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第47話 ヴュルツブルクの戦い(3)
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ゴブリンとオーク達がまず一番先頭にいたキルアに襲いかかろうとするが、キルアは見事な身のこなしで建物の上に登る。ゴブリンとオーク達はその建物の壁に張り付こうとするが、垂直な壁を登ることはできない。
その間にアナリスが手を上から下に振ると、ゴブリンとオークは次の瞬間には潰れ、血だまりへと化す。
俺はその光景を見て、なんというか気分が悪くなる。
「お、おお…うえっ…」
建物の上にいるキルアも同じようで嗚咽を漏らしている間に、カノンはジャイアントの体を真っ二つに斬っていた。
「おい、弾がなくなりそうだぞ!」
「じゃあ車の影に隠れてて!あぁ、もうキリがないな」
ヒカルは言われたとおり、置き捨てられた黒のセダンの後ろに隠れる。
「ダンジョン攻略だ!ダンジョンの中に入って親玉を潰しに行こう!」
不意にアナリスがオークを焼き払いながら言う。
「ダンジョンの中にはこいつらの親玉がいるはずだ!それを倒せばこいつらの勢いもなくなるはずだ!」
「本当ですか!?」
カノンがその言葉に反応し、ダンジョンの入口へと近づく。
「ダンジョンの中?それってどんな…ってうお!?うお!?な、どりゃああ!」
独り言のすごいキルアもどうにかアナリスに近づこうとする。
そして賢者、最強の剣士、大盗賊がダンジョンのすぐ前に集まろうとした時、俺もそこに行きたいのだが、ゴブリンが邪魔で思うように行けない。その時
「ガイムさん!」
そう言ったのはカノンで俺に何かを投げてきた。それはオークが持っていた剣だ。鋼の剣でオークには不釣りとも言えるような代物となっている。
俺はどうにかゴブリンの頭に剣を突き刺す。奴らの弱点こそないもののゴブリンやオークは弱い。下位魔法しか使えない俺でも倒せるくらいだ。ジャイアントこそその大きさには圧倒され、凄まじい炎耐性を持つが、その反面、中身がスカスカで剣を思いっきり突き刺すとそのまま貫通する場合もあるほど脆い。
このダンジョンから出てくる魔物達は総じてあまり強くないものが多かったが、数が多すぎてまじでやばい。次々とやってくるゴブリン達を切り刻みながら進むと不意に何かおかしなことが起きる。
大盗賊のキルアが突然床に伏せたかと思うと、今度はカノンが床に剣を突き立て、そのまま動かなくなる。アナリスもよろめきながらバンパーが吹き飛んだ車へともたれかかる。
「え?」
素っ頓狂な声がでる。何かがあった。それだけが分かる。何かが傷つけた。ヒカルもこのことに気づいたのか俺の方へと駆け寄る。
周りのゴブリンやオーク、そしてジャイアントは彼らが倒したのか全ていなくなっている。
「…何があった?おい!大丈夫か!」
ヒカルはそう言うと彼らに駆け寄り、俺もついていく。
まず一番俺達と距離が近かったキルアに駆け寄るが、その目は充血し、鼻血が出ている。そして顔や露出した肩、そしてスネなどに青い痣ができている。
「…何…こ…苦」
キルアは何かを言おうとしているが、ごもごもとしか聞き取れない。うまく喋れないようだ
「おい、どうしたんだ!?この状態であいつらが来たら死ぬぞ!」
ヒカルはそう言うが、直後にキルアは横になり、目を瞑る。この騒動の間にアナリスが
近づいてくるがその足どりはまるで酔っぱらいかのようになっている。
俺が駆け寄るとアナリスは何も言わずに俺の肩に腕をかける。
「まず………ガイ…ム」
「アナリス一体何が…」
「………魔…素」
「魔素って…何だよ?」
ヒカルがそう聞いてくる。そしてそれを答えたのは先程まではいなかった。
「魔素。体内の魔力の流れを妨害して魔力を暴走させる。暴走した魔力は体では制御できずにやがてあちこちを傷つける」
その人物はどこか妖しい感じを惑わせていた。毛皮のコートに似たものを羽織い、プール上着とズボンを着ているかのような緑色の短髪をした長身人物。そして明らかにただ者ではない。
