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それぞれの恋の行方
それぞれの恋の行方6
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二人で泣くだけ泣いて、鼻をすすりながら、同時に吹き出した。
……なーにしてるんだろうな、私達。
「……端からみたら、今の私達はきっと異様に見えるだろうな」
「……いいんじゃない? どーせ、誰も見てないんだし」
誰にも迷惑かけてないんだから、変に気兼ねする必要なんかない! と胸を張ると、マシェルがせつなげに目を細めた。
「……お前のそういう所が、好きだよ」
「好き」の言葉に、じくりと胸の奥が疼いた。
「――なあ、ルクレア」
すんと鼻をすすりながら、マシェルは泣いて赤くなった目を向けた。
「先ほどの言葉を訂正しても良いか? 私はさっき、お前を友としてではなく、異性として好きだと言ったが……」
へにゃりと眉を垂らして、マシェルが微笑む。
「……異性としてだけじゃなく、友としてもお前が好きだ。ルクレア・ボレアという人間が、私は好きなんだ。たから、お前さえよければ、これからも今までの関係のままでいて欲しい」
「――――っ……」
マシェルの言葉に声にならない声が漏れ、止まったはずの涙が再びぶわりと溢れだした。
マシェル……あんたって奴はどこまで……どこまで良い男なんだ……。
「……うん。私も、マシェル・メネガという人間が好きだ」
涙を拭って頷きながら、手を差し出す。
「だから、どうかこれからも宜しくお願いします」
マシェルは笑いながら、そっと私の手を握った。
「ああ、これからも宜しくな」
ぎゅうぎゅうに手を握って、目を合わせて、また笑い合う。
――ようやくこれで、私達はちゃんと友人になれた気がした。
「………ん?」
不意にマシェルが怪訝そうに後ろを振り返る。
「? どうしたの、マシェル」
「いや……」
キョロキョロと辺りを見渡しながら、マシェルは眉を寄せた。
「今一瞬誰かがいたような気がしたんだが……気のせいか?」
「え?」
誰かにこの光景をずっと見られてたとしたらさすがにちょっと恥ずかしい。
私もまた、マシェルが向いた先に視線をさ迷わせた。
「――……誰もいないっぽいね」
「だな……やはり、私の気のせいだな。動物でもいたのかもしれん」
………フィクションの御約束では、こういう時その場は気のせいで済ませても、絶対に誰もいるもんだけど……まさか、な。フィクションじゃなくて、現実だし。
まあ、やましいことをしているわけじゃないし、誰かに見られていたとしても別に良いか。
「……そんなことより」
既に気配を散策することを諦めたマシェルが、握った手を離しながら険しい表情で私を見据える。
「これは友としての質問なのだが……お前が好きな男というのは、昨日のあの男じゃないだろうな!?」
…………う
「…………ハイ。ソーデス」
「私がいうのも何だが……無理矢理主従契約を結ばれた男に惚れるなんて、趣味が悪いぞ!? 人質心理じゃないのか!?」
………やっぱりそー思うよね!? ストックホルム症候群だって、思っちゃうよね!?
