325 / 336
セルドアイベント?24
しおりを挟む
……まずい。喧嘩はじめよった。
このままじゃ、売り言葉に買い言葉で、ペロッとよけいなこと言い出しそうだ。
こないだ死にかけたこととか。私が自分で炎に辺りに言ったこととか。
「先日しでかしたことを、早くも忘れられたのですか? 貴方の炎が「二人とも! 本当にいつもありがとう!!!」」
よけいなことを言いかけたセルドアの言葉を、大声で打ち消しながら姉さんから離れ、二人に抱きつく。
「二人が……みんながいるから、私は自分のことを大切にしようと思えるよ。いつもありがとう。……大好きだよ」
……ご、誤魔化せたかな。
二人をぎゅうぎゅうに抱き締めながら、恐る恐る家族の反応も伺うも、そこには複雑そうな顔の姉さんと父さんが。
だ、駄目?
誤魔化せてない?
「……リッカ。ドラゴンの子どもはともかく、魔術師長様にそれは……」
「--リッカは、色んな人達に思われて、大切にされているのね」
苦々しい顔で何か言おうとした父さんの言葉は、突然口を開いた母さんの言葉にかき消された。
「たくさんの人に想われて、想ってくれる人を大好きだと思えることは素晴らしいことだわ!……私たち家族にだけ囲まれていたなら、きっとそんな素晴らしい体験はできなかったでしょうね」
顔を輝かせてそう言った母さんは、少しだけ淋しそうに笑ってから、ラドとセルドアを見て頭を下げた。
「どうか、これからも私の娘をよろしくお願いします。……少し無鉄砲なところはあるけど、優しくて家族想いのとても良い子なの」
「……ご家族が納得してくれたようで、よかったですね。リッカ」
「納得……してくれたのかなあ。あれ」
……父さんや姉さんに関しては、母さんの勢いに飲まれただけな気がする。
昨日は姉さんの錯乱オーラに負けてたけど、基本的にうちの中で一番強いのって、いつもは一番ゆるふわしてみえる母さんだからな。
母さんの決定したことには、何だかんだで逆らえないんだよね。みな。
「まあ、でも。本当に私の身に危険がないか様子見してくれることに納得してくれたことは、素直にありがたいよ。今まで以上に危険なことはできなくなったけど」
一日一回、必ず通信機で元気かどうか報告をすること。
それが、今の生活を続ける条件だった。
毎日ではなかったけど、今までだってしょっちゅう連絡を取ってはいたから、それ程大変な条件ではない。
……過保護だなあ、とは思わなくもないけど。
「……家族っていいものですね」
このままじゃ、売り言葉に買い言葉で、ペロッとよけいなこと言い出しそうだ。
こないだ死にかけたこととか。私が自分で炎に辺りに言ったこととか。
「先日しでかしたことを、早くも忘れられたのですか? 貴方の炎が「二人とも! 本当にいつもありがとう!!!」」
よけいなことを言いかけたセルドアの言葉を、大声で打ち消しながら姉さんから離れ、二人に抱きつく。
「二人が……みんながいるから、私は自分のことを大切にしようと思えるよ。いつもありがとう。……大好きだよ」
……ご、誤魔化せたかな。
二人をぎゅうぎゅうに抱き締めながら、恐る恐る家族の反応も伺うも、そこには複雑そうな顔の姉さんと父さんが。
だ、駄目?
誤魔化せてない?
「……リッカ。ドラゴンの子どもはともかく、魔術師長様にそれは……」
「--リッカは、色んな人達に思われて、大切にされているのね」
苦々しい顔で何か言おうとした父さんの言葉は、突然口を開いた母さんの言葉にかき消された。
「たくさんの人に想われて、想ってくれる人を大好きだと思えることは素晴らしいことだわ!……私たち家族にだけ囲まれていたなら、きっとそんな素晴らしい体験はできなかったでしょうね」
顔を輝かせてそう言った母さんは、少しだけ淋しそうに笑ってから、ラドとセルドアを見て頭を下げた。
「どうか、これからも私の娘をよろしくお願いします。……少し無鉄砲なところはあるけど、優しくて家族想いのとても良い子なの」
「……ご家族が納得してくれたようで、よかったですね。リッカ」
「納得……してくれたのかなあ。あれ」
……父さんや姉さんに関しては、母さんの勢いに飲まれただけな気がする。
昨日は姉さんの錯乱オーラに負けてたけど、基本的にうちの中で一番強いのって、いつもは一番ゆるふわしてみえる母さんだからな。
母さんの決定したことには、何だかんだで逆らえないんだよね。みな。
「まあ、でも。本当に私の身に危険がないか様子見してくれることに納得してくれたことは、素直にありがたいよ。今まで以上に危険なことはできなくなったけど」
一日一回、必ず通信機で元気かどうか報告をすること。
それが、今の生活を続ける条件だった。
毎日ではなかったけど、今までだってしょっちゅう連絡を取ってはいたから、それ程大変な条件ではない。
……過保護だなあ、とは思わなくもないけど。
「……家族っていいものですね」
0
お気に入りに追加
2,478
あなたにおすすめの小説