「…誰だ?」
俺はなんとか声を出し、そう聞くと彼女はすぐに答える。
「ふふ、[悪女]って言えば分かるかしら?それとも魔王軍幹部の一人、リヴリーのほう?」
[悪女]は笑った。
その間にアナリスが手を上から下に振ると、ゴブリンとオークは次の瞬間には潰れ、血だまりへと化す。
俺はその光景を見て、なんというか気分が悪くなる。
「お、おお…うえっ…」
建物の上にいるキルアも同じようで嗚咽を漏らしている間に、カノンはジャイアントの体を真っ二つに斬っていた。
「おい、弾がなくなりそうだぞ!」
「じゃあ車の影に隠れてて!あぁ、もうキリがないな」
ヒカルは言われたとおり、置き捨てられた黒のセダンの後ろに隠れる。
「ダンジョン攻略だ!ダンジョンの中に入って親玉を潰しに行こう!」
不意にアナリスがオークを焼き払いながら言う。
「ダンジョンの中にはこいつらの親玉がいるはずだ!それを倒せばこいつらの勢いもなくなるはずだ!」
「本当ですか!?」
カノンがその言葉に反応し、ダンジョンの入口へと近づく。
「ダンジョンの中?それってどんな…ってうお!?うお!?な、どりゃああ!」
独り言のすごいキルアもどうにかアナリスに近づこうとする。
そして賢者、最強の剣士、大盗賊がダンジョンのすぐ前に集まろうとした時、俺もそこに行きたいのだが、ゴブリンが邪魔で思うように行けない。その時
「ガイムさん!」
そう言ったのはカノンで俺に何かを投げてきた。それはオークが持っていた剣だ。鋼の剣でオークには不釣りとも言えるような代物となっている。
俺はどうにかゴブリンの頭に剣を突き刺す。奴らの弱点こそないもののゴブリンやオークは弱い。下位魔法しか使えない俺でも倒せるくらいだ。ジャイアントこそその大きさには圧倒され、凄まじい炎耐性を持つが、その反面、中身がスカスカで剣を思いっきり突き刺すとそのまま貫通する場合もあるほど脆い。
このダンジョンから出てくる魔物達は総じてあまり強くないものが多かったが、数が多すぎてまじでやばい。次々とやってくるゴブリン達を切り刻みながら進むと不意に何かおかしなことが起きる。
大盗賊のキルアが突然床に伏せたかと思うと、今度はカノンが床に剣を突き立て、そのまま動かなくなる。アナリスもよろめきながらバンパーが吹き飛んだ車へともたれかかる。
「え?」
素っ頓狂な声がでる。何かがあった。それだけが分かる。何かが傷つけた。ヒカルもこのことに気づいたのか俺の方へと駆け寄る。
周りのゴブリンやオーク、そしてジャイアントは彼らが倒したのか全ていなくなっている。
「…何があった?おい!大丈夫か!」
ヒカルはそう言うと彼らに駆け寄り、俺もついていく。
まず一番俺達と距離が近かったキルアに駆け寄るが、その目は充血し、鼻血が出ている。そして顔や露出した肩、そしてスネなどに青い痣ができている。
「…何…こ…苦」
キルアは何かを言おうとしているが、ごもごもとしか聞き取れない。うまく喋れないようだ
「おい、どうしたんだ!?この状態であいつらが来たら死ぬぞ!」
ヒカルはそう言うが、直後にキルアは横になり、目を瞑る。この騒動の間にアナリスが
近づいてくるがその足どりはまるで酔っぱらいかのようになっている。
俺が駆け寄るとアナリスは何も言わずに俺の肩に腕をかける。
「まず………ガイ…ム」
「アナリス一体何が…」
「………魔…素」
「魔素って…何だよ?」
ヒカルがそう聞いてくる。そしてそれを答えたのは先程まではいなかった。
「魔素。体内の魔力の流れを妨害して魔力を暴走させる。暴走した魔力は体では制御できずにやがてあちこちを傷つける」
その人物はどこか妖しい感じを惑わせていた。毛皮のコートに似たものを羽織い、プール上着とズボンを着ているかのような緑色の短髪をした長身人物。そして明らかにただ者ではない。
「…誰だ?」
俺はなんとか声を出し、そう聞くと彼女はすぐに答える。
「ふふ、[悪女]って言えば分かるかしら?それとも魔王軍幹部の一人、リヴリーのほう?」
[悪女]は笑った。
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