その後、まるで父親のような勢いで詰め寄るマシェルに、オブラートに包んで脚色しまくったデイビッドの説明を告げて、「最初は不本意な関係だったけど今ではちゃんと好きなの。大丈夫、本当は優しい人だから」という言葉を信じさせるのに、優に一時間はかかった。
……てか一時間かかっても納得してなかったけど(自分で振り替えってもDV男を擁護する妻の言い分のようだと思ったから仕方ない)最終的に「私を信じて!」でごり押しした。
「分かった……お前がそういうなら、今は引いておくが……何かあったら絶対絶対私に相談しろよ!? いや、何もなくとも定期的に相談しろ! お前の身に何かあってからじゃ、遅いんだからな!?」
「う、うん! 絶対相談する!」
「絶対だからな!?」
「うん!」
……マシェルの(友)愛が、とても重いデス。
ぱぱん2号と呼ばせていただこう。……心の中だけでコッソリと。
……なーにしてるんだろうな、私達。
「……端からみたら、今の私達はきっと異様に見えるだろうな」
「……いいんじゃない? どーせ、誰も見てないんだし」
誰にも迷惑かけてないんだから、変に気兼ねする必要なんかない! と胸を張ると、マシェルがせつなげに目を細めた。
「……お前のそういう所が、好きだよ」
「好き」の言葉に、じくりと胸の奥が疼いた。
「――なあ、ルクレア」
すんと鼻をすすりながら、マシェルは泣いて赤くなった目を向けた。
「先ほどの言葉を訂正しても良いか? 私はさっき、お前を友としてではなく、異性として好きだと言ったが……」
へにゃりと眉を垂らして、マシェルが微笑む。
「……異性としてだけじゃなく、友としてもお前が好きだ。ルクレア・ボレアという人間が、私は好きなんだ。たから、お前さえよければ、これからも今までの関係のままでいて欲しい」
「――――っ……」
マシェルの言葉に声にならない声が漏れ、止まったはずの涙が再びぶわりと溢れだした。
マシェル……あんたって奴はどこまで……どこまで良い男なんだ……。
「……うん。私も、マシェル・メネガという人間が好きだ」
涙を拭って頷きながら、手を差し出す。
「だから、どうかこれからも宜しくお願いします」
マシェルは笑いながら、そっと私の手を握った。
「ああ、これからも宜しくな」
ぎゅうぎゅうに手を握って、目を合わせて、また笑い合う。
――ようやくこれで、私達はちゃんと友人になれた気がした。
「………ん?」
不意にマシェルが怪訝そうに後ろを振り返る。
「? どうしたの、マシェル」
「いや……」
キョロキョロと辺りを見渡しながら、マシェルは眉を寄せた。
「今一瞬誰かがいたような気がしたんだが……気のせいか?」
「え?」
誰かにこの光景をずっと見られてたとしたらさすがにちょっと恥ずかしい。
私もまた、マシェルが向いた先に視線をさ迷わせた。
「――……誰もいないっぽいね」
「だな……やはり、私の気のせいだな。動物でもいたのかもしれん」
………フィクションの御約束では、こういう時その場は気のせいで済ませても、絶対に誰もいるもんだけど……まさか、な。フィクションじゃなくて、現実だし。
まあ、やましいことをしているわけじゃないし、誰かに見られていたとしても別に良いか。
「……そんなことより」
既に気配を散策することを諦めたマシェルが、握った手を離しながら険しい表情で私を見据える。
「これは友としての質問なのだが……お前が好きな男というのは、昨日のあの男じゃないだろうな!?」
…………う
「…………ハイ。ソーデス」
「私がいうのも何だが……無理矢理主従契約を結ばれた男に惚れるなんて、趣味が悪いぞ!? 人質心理じゃないのか!?」
………やっぱりそー思うよね!? ストックホルム症候群だって、思っちゃうよね!?
その後、まるで父親のような勢いで詰め寄るマシェルに、オブラートに包んで脚色しまくったデイビッドの説明を告げて、「最初は不本意な関係だったけど今ではちゃんと好きなの。大丈夫、本当は優しい人だから」という言葉を信じさせるのに、優に一時間はかかった。
……てか一時間かかっても納得してなかったけど(自分で振り替えってもDV男を擁護する妻の言い分のようだと思ったから仕方ない)最終的に「私を信じて!」でごり押しした。
「分かった……お前がそういうなら、今は引いておくが……何かあったら絶対絶対私に相談しろよ!? いや、何もなくとも定期的に相談しろ! お前の身に何かあってからじゃ、遅いんだからな!?」
「う、うん! 絶対相談する!」
「絶対だからな!?」
「うん!」
……マシェルの(友)愛が、とても重いデス。
ぱぱん2号と呼ばせていただこう。……心の中だけでコッソリと。
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