困りました。縦ロールにさよならしたら、逆ハーになりそうです。《改訂版》
新 星緒
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢アニエス(悪質ストーカー)に転生したと気づいたけれど、心配ないよね。だってフラグ折りまくってハピエンが定番だもの。
趣味の悪い縦ロールはやめて性格改善して、ストーカーしなければ楽勝楽勝!
……って、あれ?
楽勝ではあるけれど、なんだか思っていたのとは違うような。
想定外の逆ハーレムを解消するため、イケメンモブの大公令息リュシアンと協力関係を結んでみた。だけどリュシアンは、「惚れた」と言ったり「からかっただけ」と言ったり、意地悪ばかり。嫌なヤツ!
でも実はリュシアンは訳ありらしく……

転生した世界のイケメンが怖い
祐月
恋愛
わたしの通う学院では、近頃毎日のように喜劇が繰り広げられている。
第二皇子殿下を含む学院で人気の美形子息達がこぞって一人の子爵令嬢に愛を囁き、殿下の婚約者の公爵令嬢が諌めては返り討ちにあうという、わたしにはどこかで見覚えのある光景だ。
わたし以外の皆が口を揃えて言う。彼らはものすごい美形だと。
でもわたしは彼らが怖い。
わたしの目には彼らは同じ人間には見えない。
彼らはどこからどう見ても、女児向けアニメキャラクターショーの着ぐるみだった。
2024/10/06 IF追加
小説を読もう!にも掲載しています。

悪役令嬢、第四王子と結婚します!
水魔沙希
恋愛
私・フローディア・フランソワーズには前世の記憶があります。定番の乙女ゲームの悪役転生というものです。私に残された道はただ一つ。破滅フラグを立てない事!それには、手っ取り早く同じく悪役キャラになってしまう第四王子を何とかして、私の手中にして、シナリオブレイクします!
小説家になろう様にも、書き起こしております。
悪役令嬢エリザベート物語
kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ
公爵令嬢である。
前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。
ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。
父はアフレイド・ノイズ公爵。
ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。
魔法騎士団の総団長でもある。
母はマーガレット。
隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。
兄の名前はリアム。
前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。
そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。
王太子と婚約なんてするものか。
国外追放になどなるものか。
乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。
私は人生をあきらめない。
エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。
⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです

神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!
カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。
前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。
全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。
優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。
家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。
主人公は、魔法・知識チートは持っていません。
加筆修正しました。
お手に取って頂けたら嬉しいです。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

せっかく転生したのにモブにすらなれない……はずが溺愛ルートなんて信じられません
嘉月
恋愛
隣国の貴族令嬢である主人公は交換留学生としてやってきた学園でイケメン達と恋に落ちていく。
人気の乙女ゲーム「秘密のエルドラド」のメイン攻略キャラは王立学園の生徒会長にして王弟、氷の殿下こと、クライブ・フォン・ガウンデール。
転生したのはそのゲームの世界なのに……私はモブですらないらしい。
せめて学園の生徒1くらいにはなりたかったけど、どうしようもないので地に足つけてしっかり生きていくつもりです。
少しだけ改題しました。ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる