
塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう
一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが……
◇◇◇
親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります
(『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です)
◇◇◇
ようやく一区切りへの目処がついてきました
拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
【完結】後妻に入ったら、夫のむすめが……でした
仲村 嘉高
恋愛
「むすめの世話をして欲しい」
夫からの求婚の言葉は、愛の言葉では無かったけれど、幼い娘を大切にする誠実な人だと思い、受け入れる事にした。
結婚前の顔合わせを「疲れて出かけたくないと言われた」や「今日はベッドから起きられないようだ」と、何度も反故にされた。
それでも、本当に申し訳なさそうに謝るので、「体が弱いならしょうがないわよ」と許してしまった。
結婚式は、お互いの親戚のみ。
なぜならお互い再婚だから。
そして、結婚式が終わり、新居へ……?
一緒に馬車に乗ったその方は誰ですか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる