上 下
14 / 28

14  杏樹のしたたかさ

しおりを挟む
 
 蓮と桜が杏樹を連れて王城に戻るための準備中に
蘭華が信頼に値する者達だと連れてきた獣人達を紹介され
私の前に並び膝を付いた。


「王女杏樹様! お初にお目通りします。
私はヒョウ族の空牙くうがと申します。 
王女様は覚えておいでかは分かりませんが 
以前王都の城下町でお会いしております。あの時は 大変失礼いたしました。
王女様とは知らず お身体に触り あなた様を危険に晒してしまいました。
申し開きもありません。
今回 蘭華様の計らいでお近づきになれたことを光栄に思います。
これを機にお側にお仕えする栄誉を私に頂きとうございます。」

漆黒の黒色の髪の色と頭に出ている丸みがある黒い耳 
そして長くヒョウ柄特有の斑点が色濃く出ている黒い尻尾を持ち
エメラルドグリーンの瞳をした者が最初に話しかけてきた。

この時の私は まだ知るよしもなかった。
遠くもなく近くもない未来に私にとって空牙は愛してやまない
3人目の旦那様になることを・・・・

他の獣人達がその後 型にはまったような挨拶をし 私の護衛に徹した。

昂牙によって軟禁されていた屋敷を出ると 
外にはエルフの長 二ノ森 然 が待機していた。

「王女杏樹様! ご無事で何よりです。
少しばかり私目に時間の猶予をお与え下さい。」と膝を付きながら告げた。

私は無言で頷いた。

「ありがとうございます。 では! 失礼します。
桜花! 私が言いたいこと分かっているだろう!?
抜かるな!と伝えたつもりだが? どう言うことか聞かせてもらうぞ!
良い言い訳でも考えておくんだな!!」と いきなり桜に激昂を放った。

威厳に満ちた態度で立つエルフの長 二ノ森 然 に

私は
「待ってっ!! 何で? 桜が怒られてるの?
私が拐われたのは 私の不注意だから!!
その事で桜と蓮が 責められるのは 私! 納得いかない!!
怒られるのはむしろ私の方でしょ? ねぇ!違う?
私!分からないから 教えて!」と
満面の笑みを浮かべエルフの長に詰め寄った。

「これは けじめでして・・・ 
桜花の認識の再確認みたいなもので・・・つまり その・・・」

エルフの長の返答を聞きながら 長の腕に自分の腕を絡ませ
顔を除き込んでいた。

「だったらもう桜のこと怒らない?
今回は私が悪いの!! 分かってくれたかしら? 叔父さま!」
クスクス笑いながら私は長を見た。

「杏樹様の仰せのままに。」

「ありがとうございます。叔・父・さ・ま!」 伝えた。

その光景を見ていた蓮と桜は 呆気にとられていた。
蘭華は優しい眼差しを私に向けていた。
空牙と他の獣人達は驚愕していた。 
杏樹の一言で長の顔色や言動が一瞬にして変わったことを。
なぜならエルフの長の冷酷非道な言動をよく知っていたためだ。

「杏樹様! 私は心配です。 大能森 一嗣様はいえ ヴァンパイアの長様は
私ほど甘くはありませんよ!  一嗣様を怒らすことがあったら一大事です。
杏樹様!お気をつけくださいまし。」

「分かったわ! 叔父さま!ありがとうございます。」と答えた。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

【R18】殿下!そこは舐めてイイところじゃありません! 〜悪役令嬢に転生したけど元潔癖症の王子に溺愛されてます〜

茅野ガク
恋愛
予想外に起きたイベントでなんとか王太子を救おうとしたら、彼に執着されることになった悪役令嬢の話。 ☆他サイトにも投稿しています

大嫌いな次期騎士団長に嫁いだら、激しすぎる初夜が待っていました

扇 レンナ
恋愛
旧題:宿敵だと思っていた男に溺愛されて、毎日のように求められているんですが!? *こちらは【明石 唯加】名義のアカウントで掲載していたものです。書籍化にあたり、こちらに転載しております。また、こちらのアカウントに転載することに関しては担当編集さまから許可をいただいておりますので、問題ありません。 ―― ウィテカー王国の西の辺境を守る二つの伯爵家、コナハン家とフォレスター家は長年に渡りいがみ合ってきた。 そんな現状に焦りを抱いた王家は、二つの伯爵家に和解を求め、王命での結婚を命じる。 その結果、フォレスター伯爵家の長女メアリーはコナハン伯爵家に嫁入りすることが決まった。 結婚相手はコナハン家の長男シリル。クールに見える外見と辺境騎士団の次期団長という肩書きから女性人気がとても高い男性。 が、メアリーはそんなシリルが実は大嫌い。 彼はクールなのではなく、大層傲慢なだけ。それを知っているからだ。 しかし、王命には逆らえない。そのため、メアリーは渋々シリルの元に嫁ぐことに。 どうせ愛し愛されるような素敵な関係にはなれるわけがない。 そう考えるメアリーを他所に、シリルは初夜からメアリーを強く求めてくる。 ――もしかして、これは嫌がらせ? メアリーはシリルの態度をそう受け取り、頑なに彼を拒絶しようとするが――……。 「誰がお前に嫌がらせなんかするかよ」 どうやら、彼には全く別の思惑があるらしく……? *WEB版表紙イラストはみどりのバクさまに有償にて描いていただいたものです。転載等は禁止です。

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

【完結】堕ちた令嬢

マー子
恋愛
・R18・無理矢理?・監禁×孕ませ ・ハピエン ※レイプや陵辱などの表現があります!苦手な方は御遠慮下さい。 〜ストーリー〜 裕福ではないが、父と母と私の三人平凡で幸せな日々を過ごしていた。 素敵な婚約者もいて、学園を卒業したらすぐに結婚するはずだった。 それなのに、どうしてこんな事になってしまったんだろう⋯? ◇人物の表現が『彼』『彼女』『ヤツ』などで、殆ど名前が出てきません。なるべく表現する人は統一してますが、途中分からなくても多分コイツだろう?と温かい目で見守って下さい。 ◇後半やっと彼の目的が分かります。 ◇切ないけれど、ハッピーエンドを目指しました。 ◇全8話+その後で完結

処理中です...