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第21話 VSワイバーン in ニューヨーク(6)
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ガイムは瓦礫をどかそうと下位魔法を駆使していた。
しかし土砂崩れのように崩壊したコンクリート群は、そう簡単にどかせるものではなかった。
「なんか使える魔法が1つくらいはないのか?」
苛立ちを覚えながら自身ができる様々な魔法を頭でイメージする。下位魔法しかできないとはいえ、何かはあるはずだ。
そうこう考えているうちに、ある魔法が浮かぶ。
下位魔法[物質短縮]。魔力を持っていない複数の大体大きさが同じ物を混濁させる魔法だ。これで隙間ができないだろうか。
そうだ。どかす必要はない。人が通れる隙間さえあれば…
俺は、瓦礫の山へ手をかざす。すると瓦礫の山は1つの混合物となる。地下鉄の出入り口の隙間ができるほどに。
「えっと、皆さん大丈夫…ですか?」
思わず人見知りが発動してしまったが、声をかけても返事がない。嫌な予感がする。
まさか…もう
おそるおそる中を覗く。階段が続いていたが、中は外と比べると格段にきれいだ。
そして中に書いてあった字によると、ここはウォールストリート駅らしい。
外では、ビルが崩れる轟音が少なくない頻度で鳴り続けている。
だが不思議なことにワイバーンは炎を吐かなくなっていた。
中に入って探索しようとしたその時、アナリスがヒビの入ったビル群の間からこちらへ来た。
空中に浮かびながら。
「おまたせ、大丈夫?」
「あ、うん。でも中に人はいなかったよ」
「多分地下鉄の線路を歩いて逃げたんだと思う。それより私達もそろそろ行くよ。
この国の軍隊がお出ましする頃だからね」
軍?あぁ、こいつを倒すために軍を派遣するということなのか?
と思った時、ズシンズシンという音が一層大きく響いた。どうやらワイバーンは俺達を探しているらしい。
ワイバーンはまだこちらに気づいてない。結構離れているからだろうか、こちらへ一切目を向けない。
いや、違う。ワイバーンは何かに気をとられている。先程からワイバーンの目は、キョロキョロとある一点を見つめているからだ。
その先に何があるのだろうかと思い見てみると、そこにはワイバーンへ向かってくる高速の何かがあった。
横に細長く、後ろの部分からは炎が出ているそれは、ワイバーンへぶつかるとドカーンという轟音と共に爆発する。
その威力はワイバーンの頭を覆い尽くすほどだった。
だがそれで終わりではない。それはあと5つあった。
ワイバーンが避けようと、後方へと跳ぶが、
まるで生きてるかのようにそれは、ワイバーンの頭へピンポイントに飛んでいってる。
そして再び避ける間もなく2発、3発、4発と当たっていく。
だが、5発目はワイバーンが手で振り払おうとする。その謎の物体との手が触れた瞬間、その謎の物体はワイバーンの手の表面で爆発する。
しかしこれで終わりではなく、6発目は手で振り払うことなく、顔面へと直撃する。
一体あの謎の物体はなんなのかと考えていると、何かの影が一瞬俺達と被る。
あわてて振り向くと、そこには空を凄まじい速さで動く何があった。
やがてまた謎の影が過ぎていく。その姿は、俺がまだ見たこともない物だった。
灰色のカラーディング、平べったい印象をうけるそれは、ドラゴンやワイバーン、なんかの魔物ではない。
「ふーう!さっすがぁ!」
アナリスは隣で興奮している。だが俺は興奮できなかった。ただただ呆気にとられるばかりだ。あれも飛行機の一種なのだろうか。
ふと、ワイバーンの方を見る。ワイバーンの顔面は煙でよく見えないが、あちこちで流血しており、中には抉れている箇所もあった。
「タフだな…あいつあれで死なないのかよ」
アナリスも気づいたようで、口調が荒くなっている。
俺は、ただその様子を見ることしかできなかった。
しかし土砂崩れのように崩壊したコンクリート群は、そう簡単にどかせるものではなかった。
「なんか使える魔法が1つくらいはないのか?」
苛立ちを覚えながら自身ができる様々な魔法を頭でイメージする。下位魔法しかできないとはいえ、何かはあるはずだ。
そうこう考えているうちに、ある魔法が浮かぶ。
下位魔法[物質短縮]。魔力を持っていない複数の大体大きさが同じ物を混濁させる魔法だ。これで隙間ができないだろうか。
そうだ。どかす必要はない。人が通れる隙間さえあれば…
俺は、瓦礫の山へ手をかざす。すると瓦礫の山は1つの混合物となる。地下鉄の出入り口の隙間ができるほどに。
「えっと、皆さん大丈夫…ですか?」
思わず人見知りが発動してしまったが、声をかけても返事がない。嫌な予感がする。
まさか…もう
おそるおそる中を覗く。階段が続いていたが、中は外と比べると格段にきれいだ。
そして中に書いてあった字によると、ここはウォールストリート駅らしい。
外では、ビルが崩れる轟音が少なくない頻度で鳴り続けている。
だが不思議なことにワイバーンは炎を吐かなくなっていた。
中に入って探索しようとしたその時、アナリスがヒビの入ったビル群の間からこちらへ来た。
空中に浮かびながら。
「おまたせ、大丈夫?」
「あ、うん。でも中に人はいなかったよ」
「多分地下鉄の線路を歩いて逃げたんだと思う。それより私達もそろそろ行くよ。
この国の軍隊がお出ましする頃だからね」
軍?あぁ、こいつを倒すために軍を派遣するということなのか?
と思った時、ズシンズシンという音が一層大きく響いた。どうやらワイバーンは俺達を探しているらしい。
ワイバーンはまだこちらに気づいてない。結構離れているからだろうか、こちらへ一切目を向けない。
いや、違う。ワイバーンは何かに気をとられている。先程からワイバーンの目は、キョロキョロとある一点を見つめているからだ。
その先に何があるのだろうかと思い見てみると、そこにはワイバーンへ向かってくる高速の何かがあった。
横に細長く、後ろの部分からは炎が出ているそれは、ワイバーンへぶつかるとドカーンという轟音と共に爆発する。
その威力はワイバーンの頭を覆い尽くすほどだった。
だがそれで終わりではない。それはあと5つあった。
ワイバーンが避けようと、後方へと跳ぶが、
まるで生きてるかのようにそれは、ワイバーンの頭へピンポイントに飛んでいってる。
そして再び避ける間もなく2発、3発、4発と当たっていく。
だが、5発目はワイバーンが手で振り払おうとする。その謎の物体との手が触れた瞬間、その謎の物体はワイバーンの手の表面で爆発する。
しかしこれで終わりではなく、6発目は手で振り払うことなく、顔面へと直撃する。
一体あの謎の物体はなんなのかと考えていると、何かの影が一瞬俺達と被る。
あわてて振り向くと、そこには空を凄まじい速さで動く何があった。
やがてまた謎の影が過ぎていく。その姿は、俺がまだ見たこともない物だった。
灰色のカラーディング、平べったい印象をうけるそれは、ドラゴンやワイバーン、なんかの魔物ではない。
「ふーう!さっすがぁ!」
アナリスは隣で興奮している。だが俺は興奮できなかった。ただただ呆気にとられるばかりだ。あれも飛行機の一種なのだろうか。
ふと、ワイバーンの方を見る。ワイバーンの顔面は煙でよく見えないが、あちこちで流血しており、中には抉れている箇所もあった。
「タフだな…あいつあれで死なないのかよ」
アナリスも気づいたようで、口調が荒くなっている。
俺は、ただその様子を見ることしかできなかった。
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